色々とありましたが、書けました。
今回もともと無印版でも書きたかった…というかある意味一番書きたかったシーンを書いています。
アニメ版見て一部の人がぶちギレたシーンです。……まぁ、それをただトレースしたんじゃあ書きたかった理由にはならないんで変えてはいますがね。
「で、いい加減教えてくれよ。あの変態一体何だったんだ?」
先ほどまでお世話になっていた神堂邸を後にし、孤児院まであと少しと言ったところで私の前で四糸乃を背負いながら歩いていた陸人がいきなり振り返って私の目を見ながらそう告げた。
「……後で説明するといっただろう。」
私は内心舌打ちをしながら陸人の問いに対してそう答えた。
「そう言っていつも最終的にお前ははぐらかすだろ。だから、ここで、言え。」
しかし陸人は私からまったく目を外さないままであいつ自身が一番伝えたいことであろうことを区切りながらはっきりと言い切った。
「はぁ……。わかったお手上げだ。簡単に説明するよ。あれは人間を狙う敵。そして私は奴らと因縁がある。それだけだ。」
私自身としてはこの話題を早く切り上げたかったためにそう適当に告げたが、
「俺が求めてるのは簡単な説明じゃない。具体的な説明だ。」
陸人はそれで納得しなかった。
「天。お前があの変態と何らかの因縁があるのはあの会話聞いてたら何となくわかる。だけどその因縁が何なのかがわからない。しかもあの変態がアイツ一人だけとは限らない。」
どこまでも吸い込んでしまいそうな真っ黒な瞳の奥に何かをくすぶらせたような気配を感じさせながら陸人はそう言った。
「………………」
「………………」
星が光る雲一つない空の下で2人見つめあう。
「…………わかった。長くなるぞ。それでもいいのか?」
結局私が折れることにした。こいつがあの目をしてしかも黙りこくるということはこれまでの付き合いからしたら「仮に死にかけても俺は絶対あきらめないぞ」という意思表示でもあるからだ。
それにあの力……。なんで陸人があのメダルを持っているのかなどをこちらもよくよく考えたら聞きたださなくてはならないからな。
「あぁ、別に問題ねぇよ。どっちにしろ今日は親父もおかんも会社に泊まり込みになるらしいから俺孤児院で世話になっとけって話ついてるらしいし。」
「そうか。なら早めに帰ろう。四糸乃が風邪をひいてしまう。」
「そうだな。」
陸人は私の提案にそう答えると一度背中にしょっていた四糸乃を背負い直し、孤児院の方へと再び歩き出した。
「なぁ、陸人。お前はなんでそのメダルを持っている?」
私はいつも持ち歩いているきんちゃく袋の中に入っている3枚のメダルを入れたケースをきんちゃく袋ごと握りしめながらそう呟いた。
そのつぶやきに答えが返ってくることはない………。
「んじゃ、教えてくれ。」
孤児院にたどり着いて院長に二人そろって怒られた後、未だにすやすやと眠っていた四糸乃を起こしてお風呂に行かせてから陸人は私の部屋でそう切り出した。
「あの怪人はエレメリアンという。」
「えれめりあん?バイザイアンの亜種みたいなもんか?」
「違う。というかバイザイアンは特撮映画の怪人の事だろうが。」
「………セヤネー。」
私の突込みに陸人は目をそらしながら答えた。
「目をそらすな。というか、話をまぜっかえすのならばここでやめて私は四糸乃の様子を見に行くぞ?」
「わりぃわりぃ。ちょっとな。」
私が話をまぜっかえす陸人に腹を立てて立ち上がろうとすると陸人は右手を顔の前に当てて片目を閉じて謝罪した。
「はぁ……まぁいい。続けるぞ。エレメリアンは人間の感情を糧にして生きている生物だ。」
「人間の感情を?どういう事だ?」
「陸人。お前はある程度まで発達した化学が何に手を出すと思う?」
「……そら安易に大量のエネルギーを手に入れることができるものじゃないのか?今の世界情勢を見るに。」
「そうだ。そしてそのエネルギー源として人間の誰しもが持つあるものに着目した並行世界があったのだよ。」
