先週中に投稿したかったんですが。お盆休みの間毎日飲んで騒いでたらいつの間にかお盆休み終わってました。ほんとすみません。
さて今回出番は少なめですが彼女の登場です。
それではどうぞ。
※イロハのアスナの呼び方を「アスナさん」から「副団長」に変更しました。オフの時は「アスナさん」と呼ぶようにします。
「ごちそうさん、美味かったわ」
「お粗末さまです」
アスナの飯を食い終わり、一息着く。 あーもう帰りたい。
「これからどうする?帰る?」
「すぐ帰ろうとするのポイント低いですよ?」
「なんだよポイントって…」
「ハチくんってすぐ帰りたがるよね」
「いいだろべつに…」
もう今日は疲れた(精神的に)。早く帰って眠りたい。レベルに余裕はあるからボス戦が始まるまでダラダラしてたいぜ。
「ハチくんってさギルドに入る気はないの?」
「どうした藪から棒に」
「ハチくんくらいの実力者がギルドに入ってくれたら凄い助かるんだよね」
「確かにせんぱい実力だけは確かですからね」
「だけとはなんだだけとは」
「他に何かあるんですか?」
「…無いけども」
そもそも血盟騎士団って服装が紅白で統一するんだろ?あんなめでたい服装なんか恥ずかしくて死んじゃうわ。
「ソロで普通にやれてんだ。ギルドに入るメリットが無い」
「それはそうかもだけど」
「てか俺がギルドに入ってみろ。多分俺のレベル高過ぎて敬遠されるわ」
人ってのは自分より優れた奴を妬み、格下を蔑むのが常だからな。目が腐ってる奴が高レベルだなんてありえないとか言ってきそうだし。
「そもそも…ん?」
ザッザッザッと規則正しい足音が聞こえてきた。音からして結構な数のようだ。
「あら、両手に花とは随分なご身分じゃない」
「そういうお前は随分とファンクラブを連れてるんだな」
「…減らず口を」
「それ、ブーメランな」
フルプレートの部下10人程を引き連れて安全地帯に入ってきたのは自身の身長程の槍を携え黒髪を揺らす少女。
「モンスターが安全地帯にいるなんて、殺そうかしら?」
「お前じゃ俺は倒せねぇよ」
アインクラッド解放軍副リーダー、ユキノン。しかし副リーダーとは形式だけであり発言力も実力も実質軍のトップだ。
『貴様!ユキノン様に無礼だろう!これだからソロは!』
「私たちの品格を下げるような発言は控えなさい。これに何かを諭すなんて勿体ないわ」
相変わらず嫌われてるなぁ俺。別に好かれたい訳では無いが。
「では話しかけなければいいのでは?ユキノンさん」
「そーです!突っかかって来ないで下さい!」
あの、なんであいつに対してそんなにトゲトゲしいんですかね?ギルド間の無用な争いは避けるべきじゃないの?
「血盟騎士団の副団長ともあろう貴女がこんな低俗なプレイヤーといるなんて血盟騎士団もたかが知れるわね」
「血盟騎士団はこの人の実力を買っています。軍にとやかく言われる筋合いはありません」
「実力?こそこそするばかりのこれのどこに買えるような実力があると?」
「少なくとも貴方よりはあると思いますけどね」
「…はぁ」
なんでこいつらはいつもいつも口を開けば口論になるんだ。もっと仲良くできないのか…
「せんぱい、他人事のようにしてますけどせんぱいのせいですからね?」
「…意味が分からん」
なぜに俺のせいになるんだ。誰に迷惑をかけている訳でもあるまいに。
「彼はレベルだけでならばほぼ間違いなくアインクラッドで1、2を争うプレイヤーです」
「私のレベルは38よ?それでもまだそんな妄言を言うのかしら?」
「「プッ」」
「あ?」
ちょっとアスナさんにイロハさん、そんなに煽らないで。怒りの矛先は最終的に俺になっちゃうんだからさ。てかユキノンさんマジで怖い。
「そこのそれが私よりレベルが上だとでも言うの?」
「正しくその通りです彼のレベルは41です」
「自慢するように言ってた癖に下とか、私なら恥ずかしくて死んじゃいます」
何勝手に人のステータス公開しちゃってるんですかね。てかさっきから取り巻きの視線が俺に突き刺さってんですけど。視線だけでダメージ受けそう。
「そこのそれが41?そんなのありえないわ」
「貴方がどう思おうと勝手ですが事実です。用件が無いならもう話しかけないで下さい」
なんでこの2人はこんなに仲が悪いんだ?初めて会った時もそうだった。
あれは確か第十層のボス攻略会議の時だった。
「初めまして、血盟騎士団副団長のアスナです。今回のボス攻略は私が指揮を取ります」
