バカと冬木市と召喚戦争   作:亜莉守

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第五問

 

帰る道すがら気になっていたことを尋ねた。

 

「それにしても悠里さん強いね。ケンカ慣れしてるの?」

「ん? まあね。少なくともケンカしたことないとは言い切れないくらいかしら」

「そっか」

 

教室まで戻ってみれば、担架に乗せられて運ばれていくモヒカン頭の上級生と坊主頭の上級生が入り口を通ろうとしていたところだった。

 

「「……え?」」

 

なにがあったの?!

 

                   ☆

 

営業妨害しているのは2人。いずれも男だ。1人は一般的な体格と小さなモヒカンという非一般的な髪型をしている。もう1人は普通の体格で、こちらは丸坊主だ。二人とも三年生だな。ウチの学校のモラルってどうなってるんだよ。

 

「なんだ!?このまずい料理は」

「こんなものを出すなんて信じられねぇよ」

 

とクレームをつけていた。いい加減にしてくれよ。

 

「……どうするんだ? 須川」

「しょうがないか、衛宮が作ってた最終兵器を出す羽目になるとはな」

「最終兵器?」

「まあ、俺に任せておけ」

 

衛宮からレシピは聞いている。これなら俺でも再現することが可能だ。

 

「まったくここの責任者は誰いないのか!ここの責任者を出せ!!」

 

モヒカンが何かわめいているが俺には関係がない。しれっとした顔で用意した品を出す。

 

「お客様方、お待たせしました。麻婆豆腐です」

「は? 俺らはそんなものたの……なっ」

「これを食してからお帰りください」

 

うん、よし。完璧だ。泰山流迷惑クレーマーの追い出し方、(気絶して)お帰りください。

ちなみにこれは泰山では暗黙の了解なので逆らう奴には常連のきつい仕置きが待っている。まあ、麻婆がそれ用とかってわけじゃないことの方が問題だと俺は思うがな。

坊主もモヒカンもこんな物食えるか! と言おうとしたが泰山常連の殺気に押される。これは連中が(気絶して)去るのも時間の問題だな。

 

「よし、他のメニュー作るか」

 

そうこうしている内に連中が倒れる音がした。成功だな。

 

                    ☆

 

厨房に戻ってしばらくして、ちょっとお客さんが減った(全員で接客しなくても大丈夫な程度って分で)のでだべりに来た悠里さんと調理をしながら話す。

 

「……あれはさ、もう……兵器だよね」

「うん、正直そう思ったわ。麻婆豆腐恐るべしね」

 

須川君から事情を聞いた僕は戦慄した。泰山って料理美味しいけど、そんな暗黙の了解があったなんて驚いたよ。うん、泰山では騒がないようにしよう。

 

「ところでだが代表たちは一回戦勝ち抜いたのか?」

「ええ、これくらい余裕よ」

「まあね。目標が目標だし勝ち抜く必要があるからさ」

 

悠里さんはそこでまた接客に戻ってしまった。

僕らは商品目当てとかじゃなくって霧島さんと戦うだもんなぁ。霧島さんは強いんだし多分準決勝くらいまで勝たないと戦えないはず。僕の発言を聞いてから少し考える様子だった須川君が急に言い出した。

 

「へぇ、誰と行くつもりだ?」

「はい?」

 

どこに?

 

「いや、目標って遊園地のチケットだろ」

「ううん、全然別だけど。てか遊園地のチケットって何?」

 

確か優勝商品って召喚獣を強化できる特別なアイテムだったはず。

 

「え、知らないのかよ。副賞が今度出来る遊園地のペアチケットなんだよ」

「えー、ペアなの?」

 

僕の不満げな様子に須川君は驚いたようで、鍋を振る手が少しだけ止まる。

 

「何だよペアで不満なのか?」

「いや、できれば家族用のチケットがよかったなぁと」

「家族用?」

 

須川君が首を傾げる。こういうのの商品で家族用って多分ないよね。

 

「うん、僕さ 親のすね齧って生きてるし家族孝行とか全然できてないからさ」

 

一人暮らしさせてもらってるし、色々わがまま聞いてもらってるなぁ。ホント

しばらくポカンとしてた須川君が唐突に言った。

 

「衛宮って凄いんだな」

「え? なんでさ」

 

凄いって?

 

「何ていうかさ、眩しいよな」

「へ?」

 

いや、何で? 首を傾げている間に須川君はさらに続ける。

 

「俺は絶対にそんなこと考えられないな。俺だったら家族に何かするっていうのよりも自分が幸せになるってことを考える。例えばさっきのペアチケットだったら彼女誘って二人でデートとか考えるな。まあ、彼女が居ないわけだが」

 

え、いやいやいや。

 

「そう? それでいいと思うけどね。僕だって普通に彼女とか欲しいなぁって思うよ。でも僕みたいなダメ人間、好きになってくれる人なんて居ないと思う。だから大切にしてくれる家族のために頑張りたいって思うわけだし」

 

それくらいでしか自分の価値がないっていうかさ、そんなことを内心考えたけど口には出さないでおくことにした。

 

「衛宮は全然ダメ人間なんかじゃないさ。俺なんかよりは絶対にいい奴だと思うぜ?」

「そんなことないさ。須川君だって十分に好物件だと思うけどねぇ。まあ、嫉妬深い所とかどうにかしないとダメだろうけど」

 

料理できて、話すと面白くて、顔はそこそこ? 普通に彼女いてもいいんじゃない?

 

「む、確かにそうかもな。だけ「そんな感じで暴走しているから彼女出来ないんじゃないの? Fクラス男子は凶暴だって印象を持たれているから女の子よってこないんだろうし」

 

最後の方は茶化すように言ったつもりだったんだけど須川君は真面目になんか考え始めた。どうしたんだろう?





須川君がかっこよくたっていいじゃないか。
うん、とりあえず今回はそんなノリです。須川君ってまともだったらそれなりにモテるって信じてる。


閑話休題アンケート
『明久が実験で試薬を混ぜようとしています。どっちを混ぜる?

 試薬A 二票

 試薬B

                              』
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