※ぶっちゃけていいますが、今回好む人と好まない人を分けるような表現が多々ありますので注意。個人的には俺得(`・ω・´)
第一問
一人暮らしをしているマンションの自分の工房で僕は実験をしていた。
「とあるこーふく論者が呪った明日、現実主義者はつまんない」
軽く歌いながら、薬品を混ぜていく。何らかの効果が得られることは確認済みだから余計にすいすい進むや。
「たーなっぷ、たーなっぷ 意味ふめー言語
たーなっぷ、たーなっぷ、音信ふつーしんき
たーなっぷ、たーなっぷ 価値のない日々を
もっと楽しませて?」
割とノリノリで作業は進む。えっと、試薬のAを混ぜてっと。
「よし、完成!」
出来上がったフラスコを持ったまま万歳すれば、手からうっかり飛び出たフラスコが宙を舞う。
「あ」
「マスター今日の昼しょ」
ちょっと唖然としていると、ちょうどよくドアを開けたアーチャーに宙を舞ったフラスコがピンポイントで激突した。アーチャーに試薬がざばっと掛かった。ああ、3万が……ってそこじゃない!
「アーチャー?!」
ボムっと音がして、いきなり煙が立ち込める。
「けほ、けほ アーチャー?! どこ?」
慌てて窓を全開にして、煙を追い出し、アーチャーを探すけど見つからない。ふいに足下でにゃーと声がした。恐る恐る見てみれば白い毛並みに灰色の目の猫が居た。それをみて思わず呟く。
「……なんでさ」
☆
とりあえず、逃げることもせずに大人しい猫を抱き上げ、一応安全地帯であるリビングに向かう。テーブルには出来立ての料理が並んでいた。あれだよね、お昼作ってくれてたんだよね。ごめんね、アーチャー。ソファーに座って猫を膝に乗せる。物凄く大人しいけど大丈夫かな?
「どうすればいいのさ、猫飼ったことないよ……ってそこじゃないか」
この綺麗な白い毛並みの猫は僕のサーヴァントであり、頼れる主夫、アーチャーなんだ。大体あんなカミカミの召喚呪文で召喚されてくれたとてつもないお人好しで、別世界の弟、さらにはたまに日常生活破綻しかかる僕の健康管理までやってくれている。うん、今僕、物凄く申し訳ない気分になってるんだけど。
「かわいいにはかわいいけど、どうしたものか。アーチャー、僕のことわかる?」
記憶があるなら少しは上手くいくかなって思ったけど、現実は甘くない。アーチャーは首を傾げた。言葉は理解してるっぽいけど、やっぱりそうだよね。
「ですよねー。はぁ、てか明日から普通に学校じゃないか昼間どうしよう……そうだ」
☆
次の日の朝、割と早くに僕は実家へときていた。
「ただいまー」
「あれ、明久どうしたんだい?」
じーさんが出てくる。早起きしてるなんて珍しいな。
「実はさ、知り合いから猫預かることになってちょっと昼の間だけでいいから面倒見てもらえないかな?」
「まあ、いいけど。猫は?」
「え? ああ、おーいこっち」
アーチャーがこちらへとやってきた。驚いたことにアーチャーは記憶が無くても物凄く賢かった。割と言ったことは理解してるし、飲み込みも早い。僕が呼べばすぐに来てくれた。ちょっとしゃがんでアーチャーを抱き上げて、じーさんへと渡す。じーさんはおっかなびっくりだけどちゃんと持ってくれた。
「ずいぶんと賢い猫なんだね」
「じーさんそんなわけでちょっとの間よろしくね」
「あ、うん。いってらっしゃい」
さて、学校行かないとねー。とか思ってふと気が付いた。もしかして、アーチャーわざとやってるとか?
