とりあえず一通りの試作品がみんなの胃に収まった頃、後ろから姉さんの声がした。
「あ、アキ?」
「んー、姉さんどう……ったの?」
思わず間を開けるくらいには衝撃的だった。姉さんは何故か黒に金糸で刺繍がされたチャイナ服(露出は控えめ)を着ていた。なんでさ。
僕の反応を見て姉さんがむくれる。
「やっぱその反応か! どーせ、似合うわけないですもんねーだ!!」
「いや、だから 似合う似合わない以前にどうしたのさそれ、召喚獣のコスプレ?」
それだったら納得いくかな? 学園祭だし仮装する人は居るし、でも姉さんの返答は違った。
「……客寄せだとさ」
「悠里さん本気で稼ぐ気だね」
悠里さんがこういうの提案するとは思ってなかったよ。
「うん、正直この商魂逞しさに親友であるぼくもちょっと引いたよ」
「そっかー、ところでだけど姉さん似合ってるよ」
僕は素直に思ったことを口に出したけど、姉さんのふくれっ面は直らない。
「お世辞はどうも」
「ううん、素直にそう思うけど」
「そう?」
姉さんが確認するように聞いてくる。
「うん」
「嘘ついてない?」
「姉さんに嘘つくと思う?」
必要もないし、よっぽどのことがなくちゃする気もないよ。
「……そっか、アキ ありがとう」
「どういたしまして?」
☆
姉さんがちょっと向こうへ行った後、思いっきり顔を赤くした南が話しかけてきた。
「あ、あき、アキヒサ あれ、あれ、あれ」
「ごめん南、せめて主語言って頼むから」
流石に僕はあれって言ってわかるような人間じゃないよ。
「いや、あのアキノ」
あ、そのことか、多分何であの恰好してるかってことだよね。
「あー、客寄せ用だってさ。結構可愛いよねー」
「あ、うん………」
南がうつむいてぶつぶつ言っている。どうしたのさ、それを僕が聞こうとする前に他のところから声がした。
「あ、島田くぅん!」
「お、夢路も着替えてるのか」
夢路さんはピンクに白の刺繍だ。夢路さんは南に向かって言った。
「召喚大会の一回戦、始まるわよぉ」
「あれ、南って召喚大会出るの?」
「は? そんなわけないだろ」
だよね? 南が出るっていうなら僕か秀吉に声かけるだろうし。
「え、でもぉ 対戦表に名前あるわよぉ?」
「え、は?」
「……ほんと………はい?」
僕の名前がある気がするんだけど……なんでさ。
「アキヒサも出るのか?」
「出るわけあるかぁぁぁ。シフトあるのに?!」
「これ、運営の手違いじゃないのか?」
名前欄を見直してさらに驚いた。僕のペア悠里さんじゃないか。
「だよね。シフトがヤバいよ。悠里さんと僕が抜けるとか……厨房はどうにかなるとしても接客が………」
「行きましょう。一回戦、もうすぐよぉ」
夢路さんが南の腕を掴んで引きずっていった。何だろうドナドナが流れてきた気が……
「え、ちょ アキヒサ助けて!!」
「…………どうしろと」
☆
とりあえず悠里さんに確認を取りに行く。悠里さんがやるとは思えないけど一応ね。
「は? 試験召喚大会? 何でよ」
やっぱりその反応だよね。ちなみに悠里さんは赤色の布地に暖色系の刺繍のチャイナ服(露出は控えめ)だ。普段は上げている前髪を下したり、後ろ髪を結ったり色々と新鮮だね。
「だよね。勝手にエントリーされてるんだけど」
「本当?」
悠里さんが本気でびっくりする。僕も正直驚いた。悠里さんとコンビなのは姉さんだし。
「うん、それに僕と悠里さんとか異色すぎでしょ」
「はぁ……あ」
対戦表から目を離さずに悠里さんは言い出した。
「明久、悪いんだけどちょっと付き合ってくれる?」
「はい?!」
いきなり何を言い出すのかな?! FFF団に目を付けられそうな台詞言わないでよ?! 何か背後が怖くなってるよ。処刑とかぶつぶつ聞こえるし。そんな背後の様子なんて悠里さんが気が付くわけもなく、真剣な表情で言った。
「……決着をつけたいのよ」
