バカと冬木市と召喚戦争   作:亜莉守

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第四問

 

明久が一旦実家に帰ってから二日後、元Aクラス、現Fクラスの教室、衛宮明久が少しふらふらしながらノートに書き込んでいた。見かねた秀吉が声をかける。

 

「む? 明久よ」

「んー」

 

眠そうな目を擦る明久、そしてまだノートを書き続ける。

 

「いや、大丈夫かの」

「大丈夫だよ。うん、だいじょぶ」

 

うわごとのように繰り返しながら明久は作業を進める。

 

「いや、ホントに大丈夫かよ」

「じゃのう、あのような明久は久方ぶりじゃしの」

「どうした?」

 

日暮が声をかけた。明久を気にかけてほしいと頼まれたのも一つの理由だろう。

 

「よ、日暮 今日のアキヒサが妙だって話」

「妙?」

「なんか凄い疲れてるみたいなんだよな」

「そうか、そういえばだがあいつって何処に住んでるんだ?」

 

日暮がいきなり話題を変えた。

 

「ん? 何じゃ、気になるのか?」

「あー、ちょっとな」

「確か、××ってマンションの4階だったはず」

「へぇ、意外と金持ちなんだな」

 

××マンションって結構値が張ったはずだよなーとか日暮広夢は考えた。実はそのマンションは明久の知り合いの持ちマンションで割と安値で暮らしているのだが、その事実を知るわけがない。

 

                    ☆

 

それから放課後、日暮は一人で呟きながら歩いていた。

 

「何で俺はこんなことをやってんだろうな」

 

明久のマンションに向かおうとしているのだ。この前や今日の様子が気になるらしい。

 

「はぁ、なーんか気になるんだよな。アイツみたいに無茶とか無謀とかしそうっていうか」

 

日暮の脳裏に無茶ばかりしていた何処かの青年の姿がよぎった。いやいや思い出すなと頭を振って、ふと横を見ればスーパーだった。

 

「あ、何か買ってくか」

 

店内に入って、籠を取る。それから適当に見渡して青果コーナーを見つけた。

 

「うん、果物とかいいよな」

 

そう呟きながら青果コーナーをちらっと見た日暮は踵を返す。

 

「やっぱ生は高いよな」

 

手持ち的に間に合うか不安だったらしい。ふと見れば缶詰コーナーがあった。その棚を興味深げに見てまわる。

 

「へぇ、缶詰ってこんなのまであるのか」

 

感心しつつ、適当に取ったフルーツ缶とおかず缶×3を手に取りレジへと向かう。そして、スーパーを出た後に気が付いた。

 

「……しまった。買い過ぎた?」

 

後悔先に立たず。まあ、缶詰だからいいかと気を取り直してマンションへと向かった。

 

「へぇ、こんなマンション住んでるのかよ。いいねぇブルジョアは」

 

暗証番号が要るのだが何故か入力することも無く扉が開いた。

 

「えっと。4階か」

 

エレベーターに乗って四階へと向かう。四階についてから気が付いた。

 

「あ、しまった。何号室か聞くの忘れた」

 

そこににゃーと声がした。

 

「ん、猫?」

 

気になって見に行けば、六つほど奥の扉の前で白い猫が鳴いていた。しきりに扉をカリカリやっている。

 

「……どうした?」

 

日暮の姿を見つけたらしい猫はぺしぺしと扉を叩き始めた。

 

「必死だな。どれどれ……え?」

 

名前のところを見れば見覚えのある衛宮の文字、慌ててドアを引っ張った。

 

「開かない」

 

チャイムを鳴らしてみるが、出ない。

 

「ちょ、どういうことだよ。衛宮! 衛宮!!」

 

ドアを思いっきり叩くがそれでも出てくる気配がない。

 

「出ないし……魔術師(ウィザード)舐めんなよ」

 

日暮は自分の持っていた端末を弄り始めた。少しすると、電子ロックの扉はがちゃっと音を立てて開いた。思いっきり扉を開ける。

 

「おい、衛宮!?」

 

そこには床に倒れている明久の姿があった。

 

                    ☆

 

目が覚めた。お腹に何かずしりと乗っている気がする。違和感の中、目を開けると。

 

「よー、大丈夫か?」

「え、日暮さん?!」

 

驚いて起き上がろうとするけどそれに日暮さんが待ったをかける。

 

「おっと、起きるなよ。そいつ起こしちまうぜ?」

 

僕のお腹辺りでにゃーと声がした。アーチャーだ。

 

「う」

 

日暮さんがそんな僕の様子にちょっと笑ってから呆れたような表情をした。

 

「はぁ、寝不足でぶっ倒れるとか何やってんだよ」

「あーぅー」

 

言い訳しようにも何も言えない。

 

「はいはい、とりあえずどうしたんだよ。何か無駄に荒れてるっていうか、乱雑としているっていうか」

 

そういえば、掃除まともにしてない気が。

 

「あははは、まあね」

 

さて、誤魔化しながらどう説明すればいいのやら。

 

                    ☆

 

とりあえず、こいつから話を聞いた俺が真っ先に告げたい言葉があった。

 

「ばっかじゃねーの!?」

「そんなわけないよ」

 

知り合いに間違って自分が飲むはずだった薬ぶっかけて、そいつの服の汚れを落とすために四徹(まあ、実際はそうじゃないらしいが)するとかバカだ。バカの極みだ。てか、一応それで納得したふりしておいたけどこいつ嘘つくのすげぇ下手だ。

そして、真顔でそう言ってくるこいつに少し戦慄を覚えた。罪悪感オンリーでここまでやれる人間が居たら驚きにもなるわ。ふと、あいつの背中を思い出したが今は地味に関係あるが引っ込んでいろって言いたくなった。

 

「はぁ、そういうことかよ。こいつまともそうに見えて地味に拗らせてるじゃねーか、つか歪んでる。あいつよかマシだけど歪んでるし」

「?」

 

まだ人間らしいといえばらしいけど、地味色々とおかしい。はぁーあ、何で俺は破綻者と縁があるのやら。

 

「はぁ、俺も手伝う。神秘の秘匿とか言うなよ俺はれっきとした魔術師(ウィザード)だ」

「ウィザード? メイガスじゃなくて」

 

やっぱりこいつはメイガスか。

 

「まあな。最近開発された魔術回路に頼らない新たな魔術だ。それでも素質は必要だけどな」

「え、何それ 全然知らないや」

 

ま、最近出てきたばっかりだからな。ウィザード知っているメイガスがどこまで居ることやら。

 

「じゃあ、同等交換と行こうぜ? 俺はメイガスの知識を得る、お前はウィザードの知識を得る。これでどうだ?」

「……乗った!」

 

思いっきり起き上がって猫から苦情の鳴き声が聞こえたがそれも気にならないほどに俺の提案は食いつきたくなる話だったらしい。

 

「オーケー、それじゃあ始めようぜ」

 

ついでにこいつの歪み矯正できねーかなーとか思った。

ちなみにおかず缶とフルーツ缶は見事に俺らの胃に収まった。

 





微妙に歪んでるのがバレた明久とどうやってマンションに潜入したのかは不明な猫アーチャーと巻き添えを食らったお人好しのウィザード日暮の日常話

日暮の名前、うっかり忘れかかってたんだぜ。

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