後326時間
―――四幕より一週間とちょっと
街中をスーパーの袋片手に歩く士郎がふと目をやると見覚えのある人物が同じようにスーパーの袋片手に歩いていた。
「あれ、兄さん?」
衛宮家で唯一一人暮らしをしている兄明久である。
こんなところで会うとは偶然だなと思って、声をかけようとするが、それよりも前に白髪オールバックで褐色の肌、服装は黒いシャツとズボンの青年が明久と合流して並んで歩き始めた。
「……誰だあいつ?」
その疑問はごもっともだろう。
☆
「ふぅ、アーチャーが来てから買い物が本当に楽になったよ。てかアーチャーってクラス本当にアーチャーなの?
今日は運よくセールの日に早めに来れたんだけどアーチャーのおかげで普段なら絶対に取れないような品物までゲット出来た。アーチャー様様だよね。そこら辺の主婦になんて全く負けてないし、何度主婦の人に飛ばされたことか。タイムセールは戦場だよね
「はぁ、言いたいだけ言うがいいさ」
呆れたようにため息をついたアーチャー、そういえば士郎のなれの果て……なんだっけ。
「まあ、あれがこれになるんだから納得の結果か」
「………」
衛宮家の主夫は世界が変わっても主夫らしい。
☆
兄と謎の人物を見かけてから、士郎はこっそりと後を付けていた。ちょっと物陰に隠れたときにいきなり肩を叩かれた。
「衛宮君何やってんの?」
幼馴染で腐れ縁の遠坂凛である。学校帰りだったようで特徴的な赤い服ではなく制服姿だ。
「うわっ、遠坂か アレ見てくれ」
幼馴染だったことに安心しつつ、士郎が明久と謎の人物を指さす。凛が指の先を見てみれば………
「んー? ……え、誰よアレ」
「だろ?」
凛も知らない人物だったらようだ。あんな知り合い居たかしらと考え込む。
「本当に何者?」
「どうしたの? 二人そろって珍しい」
さらにもう一人声をかけてきた。
「あら、明乃」
「アレを見てくれ」
明久の姉で今は言峰家次女の明乃だ。一度家に寄ってから来たらしく、私服姿だ。
明乃も士郎に従ってみてみれば弟と知らない人物が居た。
「………アレ誰?」
「だよな」
あんな知り合い居たっけ? と士郎と凛が首を傾げていると冷静に知らない人物を観察していた明乃が呟いた。
「うーん、彼からもアキからも魔力の残滓を感じるけど魔術師ならぎりぎり残すか残さないかの範囲だなぁ」
その言葉に凛が返す。
「あら、そう? アタシは何も感じないけど」
魔術師としては見習いの明乃が気が付けるのであれば自分も気が付けるのではと凛が返す。
「それはアキの霊装が優秀だからね。魔術隠蔽に関しては天才級だよ。マジで ぼくも身内だからこそ肌でギリギリ察知できるくらいだし」
「へぇ、そうなのか」
☆
僕はアーチャーと帰り道を歩きながらアーチャーに念話を入れた。
「(あのさ)」
「(何だねマスター)」
聞きつつも気づいているみたいだね。
「(つけられてる?)」
「(まあ、結果的に言えばそうだな。で? どうする)」
「(とりあえずはサーヴァントとばれなければそれで良しだね)」
下手にマスターだってバレるのは避けたい。そんなことを考えて歩いていたら後ろから知り合いの声がした。
「おや、明久ではないか」
秀吉だった。手には何やら大きい袋を抱えている。
「あれ? 秀吉じゃないか、どうしたのこんなところで」
「うむ、演劇の備品の調達にの……む、誰じゃ? 明久の知り合いかの」
まあ、アーチャーの恰好って目立つよね。服装的な意味じゃなくて髪の色とかその辺で、服に関しては本人が何処からか調達してきた。どうやったんだろう?
「あー うん、知り合いなんだ」
「まあ、よろしく頼む」
「こちらこそじゃ」
秀吉がアーチャーを見る目がなんか憧れを見つけたみたいな目をしてるけど大丈夫かな?