「アインクラッド解放軍副リーダーのユキノンです。よろしくお願いします」
「「……………」」
「副団長どうしたんですか?」
「ユキノンはんどうしたんや?」
しばらく沈黙が続き周囲に不穏な空気が広がった。
「私、貴方と仲良く出来そうにないわ」
「奇遇ですね、私もです」
これが2人の始まりだった。
「これ以上此処に留まる必要は無いわね。皆さん行きますよ」
『『『ハッ!』』』
ユキノンは部下を引き連れて迷宮区の奥へと進んで行った。
「おいアスナ、もっと仲良くできねぇのか?」
「せんぱい、それブーメランです」
イロハ、言うようになったじゃねぇか。
「私、ユキノンさんとは仲良く出来そうにないわ」
アスナはキメ顔でそう言った。…ごめんなさいそんなに睨まないで。
「おーい、ハッチー」
迷宮区を出て街に戻るとフードを被った特徴的な喋り方のプレイヤーが待っていた。フワリと近付いて抱き着いて来た。
「アルゴ、何のようだ」
「何のようだとはご挨拶だナ、せっかくオネーサンが会いに来てやったのに」
「そんなこと頼んでねーよ」
「それにしてもSAO屈指の美少女2人をはべらずとはハッチーもなかなかやるナ」
「はべらしてねーよ、むしろ逆だ。てか離れろ」
正面からギュッと抱き着かれると何がとは言わないけどふたつの柔らかいやつが当たってさ、精神衛生上良くないのよ…特に後ろの般若2人からの殺気が。
「ハチくん何デレデレしているの?そんなに女の子に抱き着かれて嬉しい?」
「せんぱい、そんなに嬉しいなら私も抱き着いてあげましょうか?」
「クフフ、ハッチーといると退屈しないナ!」
「…かんべんしてくれ。いい加減離れろ」
アルゴの肩を押して無理矢理距離をとる。般若の殺気も収まった。あれはボスも裸足で逃げ出すレベル。しかしアルゴも可愛いから悪い気はしないな」
「もう、ハッチーたら不意打ちなんてズルいゾ♡」
あれ?なんでアルゴは顔を紅くしているんだ?てかさっきより殺気が(ギャグにじゃねーぞ)ヤバイんだけどなんで?
「ハチくんの節操無し」
「バカ、ボケナス、色魔、ハチマン」
「誰が節操無しだ。しかも後半ふたつおかしい」
ハチマンは悪口じゃねぇ…違うよね?
アルゴがなんでこんなに俺に懐いて?いるのかはいろいろあったんだがそれはそのうち話そう。話す機会があって気が向いたら前向きに善処する方向で検討する。
「それでアルゴは何のようだ?」
「用がなきゃハッチーに会いに来ちゃいけないのカ?」
「わ、悪くねぇけど」
クソ、ちょっとときめいちまったじゃねーか。
「まあ、用事はあるんだけどナ」
ソロである俺は情報が入りずらい。そのためアルゴとふたつの契約をしている。ひとつは情報を定期的に流して貰うこと。しかし情報は昨日貰ったため今回はもうひとつ。
「今回はかなりきな臭いヨ」
不確定で未確認だが気に止めて置いたほうがよさそうな情報は仕入れた時点で教えて貰う事。ひとつめの契約は大して金がないかからなかったがふたつめはなかなか高額だ。本来大ギルドに先立って送られる情報を優遇して貰っているためソロの俺が教えて貰えるはずはないのだがアルゴ曰く
『ハッチーは特別ダヨ☆』
いつどんな見返りを要求されるか怖いがとりあえずは感謝している。
「それで?何が分かったんだ?」
「オグソーの街の外れにかなり古びた小屋があってナ、そこに住んでるおじいちゃんのクエストのクリア報酬でゲットした情報なんだケド、変なんだヨ」
「何が変なんだ?」
「おじいちゃんは『この層を守るモンスターは他のモンスターとは比べ物にならないくらい強い』ってサ」
「せんぱい、今のどこが変なんですか?ボスが強いのは今までも同じじゃないですか」
「まあそれはそうなんだけど、わざわざ言うか?普通」
「それはそうですけど」
「今までの層ではそんな情報は出てこなかった。今回の層は少し気を引き締めなきゃダメかもな」
「いつも気を引き締めて下さいよ」
「アルゴさん、他に情報は無いんですか?」
「アーちゃんもなかなか酷な事言うナ。おじいちゃんのクエストめっちゃ大変だったんだゾ」
それからおじいちゃんのお使いクエストがどれだけ大変だったか約1時間愚痴7割で語られた。あれ?今日話聞いてる時間長くない?
いかがでしょう?
ユキノン登場!アスナと対立させるために軍に入れました。まああの性格ですから軍がぴったりだとは思うんですが。片割れもそのうち出します。
SAOのキャラではシノンと並びアルゴが好きです。
それでは次の更新で。