俺、伸ばした手でつかみます。 Re:   作:先詠む人

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 どうも、こんにちわ。人によってはおはようございます、もしくはこんばんわ。

 最近艦これ系の二次SSを頻繁に投稿している先詠む人と言います。
 
 この作品はあらすじにも書きましたが、以前自分が連載投稿していた『俺、その手でつかみます。』のリメイク版です。
 
 Re:の部分にはRestarat,Remake,Restoreの3つの意味を込めました。

 変更した設定は後書きに書いておきます。

2016/6/26
投稿時に失敗して前書き後書きの部分を打たないまま投稿してしまったのでそれを再編集と言う形で追加しています。




第1話 青年と少女と始まる物語

「……どうしてこうも俺は無力なんだよ…。」

 

 俺はたった今頭に角を生やした変態に抱えられて俺の名前を呼びながら攫われそうになっている妹分をかすむ視界の中で見つめながらそうつぶやいた。

 

「変なこと言ってるやつから妹分も守れない。ケンカがそれなりにできても全くの無力じゃねえか…。」

 

 そう、小さく今にも消えそうな声でつぶやくのがやっとな俺の今の状態は傷だらけでしかも口端からは血が出ていた。

 

 そして視界が真っ暗に染まった瞬間

 

()()()()()()?』

 

 そんな声がどこからか聞こえた。俺は今にも消えそうな意識の中で

 

「……欲しい。世界全部とは言わない。手の届く範囲だけでも守れる力が欲しい……」

 

 そう思うと同時に完全に俺の視界は暗転した。

 

『よろしい、ならば力をやろう。な~に、()()()()()()()()()()()()()()力だ。今受け取ってもバチは当たらんよ。』

 

 視界が真っ暗になって意識が完全に消え失せる直前にそんな愉快そうな声が聞こえるのと同時に差し出すかのように突き出したままで固まっている俺の右手の上に()()()()()()()()()()()の感触と、その重みが生じた。

 

 

 

 

 

 

 俺、火野陸人はネットとかでよく出てる転生者って奴……だと思う。

 はっきりとそう言えない理由は、死んだ覚えもどこかよくわからない空間で神様に会った覚えも何もないからだ。

 

 ある日、大学の授業の帰りにいつものようにバスに乗って席に座ってボーっとしていると、その日の疲れからか眠ってしまい、目を覚まし(起き)たら体が縮んで、その上知らない天井が広がっていた。

 

 最初は困惑したけど、俺が起きたことに気付いたのか看護師が部屋の外に慌てて出て行ったののと同時にいきなり俺のことを「「「「「陸人にぃ陸人にぃ」」」」」と小さい子が数人ほど泣きながら迫ってきたからそれ以上困惑する余裕がなくなった。

 むしろ、そんな考えを働かせる暇を見出すよりも先に目の前で泣いている子たちを泣き止ませなきゃいけなくなった。

 

 それでその子たちが泣いてるのを必死になだめつつ、こぼしていた言葉から今の俺の体の状況を推測したんだけど

 

 ・この子たちは俺の親がお世話になった人が経営する孤児院の子供たちらしい

 ・一昨日俺とその孤児院の子達で遊んでいるときにその中で今一番俺にしがみついて離れようとしない赤っぽい茶色の髪の子が車に引かれそうになったのに気付いた俺が慌てて駈け出してそれをかばって車に撥ねられたらしい……ってよく俺無事だったな。

 ・俺とこの子たちはかなり深く面識がある

 

 ってことらしい。ただ、かなり気になったのは俺にはそんな記憶が一切無いこと。

 

 …………もしかして俺…………他人の体乗っ取った?