「………おいおい待て待て。並行世界ってなんだ?いきなりパラレルワールド理論とか出されたら俺混乱しちまうぞ?」
「ああ、済まない。その話をしてすらいなかったな。」
私は一度そこで話を区切って陸人の目を見る。陸人は私の目をしっかりと見据えていた。
「私は一度死んでから何の因果かその記憶をもってこの世界にやってきた転生者とか言われる存在なんだよ。」
「四糸乃の風呂の様子見に行っていいか。湯船で寝てないか心配になってきた。」
私がそう言った瞬間に陸人は腰を上げて部屋から出ていこうとした。
「いやいや、一寸待て!!お前の方から話せと言っておきながらその態度はなんだ!?」
突然のその行動に私は驚いて陸人の手を掴んだ。
「だっていきなり『私は転生者です』とか言い出す奴信用できるか!!」
そう言いながら力づくでこの場を離れようとする陸人に私は切り札を一枚切ることにした。
「そういうお前だって転生者だろうに!」
ピシッ!と空気が固まる音がし、急に陸人から力が抜けた。
「な……何言ってんだ………」
口の端をひきつらせ、大量の汗をかき、その瞳孔をかなり激しく揺さぶりながら陸人がそう答える。
「…………ほほぅ……。その反応ということはカマをかけただけとはいえ正解だったか。」
私はその反応を見て半ば確信した。
もし、こいつが嘘をつこうものならば動揺しすぎてたいていさっき挙げた状態を引き起こす。
私はコイツのことも転生者じゃないのかと疑い出したのはコイツが事故で頭を強打してから数週間後のことだった。
コイツはそれまでもまぁまぁこの孤児院の小さい子たちからストレートに好意を向けられていたがそれを直視しようとしていなかった。しかし、あの事故以来久しぶりに孤児院に来たこいつは本人なのかと疑いたくなるレベルでその行為を直視し、大人の貫禄のようなものを見せながら受け流したのだ。
となるともはやそうとしか疑えないだろう。
幸いなことに私は前世の時のスキルと頭脳はそのままだったため前世の最後までし続けていたこのメダルの研究での副産物を使って陸人を監視することにした。
今私が持っている白1枚と黒2枚の金縁のメダルに収められていたデータをもとにタカを模したロボットとバッタを模したロボットの設計図を記憶の中から引き出してかき上げる。
そしてその設計図を基に中学に上がる際にもらった今陸人と話している個室で制作し、それを陸人の周りにはなった。
それが初代のことで現在は缶からのように折りたためるようになった第3世代を陸人の持ち物に忍ばせていたりしていた。
そして今日。自室で回収したロボットからデータを集めているといきなりアイツのカバンに忍ばせていたロボットたちのうち1台が私の部屋の窓をたたいた。
そして慌てて私がそれを追いかけるとケガだらけで気絶している陸人を見つけたという次第なわけだが……まぁ。これを本人に言えば確実に引くだろう。
だからこそ私はそのことを言えない。
それに……
「なんでだ……なんでだ……」
これ以上追い詰めたらこいつが壊れそうだしな。
「はぁ…。話を続けたいから戻ってこい。」
私はそう言って陸人の頭を軽くはたいた。
「ハッ!?」
「戻ってきたようだから話をつづけるぞ。ある程度発達した化学を扱う科学者たちは人間なら誰しもが持つもの、感情に目を付けた。」
「感情に?感情がどうやったらエネルギーに変換できるんだよ。」
その陸人の指摘もまっとうなものだろう。だが、しかし
「そうはいっても実際に感情を取り出してエネルギー化する技術が生まれた結果エレメリアンが生まれたのだからそうとしか言いようがないだろう。恐らく本人たちも自分たちがどうやって生まれたのか把握しているものはいないはずだ。」
そうとしか言いようがない。というのが実際の所だった。
「……そうかよ。で、それでお前とそのエレメリアンと何の因縁があるんだよ?」
「私は奴らによって殺されたんだ。自分が守りたいもののために戦ってな。」
「そう………なのか。悪いな聞いちまって。」
「かまわない。どちらにせよ割り切らなければならない記憶だったからな。」
