ウルトラNプロジェクト ウルトラマンニウガ   作:サウザンドピース

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タイトルのGはゴジラではございません。


episode10 災厄/G

「ふう・・・」

 

「やっと退院だな」

 

○月×日、正午、山村凌牙は病院から退院した。

 

「で、しばらくお前は俺の中にいるんだって?」

 

「ああ」

 

今凌牙に憑依しているウルトラマンゼロはしばらく凌牙の中に居続けるようだ。

 

謎の生物がこの世界にやってきた為、ゼロはこの世界に来たのだが、

 

いきなり力を奪われ、エネルギーを節約する為に眠っていたところ、

 

凌牙が死にかけているのを見て助けたのだ。

 

凌牙の傷は完全に治ったが、ゼロの方は凌牙から離れると消滅するほどまでに弱っていた。

 

「つまり、お前の完全回復、そしてそいつを倒さないとお前は出てくれないと」

 

「その通りだ。」

 

「分かった。」

 

凌牙はそれを了承した様だ。

 

「手伝ってやるよ、だが妹が傷つきそうな時しか使わないからな。」

 

「な!?」

 

だが、凌牙は妹の為にゼロの力を使う様だ。

 

「は〜・・・・お前なぁ」

 

ゼロは頭を抱えて呆れていた。

 

「ため息したいのはコッチだ」

 

凌牙はゼロがいる(と思われる)青いクリスタルがついた腕輪を叩く。

 

「彼らはまだまだなみたいだな」

 

「先生仕事に戻って下さい。」

 

その様子を遠くで見ていたのはこの病院の医師、佐々木みこと先生だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「美樹ちゃん遅いな〜」

 

一方、薫は美樹が病院から出てくるのを待っていた。

 

凌牙同様今日が退院日だ。

 

だが、薫の背後に、近づく影が。

 

影は足音をたてずにゆっくりと薫に近づき・・・・・

 

「てい!」

 

「わ!?」

 

手で目を覆った。所謂目隠しである。

 

「だーれだ❤︎」

 

「み、美樹ちゃん?」

 

「正解!」

 

薫に目隠ししたのは美樹であった。

 

「もう美樹ちゃん!いきなり何してるの!」

 

頬を膨らませ、美樹を怒る薫。

 

「ご、ごめん!久しぶりの薫ちゃんとのお出かけだったからつい・・・」

 

怒られた美樹は慌てて頭をさげる。

 

どうやら薫と一緒に出かけるのが楽しみすぎて浮き足立ってしまったようだ。

 

「そんなことより、早く行こ! お買い物お買い物〜♪ 」

 

「ちょ、ちょっと美樹ちゃん!? 押さないでよ!」

 

薫は上機嫌な美樹に困りながらも、笑顔で彼女ともに歩き出した。

 

「大丈夫そうだな。」

 

「いきなりストーカーかおまえは!」

 

そんな二人の様子を凌牙が見ていた。

 

だがすぐにその場を離れた。

 

「あれだけ笑ってたら、もう大丈夫だろ。」

 

美樹の笑顔を見て大丈夫と判断したからのようだ。

 

「さて、」

 

凌牙は壁に貼り付けられたチラシをとる。

 

そこには”隊員募集”と書かれていた。

 

「今回の怪物について、知ってることを話してもらおうか。」

 

凌牙はチラシに書かれた住所の場所に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜街道〜〜〜

 

「・・・・・・・」

 

光一はベンチに座り、ただ空を見ていた。

 

前回、怒りに任せてクトゥルフェルの殺したことに憤りを感じているようだ。

 

彼は優しい、その優しさ故に、人を、動物を、生命を傷つけることを恐れている。

 

しかも今回は感情に任せて相手を殺した、許せるはずがないだろう、

 

自分のことを。心に突き刺さりはしないだろう、命を消した事実が。

 

「あれしか、なかったのか? もっと別の・・・何故だろう。

 

あれ以外どうすれば良かったのか、思いつくはずなのに、

 

思いつかない。あれが正しかったってことにしたいのか?俺・・・」

 

光一は空を見る。答えは出ない。絶対に・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜ダム内部〜〜〜

 

村はずれのダム、その地下に高度な技術によって作られたであろう基地が。

 

その基地の司令室にて、数名の者が集まっていた。

 

「皆、よく来てくれたわね。」

 

司令室の一番前にある司令席に座っている女性が言った。

 

「ついに動き出してしまったのか? スペースビーストが。」

 

戦闘部隊のものが来そうな青いスーツをきた男性が女性に聞く。

 

「ええ、それどころか宇宙人まで出てきたわ。」

 

男性の質問に答えた後女性は、左のオペレーター席にいる男性の方に目で合図を送る。

 

彼はコンピューターを操作する。指令室前方の画面に画像が映し出された。

 

スペースビーストのラフレイア、バクバズン、ノスフェル、ガルベロス、

 