 

 

 そんな風に考えていたら先ほど慌てて病室から出て行った看護師が医師を連れて部屋に駆け込んできた。

 

「陸人君意識が戻ったようだね。自分自身のお名前とかはわかるかな?」

 

 部屋に入ってきた医師は俺にそうたずねた。

 

「自分の名前はわかりますけど……。クゥッ!!?」

 

 俺がそう言った瞬間、俺は俺という存在に何かを無理矢理インストール(書き込み)されるかのような感覚と頭をトンカチで殴られるかのような痛みに襲われた。

 

 その痛みに耐えた後、俺の中には火野陸人として19年間生きて来た記憶と、この今の火野陸人として9年間生きて来た記憶が並列的に存在していた。

 

「……。」

 

 俺が目を見開いて固まっているのを見て医師は

 

「落ち着いて。君は車に撥ねられて頭をぶつけこそしていたけれど、それ以外は無事だから!!」

 

 と、見当違いのことを言っていたが、俺は何も言わずにそのままパタリと倒れた。もちろん先ほどの痛みの時点で意識は完全になくなっていた。

 

 倒れた理由は、多分9歳の脳に19年分の記憶を無理やり書き込んだために耐えられなかったんだろう。医者にもわからなかったようだが。

 

 結局、俺は次の日に病院からの連絡でやってきた親が前世の親と全く一緒なのに内心驚きながら会話し、その次の日には経過観察のために一か月に一回は病院の診察を受けることという条件のもとで退院した。

 

 そして、その後もおそらく奪い取ってしまったこの世界での火野陸人のフリをしながら俺は運命の日を迎えることになる。

 

 それは、俺が事故に遭って頭を強く打ちつけたらしい日からほぼ4年後。

 なぜ俺がこんな事態に陥ったのかのが分かったのもそれと全く同じタイミングだった…………。

 

 

 俺、14歳。

 

 なんか昨年例の孤児院に引き取られた四糸乃という青いきれいな髪の少女になぜか俺だけなつかれてしまって、いつも

 

「陸人さん」

 

 と、俺にしがみつかれることが多かった。

 

 それでもなぜかいつもおびえているような雰囲気だったから気になって孤児院の院長の月詠先生に聞いてみたら、四糸乃はどうも親から虐待されていたらしい。

 そのせいか、よしのんという少し攻撃的な人格と、おとなしい四糸乃という二重人格になっているようだ。そして、よしのんはいつも四糸乃が左手に付けてるパペットを使って意思表示しているから終始二人で一つの体を同時に使っているような感じ。それが俺が知っている四糸乃って言う子の全てだった。ただ、四糸乃の方は俺の知らない俺を知っているような発言を繰り返していて、それが一体何を指しているのか。それは全くわからなかった。

 

 そして、なんで二人共が俺にだけなついているのかは月詠先生にもわからないそうだ。

 

 そんで、今。

 俺は四糸乃の誕生日のお願いと言う形でマクシーム宙果という大型ショッピングモールに二人だけで来ていた。

 

 時間は三日前にさかのぼる。

 

「今度の誕生日のプレゼンうトって何が欲しいんだ?」

 

 俺は、あの日の事故以降誕生日プレゼントを孤児院の子達にねだられることが増えた。流石に高いものは無理だけど、それほど高くないものなら渡して上げれたからそれでそのままにしていたら今でもそれが続いていた。

 

「え~っと、陸人さんが欲しいです。」

 

「はいはい。小さい子には早い早い。」

 

「(……本気なのに……)」

 

『陸人君は鈍感系かなぁ~?』

 

「え?何か俺いけないこと言ったか?」

 

「な……何でもないです!!よしのん~!!!」

 

 いつも他の子に聞くノリで四糸乃に何が欲しいのか聞いてみたら、他の子が良く言ってくるように俺自身って言ってきたから、それを俺は受け流した。

 すると、よしのんに気になることを言われたから、慌てて聞きなおしてみたが、四糸乃自身がそれを否定しながらよしのんの口をふさいだので俺もそれ以上追及しないことにした。

 

「……(う~ん。気になるんだけど…)それで、結局何が欲しい?」

 

「……よしのんに着せる服を作るために布が欲しいです。」

 

「了解了解。それじゃぁ、今度買い物に二人で行こうか。」

 

 てなことで、俺は四糸乃を連れてこの場所に来ていた。

 

