バカと冬木市と召喚戦争   作:亜莉守

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第四問

 

姉さんがDクラスと(物理的に)交渉した次の日、チャイムと同時にDクラス戦が始まった。

今現在前線にいるのは秀吉率いる先行部隊で、そことFクラスの間あたりに南と僕が部隊長の中堅部隊が配置されている。

全員初陣とだけあって気合が入っている。どれくらいかっていうと殺気が感じられるくらいには、いや純粋に戦いに興奮している人もいるし、どこかおかしな思考回路の人もいるようだ。まあ、迷惑さえなければどうでもいいけど

 

「アキヒサ!ヒデヨシたちがDクラスの連中と渡り廊下で交戦状態に入った!」

 

南が向こう側から走ってきた。よし、気合入れないとなぁ。とりあえず僕は耳を澄ませて、前線部隊の様子を聞き取ってみた。

 

『さぁ来なさい!この負け犬が!』

『て、鉄人!?嫌だ!補習室は嫌なんだっ!』

『黙りなさい!捕虜は全員この戦闘が終わるまで補習室で特別抗議よ!終戦まで何時間かかるかわからないけど、たっぷりと指導してあげるわ』

『た、頼む!見逃してくれ!あんな拷問耐え切れる気がしない!』

『拷問?そんなことはしないわよ。これは立派な教育よ。補習が終わる頃には趣味が勉強、尊敬するのは二宮金二郎、といった理想的な生徒に仕立て上げてあげるわ』

『お、鬼だ!誰か、助けっ──イヤァァ──(バタン、ガチャ)』

 

西村先生、それを世間一般では洗脳と言います。てか正直魔術師より性質が悪いとか思っちゃったよ?! うわぁ、負けたらこれか………

 

「南、中堅部隊全員に通達」

「ん、なに?作戦?何て伝えんのか?」

 

うん、これはすごく大切な指示さ。

 

「点数がヤバくなったら即退散、ギリギリまで粘るよりも生きて教室に戻ることを優先するように、下手に人数減らされるとまずいからね」

「おう、わかった」

 

南が中堅部隊のみんなに僕の指示を伝えに行く。さて、どうしたらいいかな。僕は姉さんみたいに凄い身体能力があるわけでも悠里さんみたいに指揮能力があるわけでもない、でも任された部隊くらいは守らないとね。

それからしばらくして、待機していると南と僕のところに報告係がやってきた。

 

「島田、前線部隊が後退を開始したぞ!」

「了解、お前らさっき言った指示を忘れるなよ!!」

「「「おうっ!!!!」」」

 

よし、来やがれDクラス!!

………そう思ってた時期が僕にもありました。

 

                  ☆

 

教室で待機してたら神海が少し慌てた様子でやってきた。屋根裏からくるあたりもう君は忍者の子孫か何かなんじゃない?

 

「えっと、中堅部隊が襲撃?」

「……うん、このままだと危ない」

 

神海の意見を聞いて悠里がぼくのことを見てきた。あー、やっぱり?

 

「うーん、明乃ちょっと遊撃してきて」

「了解」

 

だよね。まあ、アキたちが心配だし行きますか

 

「あ、面白そうだから俺も混ぜてくれよ。どうせ雑魚だし」

「自分から雑魚って言うのはどうかと思うけど、ヒロは十分に強いと思う」

「はぁ、じゃあ日暮あなたもよろしく」

「了解だぜ」

 

ぼくらは急いで現場に向かった。そこには島田君と彼とオレンジ色の髪をツインテールにしてその先を縦ロールにしたドリルみたいな髪型の女の子が対峙していた。女の子の方が恍惚とした表情で喋りだす。

 

「お兄様に捨てられて以来、美春はこの日を一日千秋の想いで待ってました……」

「ちょっ!いい加減俺のことは諦めろよ!」

 

……二人になにがあったのさ? 捨てたってことは元カノとか?

 

「ところで島田君、お兄様って―――」

 

うん、そこ大切。凄い大切、まるで百合小説のようだけど

ぼくの存在に気が付いてなかったみたいで二人はまだ会話する。

 

「嫌です!お兄様はいつまでも美春だけのお兄様です!」

「来るな!俺は普通に好きな子がいるんだよ!」

 

会話がかみ合ってない気がする。あ、でもちょっと意外かも? 島田君って好きな人いるんだ。彼女は島田君の言った言葉を聞いてすぐに反論した。

 

「嘘です!お兄様は美春のことを愛しているはずです!」

「このわからずや!」

 

……うん、ストーカーって大変だよね。変な偏見もってこっちに向かってくるし。

島田君がようやくぼくの存在に気が付いたようだ。若干目に涙を浮かべて叫んだ。

 

「アキノ、助けて!!」

「うん、もちろんじゃないか。先生召喚許可を」

「はい、許可します」

試獣召喚(サモン)っ!!」

 

