バカと冬木市と召喚戦争   作:亜莉守

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第十幕

どうにか全てが片付いて僕らは教室に向かう廊下を歩いていた。じーさんやナタリアさん、雨龍さんやキャスターは先に帰ってくれた。下手にいたら誤魔化すのすら大変だったよ。

 

「そんなわけでお疲れ様でしたー」

「うん、お疲れ」

 

僕と姉さんはぐぐっと伸びをする。

 

「それにしてもそんな騒動だったとはねー」

「ごめん、姉さんに何も言ってなくって」

 

これだったら姉さんに先に言っておけばよかったよ。

 

「いや、そこはいいんだ。でもさ、どうしよう」

「何が?」

 

何かあったっけ? これと言って思い出せないんだけど。

 

「模擬試召戦争終わってない」

「あ」

「あ」

 

僕と僕の後ろを歩いていた広夢が呟いた。

 

「忘れてたね」

「だな。代表は起きてるんだろ?」

 

比奈丘さんが励ますように言う。

 

「まあね……どうしよ。魔術見られた」

「事情話せば大丈夫でしょ。悠里さんだし」

 

あの人のことだしそれがどうしたで終わらせる気がするんだ。

 

「わたしも一応一般人なんだが」

「え? 比奈丘さんは黙っててくれるでしょ」

 

大丈夫だって信じてるし。

 

「……お前ってさ。人誑しとか言われない?」

「え? 言われたことないけど」

 

そういうこと言われるのは姉さんだよ。僕は全然そんなこと言われないんだよなぁ。

 

「そうか……」

 

何か比奈丘さんが納得したような顔で見てきた。なんなのさ。僕たちは教室の扉を開けた。

それからしばらくして、

 

「はぁ、教室に戻ったわけだけど」

「……ああなるとは思いも寄らなかったよ」

 

姉さんと二人で愚痴る。教室に入ってみれば、いち早く目を覚ました悠里さんとそれから根本さんがバトってる最中だった。

 

「悠里綺麗に勝ってるし」

「だねぇ」

 

僕らが入ったそのときに悠里さんの召喚獣の拳が根本さんの召喚獣に突き刺さったのだ。女の人って喧嘩強いんだねと変な納得をした僕だった。

 

「でもまあ、無事に終わって何よりって事かな?」

「ぼくは事後処理があるけどね」

 

そうだった。姉さんは仮にも聖堂教会に所属してるんだった。

 

「ご迷惑おかけします」

「いいよ。仕事だし」

 

魔術師はもっともみ消しをやってくれてる教会の人に感謝するべきじゃない?

 

                     ☆

 

実家に帰って、部屋に飛び込んで、僕は部屋にあった座布団に突っ伏した。

 

「つーかーれーたー」

 

ああ、このまま寝ちゃいたい。そう考えてると襖が開いた。横目に見れば、じーさんが入ってきた。アーチャーも一緒だ。

 

「お疲れ様、明久。よく頑張ったよ」

「うぅー」

 

じーさんが頭を撫でてくれるのが心地よくてたまらない。思考回路がもう熔けて消えかけてる気がする。そこに不安そうな声が振ってきた。

 

「大丈夫か、マスター」

「うん、魔力ガンガン消費して無駄にだるいけど大丈夫。だる……あ、今日の夕飯いらない。もうねる………」

 

眠いです。もう嫌だ。

 

「マスター?」

「出てけ……」

 

熔け切った頭にガンガン声が響いて気持ち悪い。

 

「はいはい、じゃあ出ようかアーチャー」

「あ、ああ」

 

ああ、もう眠すぎてだめだ。

 

                     ☆

 

衛宮邸の居間にて。

 

「え? アキヒサ寝ちゃったの?」

 

湯飲みに入ったお茶をすすりながらイリヤスフィールが驚いた顔をした。

 

「うん、疲れてるみたいだから。今日は部屋に行かないようにね」

 

居間へと入り、座布団に座った切嗣も同じようにお茶をすすりながら返事をした。するとイリヤスフィールがジト目で切嗣を見る。

 

「はーい、なんかまた無茶してたの?」

「あはは、うーん。まあ、頑張ったよ」

 

居間で親子がのほほんと会話している頃、台所では士郎が無言でかぼちゃや大根といった大型で固めの食材をぶつ切りにしていた。その様子を見に来たアーチャーが士郎に声をかける。

 

「随分と荒れてるな」

 

すると士郎がぎろりと睨みつける。

 

「……お前は兄さんのサーヴァントなんだよな」

「それは疑いようも事実だが?」

 

令呪があって、パスが繋がっているのだから疑いようもないのだ。そうかよ、と言いながら士郎がさらに睨みつける。

 

「……ならなんで兄さんが無茶するの止めなかったんだよ」

 

パスが繋がっていると言うならそれくらい出来ただろと士郎が続けた。

 

「…………」

「………」

 

二人のにらみ合いが続く。いつの間にか士郎の手は止まっている。

 

「はーい、二人して何喧嘩してるのかしら?」

 

士郎とアーチャーの間に割ってはいるように、アイリスフィールが笑いかける。

 

「……アイリさん」

「……アイリスフィール」

「二人が喧嘩してたらアキヒサが心配しちゃうわよ。ね?」

 

アイリスフィールがにこにこと二人を見る。

 

「……」

「……」

 

すると士郎は料理を再開して、アーチャーは居間へと向かった。あらあらと言いながらアイリスフィールは士郎に手伝うかと声をかけて遠まわしに遠慮されてしょうがないとアイリスフィールも居間に向かった。

 

                     ☆

 

一方、冬木教会の言峰一家の居住スペース。

 

「はぁ、結局こうなるんだね」

 

キッチンに立ちながら明乃はため息をついた。するとリビングから声がかかる。

 

「明乃ちゃん、おかわりある?」

「嬢ちゃん、追加頼めるか?」

「アキノ、追加を」

 

夕食を食べている面々から追加の注文が入ってるのだ。何故か学校で分かれたはずの龍之介もこちらにいる。明乃は手を動かしながら声を張り上げた。

 

「はいはーい、今作ってるから待って」

「小娘、遅いぞ」

「おい、ギル今作ってるって言ってる。ゴメン、明乃。これのことなんか気にしないで」

 

どうやらギルガメッシュと彼に連行された花楠もいるらしい。

 

「明乃ちゃん、ご馳走様!」

「どうも、お粗末さまでした」

 

全員がごちそうさまと彼女に声をかけた。

 

                     ☆

 

それからしばらく、事件の処理も全部終わった頃。

 

「はぁー、平和なことで」

「だね?」

 

広夢と明久が歩いていた。

 

「てか全員昏倒もどうにか誤魔化せたしね」

「それにしてもサーヴァントを狙ってあの騒動って」

 

普通考えるか? と広夢が呟けば明久は心底申し訳なさそうな顔をして。

 

「申し訳ございませんでした」

「ま、別にいいけどよ。退屈しねーし」

「ありがと?」

 

ま、そこで謝られても面白くないから感謝でいいぜと広夢が言ってから他愛のない話が始まる。最近の事、昔の事、それから将来の事。そして、将来どうするかと言う話になって広夢が思い出したように言った。

 

「そうだ。ものは相談だが俺とコンビ組まね」

「へ?」

 

なんでさ。いつもの台詞で本日も終了しそうだ。

 





あざーした。最終章閉幕!
オチが凄く雑で申し訳ございません。あとはザビエル道場とエピローグの予定

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