「あ、霧島さんも出るんだ」
名前表を確認してみたら霧島さんも出てた。
「うん、あたしのわがままかもしれないけどいい?」
「別にかまわないよ。悠里さんがわがままとか珍しい気がするし」
「………ありがとう」
「じゃあ、今回はよろしく」
「ええ」
僕らはハイタッチをして会場へと向かった。
☆
「えー。それでは、召喚大会一回戦を始めます」
僕らは校庭に作られた特設ステージにたどり着いた。ここで召喚大会が催されるんだけど、広いなぁココ
「三回戦までは一般公開もありませんので、リラックスして全力を出してください」
今回立会いを務めるのは数学の木内先生。当然、勝負科目は数学となるわけでして
「頑張ろうね、律子」
「うん」
対戦相手の女子二人がうなずき会う。微笑ましい光景だね。
「「
相手の二人が喚び声をあげると、お馴染みの魔法円が足元に現れて召喚者の姿をデフォルメした形態を持つ試験召喚獣が喚び出された
数学
Bクラス 岩下 律子 179点 &菊入 真由美 163点
「あー、やっぱBクラスだし高いね」
「そうね」
「「
魔法円から現れる僕らの召喚獣
僕の召喚獣は赤のロングコートに黒のインナーとズボンにブーツと前回とは全く違った装いだ。ぶっちゃけて言うけど令呪の影響でカラーリングも変わってるんだよね。肌の色は普通なんだけど髪が白くなった。ついでに言うなら目は金色に近くなった。うん、見事にアーチャーです。ちなみに姉さんは青を基調としたカラーリングに槍を持ってた。
悠里さんの召喚獣は……
「何よ?」
「……スケバンか何か?」
「……はい?」
髪の毛は前髪が下してあって服装はちょっとボロっとしたセーラー服だ。おまけに装備がグローブなんだけど。
「(スケバンは違うわよ)」
「(あ、うん そっか、ごめんなさい)」
「何を話してるのか知らないけど、行くわよ。Fクラスコンビ」
「そうよ、Fクラスなんだし楽に倒せるわ」
Fクラス
数学 衛宮 明久 184点 &坂本 悠里 473点
「な、なんなのよ その点数!」
「悠里さん、寝てた?」
悠里さんの点数が意外と低い、姉さんが言うには数学は500点以上行くって話なのに。
いや、でも意外と真面目な悠里さんがそんなことするわけ……
「ええ、眠くて死にそうだったから適当に解いて寝たわ」
「嘘でしょ……」
遅れて僕らの点数が表示される。やっぱりびびるよね。まさか「あの」Fクラスの代表がこの点数って言うのはね・・・・でもさ
「確かに僕らはFクラスだけど、Bクラスにも勝ったんだよ。戦後対談だってしたのに」
「「あ」」
二人が顔を見合わせた。忘れないでよ
「では、始め!」
「うっ、そうだったとしてもあたし達のコンビネーションには追いつけないわよ 律子!」
「真由美!」
「「行くわよ!」」
向こうの二人は名前を呼び合って頷き、僕らを挟みこむように移動してきた
「へぇ~、なかなか息が合っているね」
「そうみたいね。とりあえず後ろは頼んだわ」
悠里さんの召喚獣が構える。僕は召喚獣をその間に移動させた。気がつかれないかって? 僕、気配消すの意外と得意なんだよね。
「ちょっと卑怯ですが」
「悪いわね」
「「はぁっ!」」
「今よ!!」
悠里さんの召喚獣が上手く相手をかわして、相手の召喚獣同士がぶつかり合う
「ええっ」
「うそぉ」
「隙あり!!」
僕の召喚獣の矢がぶつかり合ったことで操作できなくなっている二人の召喚獣を貫いた。
「勝者、衛宮・坂本ペア」
木内先生は勝者の名を告げた。とりあえず一回戦は突破することに成功、ちょっと卑怯な気もするけどまあいいか。
暗躍者が居るようだ?
召喚大会に出る意味がなくなったはずだったのに何故か巻き込まれたのでした。
恒例?閑話休題アンケート
『明久が実験で試薬を混ぜようとしています。どっちを混ぜる?
試薬A
試薬B
』