「皆さん全員に卓袱台と座布団は普及されてますか?不備があるなら申し出て下さい」
いや、さっき確認したら不備だらけだったよ。あ、何人も手を挙げてるし。
「先生。俺の座布団に綿がほとんど入ってないんですけど」
「我慢してください」
え、ちょ
「隙間風が寒いんですけど」
「我慢してください」
まあ、しょうがない……わけあるかぁぁぁ!! いやいやいや普通、隙間風とかあるの? ここ一応新設校だったよね?! 建築から六年で隙間風のする学校とかないでしょ?!
「卓袱台の足が折れているんですけど」
「我慢してください」
「無理でしょ」
「はっはっは。冗談ですよ」
そう言って福原先生が取り出したのは木工用ボンド。せめて、釘とトンカチくらいはほしいよ……親父でも普通に釘とトンカチは寄こすぞ
「必要なものがあれば極力自分で調達するようにしてください」
「先生、それ本当ですか?」
「はい、自力であればとりあえずいいですよ」
よし、言質は取ったぞ。悠里を見てみればこっちに向かってぐっとサムズアップしていた。神海がOKサインを出している。やりぃ
福原先生はホームルームを進める。
「では、交換入学生を紹介しましょうか」
ん? そんな話始めて聞いたけど、そういう制度今年から始めたのかな?
「では、二人とも入ってきて下さい」
福原先生が教室の扉の方へ声をかける。すると、こげ茶の短い髪に綺麗なハニーブラウンの目をした黒い学ランの男の子と黒髪のベリーショートにエメラルド色の目をした同じく黒学ランの男の子が入ってきた。クラスメイト達は女子じゃないことに落胆してる。小学生かお前らは
「では、自己紹介をお願いします」
福原先生が促すとこげ茶の髪の男の子がコクリと頷いて、自己紹介をした。
「
教室から軽く拍手が起こる。月海原学園……聞いたことないなぁ
さて、次は……と期待した目でみんながもう一人の方の入学生を見る。どんな人なんだろう?
「俺は
うーん、彼とは仲良くできそうな気がする。教室からは先ほどと同じく軽い拍手が起こった。
「二人とも好きな席に座ってください」
福原先生が席に着くように言った。てか、席も決まってないの?!
☆
「では、次は廊下側の人から自己紹介をおねがいします」
入学生のことも済んだので福原先生が今度はクラスの中の人に声をかけた。
「木下秀吉じゃ。演劇部に所属しておる」
独特の言葉遣いと小柄な体。いつもの通り安定の秀吉だよね。まあ、でもオールバックにした甲斐あってかちょっとは男らしく……
「先に言っておくがワシは男じゃ」
「「「そんな馬鹿なぁぁぁぁ」」」
ナッタノニナー
「………土屋神海、特技は隠密行動」
男が勝手に叫んでいる間に神海さんの自己紹介が始まっていた。それ、自慢するべき特技なの?
「俺は島田南 海外育ちで、日本語は会話はできるけど読み書きは苦手だ」
あ、南の番だったんだ。知り合い率高いなぁ
「趣味は邦画鑑賞、よろしく」
南って意外な趣味してるんだなぁ。今度映画のチケットでも手にはいったら誘おう
また何人か自己紹介をしていく、冗談交じりな人がほとんどだ。彼女募集中とか言ったところでウチの女子全員ガード固いよね。神海さんに悠里さんに姉さんのアクの強い三人娘が(多分)筆頭だし。
さて、次は僕の番か
「──コホン。えーっと、衛宮明久です。苗字は違いますが言峰さんとは双子の姉弟なのであしからず、特技はガラクタ弄り よろしく」
うん、無難にまとめたぜ。よーしとか思ってると「ダーリンじゃないのかよ」とぼそりと聞こえた気がした。あれ?
☆
自己紹介も終盤に差し掛かったけどもう何かカオスってる気がする。ウチのクラスは妙に女子の数が少ない。ぼくも含めて6人とか悲惨過ぎない? まあおなじみのメンバーは置いておくとしまして、
「さて、みんなに一つ聞きたい」
悠里の視線は教室内の各所に移りだした。
かび臭い教室。
古く汚れた座布団。
薄汚れた卓袱台。
何度見ても酷い設備だよね。しかもこれがもしかしたら悪意のある人間の仕業かと思うと虫唾が走る。
「Aクラスは冷暖房完備の上、座席はリクライニングシートらしいけど―――――」
一呼吸おいて、
「――――不満はないかしら?」
「「「「大ありじゃぁっ!!」」」」
二年Fクラス生徒(一部を除く)の魂の叫び。ちなみに参加してないのは鈴原さんと夢路、それから日向君の三人だけである。日暮君はノリノリで叫んでた
「でしょう?あたしだってこの現状には大いに不満だし。代表として問題意識を抱いているわ」
「そうだそうだ!!」
「いくら学費が安いからと言って、この設備はあんまりだ!改善を要求する!」
「そもそもAクラスだって同じ学費だろ?あまりに差が大きすぎる!」
堰を切ったかのように次々とあがる不満の声が上がる。まあ、悠里的にはこれを狙ってたんだろうけど
「みんなの意見はもっとも。そこで」
坂本悠里は自信に満ち溢れた顔に不適な笑みを浮かべ、
「これは代表としての提案なのだけど……」
あ、これはなんか悪巧みしてるなぁって心底思った。
「──FクラスはAクラスに『試験召喚戦争』を仕掛けようと思う」
(ぼくは知らなかったが)我らがFクラス代表、坂本悠里は戦争の引き金を引いた。
ようやく身内の戦争が終結したと思ったら今度はこっちかい、ぼくの心境は正直こっちだった。
※この小説にはモブですが転生者要素入ってきます。ちなみに比奈丘さんは「Sクラス」とは全く関係ございません