☆
「まあ、しばらくよろしね。猫さん」
爺さんが私を撫でる。まあ、気分は悪くない。そんなわけでマスターの試薬をもろにかぶった私は何故か猫になっていた。マスターは心底反省しているようなのでまあ、いいだろう。私は爺さんに抱き上げられたまま、廊下を進む。下してくれても構わないのだが……
「あら、キリツグ 何を抱えているの?」
爺さんの細君であるアイリスフィールがこちらへとやってきた。
「ああ、明久が知り合いから預かった猫だよ。昼間は面倒見れないから見てほしいそうだ」
「そうなの。かわいいわね」
頭をそっと撫でられた。精神としては何ともないのだが、猫の体は反応するらしくゴロゴロと音を立てる。
「おはようございます。切嗣、アイリスフィール」
そこへセイバーがやってきた。『正史』と呼ばれる世界では絶対にありえなかった光景がここにある。
「ああ、おはようセイバー」
「おはようセイバー、見て見て」
「これは……」
セイバーは私の姿を視て目を丸くした。
「アキヒサが預かったんですって、可愛いでしょう」
「……はい、しかしこの猫からは僅かながら魔力を感じます。使い魔か何かでしょうか?」
おや、と思う。我がマスターは驚くほどに魔術礼装の製作に長けていた。本人のセンスは少々疑うものがあるが、それを抜きにしても至高の一品と言える。猫となった私の魔力を抑えるためにマスターは首輪を作ってくれた。大体の魔術師には私が只の猫に認識されるはずだ。
「なるほど、でもセイバーよく気が付いたね。僕は何も感じなかったけど」
「そうですか。ですが、魔力の残滓のようなものがあるのは確かだと思うのですが」
多分これは彼女が英霊だからこそなのだろう。そう結論付けることにした。
「そっか、まあ、かなり賢い猫だしね。使い魔って可能性もあるね」
そこへドタバタとうるさい足音が響いた。見ればあの未熟者が大慌てで制服を着ながら玄関へと向かうところだった。
「爺さん、アイリさん、セイバー、おはよう! 悪いんだけど朝ごはん作っておいたから俺抜きで食べてて」
「シロウはいいのですか?」
私がアレであった頃は朝食を抜きにして学校へ向かうことなどなかったと漠然と思い出した。さらに未熟者が驚く単語を言った。
「今日、部活の朝練なんだよ。いってきます!!」
そう言って奴は飛び出していった。部活動、その単語だけで心底驚いたと同時にここは私の知っている歴史をたどっていないのだと納得できた。
「いってらっしゃい」
「いってらっしゃいね」
「そうですか、気を付けて」
何故だか、もうそろそろ気が付いてほしくなってにゃーと鳴いてみる。すると三人の目線がこちらへと戻った。
「んー? どうかしたかい」
「お腹減ってるのかしら?」
別にそういうわけではないのだが、それを表現するために首を横に振る。するとアイリスフィールが驚いた顔をした。
「あら、そうなの」
「随分と賢い猫ですね」
「そうね」
☆
それからしばらく、猫の体ではすることも何もない。部屋を移動してみたりもしたのだが、落ち着かなくなってきて縁側へと向かった。
「ん? どうしたんだい。膝にのる?」
爺さんが笑う。いや、それは少し……と思っていると、足音が一つ聞こえた。
「あれ? 何で猫がいるの」
イリヤスフィールだ。そういえば、マスターは何故彼女をイリアと呼んでいたのだろうか?
「明久が知り合いから預かったらしいんだ。乱暴しちゃダメだよ」
「もちろんできるわよ」
世界は変わってもイリヤはイリヤらしい。そう考えていると、彼女の手が私の頭にそっと乗せられた。
「ふわふわだ」
そのままそっと撫でられる。アイリスフィールに少し似た手つきだ。思わず目を細める。
「気持ちいいんだ」
その日は只、穏やかに過ぎて行った。
えー、そんなわけで試薬Aの効果は獣化でした。ストーリープロットは「明久がうっかりぶん投げてアーチャーに激突」からスタート。
ちなみにBは性別転換でした。ストーリープロットは「明久がうっかり自分に試薬をかけてしまい、女体化」からのスタートでした。
明久の約束されし幸運A++は仕事をしまくった(`・ω・´)
そのかわりにアーチャーが不憫になるかなって思ったら、そうでもなかった。幸運Aェ
これが言峰家で行われると絶賛不憫になるので自重した。考えただけで不憫とか悪運EXェ
そんなわけで罪悪感MAXの明久と猫アーチャーの温度差半端ない日常編スタート