バカと冬木市と召喚戦争   作:亜莉守

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第八問

教室に戻ってみれば、ランサーさんが悠里を口説いていた。思わず怒鳴りこもうとするけど、待て待てと冷静になる。そのままカウンター(料理の受け渡し所)に向かい、カウンター越しにこう告げた。

 

「………須川君」

「な、何だ。言峰」

 

ぼくの様子にびくっとなる須川君、まあどうでもいいけど。

 

「アレある?」

「お、おう」

 

最終兵器のご登場ですよ。それをお盆に乗せたままスタスタとランサーさんたちの席へと向かう。

 

「お客様」

「お、嬢ちゃんじゃねーか」

 

声をかけたらようやくぼくの存在に気が付いたらしく、声をかけてきた。それを無視して話を進める。

 

「ご注文の品をお持ちしました」

「? 俺なんか頼んだか?」

 

コトリとテーブルの上にソレを乗せた。

 

「……?!」

 

ランサーさんの顔が驚愕に染まる。うん、やったね。

 

「麻婆豆腐です。お召し上がりになってからお帰りください」

「お、おい嬢ちゃん?!」

 

止めようとするランサーさんに念話で語りかけた。

 

「(人の親友を口説くなよ。この狗が)」

「(誰が狗だ?!)」

 

えー、あんた親父によく犬って言われてるじゃん。そう思ったら実は傍に居た親父が声をかけてきた。

 

「おい、ウェイトレス」

「何でしょうか、()()()?」

 

思わず厭味ったらしくなるけど親父は気にしないらしくそのまま続ける。

 

「これと同じものを用意してもらいたい」

「はぁ、承知しました。金額は400円かかりますがよろしいでしょうか?」

「構わないさ」

 

カウンターに戻る。ちょっと疲れた気がするけどまあ、頑張ろう。

 

「はぁ、麻婆追加」

「ええええ?!」

 

須川君の驚きももっともだよね。

 

                   ☆

 

今僕らは文化祭の校内を歩き回っていた。

 

「それにしても何か裏で色々起こってる気がしてならないのは気のせいかな」

「さあな、しかしいいのか? 私たちを案内して」

「大丈夫だよ。召喚大会はもう明日だし、シフトについては普通に今空いてる時間だからさ」

 

うん、どうにかシフトを組み直して作り上げた休みだもの、家族と一緒に過ごしてもいいじゃないか。

 

「ならいいけど、兄さん無茶してないか?」

「大丈夫 大丈夫」

「あ」

 

じーさんが一つの店の看板の前で立ち止まった。

 

「じーさん行きたいの?」

「あ、いや そういうわけじゃないんだけどね」

「いいよ。行こうよ 考えてみれば僕、お昼食べ逃してるし」

 

気が付いたら麻婆とか家族が来たとかで食べてない。ちょっとお腹が鳴りそうなのもしょうがない。

 

「え、そうだったのか?」

「そうだったの?」

「まあ、別に食べなくてもいいし」

 

そこへ主夫のツッコミが入った。

 

「いや、そこはしっかり食べたまえ」

「え?」

「「え?」」

 

いや、なんでさ。

 

「気を取り直して行こうか」

「はぁ」

 

誤魔化しているのがバレバレだったみたいで、念話で「説教だ」と来た。解せぬ。

 

「あー、うん。そうだな」

「本当にいいの? 明久の行きたいところに行っていいんだよ?」

「ううん、じーさん行きたいんでしょ? だったらそれでいいよ」

 

こうして僕らは2-Aクラス「和風茶房 鶴屋」ののれんをくぐった。

 

                   ☆

 

入って最初にウェイトレスの人が来た。

 

「いらっしゃいませー……って、あ」

「あ、佐藤さん」

 

この前の試召戦争で対戦した佐藤さんだ。僕の発言に士郎が首を傾げる。

 

「兄さん知り合い?」

「っと、とりあえず何名様ですか?」

「えっと、5人です」

「かしこまりました」

 

すぐに席へと案内された。

 

「それにしても結構いい設備だね」

「うん、ちょっと前まで悲惨だったよ」

 

畳腐ってるし、クモの巣張るし、座布団紙だし、ちゃぶ台にいたっては折れてるのすらあった。それから比べたら本当に格段にいい設備になってるよここ。教室中の物が新品だし、いい匂いもする。

 

「は?」

「まあ、色々とね。ところでだけどアイリさんとセイバーは? それに舞弥さん」

 