私の言葉を聞いて申し訳なさそうに謝る陸人に対して私は笑いながらそう返し、立ち上がる。
「それじゃあ私もお風呂に入って来るとするかな。………覗くなよ?」
「覗かねぇよ。誰が好き好んで手首に
私はその陸人の返事を聞いてその通りだと内心笑いながらお風呂場へ向かった。
脱衣所で四糸乃とすれ違いになったが、その時彼女は何かを決心した様子だった。
お風呂から上がり、髪を乾かし、大事な
「すぅ……」
静かな寝息を立てながら胡坐をかいて私のベットにすがる陸人に寄りかかって寝ている四糸乃と
「………んッ!?」
時々そのように息を詰まらせたり、体をけいれんさせたりしている陸人の姿があった。
その時私はきっちり二人の様子を見なかった。…………だからこそだろう。私がその事実に気付けなかったのは。
あの時、陸人を守るように飛び出したメダルのエネルギーが出てきた右掌に氷でできたような膜が張っていたことに。
私がその時に何があったのか気付いたのはそれからしばらく経ってからだった。
……………気が付くと海の上に浮かんでいた。
「ここ……どこだ?」
そう呟きながら
「って!?俺海の上に立っとる!?」
本来人間は海の上に立つことなどできない。だが、その時俺は完全に海の上に立っていた。
………まあ、落ち着いてみれば足元に小さい氷の足場があり、その上に立っているということに気付けたのだが…。
ふと、遠くから轟音が聞こえた。
「なんだなんだ?」
音が聞こえるということは誰かがいるということ。その誰かからこの異常な状況を説明してもらえるかもしれない。
そう思って俺はそちらの音がする方へ進み始めた。
音がする方へ動く中であることに気付く。
そのあることというのは右手から唐突に発せられた冷気だった。
「なんじゃこれ!?」
慌てて右掌を左手でこすって温めようとこする。すると左手には手をこすった感触ではなく、何か固いものに当たるような感触があった。
「?」
不思議に思って左手を離してみる。すると右掌には紫色のメダルが3枚あった。
「……恐竜系メダル…。」
何でこれがここに?という思いが強く生まれた。だけど、その疑問を考えている暇などその次の瞬間無くなった。
「!?」
甲高い奇妙な音が頭の上を通り過ぎる。反射的に耳元を両手でふさぎ、頭上を見上げるとエイをやけに角ばらせるとこのような感じになります!みたいな物体が飛んで行った。
その飛行物体の行く先を目で追う。するとその先には
「……」
何かを呟きながら髪をなでるセーラー服をまとい、よくわからない機械を背負っている女の子が海の上に立っていた。
「なっ!!」
物体の目的を何となく察する。あれはあの子を攻撃するつもりだ!!と。
反射的にいつの間にか握られていたオーズドライバーを腰に当て、さっきから持っていたままだった恐竜系メダルを今自分にできる最高の速さでスロットに差し込む。そして少女の方に駆け出しながら
「変身!!」
スキャナーをメダルの上に滑らせた。
<プテラ!トリケラ!ティラノ!! プットッティラ~ノ、サ~ウル~ス♪>
音声が流れ、水面を駆ける体を光の帯が包む。
「間に合え!!」
背中の羽を展開し、飛行物体よりも速いスピードで少女の元へ到達する。そしてそのままの勢いで俺は彼女を
「キャッ!?」
…………全力で突き飛ばした。
爆音が耳元で鳴り響く。背中から体中へとてつもない痛みが迸り、意識がチカチカ明滅する。
そしてその痛みが許容できる限界を超えた瞬間
「ヒュィア!?!」
体を跳ね起こす。周囲は真っ暗で物音一つもない。
ただ一つ言えることがある。それは、あのリアルすぎる痛みを俺に与えたのは現実ではなく、夢だったということだろうか。
「…………なんだったんだ……今の…」
右手で自分の顔を抑えながらつぶやく。
その問いに答えてくれる者はおらず、その瞬間俺の右目が紫色に鈍く光ったことに気付く者もいなかった……
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