バカと冬木市と召喚戦争   作:亜莉守

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第七幕

行動に移すのはいいとして、何処をどう攻めたらいいんだろう?

 

「……多分こういうのって基点があって、そこを繋げて結界を作ってるはずだから。基点を壊せば……よし」

 

確かそんなものだったはず。固有結界とかになると術者を倒さないといけないんだけど、それはこの手の結界にはないはずだから大丈夫。大体固有結界って使える人間の方が少ないんだよね。

ぼくが歩きだろうとすると、日向君が声をかけてきた。

 

「言峰、なにするつもり?」

「ん? 事態解決に決まってるでしょ。あ、日向君はここで大人しくしておいてね。じゃ!」

 

よし、急いでどうにかしないとね。始末書書かされるのは多分ぼくだし、やってらんないよ。

 

「言峰?!」

 

後ろから日向君の焦った声が聞こえたけど気にしない、気にしない。

 

「……行ってしまった。どうしろっていうんだろう」

「多分これって衛宮が言っていたことだよな」

「うん、ヒロの所に行こう」

 

                    ☆

 

僕はただひたすらに足を進める。今止めたら、誰かに顔向けできないような気がするから。

 

「はぁ、はぁ、はぁ」

 

息が上がってくる。普段あまり運動しないツケが回ってきたのかな。それから言えるのはもうそろそろ色々と危ない気がする。

 

「かはっ、けほ、けほ」

 

あ、ほらやっぱりだ。息が苦しくなりすぎて、咳き込んだ。もう走れないかも。

しゃがみこんで呼吸を整えていた僕の肩を誰かが叩いた。

 

「え?」

 

振り返ってみれば、物凄く不機嫌な顔をした比奈丘さんだった。

 

「衛宮……一人で突っ走るなって伝えたよな」

「あ、えっと、その」

 

いや、今回の事は主に僕のせいだし、それに(一応)一般人である比奈丘さんに言うわけにいかないし。色々と考えて答えに詰まっていると、なにを勘違いしたのか比奈丘さんが僕の目の前までしゃがんで目線を合わせて、真剣な顔して言った。

 

「一人で抱え込むなよ。わたしは明乃の友人だからお前にとっては他人かもしれないが、そういう奴だからこそ言えることだってあるだろ」

「いや、あの……」

 

そ、そういう理由じゃないんだけど。まだ答えにどもってると周囲の空気が一段と歪んだような気がした。

 

「!」

「?!」

 

二人で周りを見渡せば、まるで零的な何かに出てきそうな怨霊が大量に出現した。見る見るうちに廊下中が埋まっていく。

そんな光景をみて思わず呟きたくなった。

 

「……なんでさ」

 

それ以上に何か言えることってあるのかな。そう感じた。

 

                    ☆

 

「おおお、COOOOL! マジでCOOOLだよね旦那!」

 

教室の廊下を龍之介がハイテンションで走りぬける。器用にも前をちょっと見ては隣を走るキャスターと喋るという芸当をやってのけている。

 

「ええ、貴方の好きそうなものであることは認めますが。一体なんなのでしょうかこれは」

 

彼に併走しながらもキャスターは冷静に状況を判断していた。

 

「とりあえずケイネスさんが言ってた基点とやらを探そう! 一つくらいバラしてもいいかな」

 

何処からか取り出したメスのように鋭いナイフをくるくると回す。

 

「リュウノスケ、止めておきましょう。アキノさんが知ったらまた怒られますよ」

「ちぇー、絶対にバラしたら面白いのに」

「……それにしてもこれほどの死者はどこから連れてきたのでしょうか。いや、まずこれは死者なのでしょうか?」

 

死者にしては妙に生気を感じるとキャスターは首をかしげる。その様子を見て、龍之介が驚いたような顔をした。

 

「んー、あれ? 旦那気が付いてないの。あれって生霊でしょ」

「生霊、ですか?」

 

生霊は生霊でCOOOLなんだよねー。と龍之介が笑う。しかしキャスターはさらに首をかしげた。死者になら縁があるキャスターも流石に生霊には縁がないらしい。

 