じーさんのことだし普通に連れてくるって思ったのに。

 

「ああ、舞弥はちょっと予定が重なってね。セイバーとアイリは別行動なんだ」

「え、大丈夫なの それ?」

「ん? どういう意味だい?」

「ナンパとか」

 

アイリさんもセイバーも美人だし可愛いし、言い寄ってくる男多そうだよね。

 

「うーん、正直セイバーが一緒に居るから大丈夫かなって」

「そっか、ところで何食べるか決めた?」

 

僕が話を振ってなんだけど話題を変えるためにみんなに注文を聞いた。

 

「アタシ、豆大福食べたい!」

「俺は団子でいいや」

「私は特に「いいから いいから」……では蓬餅を貰おう」

「じーさんは?」

「あー。僕はお汁粉かな」

「了解、すみません。注文お願いできますか?」

 

そこに佐藤さんがやってきた。妙に縁があるなぁ。

 

「注文をどうぞ」

「豆大福と三色団子に蓬餅、それからお汁粉と葛餅全部一品ずつ、後お茶全員分で」

「かしこまりました」

 

それからちょっと雑談をしていると佐藤さんがお茶を持って来てくれた。

 

「先にお茶をお持ちしました」

「あ、どうも」

 

あ、美味しい。ちらっと見てみればアーチャーもちょっと唸ってる。この味再現できるように頑張ろう。

そこにうるさい声が入ってきた。

 

「?」

 

モヒカンと坊主頭の先輩が中央の席に胡坐をかいて座る。何か妙に行儀悪いなぁ。そう思ってたらその先輩たちは大声で話し始めた。

 

『それにしても、この喫茶店は落ち着いてて良いな!』

『そうだな。さっき行った2-Fの中華喫茶は酷かったからな!』

『だよな。あんな殺人料理を出すなんて普通じゃねーよ』

 

うわぁ、こいつらが噂の元凶なんだ。いい加減にしてよ。一応あれって泰山的には暗黙の了解だし、普通に提供してる麻婆豆腐なんだけど。

 

「……あれ、営業妨害だってわからないのかな」

「殺人料理と言うのは何のことかね」

 

アーチャーが尋ねてきた。それなら一言で答えよう。

 

「いやだなぁ。地元民ならだれでも知ってる中華食堂のアレだよ」

「「あれか」」

 

士郎とアーチャーが同時に言った。何だかんだで息合ってるよね二人とも、じーさんとイリア姉はわからないらしくて首を傾げていた。

 

「それって何のことだい?」

「じーさんは普通に食せるタイプの人間だから分からないよ」

「「?!」」

 

その時士郎とアーチャーに衝撃が走った。

ふと、連中に目を戻せば佐藤さんがお茶を持って行っていた。

 

『お客様方、お茶をお持ちしました』

『お、気が利くじゃねーか』

『ありがとよ』

 

二人がお茶を飲む……そして、

 

『ぶっ、に、にが』

『おい、ウェイトレス どうなってやがる?!』

 

そのお茶はとてつもなく苦かったらしい、モヒカンの方が掴みかかろうとするけど周囲の目線を気にして止めた。

佐藤さんは後姿からも確認できるくらいに真っ黒なオーラの背負って言った。

 

『それ飲んでとっととお帰りください』

 

多分、浮かべているであろう笑顔は某神父にも勝るとも劣らないほど怖いんだろうなぁって想像がついた。

 

「……すご」

 

佐藤さんってああいうことできるタイプの人間なんだ。

 

「いや、あれはいいのか?」

「まあ、それより先にどうにかなりそうだけど」

「そうだね」

 

あ、鉄人来た。相変わらずの筋力ですね。ハゲとモヒカンを担いで何処かへと消えた。

 

「誰だあれ」

「ウチの生活指導教員」

 

みんな驚いた顔をする。まあ、そうだよね。あの人の場合は体育教師の方が似合うって思うし。

その後、ハゲとモヒカンを見た者はいなかった。

 





坊主先輩とモヒカン先輩はこれにて退場です。ファンの人いたらごめんなさい
佐藤さんには無限の可能性があるんだ。須川君みたいに外見が安定しているわけでもないし、これと言って本編に絡んでないからこそのもう(ry


……無駄にあらぶりました。すみません


閑話休題アンケート
『明久が実験で試薬を混ぜようとしています。どっちを混ぜる?

 試薬A 四票

 試薬B 一票

                              』
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