それとある感想から一つ問題が出ていたため、注意書きをしておきました。
一話目の注意書きを必ず読んでからお読みください。
さて、今夜の調査報告についてだが、灯郞から重要な話があると聞いて四人とも俺の家に再度集合している。
「………」
「………」
「………」
「………すまねぇ」
そして今現在はその重要な話と言うのを聞かされて、灯郞を正座させた所だった。灯郞は頭をかきながら謝罪してくる。
だからといって、俺は別に説教する気はない。人間だれしも、失敗の一つや二つある。
それにだ。
「いや、寧ろよくやってくれた。相手の目的を少しでも掴めた上に、重要人物らしきあの娘を連れてきたのは間違いでもないかもしれない」
"空間"で意識を失ってから未だ目を覚ましていないようで、今は客間で寝かせているあの娘。
アーシアという少女のことを話に出す。
「? どういうことだよ」
「………
「関わっているだと?」
ゴーキの説明に灯朗が聞き返す。
「ああ。俺が中を調査したところ、あの教会には地下があってな。そこで神父共が何かの準備をしていたんだ。それで暫く見ていたら、使う道具―――ちょうどその娘を磔にできるほどの十字架があった」
「十字架………ですか?」
「そうだ。そしてそれには文字が刻まれていたんだ。ゼラクスに読ませた結果………
「! ってことは……」
さすが灯郞。情報整理も得意なだけあって理解が早い。勉強はダメダメだが。
しかしもう一方―――小川の方は判っていないようで頭の上に?マークを出している。
「………殺すなと堕天使が命令した理由が、"彼女に希少な神器があるから"というのであれば」
ゴーキの助言を聞き、小川は気付く。
「あの人の神器を、抜き取る……ってことですか?」
「今こちらが持つ情報からはその答えが妥当だ」
だが彼女の持つ神器が一体何なのかは今現在は不明。神父たちも用意されていた物を準備するといった様だったためキーワードになりそうなことは喋っていなかった。
もしかしたら堕天使が勘違いしただけで、よくあるタイプか、少し珍しいタイプか、それとも………
神をも殺せると言われる
「………う~む」
「どうしたゴーキ」
「………腑に落ちない点がある。この辺りはグレモリーの管轄だ」
「ああ、そうだな」
「ならなぜ………兵藤は襲われた?」
「は?」
「もし上層部が企てたのならば………態々この場所を選ぶと思うか? こんなところで堕天使が儀式を行う必要がどこにある?」
! さっきの疑問について理解できた。
確かにおかしい。どこが誰の管轄であることを、堕天使の上層部が知らないとは到底思えない。
つまり上層部か関係していないのか………?
「………わからねぇことばっかだな」
頭をかきながら灯郞が吐き出す。
俺を含めて全員が、その反応に頷く。
「……仕方ない、今日はここまでにしよう。明日の放課後にまたここに集合。あの娘はうちで預かって、明日の朝にいろいろ聞いておく。それで得た情報については今日と同じように昼休みに話し、少し整理する。以上だ。なにか異論は?」
話をまとめて全員に問いかける。
しかし、それに対して誰も首を振らなかった。
「解散だ」
◇ ◇ ◇
翌朝。
俺はいつも通り巳姫を起こし、今は二人で座禅を組んでいる。
ただ、いつもと一点だけ違うものがある。……俺たちから少し離れて痺れた足をほぐす金髪少女が居るところだ。
「……時間だ」
「ん」
座禅をやめて立ち上がる。
さて、目の前の少女―――アーシアについてだが、警戒心を少しでも和らげるため、今は素顔でコミュニケーションを取っている。
今起きている厄介事の中心人物かもしれないんだ。仲良くして情報を引き出せた方が良い。
ただ一つ問題がある。
彼女は日本語が喋れず、俺も上手く英語を話すことはできない。御手洗に行こうと迷っていたときは直接案内したり、ジェスチャーで使い方を伝えてはいるのだが、やはりやり取りしにくい。ホームステイされる側の気持ちという物が少しだけわかった気がする。
「はぁ」
「……幸真、何?」
「ああ、アーシアが……その娘が日本語喋れないから困っているんだよ」
俺は何を言っているんだろうか。巳姫に話したところで、ただの愚痴にしかならないというのに。何の解決にも―――
「えい」
と、いきなり巳姫が俺にタッチくる。すると俺は戦闘服の黒コート姿になった。
一応、巳姫が触って念じればこの姿になるのは知ってるが、これに一体何の意味が?