 そして、マクシーム宙果で四糸乃が欲しがった布がそんなに高くなかったから買ってあげて、仲良く手をつないで帰るときに俺たちはなんか見た目も言動もどちらも変態な意味不明な存在に襲われた。

 

 俺は四糸乃を背中に回してかばいながら逃げ道を探して戦っていたけれど、その変態はこちらのパンチやキックに全く動じることは無く、逆に一発のパンチで俺を沈め、四糸乃を担いでどこかへと悠々と歩き去ろうとしていた。

 

 その時、背負っていたカバンから腐れ縁のアイツに渡されていた赤色のラインで書かれたタカの絵が描いてある謎の灰色の缶がこぼれ落ちて、何かに変形するかの如く展開したことに俺を含めて誰も気づいていなかった。

 

 そして話は冒頭に戻る。

 

 真っ暗に反転した世界の中で俺はその世界の闇をスクリーンにしてある光景を見ていた。

 

 

「……は?俺死んだん?ちょ!自覚無いんだけど?!」

 

 映し出されている光景には大学生の時の背丈の俺が白い服を着た少女に困惑した様子でたずねる光景が映し出されていた。

 

「誠に申し訳ありません。あなた自身には自覚は無いでしょうが、あなたがバスの中でお休みになられてから数分後にあなたが乗っていたバスがトラックに追突されて横転しました。」

 

「それで?それだけじゃ俺だけが死んでここに居るって言う理由には弱いと思うんだけど…。」

 

「ええ。実際、その事故で死んだのはあなただけではありません。ですが、私の部下が丁度そのタイミングであなたに関する書類を勝手に焼却処分してしまったためあなたと言う存在が世界から消えてしまったのです。」

 

「……何してくれてるんですかその部下………。」

 

 少女が言ったことが一瞬わからなくてそれを反芻しているかのような様子を見せた後に呆れた顔をしながら画面の向こうの俺はそう嘆いていた。

 

「ですので、私が部下の責任をあなたを転生させるという形であがなおうと思いこちらに呼んだ次第です。」

 

「は…はぁ…。」

 

「それでは、何か望みを言ってください。どんなことでも……とは言いませんが、ある程度はかなえてあげましょう。」

 

「……だったら俺と言う存在が消えた結果子供がいなくなってしまった俺の親に子供を下さい。母さんは妹産んだときにかかった病気のせいでもう出産できなくなってる体だから…。」

 

「お優しいんですね。それではこちらはサービスにしておきます。」

 

「いいんですか!?」

 

「いいんです。それでは別の望みを言ってもらえますか?」

 

「だったら、手の届く範囲を護れるぐらいの力をください。」

 

「手の届く範囲…ですか?よくある王の財宝などではなく?」

 

「はい。生きてる間にできなかった自分の手が届く範囲だけでも起きた問題をどうにかしたいと思ったんで。」

 

 そう言っている画面の向こうの自分の顔を見た俺の記憶の片隅によぎったのは、血で赤く染まっていくタイル張りの床と、俺の目の前で光をなくしていく少女の瞳だった……。

 

「でしたら……一応できますがあなたの記憶に制限がかかるかもしれませんよ?それにもしかしたらあなたに定着しないで何もないまま転生になるかもしれませんが…」

 

「その時はその時で別にいいです。そうなる運命だったってあきらめるんで。」

 

「……わかりました。でしたらあなたを適当に選んだ世界に送ります。あ、そうそう。5歳ほどまでは今の会話を含めてすべての前世の記憶を封じておきますね。その方があなたにとっていいと思いますんで。それ以降でも何かしらのコトが起きなければ記憶は戻らないんで。」

 

「ちょ!!待って!それどういうことだぁーーーーーー!?!」

 

「あなたの力はあなたの中で一番それに近かったイメージのものにしておきましたからねーーーーーーーー!!」

 

 困惑するかのような言葉とともに急に足元に現れた穴の中へと落ちて行く俺へと穴の上から少女が叫ぶ所で、目の前で繰り広げられていた映像は終わった。

 

 その映像が終わったときに俺が思ったのは

 

