トンネルを抜けたらそこは田舎の風景でした。そんなわけでぼくらは卯月高原まで移動中です。もう、面倒なので全員バラバラで行くことになって、ぼくら仲のいい女子メンバーで電車旅行しようって話になった。ちなみに彩夏は強制参加させた。ボックス席を一つ占領して、ぼくと彩夏が隣同士で前には悠里、斜め前には神海の席順だ。彩夏はぐっすり眠っている。窓側の悠里が窓の外を見て言う。
「電車なんて久しぶりね」
「だねー。移動は基本徒歩だからなぁ」
それ以外の移動手段ってあんまり使わないしと言えば、
「「(……)え?」」
二人が一斉にこっちへ向いた。何で?!
「え、だって普通でしょ? ウチの親父、四つ隣の町なら徒歩で一時間以内で着けるよ。ぼくは流石に無理だけど」
「「?!」」
二人がさらに驚いた表情をした。でもこれくらいは余裕でやってるんだけど。
「あんたの父親はター○ネー○ー?」
「あ、それ合ってる気がする」
シュワちゃんのあの映画見てウチの親父の身体能力はこれ並だって思った。ちなみにこの前ランサーさんに見せたら同意してくれた。
「……本当?」
「うん」
「凄いわね」
この話をきっかけに映画談議に発展するとは思わなかったよ。
☆
僕らは今回、バス旅行ってことになった。姉さんたちに電車で行かないかとか誘われたんだけど、たまには男だけでもいいかなって思って日向君も誘ってみたんだよね。何故か広夢も釣れたけど。とあるローカル線の僕ら以外が居ないバスの車内でわいわいとやっていたんだけど南が何か読んでいるのを見つけた。
「あれ、南 何読んでるの?」
「んー、百均の心理テストの本、読み仮名ついてるし読みやすいかなって思って」
「へぇ」
日本語の勉強渋ってたのにやる気になったんだ。
「面白そうじゃのう」
「じゃあ何かだしてくれ」
秀吉と日向君も乗り気みたいだ。ちなみに広夢は寝てる。
「あー、じゃあ『次の色でイメージする異性を挙げてください。緑、オレンジ、青、赤』」
「うーんと」
「えっと……って何ニヤついてるの?」
考えていると南の視線がちょっと気になった。南をジト目で見れば。
「なんでも?」
さらっと返される。
「俺からでいいか? 緑はBBとリップとメルトとエリザ、オレンジはサクラ、青は特にいないな 赤はネロだな」
「はぁ、じゃあ 緑は舞弥さん、オレンジは姉さんと悠里さん、青は広夢、赤は凛だね」
舞弥さんは普段着てる服のイメージ、姉さんと悠里さんは明るい感じとかその辺、広夢は青のジャージ着てたのと直感的に青だから、赤が凛なのは……何となく?
「え、何で日暮が異性に入ってるんだ?」
「は? 広夢って女の子でしょ?」
僕の発言に南と秀吉が目を丸くする。そこにタイミングよく広夢が起きてきた。
「くぁぁぁ、腹減った。どした?」
広夢はちょっと寝ぼけながらじっと見てくる秀吉と南に首を傾げた。
「日暮よ。お主、おなごなのかの?」
「あれ、言ってなかったか?」
「「えええええ?!」」
バスの車内に二人の驚きの声が響いた。
「むしろ気が付いた衛宮が凄い」
「え、なんで?」
こんなの見ればすぐにわかるじゃないか。なのに、なんでさ。
☆
バスのアナウンスがとある場所の名前を告げた。あ、
「ごめん、ここで降りる」
「ん、了解」
「遅れるでないぞ」
二人が釘を刺してきた。わかってるよ。日向君が驚いた顔をする。
「え、何でだ?」
「あ、日向君には言ってなかったよね。僕、次で降りるんだ」
「いや、だからなんで?」
「知り合いにこの付近にあるケーキショップで買ってくるように言われてさ」
ここにしかない手作りケーキのお店で秘境の果てにあるとさえ言われるほどの珍しいお店なのだ。ちなみに依頼主は舞弥さん、最近お店が忙しくて買いに行けないと嘆いていたところに僕の強化合宿が重なったというわけだ。念押しされまくったよ。ついでにじーさんの知り合いからとあるものを回収しなくちゃいけないし。やること目白押しだね。
そんなわけで僕はバスを降りたわけだけど……
「よ」
「なんでさぁぁぁぁ!?」
何故か広夢まで一緒に降りてた。
☆
「あーもう何で?」
「いや、バスに揺られんのも悪くないんだが、それだけだとつまんなくてな」
そういう問題じゃないと思うんだ。
「はぁ、まあ大丈夫か」
「悪い悪い」
広夢は全然悪びれてないし、向こうパニックになってたりして、大丈夫かな?
