その週の土曜日、ちょっとした用事でアーチャーと一緒に出掛けていたんだけどふと聞き覚えのある声がした気がして横を向けば、
「で? 何処に行くんだ。エリザ」
「もちろんカラオケよ。アタシの美声とことんまで見せつけるんだから!!」
「………」
茶色の髪にハニーブラウンの目、それに見覚えのある学ラン、日向君だ。隣にはピンクの髪に赤い服が特徴的な女の子が居る。彼女とか?
「あれって……」
「ん? どうした、マスター」
「いや、学校の友達だと思ってさ」
日向君って彼女いるんだなぁとか思ってたら聞きたくない声がした。
「諸君。ここはどこだ?」
「「「「最後の審判を下す法廷だ」」」」
「異端者には?」
「「「「死の鉄槌を!」」」」
「男とは」
「「「「愛を捨て、哀に生きるもの!」」」」
「宜しい。これより、FFF団による異端審問会を開催する」
ナニヤッテンダヨ。
Fクラス名物のFFF団が現れた。一応今日休日だよね?!
「何だこいつら、エリザ逃げるぞ」
「え、ちょっと きゃっ」
ピンクの髪の彼女を引っ張って日向君は去っていった。
「アレも級友か?」
「……ソンナワケナイダロー」
あんなのがクラスメイトとか……泣きたい。
「大丈夫か? マスター」
☆
一週間過ぎて、次の土曜日 僕らは双眼鏡片手にちょっと高い所に居た……正確に言うと二階建てのビルの上ね。
『えっと、待ったか 桜』
『そんなことないですよ。先輩』
双眼鏡で見ながら姉さんが呟く。私服姿ではなくカソック姿なのは戦いを予見してるからかな?
「何が楽しくて人のデート監視してるんだろうなぁ。ぼくら」
「うん、それは言わない方がいいよ。まさかのFFF団襲撃の可能性ありとか……いい加減にしろ」
結局あの後、日向君デートできたのかな? ちなみに僕も弓武装済みだよ。なんだろう、普通に奴らが嗅ぎ付けそうで怖いんだよね。
『あ』
『奏者よ、待たせたな。うむ、参ろうか』
『うん』
ちょっと違うところからさらに見知った声と姿を見つけた。
「あれ? 日向君だ」
「そうなんだ。あの子、彼女かな?」
「だったらこの前のピンクの髪の人誰だったんだろう?」
そうこうしていると路地裏に見覚えのある覆面集団を発見した。うわぁ、やっぱり出たよ。
『諸君。ここはどこだ?』
『『『『最後の審判を下す法廷だ』』』』
『異端者には?』
『『『『死の鉄槌を!』』』』
『男とは』
『『『『愛を捨て、哀に生きるもの!』』』』
『宜しい。これより、FFF団による異端審問会を開催する』
武器を持ってそのまま日向君やその辺に居るカップルへと突撃しようとするFFF団
「「あ」」
これはヤバい、色んな意味で。僕と姉さんは顔を見合わせた。
「「よし、片付けますか」」
☆
覆面被ったクラスメイト達とバトっていると偶然通りかかったであろうランサーさんがこちらへと声をかけてきた。ナイスタイミング……とは言い切れない気が凄いする。
「お、嬢ちゃんじゃねーか何やってんだ?」
「あ、ランサーさん! 危ない!!」
ぼくと喋っているのを見たせいだろう奴らの殺気は半端ないものへとなっていた。
「「「「死死死死死死」」」」
ランサーさんに特攻をかけてくるがすぐにいなされる。
「っと、何だ?」
「理由なんて話すのは後! これ使って!!」
アキからもらった如意棒(もどき)をランサーさんに投げる。ボールペンほどの長さだったそれはランサーさんの手に収まった瞬間、槍ほどの長さへと変わった。
「お、結構いい得物じゃねーか」
「とりあえずこいつらぼこってからね!! ランサー、頼んだよ!!」
「了解した!」
☆
ビルの屋上から状況を観察する。姉さんはうまい具合に立ちまわってくれているようだ。
「マスター、こんなところで何をやっているのかね?」
「狙撃、それ以上に何か?」
何故かここにやってきたアーチャーに言い返す。なんていうか何でここに居るの?
「いや、私が言うのもなんだが弓で射れる範囲なんてたかが知れているぞ」
「大丈夫だよ。どうにかなるから」
どうにかしないといけないだけだけどね。伊達に特技射的とか名乗ってないよ?
「それでどうにかなったとしたら驚きだぞ」
「どうにかしなくちゃなんだよね。級友が近隣住民に迷惑かけないためにも、待ち合わせに遅れないためにもね」
僕は今イリア姉さん待たせてるんだよ。とっとと終わらせないと
☆
路地裏に転がる死屍累々(死んでないけど)を眺める。下手な化け物よりも強かった。
「ふぅ、どうにかなった」
「派手に暴れたな。嬢ちゃん」
お疲れさんとぼくの頭を撫でてきた。最近よく頭を撫でられる気がするけど気のせいか。
「お疲れ様、ランサーさん」
「どうってことねーよ。ところで嬢ちゃんこれから暇か?」
暇……そういえば悠里たちと遊ぶ約束も仕事もないかな。
「? まあ、特に予定はないけど」
「何か奢ってやるよ」
「あ、本当?」
「おう」
やったね。そうなったら茶房に出発だ!