「うん、ケイネスさんところで何度か見たことあるから分かるんだ」

「そうですか、生霊……」

 

しかしなぜ生霊がこんなにも発生しているのか。誰も現状境ではそのキャスターの疑問に答えられなかった。

 

                    ☆

 

とりあえず僕は比奈丘さんの手を引いて、疲れきった身体に鞭打って走り出した。

 

「なんだよこいつら」

 

比奈丘さんが少し後ろを向きながら呟く。ああああ、もう色々と勘弁願いたいんですけどぉぉぉ。

 

「……もうなんでさぁぁぁぁぁ。アーチャァァァァっ! もしくはセイバー! もう誰でも良いや、誰か身内来てぇぇぇぇ!!」

 

叫びながら全力疾走で走る。ふと冷静に意識を戻したら、物凄く何叫んでんだろうって気がした。僕の叫び声に驚いた比奈丘さんがこっちを見る。

 

「アーチャー?」

「あ、ごめん。知り合い」

 

げ、前からも来やがった。懐から小型魔弾発射装置を取り出す。すると比奈丘さんがこっちを向いた。

 

「お、衛宮。いいもの持ってるな」

「あ、これ一般人は使えないからね!」

 

一応魔力持ちしか扱えないからね。違うと比奈丘さんが首を振る。違うって。

 

「いや、そっちのナイフ」

「あ、こっち? 普通の品物だよ?」

 

アーチャーの投影した奴だけど。

 

「貸してほしい。後で返すから」

「え、そう? あ!」

 

比奈丘さんにナイフを渡してたら、比奈丘さんの後ろから怨霊が襲い掛かってきた?! 慌てて魔弾を撃とうとすると、それよりも先に比奈丘さんが僕から受け取ったナイフで怨霊を切り裂いた。

 

「……すご」

「わたしがそんなに弱く見えるか?」

 

にやりと比奈丘さんが笑った。この人やっぱり凄いよ。

 

                    ☆

 

目の前にいきなり生霊が大量に現れた。どうなってるのさこの学園、ただ結界張っただけなのに生霊大量に出てくるとかさー。

 

「うわぁ、基点いく前に仕事かい」

 

術者探したほうがよさそうだなぁ。一応術者っぽい気配はぼくらのFクラスの教室にある。

 

「悠里が心配だし」

 

もしかしたら悠里に危害が及んでるかもしれない。

 

「急ごう」

 

教室へとたどり着く。やっぱりこっちに術者がいるみたいだ。扉を開ければ見慣れた赤い髪が床に着いている。

 

「悠里!」

 

慌てて悠里の所に走り出せば、足元にクナイが刺さる。

 

「っ あぶっな」

 

飛んでかわせば、さっきは気が付かなかった黒いフードの人物がそこにいた。見えているのは手だけ、白くて細い手は女の人を思わせる。

 

「君は一体誰だい? 見たところ魔術師のようだけど、こんな昼間にしかも普通の人がいる場所でこんな大々的な魔術をするとかさー」

 

ガントが飛んできた。よっぽど話し合うつもりがないらしい。

 

「ふぅん、あくまでこっちの邪魔して来るんだ」

「……」

 

相手は問答無用でクナイを構えてきた。

 

                    ☆

 

俺は廊下を走る。すると目の前から見慣れた茶色の頭が走ってきた。

 

「ヒロ!」

「よ、ウミ。無事そうで何よりだな。言峰は?」

 

一緒に行動してるはずの言峰の姿が見えない。なんでだ?

 

「一人で行った」

「はぁ、あいつら二人は本当に姉弟だよな」

 

明久と明乃は本当にこういうところが似通ってるぜ。

 

「ウミ!」

「大丈夫だよ」

 

手元に現れた剣でいきなり現れた化け物を切り裂く。うん、結構上手に投影できたな。

 

「よし、行くか!」

「ヒロ、俺と再会する前に何かあったのか?」

「は?」

 

いきなり何言い出すんだか。俺の実家がこういう魔術の家系ってだけなんだけどな。





正直、自分得かつ誰得状態突っ走ってます。

………いつもの事でしたよねー。相変わらずグダグダ進行

最終章も残すところ後三話。終わるかこれ
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