バカと冬木市と召喚戦争   作:亜莉守

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「王様ゲーム」


閑話休題
第一問


「……で? なんでこうなった」

「あははは、なんでさ」

 

目の前に広がる惨状にもう何かちょっと泣きたくなった。イリア姉と桜ちゃんは士郎を挟んで喧嘩してるし、凛は何か机に突っ伏している。ライダーさんは気絶している聖さんを必死に介抱している。

 

「おー、派手にやってんな」

「マスター、私たちが不在の間に何をしたんだ?」

「「王様ゲーム」」

 

そうとしか言いようがないんだけど。どうしたらいいのさこれ。

 

「こういう時は息ぴったりだなお前ら」

「はぁ、とりあえずこの状況をどうにかするべきか?」

「お願い、正気な二人だけじゃどうにもなりそうにないよ。てか何をしてたかは二人も知ってたよね?」

 

なんでこんなことになったのか、それはそれなりに時間を遡る。

 

                     ☆

 

丁度、大人が不在だったもんだからかなり広いウチで泊まり会をしようということになった。割とよくやるから気にしないんだけど、何故か今日は王様ゲームをしようという話になってとりあえず道具を用意して、リビングにみんなが集まる。

 

「王様ゲーム!」

「「「イェーイ!!」」」

 

士郎の掛け声が入る。今日ここに来ているのは、この家の住人である僕、士郎、イリア姉、それからアーチャー、凛に桜ちゃんとライダー、凛のアサシンは不在で、それと姉さんとランサーさんと姉さんの知り合いだという聖花楠さんの十人だ。

 

「ルールをよろしく、兄さん」

「はいはい、えっとここに1から10までトランプがあります。みんな一つずつ引いてね。それから王様の指示はさっきみんなに書いて貰ったのをこの箱の中にいれてあります。トランプが1の人が引いてね。1の人は掛け声のときに名乗るように」

「それじゃあ、早速はじめるか」

 

みんなが用意されたカードを引いていった。

 

「せーの」

「「「王様だーれだ!」」」

 

誰が1なんだろう?

 

「お、幸先いいな」

「あ、ランサーさんが1?」

 

ランサーみたいだね。ランサーが喜々として箱の中に手を突っ込んで、紙を一枚取り出した。

 

「えっと何々? 『1と7がぼくの仕事を代行』おい、嬢ちゃん?」

「あははー……ごめん」

 

姉さんらしいといえばらしいかな?

 

「あ」

「……あちゃぁ、アーチャーどんまい」

 

隣のアーチャーが何かぼそりと呟いたのを聞いて覗き込んでみれば、アーチャーは7のカードを持っていた。

 

「逆に言えば安全地帯に逃げ出せるとも取れるがな。マスター気をつけたほうがいいぞ」

「あはは、怖いこといわないでよー」

 

そんなわけでして、アーチャーとランサーは姉さんの仕事こと化け物退治に出かけることになったのだった。

 

「じゃあ、どうしようか?」

「9と10が指示に書かれていたら1と2にしちゃおうか」

「いいよ」

 

それからもう一回トランプを配る。よし

 

「せーのっ!」

「「「王様だーれだ!」」」

 

トランプを見てみれば6だった。普通だね。

 

「あ、私だな」

「花楠さん?」

「ふむ、『2と8が買出しの手伝い』買出し?」

 

アーチャーもしくは士郎だけど、誰?

 

「心当たりがある人ー」

 

姉さんが聞くけど誰も手を上げない。ああ、これはアーチャーか。

 

「2はぼくなわけだけど、8は?」

「アタシよ」

「凛かぁ」

 

買い出しって何の買出しだろうねと姉さんと凛は言い合っている。ふーん

 

「アーチャーが羨ましいねぇ。両手に花とは」

「あはは、買い出しって絶対アレだよな。タイムセール」

 

あ、そっか。そういうこともありえるか……どうしよう。タイムセールのこと教えようかな。

 

「まあ、居ないから無効だよね」

 

……ドンマイ、アーチャー。

 

「じゃあ、もう一回配りなおそうか」

 

もう一回カードを配りなおした。

 

「よし、せーのっ!」

「「「王様だーれだ!」」」

 

僕のは7か、うーん。1ってなかなか当たらないんだなぁ。

 

「あ、私ですね」

「ライダーさんなんだ」

「ほい、箱」

「ありがとうございます」

 

ライダーが箱から紙を取り出した。

 

「えー『7と10がメガネをかける』ですね」

「えっと、7僕なんだけど。2は?」

「あ、俺」

「……ッチ」

 

舌打ちした?! ライダー舌打ちした?!