「巳姫、どういうつも―――」
「え? あ、あのー……」
………ん?
俺は今、聞きなれない声を耳にした。
いや、少しだけ聞き覚えのある……というか、さっき聞いたような声音だった。
この場にいるのは俺、巳姫、そして……
「えーっと………英語、話せるんですか?」
アーシアだった。
どういうことだ? さっきは英語で話しかけてきたはずなのに、今のは間違いなく日本語だ。しかも向こうが"英語話せるんですか"だと?
俺が考える中、巳姫が話してくる。
「それ、着ると何でも喋れるし、何でも聞こえる」
………それだけだと説明不足だと思うぞ。なんとなくわかるが。
「………要するに俺が話す言葉を相手の最適な言語に聞こえさせ、相手の話す言葉も俺に伝わるような言語になる、ということか?」
噛み砕いた俺の答えに巳姫はコクリと頷く。
つまり、俺は日本語で話しているが、相手には英語やイタリア語など自国の言葉で。相手は日本語以外の言語で話しているが、俺には日本語で聞こえてくる。ということか。
一年使ってたが初めて知ったぞ。かなり便利な能力だし。
とりあえず、これで面倒なジェスチャーなどをしなくて済む。
俺はアーシアに振り返り、未だ足を痺らせた彼女に手を貸す。
「あー、初めまして。俺は虚宮幸真。この家の長男だ」
「あ、は、はい! わ、私はアーシア・アルジェントと言います! アーシアと呼んでください! えと、それと………昨日はありがとうございました!」
自己紹介の最中なのに、いきなり頭を下げてお礼を言われた。
ただ一晩泊めてやったにしては大袈裟だと思うし、それは
「えと、イッセーさんを助けてくれて……」
首を傾げているのに気付いたのか、彼女は説明を付け足してくる。けれどイッセーなどという名の人物は知らない。
確認を取るため彼女に聞き返そうとしたその時。
―――クゥ~……。
「あぅぅぅ………」
目の前の少女が顔を赤く染める。どうやら腹が減ったらしい。これから朝食なのだが、出来れば直ぐに話したい。
―――グゥゥ~~~~……。
だが話を再開させようとしたその時、先ほどと………いやそれよりデカい音が聞こえた。今度は彼女からじゃない。
「………ごはん」
後ろにいた巳姫が自身の腹を撫でながらそう呟く。
やはり彼女が発した物だったようだ。
「………しかたない、朝食にしよう」
俺たちは道場を出て、朝ごはんの支度を始める。
一応、客……兼、捕虜? でもあるアーシアに要望があるか聞くが、特になさそうだったため適当に洋食にする。メニューはトースト、スクランブルエッグ、ベーコン、そして昨晩小川が作ったサラダの残り。
アーシアさんには空いている席に座ってもらい、俺と巳姫で用意する。
といっても、トーストは一度に三枚焼けるし、サラダは冷蔵庫から取り出すだけ。二つあるコンロで卵とベーコンをそれぞれ焼けるからすぐにできる。俺が飲むコーヒーもカップをセットしてスイッチを押すだけ。これ作った人はすごい。マジで便利だ。
あっという間に食事の準備は完了。アーシアは外国人だから箸の代わりにフォークとナイフ、それとスプーンを用意してある。
「さ、食べるか」
だが俺が促したところで「あ、ちょっといいですか?」とアーシアが聞いてくると何か唱え始めた。
なんでも、食事前の主への祈りという事だ。だが始めてすぐは気付かなかったが、唱えている最中、俺はある疑問を持つ。
なぜこんな信仰深いのに堕天使側なんだ?