☆
某ショッピングモール、そこに白い髪に赤い目の見た目は幼い女の子がすでに居た。僕の姿を見つけると、駆け寄ってきてちょっと怒りだした。
「遅いわよ! アキヒサ」
「ごめんごめん、イリア姉さん待った?」
顔を膨らませて、イリア姉は怒っていた。
「待ってるに決まってるわよ!
「……はぁ、申し訳ございませんでした
イリア姉さんの機嫌取りが先かな?
「よろしい、あっちに行くわよ!」
「はい」
☆
俺は桜と映画を見て、映画館から出てきた。それにしてもツッコミどころの多い映画だった。
「桜、映画面白かったか?」
「はい、先輩は?」
「あー、楽しむよりも先に何かツッコミの方が……」
「ふふっ、確かにあの奇抜な設定は突っ込みどころ満載ですよね」
普通に恋愛物かと思ったらホラーにもなって、バトルアクション物にもなって、何であんな映画選んだんだろう。人気だからって選んだのが間違いな気がする……
「だよな。そういえば何となく兄さん思い出したんだよな。主人公が町の中を誰かを探して走るシーンとか……」
ふと、昔のことを思い出した。火事で崩れていく家、それを呆然と眺めていた俺を引っ張ってくれたのは兄さんだった。誰かを探すように必死に声を上げてた。今なら誰を探してたのかわかる気がする………俺を見つけたせいで兄さんは後悔してないだろうか
「先輩?」
「うん?」
あ、まずい。意識飛んでた
「何か考え事ですか?」
「あー、ちょっとな」
「?」
「なんでもないさ」
「………そうですか」
☆
すっかり日の暮れたの街、俺は彼女と一緒に歩いていた。無事に一緒にオペラを見れた。よかったよ
「……奏者よ。今宵は楽しかったぞ」
「そっか、よかった」
「だがしかし、余は寂しい」
彼女は拗ねたような顔をする。俺は何かやらかしていただろうか?
「?」
「なっ、気づいていなかったのか。奏者よ、先週の土曜日にランサーと出かけていたではないか! この浮気者っ!!」
「っ あれは」
説明しようとする前に彼女の方が口を開く。
「いくら余が寛大であるとはいえ、度が過ぎるぞ!!」
「ネロっ」
それまでの経緯を説明した。約束がいきなり降ってわいたかのようになって、約束を守れなくなりそうになったこと。それをどうにかするために交渉してたこと、その過程で先にエリザと出かけることになったこと。それでも彼女との約束を守りたかったこと。俺が言い終って彼女の表情を見てみたら彼女は顔を真っ赤にしていた。
「っ その目はずるいぞ」
? 俺は何かしただろうか?
☆
買ったものを片手に持ちながら片方の手をイリア姉とつなぐ。イリア姉は買い物中も手をつなぐことを要求してきた。これ、学校の人に見られたらまずいかもなぁとは思いつつも普通にできていることに家族ってこういうものだよなぁとかちょっと感動した。
「イリア姉さん、楽しかった?」
「ま、アキヒサのエスコートにしては上出来ね」
「それはよかったよ。士郎と一緒に来れなくて残念だった?」
「そうねぇ。まあ、イリヤはお姉ちゃんなんだし、その辺は我慢するわよ」
澄まして言ってるけど、嘘なのバレバレだよ?
「そっか、本音は?」
「彼女とか士郎にはまだ早いわよ!! ってところかしら」
イリア姉の意見に少し笑ってしまう。確かにかな?
「ふふっ、僕もちょっと同感だなぁ。何人ひっかけてくれば気が済むのやら」
「その辺は士郎に任せましょう? だってアタシたちはお姉ちゃんとお兄ちゃんなんだし」
「それもそっか」
見守ってあげるのも「きょうだい」の役目よねーと言っているイリア姉が僕の顔を見て言った。
「そういえば、アキヒサって気になる女の子とかいないの?」
「うーん、特には居ないかな。僕のことを好きになってくれる優しい人なんて、居ないだろうし」
そんなすごい人、一生いないと思うなぁ。
「えー、つまんないの」
「居てくれたとしたらそれは凄いと思うなぁ」
「そこまで言っちゃう?」
「うん」
だって僕はモテるわけないじゃん。そう言ったらイリア姉の顔がちょっと驚いたようになった。
☆
夕暮れの街を歩く。今日はランサーさんと一緒に色んなところを回った。この町に来て数か月しかたっていないはずの彼は、ぼくらでも知らない穴場を結構知っていて見るところ見ることろ新鮮で仕方がなかった。
「ランサーさん、今日は楽しかったよ。ありがとう」
「そりゃよかったよ」
怒涛の展開ですみませんでした。
デートの中身? それは妄想で補っておいてください。甘い展開なんて自分では書けないです。
そういえばプラズマ・イリヤの脚本、井上さんでしたね。
プライリ×バカテスとか変な妄想しました。でもプライリ真面目に知らなかったんだぜorz