「とりあえず行こうぜ!」
「はいはい」
とりあえず、ケーキショップ行かないとね
☆
「はぁぁぁ、ここがアヴァロンか」
「キャラ変わり過ぎだぞ。明久」
すげーテンションで明久がケーキショップの中を見て回る。好きなものに夢中になってるときって誰でもこうなんだろうな。
結構人里離れた場所にあるケーキショップ、そこに俺たちは来ていた。自然の食材を使ったケーキが売りらしく、遠くからわざわざ来る人間も多いそう。今回の俺たちみたいな奴もいるってわけか。
「まあ、美味そうではあるんだよなー」
ただなぁ。あれと比べると普通のケーキに見えてしょうがないんだが、言わぬが華ってやつか。
「広夢も何か頼む?」
「俺はパス、懐事情厳しいんで」
「そっか、じゃあこれとこれとこれとこれ、全部テイクアウトで」
どんだけ買うんだよ?!
☆
「ふふふー」
「ご機嫌だな」
「まあねー」
トリップしまくっている奴に何を言ってもしょうがない気がしてきた。欲しいものを手に入れた直後の人間ってここまで浮かれるんだな。
「さて、じーさんから頼まれたのやらないと」
「?」
「確か、この先の三つ目の角を曲がったとこ」
雰囲気がガラッと変わって、真面目な顔して明久が呟く。ふぅん、こっちが素か。
明久がぶつぶつと言いながら何かを探しているようだ。
「あった」
そう言うとそこにあったガレージへ向かう。持っていた鍵を使って扉を開ければ、そこには
「すげぇ」
「よし見つけた」
化け物級の大型バイクがあった。黒塗り、でかい、詳しくない? 悪いが俺はバイクに疎い!
「前の聖杯戦争でセイバーに用意されたバイクなんだってさ。セイバーはあんまり乗ってないから整備が大変になって知り合いに預けたんだって。で、今回整備が終わったから取ってきてほしいと」
「へぇ、運転どうするんだ?」
運転できる奴ここに居るか?
「へ? 僕がやるよ。大型は無免許ならできるし」
「は?」
「大丈夫だよ。ちゃんと認識阻害の魔術はかけるし」
そこじゃない気がスゲーするんだが、やっぱこいつアホだろ。無免許バレたらどうするつもりだ?
「バイクがそれなりに普通ぐらいのサイズに見えるのと僕の外見年齢数歳上げるやつとこれ」
目の前に提示されたのは、普通に原付の免許だった。持ってるんかい?!
「まあね、忙しい合間を縫って免許は取ったよ。これに大型用の免許であるって阻害をかけるつもりだから」
うわぁ、魔術って地味に卑怯だなってか普通そんなことに魔術は使わねーよ。ウィザード能力を犯罪に応用する馬鹿どもは居るがそれの比じゃないことやってるぞこいつ。
「急がないと合宿に遅れるよ」
「あ」
「二人乗りの予定じゃなかったんだけどまあいっか、いつの間にか二人乗り用になってるし」
昔は一人用だったんだけどねー、などとのんきに明久は言う。俺はと言えば人生初のバイク二人乗りにちょっと感動してた。
とりあえず俺たちは無事に合宿所に着くことができた。中に入ってからが大騒動だったわけだが……どうしてああなった。
犯罪ダメ絶対!!
書いといてなんだけど、今回明久がやってるの地味に犯罪なんで注意してください。
普通はそういうこと考える人間がまずいないんだ。
心理テストの結果は後日発表です。
言峰神父はZEROでのあの身体能力を見てるとター○ネー○-にしか見えなくなってきたんだ。異論は認めます。あくまで自分の個人解釈なんで