バカと冬木市と召喚戦争   作:亜莉守

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※死ネタ注意
※今回会話ほとんどなし
※今更だけどご都合主義の塊


最期の話
最期の話 E


 

最期の話をしようと思う。

思えば人生は長いようで短かった。

 

 

あの日、僕は広夢に誘われて『正義の味方』を創めることになった。それからの高校生活は本当に平穏に過ぎた。いや平穏と言うにはちょっと騒動だらけだったけど、まだマシだったってことで。そうだよなー、普通は一年間で学校閉校騒動が何回も起こるとかないよね。色々とありすぎたんだ。

 

大学生になってからは広夢と一緒に『正義の味方』と大学生の二束草鞋。いや、ついでに言うなら外道魔術師への制裁のためにじーさんの名前も継いで『魔術師殺し』もやってた。こっちには申し訳なかったけどアーチャーも巻き込んで、長らく外道魔術師狩りの『魔術師殺し』をやらせていただました。いやぁ、色々とやらかしたなぁ。封印指定の子ども助けたり、行ってみたら聖堂教会とかち合って戦ったりとか、逆に聖堂教会の人と一緒に戦ったりとか……あのカレーがむちゃくちゃ好きなメガネさん元気にしてるかな?

 

そんなこんなで大学生も終わって、本格的に『正義の味方』の活動が始まる。この頃には色々と慣れきった。そういえばこの辺で士郎が結婚したんだよね。相手は桜ちゃん、本当にお似合いな二人だった。僕はと言えば相変わらずながら広夢と二人で『正義の味方』活動このままずっと二人でやっていくって思ってた。

 

 

 

 

 

 

それから少しして…………広夢が死んだ。仕事で向かった紛争地帯で分断されて、どうにか合流したときにはもう………。ホテルで気が抜けたような一日を過ごした。相棒とも言えた友人はもういない。帰国して、気が抜けたようになった僕を見てみんな慌てた。それからは江戸屋敷に閉じこもる日々。結婚した士郎もそれからアーチャーも凛もみんな毎日のように僕の閉じこもる部屋の前に来ては話をしてくれた。それでもまだ広夢が居ないことに空虚なものを感じていた。

 

それから半年が過ぎて、ついに業を煮やした凛が殴りこんできた。いきなり開いた襖、驚きもしないでぼんやり見た僕の顔を見て凛の目には見る見る間に涙が浮かんで、いきなり殴られた。閉じこもって過ごしていたせいか凛に殴られただけで倒れた。これは後でアーチャーに言ったら凛の力が凄すぎるだけだそうで。そのままボロ泣きの凛に馬乗りにされてしばらく、何事かと思った士郎(偶然来てたらしい)が来るまでそんな状態が続いた。

 

それからさらに一年、まさかの凛と入籍することになった。魔術師としてそれでいいのかとツッコミを入れたけれども彼女は何処吹く風で笑うだけ、この頃には調子が戻ってた。大切な場所はまた出来たからね。

 

それからもうちょっとして、聖杯の解体が行われた。随分と長い間一緒にいたアーチャー……ううん、もう一人の弟とはそれでお別れに……ならなかった。まさか引きこもりになってたときにヤケで使い魔契約に切り替えてたとかなんでさ。

 

 

 

そして僕は最期を迎える。ある意味平穏とは程遠い人生だったけど、幸せだなと思える人生だったよ。

自分で書いた術式の魔法陣を前にアーチャーが振り向いた。心配そうな顔をしている。

 

 

「マスター、本当にやるのかね?」

「まあね。一世一代の大勝負……とはいえないけど、やってみるに越したことはないからさ」

 

遠坂家に婿入りして、魔術の資料を盗み見て、考案した『平行世界の運用』の魔術のかなり手荒いの。多分使えないだろうけど、それでも試してみたくて無茶をすることにした。もちろん凛には言っていない。

 

「はぁ、全く君はバカじゃないのか?」

「あれ? 今の今まで気が付かなかったの? そうに決まってるじゃないか。それじゃ、行きますか」

 

多分行き着くのは平行世界ですらないけど。

 

 

 

 

 

 

 

遠く暗い闇の中を通り過ぎ、明るすぎる光の中を通り過ぎ、僕は草原に立っていた。

草原の中央、金色の髪のワンピース姿の女の子が褐色の肌に白い髪の奇妙な外套を着た青年を膝枕していた。うん、やっぱりなんだ。

 

「や、セイバー」

「! ようやく来たのですか?」

 

僕が声をかければワンピースの女の子が顔を上げた。やっぱり髪は下ろしているけど、僕たちやじーさんたちと一緒にいたセイバーだ。

 

「うん、お待たせ?」

「待たせすぎです。シロウもずっと貴方を待っていましたよ」

 

セイバーが眠っているアーチャー本体の頭を優しく撫でる。聖杯の解体時に逆流した魔力によってアーチャーの状態を知ったんだ。無事に阿頼耶識から解放されたアーチャーだったけど、長年の滅亡回避で磨耗しきったアーチャーの本体の磨耗を解消するために僕の元にやって来たアーチャーの分霊が必要だったんだ。

 

 

 

全ての果て無き理想郷(アヴァロン)

それが僕の到達点、まあ良かったかな?

 





お疲れ様でした。一応、これで終了。

原作後の話の進みは大体あんな感じです。気合が続いたら明乃サイドの話も入れたい。

四月一日のエイプリールのための投稿からスタートして、早半年と二ヶ月くらい過ぎてました。更新しない日とかも色々ありましたがこれにて一応完結です。
自分で書いててグダグダしてるなーと思うところが多々ありますが、それはいつか修正入れようと思います。
それからこんなのが最終話ですみません。

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