「そうか………。俺、乗っ取ってなかったんだ……。これは正真正銘の俺の2週目の人生だったんだ……。」

 

 これまでの間ずっと心配していたことがじつはただの杞憂だったと知ったが故の安堵だった。

 

 その瞬間、俺の周囲を覆っていた闇は晴れて、真っ青な空と草原に21種類の動物の姿が彫られた大きな扉だけがある世界へと変わった。

 

「……開けろってことか?」

 

 大きな扉の前で俺はそうつぶやくと、目の前の扉に手をかけてそれを押し込んだ。

 

 ギギギと錆びた音を立てながら扉は開いて、腕一本分の隙間が開いた瞬間。

 

 隙間から21個もの光の筋が飛び出してそのうちの赤、黄、緑色の合計9本の内の3本が俺へと突き刺さり、俺の意識は再び暗転した。

 

 

「……起きたようだな。」

 

「うぉ!?お前何でここにいんだよ(そら)!!!」

 

目を開けた俺のすぐそばには、LEDライトを俺の顔の方へと向けて腐れ縁の少女がしゃがんでいた。

 

「なんでってそりゃ、私にとっても大事な妹分が攫われたんだ。あいつらの存在を一応私は知っていてね。このまま放っておくと四糸乃が危ない。」

 

「それがりy…待て。天。今お前なんて言った?」

 

 今こいつあの変態のことを知ってるって言わなかったか!?そう思って天の方を穴が開くくらい見つめていると、

 

「そんなことを気にしている暇なんてないだろう?ほら、四糸乃がいる場所はわかっている。まだ無事のようだから早く助けに行こう。」

 

 そう言ってこいつはバッタのような小さいロボットを片手に話を逸らしやがった。

 一度、こうなったらその話の内容が済まない限りこいつは何しても逸らした話を戻させようとしない。それがわかっていたから俺は

 

「……ぜってー後で力づくでも話してもらうかんな。」

 

 そう言って一旦追求するのをあきらめることにした。

 

「言っておけ。どうせ、お前はいつものように何もできずに終わる。」

 

「ケッ!その言葉覚えとけよ!!」

 

「ほら、そこを右だ。左に行ってどうする!!」

 

「っるせー!だったらはやく道教えろよ!!」

 

 結局、四糸乃を早く助けたくて気が急いている俺をどうにかこうにか天が道案内してたどり着いた場所は

 

「なぁ。ここって俺たちが去年雷ちゃん探して入った洞窟だよな……?」

 

「ああ、ただしあの時と今は状態が違う。」

 

俺が小6の時に迷子になった雷ちゃんを探してこの今横にいる腐れ縁と一緒に入った洞窟だった。だけど、

 

「それは見てわかるわ。この洞窟こんなにメタリックな壁面してたか?」

 

 そう。天の先導の元、洞窟に入ってしばらく行くと途中から壁の様子が岩から鉄板のような材質のメタリックなものへと変わっていたのだった。

 

「おそらく、ここは()()なんだろうな…。」

 

 見慣れない景色に周囲を警戒しながら進んでいた俺の耳に、天のそんなつぶやきが入ってきて

 

「お前、ここ知ってんのか?」

 

 とつい振り返って聞いてしまったそのタイミングだった。

 

『侵入者発見。侵入者発見。ただちに迎撃します。』

 

 その音とともに赤いレーザーポインターが俺と天がいる周囲を取り囲んだ……。




 感想、評価をお待ちしています。


 設定変更点

 ・陸人の持っている転生特典を一つに変更。

 ・時系列をかなり変更。その関係でリメイク前は出てこなかったキャラクターも出てきたりしています。

 ・陸人の性格を自分が書きやすい物へと変更。リメイク前はかなり粗野な正確にしていたが、やはり自分にはそんな性格を書くのは難しかった…。

 大まかに言えば、この3点です。

 おそらく前作でお気に入り登録してくれた方も見て下さっていると思いますが、このように設定が変更となったことを理解したうえで続きを待っていただけるといいと思います。
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