 

「とはいえ、メガネねぇ」

 

何か持ってたよね。ちょっと席を外すよと声をかけて自分の部屋に戻ってみれば丁度よく赤と黒のメガネフレームがあった。何作ろうとしてたんだろう僕

 

「ただいまー」

「兄さんお帰り、どうかしたのか?」

「はい」

「メガネ?!……のフレーム?」

「これかけてれば多分命令実行したことになる?」

 

多分これライダーが命令書いたんだよね。ライダーを見ればため息をついて。

 

「まあいいでしょう。桜のメガネ姿……」

 

なんだかよくわからないけど触れないほうがいいね。カードを配った。

 

「よし、せーのっ!」

「「「王様だーれだ!」」」

 

僕のトランプは3見事に当たらないね。

 

「あ、わたしです」

「桜ちゃんか。はい、箱」

「ありがとうございます」

 

桜ちゃんが箱の中から紙を一枚取り出す。

 

「えっと、『3と6が怖い話をする』……あ」

 

二回目か。怖い話、怖い話……

 

「どうかしたの?」

「いえ、私が書いたの自分で引いちゃったなぁって」

「そうなんだ。さて、ぼくが6なわけだけどどうしようかなぁ」

 

あ、姉さんか。思いついた話被っちゃいそうだなぁ。

 

「あ、そうだ。部屋の電気消しましょう、雰囲気でていいじゃない」

「そこまで怖い話するつもりないよ?」

「そうそう、止めておこう?」

 

怖いわけじゃないけど、こういう時って変なものよって来そうで怖いからさーと姉さんが笑う。姉さん、それが怖いよ。

 

「じゃあ、ちゃっちゃと話して次に行くよ。じゃあ僕から」

 

 

 これはまあ、一応本当にあった話です。

 この江戸屋敷に住みだした頃、この家って基本廊下が庭に面しているから夜とか月明かりを頼りに動くことが出来るんだよね。

 ある夜トイレに行きたくなって、僕は部屋を出たんだ。その頃は子ども三人で川の字に寝てたから二人を起こさないようにそぉっと抜け出して、廊下を歩いたんだ。するとね、台所からコトンコトンって音がするんだよ。あ、誰かが包丁使って何か切ってるなって感じだったんだよね。それで気になったから廊下からリビングを隔てて台所を覗いてみたんだ。そしたら士郎がいつも使ってる台がそこにあって、そこに誰かが立っててまな板と包丁を出して料理をしていたんだ。僕はそれが士郎だと思って、料理頑張ってるなぁーってくらいで台所を見るのを止めて、トイレにいったんだよ。それで戻ってきて、布団に潜り込んでから気が付いたんだよね。士郎ここで寝てたのになんで台所で作業してるんだろうって

 

 

「……ってわけで僕の話は終わりだよ」

「ちょ、兄さん?!」

「アキヒサ?! どういうことよ説明しなさい!」

「いや、寝ぼけてたから間違えたのかもしれないしさー」

 

結局のオチはじーさんが夜食作ってただけなんだよね。それが物凄くど下手で驚いたなぁ。いや、ど下手って言うよりもどう考えたって野戦料理なんだよね。せめて普通のくらい覚えろってことで、簡単な夜食の作り方教えたのはいい思いでだなぁ。ちなみに台は士郎がうっかり出しっぱなしにしてただけだったり。

 

「アキの話はわりとユーモアがあるね」

「ユーモアのカケラもないわよ!? この家ってことは本当に居るかもしれないじゃない」

「いや、大丈夫。別に変な気配はねーぞ?」

「「そういう問題じゃないわよ/から!」」

 

真相を教えろと二人はがっこんがっこん僕を揺らすけど、育ての親の名誉のためとそれから説教回避のためにもこれは黙っておかないとね。

 

「じゃあ、こんどはぼくの話かな」

 

姉さんが口を開いて話し始めた。

 

 

 これは本当にあった話。あ、怖いかどうかは別だよ。

 ある日のこと、ぼくがいつもの通りに遠坂家の当主に雑用押し付けられたときのこと。そのとき丁度用事があって倉庫みたいな部屋に入ったんだよね。普段は入らないような場所なんだけど、そこにある資料が要るってことになって探しに行ったんだよ。そしたらさ、とんでもなく豪奢な箱から「出して」「出して」って声がしたんだよ。それで気になってその箱を開けようとしたんだよね。そしたらさ、遠坂家の当主がいきなり飛び込んできて「この箱は絶対に開けてはいけない」ってさー、鬼のような形相で言うんだよ。いつもの優雅な感じはどこに言ったのって感じでさ。怖いよねー

 

 

「はい、これで終了。あの人があんな顔するなんて思わなかったよ」

「あの、怖いの部分が違いません?」

「え? そうかな。他にどこが怖いかな?」

 

普通の人は箱から出して出してって言ってる所が怖いと思うんだけど。てかなんで遠坂の家

にそんなものがあるの? あそこの専門って宝石魔術だから人体実験とかしないって思ってたのに。

 

「……明乃、ちょっと感覚おかしくない?」

「あはは、姉さん昔からだよね。お墓で変な声聞いたとか、お化け屋敷で人影見たとか、何もないはずの新築の家で変な影が躍ってるのを見たとかさー」

「嘘、明乃って霊感あったの?!」

 

うん、昔は霊感なのかはよく分かってなかったけど。霊感ばっちりあるよね、姉さん。

 

「へぇ、明乃は霊感があるのか」

「霊感?」

「あー、食われないようにな」

「あ、はい」

 

聖さんが真面目な顔で言っていた。食われる……もしかして幽霊とかに?