怪獣のゴモラ、宇宙人のガッツ星人、ネオサーベル星人だ。

 

「今日までに存在が確認されたスペースビースト、及び怪獣と宇宙人よ。この内、

 

住民の証言から宇宙人二体と怪獣の死亡、

 

及びスペースビーストも獣のようなこの二体以外倒されたことが確認されたわ。」

 

女性はガルベロスとノスフェルを指差しながら今日までの異常なる存在の報告をした。

 

「つまり、すでにウルトラマンは覚醒していると?」

 

青いスーツを着た男性が女性に質問した。

 

「そう考えて間違いはないでしょうね。」

 

それを聞いたもう一人の男性が机を勢いよく叩いた。

 

何てことだ、もう既にウルトラマンとして過酷な運命を背負ってしまった物がいるのか!!

 

「その通り。」

 

指令室に居た全員が声のした方を向いた。そこには凌牙がいた。

 

「りょ、凌牙!?病院に入院していたんじゃ・・・」

 

先ほどの男性、”カザモリ・マサキ”が凌牙を見て驚いた。

 

彼は凌牙と美樹の叔父である為、凌牙を知っている。

 

「今日退院した。それより、」

 

凌牙は少し声色を変えて言った。

 

教えろスペースビーストやウルトラマンのことについて!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜街道〜〜〜

 

「・・・・・もうすぐ夜になるか。」

 

再び街道、光一はあれからもただ空を見上げていた。

 

ただ違うのは光一から覇気が若干消えてることくらいだ。

 

「・・・・・帰るか」

 

暗い表情のまま、彼は腰掛けていたベンチから立つ。

 

「あ、光一じゃないか。」

 

その時だ、ある男性がやってきたのは。

 

その男性は・・・・・・

 

「孤門さん」

 

"孤門一輝”であった。

 

「どうしたんだ、こんな所で。」

 

「・・・・・孤門さん」

 

光一は孤門の質問に答えず、逆に自分が質問した。

 

「孤門さんは、後悔したことありますか?」

 

「ん、そや偶に・・・・」

 

「俺はつい最近ありました。」

 

そう言いながら光一は思い出してしまった。

 

あの時クトゥルフェルを倒してしまった時のことを。

 

怒りに任せて命を奪ってしまったことを。

 

「じぶんはなんて・・・ことを・・・してしまっだん・・・だと・・・・・」

 

泣きながら光一はそれを言葉にした。拳を握り締めながら。

 

それしか言葉にできなかった。それしかもう出てこなかった。

 

「・・・・・・何かつらいことがあったんだね」

 

「・・・・はい・・・・でも言えません・・・」

 

「そう・・・・か・・・」

 

孤門は少し迷った後、光一に向かってこう言った。

 

これしか言葉がなかったのかもしれないが。

 

「それでも、前に進むしかないよ。起きてしまったことはしょうがない。

 

過去になってしまったものは背負って行くしかないんだ。今生きてる僕たちがね。」

 

「・・・・・・・・・」

 

それを聞いた光一は何か言おうと思ったが言葉が出なかった。

 

「・・・・・答えは君にしかわからない。」

 

孤門は最後にそう言って去って行った。

 

「答え・・・・・」

 

答えは自分にしかわからない。それ聞いた光一はある言葉を思い出した。

 

自身の父であり、師匠でもある夢野石神の言葉を。

 

「何かを守る時、背負う罪を恐れてはいけない。その罪を自分で受け入れ、

 

大事なものの為に戦わなければ、何も守れやしない。

 

今ある命を守るには、過去となってしまう命を背負わなければならない。そのことから逃げるな」

 

「・・・・・・ありがとう、父さん、孤門さん」

 

光一は再び決心した。何があろうと、どんな罪を背負うとも、守るべきものを守ると。

 

その時、爆撃音が聞こえ、エボルトラスターも光り始める。

 

「・・・・・行くか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜山林近く〜〜〜

 

ギィエエエエエエエエエ!!

 

山林近くの開けた場所、そこで黄色い戦闘機二機が

 

インビジブルタイプビースト”ゴルゴレムと戦闘していた。

 

「ちっ! おい! 当たんねえぞ! どういうことだ!」

 

黄色い戦闘機ガッツウィングに乗っている男性”シンジョウ・テツオ”が

 

先ほどから当たらないビームにイラついていた。

 

「あいつ、異層を移動してるんや。だからこっちに奴が戻らんと攻撃できんで。」

 

「じゃああいつが人食うまで待てってか!」

 

もう一機のガッツウィングに搭乗している

 

男性”ホリィ・マサミ”の分析を聞いたシンジョウは更にイラつく。

 

「落ち着けや! いまこっちにチェスターδとガッツイーグルが向かって来とる!