召喚陣からぼくの召喚獣が呼び出される。何故か中華服を着て狼のような耳と尻尾が生えた姿だった。手には黒鍵を持っている。

 

「何でチャイナなのさ、カソックがよかったぁ」

「へぇ、これが召喚獣か、何かアバターみたいだな」

「殺します……美春とお兄さまの邪魔をする人は、全員殺します……」

 

うわぁ、殺気が酷い。あれか、ヤンデレか、しかも相手じゃなくって周りに向かう性質の悪いタイプ、ヤンデレストーカーとか面倒なだけじゃないか

 

「邪魔者は殺します!」

 

こちらに召喚獣が向かってきた。そういえば点数………

 

化学

Fクラス 言峰明乃 134点

      VS

Dクラス 清水美晴 94点

 

何時のテストを基準にしたんだろう。確か振り分け試験は休んだはずだけど、あれ?

 

「隙あ「るわけないじゃないか」

 

一瞬思考回路を点数に取られたけどそれは一瞬でいい、突っ込んでくるものはいなせばいいのさ!! いやぁ、こういう時にはあの親父の直感型戦法が役に立つってもんでしょ

 

「こっんの、当たれ! 当たれっ!!」

「そんな大振りで当たったら奇跡だよね」

 

伊達に代行者の真似事してないし、負ける気がしないね。さて、もうそろそろいいか

召喚獣の手に握られた黒鍵をこちらに向かってくる彼女の召喚獣に投げつける。それは上手いこと急所に命中した。

 

Dクラス 清水美晴 DEAD

 

「戦死者は補習っ!!」

「お兄様!! このまま無事に卒業できるなんて思わないで下さいね!」

 

ストーカーって怖い、改めてそう思った。ついでに言うならバカ親父をますます止めないとって気になった。ついでに言うなら島田君に同情した。

 

「島田君、大丈夫?」

「アキノ……怖かったぁぁぁぁ」

「にゅおぁっ?!」

 

いきなり抱きつかれた?!  なんか周囲の殺気が上がってる?!

 

「えーっとあれどうするんだ?」

「……姉さん、そのまま南連れてって」

「あ、うん」

 

                   ☆

 

明乃が教室へと帰ってきた。何故か島田を姫抱きしながら。

 

「おかえりなさ……どうしたのそれ」

 

姫抱きしていることにはツッコミは入らなかった。

 

「強いて言うならストーカー怖いかな、そうそう、日暮君はこのまま島田君の代わりに戦闘に参加するから帰ってこないよ」

「わかったわ、それにしてもストーカーって………」

「あれだね。世の中には知らない方がいいこともいっぱいあるんだよ。うん」

 

明乃の目は妙に悟った目をしていた。ちなみに島田は降ろされている。

 

                   ☆

 

姉さんと別れた後、また僕率いる中堅部隊は前線と合流するために進んだ。

 

「さて、とりあえず合流しないと」

「まだ合流してなかったのか?」

 

姉さんと一緒にやってきた日暮さんが僕に尋ねてきた。

 

「さっきのあの子が僕らのこと見つけてきて奇襲掛けられたんだよね。全部どうにか伸したけど」

「他の奴はのしたってことか?」

「うん、あの子だけ無駄に操作が上手くって」

 

姉さんはサクッと倒してたけどあの子だけ無駄に上手かった。

 

「ふぅん」

「明久、援護に来てくれたんじゃな!」

 

あ、秀吉だ。周りにも何人かいるけどやっぱり人数は少なめ、補習室(じごく)かな。

 

「秀吉、大丈夫?」

「うむ。戦死は免れておる。じゃが、点数はかなり厳しいところまで削られてしまったわい」

 

やっぱりもう少し早く来ればよかったかな。奇襲がここまで計算されてるとしたらDクラスも侮れないなぁ

 

「そうなの?召喚獣の様子は?」

「もうかなりヘロヘロじゃな。これ以上の戦闘は無理じゃ」

「そっか。だったら早く戻ってテストを受けた方がいいよ」

「そうじゃな。全教科を受けている時間はなさそうじゃが、一、二教科でも受けてくるとしよう」

 

そう言って秀吉は教室に向かって走っていった。前線のメンバーが全員離脱したことを確認した後、目の前のDクラスの前線メンバーと向かい合った。それなりに点数は削られてるらしく、50点以下が目立つ、秀吉たち頑張ってたんだなぁ。よし!

 

「みんな、相手は手負い、すぐに片づけるよ!!」

「「「おう!!!」」」

 





ストーカーダメ絶対。
清水さんファンの方いましたらここでお詫び申し上げます。

ちなみに明乃の中華服は趣味です。八極拳やってるって設定だとアサシン先生を思い出すんだ。

しばらくFate要素が抜けるかもしれません

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