 

「き、気を取り直して次に行こう!」

「士郎、何か声が震えてるけど大丈夫?」

「あはは、に、兄さん何言ってるんだ?」

「アキヒサがあんな話するからでしょ!」

 

??? あれに何か怖い要素があったのかな? ちょっと内心首を捻りながらカードをまた配った。カードを確認してみれば、あ。

 

「せーの!」

「王様だーれだ!」

 

誰も名乗りを上げない。まあ、それはそうだよね。

 

「はい、僕でした。それにしても見事にバラバラだよね。」

 

僕が1引けたんだよね。見事に被らないよなぁ。

士郎が渡してくれた箱から紙を一枚取り出す。

 

「『7と8が家族孝行』…………」

 

なんだろう、紙を床に投げ捨てたい気もちになった。なんで三回連続で1の人が自分の書いた紙を取り出せたんだろう。

 

「あ、7はわたしね」

「俺が8だけど……家族孝行?」

「親孝行の家族版だと思って。参ったなぁ。普通に自分が当たるって思って準備してきたのに」

 

どうしたものか、落語の寄席とか普通見に行かないよね。しかも最近ちょっと流行ってる落語家さんのやつ。たまには伝統芸能とかいいかなって思ってチケット買ったんだけどなぁ。

 

「ちなみに明久は何を用意してきたのよ」

「あー、じーさんが落語好きだから寄席のちょっと高いとこのチケット。全員分買ったしどうしよう」

 

普通に自分が当たるって思ってたよ。

 

「うわ、これって人気があってチケット完売しちゃうって言う噂の落語家の寄席じゃない」

「あれ、知ってるんだ」

「桜がこの人の怪談が聞きたいって喋っててさ」

 

思わず桜ちゃんの方を見てしまった。意外に渋い趣味してるんだね。

 

「あ、いえ、その……その落語家さんの怖い話って全部創作なんです。だからちょっと気になってて」

「なんだったらいる? 見事に当てが外れたし」

 

僕もそれなりに興味はあるけど、そこまで行きたいものじゃないしさーと言っていると背中に何かが張り付いた。

 

「駄目よ。アキヒサ」

 

イリア姉だ。急にどうしたんだろう?

 

「そうだぞ、兄さん。せっかく買ったのに、もったいないじゃないか。だからみんなで見に行くぞ」

「そうよ。せっかくアキヒサが買ったんでしょう? だったら使わないのは駄目よ」

「だってさ、アキ?」

 

士郎とイリア姉と姉さんが僕の方を見てくる。何か視線が痛い。

 

「わ、分かったよ」

「はい、じゃあけってーい!」

「爺さんにも言うから誤魔化すなよ?」

 

絶対だからねとイリア姉に念を押された。そこまで言わなくても分かったよ。

 

「ところでですが、命令の方は?」

「「あ」」

 

すっかり王様ゲーム忘れてたよ。

 

「決めた。わたしはお母様とお父様におそろいのアクセサリーを作るわ」

 

凛がそうきっぱりと言った。さすが凛、やることはさくっと決めるところも凄いところだよね。

 

「先輩はどうするんですか?」

「俺? 俺は……今度みんなの好きなメニューにするか」

 

士郎らしいなぁ。そういえばアーチャーの好物って士郎と同じでいいのかな?

 

「じゃあ、それは今度報告ってことで。次で最後にしようか」

「だな。結構遅い時間まで起きてるし」

「カードきったわよ」

「ありがとう」

 

きり終えたカードを凛が渡してくれた。カードを引いて中身を確認する。中にあったカードは3、またか。

そして、例の掛け声をかけたわけだけど、もう思い出したくもない。

 

                   ☆

 

「来た命令が『3と6、7と9がキスをする』って奴で士郎が引いたんだ」

「ふむ、それで?」

「僕と凛だったわけだけど、そっちはまあいいとして……」

 

アイリさんに普段からやられてるもんだからなれてんだよね。そっちはいいんだけど

 

「士郎の相手が桜ちゃんでそれにイリア姉さんが食って掛かってさ」

「なるほどな。それであの喧嘩ということか」

「で、そのときにぶつかった魔力のせいで聖さんが昏倒、凛が何か顔真っ赤にして机に突っ伏した」

「そうか、マスター。一言だけ言えることがあるぞ」

「なに?」

「遠坂凛の赤面は明らかに君のせいだ」

 

なんでさ

 





中途半端なところで終わってすみませんでした。今回間に合わなかったんです。
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