 

それが来るまであいつの気引けつけとくんや!」

 

イラつくシンジョウをホリィがなだめる。

 

その時、ウルトラマンネクサスが飛来した。

 

「!? なんだあいつは!?」

 

「まさかウルトラマン?」

 

ネクサスの登場に、シンジョウとホリィは驚愕と困惑の表情を浮かべる。

 

ネクサスは二人がそんな表情をしていることなど知らず、

 

目の前のゴルゴレムと戦闘を開始する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜数分前の山林近く(逆側)〜〜〜

 

「じゃ、ばいばい!薫ちゃん!」

 

「うん、またね美樹ちゃん!」

 

ゴルゴレムが現れる少し前、薫は美樹と買い物を終え、わかれた。

 

家に帰って買ったものを置くと、前回の事を思い出した。

 

「あの怪物を倒した時、光一さん、どことなく悲しそうだった…

 

もし、いつもスペースビーストを倒してる時にあんな風になっているのなら」

 

光一に戦ってほしくない、そう薫が思った時、爆発音が響いた。

 

「!」

 

薫は胸騒ぎがして窓のカーテンを開ける。

 

そこにはネクサスとなった光一がゴルゴレムと戦っている姿があった。

 

「光一さん!」

 

薫は家を飛び出し、ネクサスとゴルゴレムが戦っている山林近くの方へと駆け出した。

 

「(光一さん! あんなに悲しそうだったのに、なんで、なんでまた戦うんですか!?)」

 

薫は届かぬ叫びを心の中で繰り返しながら山林近くにたどり着いた。

 

「光一さん!」

 

「! ジュア!?」

 

薫が光一の名を叫ぶと、ネクサスは薫の方を向き、驚く。

 

すぐに薫に下がれ、というような動作をした。

 

ギュルアアアアアアア!!

 

ゴルゴレムが咆哮をあげると顎の口のついた触手を伸ばし、

 

薫を捕食しようと大口を開けて突っ込む。

 

「ひっ!?」

 

「ジュア!」

 

ゴルゴレムの触手が薫を捉える前にネクサスが触手を掴み、薫から離す。

 

「ジュ・・・ア!」

 

ギィエエエエ!!

 

ゴルゴレムは触手についている口から火球を放ち、

 

ネクサスの手を触手から離させ後退させた。

 

ネクサスはゴルゴレムに飛び蹴りを決めようとするが、

 

その前にゴルゴレムは別の異層に移動。

 

これによりネクサスの攻撃はゴルゴレムには当たらず、

 

ゴルゴレムの体をすり抜けた。

 

ギィエエエエエエエエ!!

 

そして元の異層に戻ったゴルゴレムはネクサスを火球で吹き飛ばす。

 

「ジュアアアア!?」

 

ネクサスは大きな音を立てて仰向けに倒れる。

 

「光一さん・・・」

 

薫はネクサスが今戦いをやめる気がない事を理解し、

 

ならばせめて彼を助ける為にゴルゴレムの弱点を探す。

 

「・・・・・見つけた!」

 

数秒、薫はゴルゴレムを見つめ、背中の水晶体が弱点だと突き止めた。

 

「光一さん! あの光ってるやつが弱点です!」

 

薫はネクサスに弱点を教えた。

 

それを聞いたネクサスは”パーティクルフェザー”で水晶体を狙う。

 

しかしゴルゴレムは別の異層に移動してそれを回避する。

 

だが数秒後ゴルゴレムが苦しみの声を出しながら姿を現した。

 

水晶体は破壊されている。

 

「いったい何が!?」

 

シンジョウが驚いているとクロムチェスターδが現れた。

 

「チェスターδ、現地到着。水晶体を破壊した。」

 

先ほど司令室で女性に質問していた男性”和倉英輔”がシンジョウ、ホリィに通信してきた。

 

「! ジュア!」

 

ゴルゴレムが苦しんでいる間にネクサスはジェネッスに変わり、

 

左腕を突き出し、その上に右腕をクロスさせる。

 

すると腕が青く発光。腕を立てると青い電気が腕と腕の間に発生する。

 

「ハア・・・・・・」

 

そして腕を伸ばし、L字型にして”オーバーレイシュトローム”を放った。

 

ギュルアアアアアアアアアウィイイ!?

 

パアアアアアンンンンンンン

 

オーバーレイシュトロームはゴルゴレムに直撃し、ゴルゴレムは青い粒子となって消滅した。

 

「ガッツイーグル到着だ!…ってもう終わってんじゃねぇか。」

 

遅れて”ヒビキ・ゴウスケ”が乗るガッツイーグルが到着した。

 

その時だ、ネクサスが光一に戻ろうとしていた時、

 

空から黒いと共にある怪獣が飛来した。その名も・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

       ”根元破滅海神 ガクゾム”

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギゥァアアーーーーーーゥ!! アアアアーーーーーーーウゥ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガクゾムは空に向かって高らかな咆哮を上げた。

 

 

to be continued




GはガクゾムのGでした。第二章のラスボスです。

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