普通のシスターがどれだけやるかはわからないが、アーシアの祈っている態度は俺から見ても真剣そのもの。とても堕天使側の教会関係者とは思えない。なんせ向こうなら神を冒涜しようと企むことなんてしょっちゅうなはずだからだ。
「………幸真、幸真」
気付けば隣に座る巳姫に袖を引っ張られていた。
アーシアの祈りが終わったらしい。
「食べるか。いただきます」
「いただきます」
「い、いただきます」
合掌して食事を始める。
俺はトーストにバターを塗り、巳姫はサラダを、アーシアはスクランブルエッグを食べていく。
途中でアーシアから「おいしいです!」と微笑まれたりもしたが、俺は「ありがとう」と一言返すだけで済ます。別に嬉しいと思ってはいない。
ツンデレ? おい、今言ったやつ出てこい。塵にしてやる。
………って、何言ってんだ俺?
おかしな考えを振り払い、アーシアにこの後のことを話す。
「アーシア……さん。食後に少しいいか? 話したいことがある」
「? わかりました」
頷いてくれる彼女を見て、俺はトーストにかじりついた。
さて、今日は忙しくなりそうだ………。平穏のために頑張ろう。
◇ ◇ ◇
「ふわぁー」
「………」
我、オーフィス。でも今は、虚宮巳姫。
隣にいるの、アーシア。
幸真に「散歩するならアーシアに町案内もしてくれないか?」って頼まれた。
だから、一緒にお散歩してる。
今は、商店街の真ん中。
「アーシア、どこ行く?」
「え?」
「我のお散歩、気まぐれ。だから行く場所、決まってない。いつもブラブラ歩くだけ。だからアーシア、行きたいところ、決める」
このあたり、なんでもある。
食べ物も、服も、ゲームも、なんでもある。
だから、アーシアが行きたいところ、決める。
「えーっと、じゃあ………?」
「?」
アーシア、一つの店を見る。
でもあそこ………
「あそこ、ダメ」
「え?」
「………幸真が行っちゃダメって、言った」
我、幸真と散歩したとき言われた。
だから行かない。
『えろげーや』、行っちゃダメって言われたから、行かない。
「じゃあ………あれ?」
「ん?」
アーシア、公園を見て走りだした。
我も追いかける。
着いたら、ベンチに男がいた。
………でも我、この男の気配、知ってる。
天龍で、赤いほうの………
「………アーシア?」
「………イッセーさん?」
「………ドライグ?」
ドライグの宿主、見つけた。
◇ ◇ ◇
昼時になり、俺こと兵藤一誠は公園で出会ったアーシア
「あぅぅぅ………」
でも隣には、シスターがレジで困っているというシュールな光景がある。
さっきからずっとこんな状態で店員もお困りだ。
仕方ないから俺と同じものを頼もうとしたそのとき。
「………これ」
横からメニューを指さす少女がいた。アーシアと一緒にいた女の子だ。
黒くて長い髪、底の見えない瞳をしている。名前は虚宮巳姫ちゃん。
背が低いから今はかかとを伸ばしてレジに顔を出している。
それでも顔が半分しか出ていないんだよな。かわいいんだけどね!
店員さんも戸惑ったけど、注文を受け取ってくれた。
一方でアーシアは軽くショックを受けてるようだった。
「あうぅ、情けないですぅ」
「………よしよし」
俯いてるアーシアの頭を、巳姫ちゃんが撫でだした。
こうしてみるとちょっと頼りない姉と、しっかり者の妹みたいだ。
「まあ、少しずつ慣れていこうぜ」
俺もアーシアを励ましつつ、三人でセットメニューを受け取ると、空いている席へ向かった。
途中で他の客が俺の後ろ、アーシアと巳姫ちゃんを見つめていたのは気のせいではないだろな。二人ともすごくかわいいし。
女性客はアーシアよりも巳姫ちゃんを目で追ってるけど。
テーブル席に俺と対面して二人は座る。
巳姫ちゃんはペチッと小さな手で合掌し、「いただきます」というとハンバーガーを包から少し出す。おおっ、礼儀正しい子だな。
でも食べようとする直前に彼女は隣を見た。
そこにはアーシアが困ったような顔でマジマジとハンバーガーを見つめている。
もしかして……。
「アーシア、食べ方わからない?」
「ぅぅっ!」
また巳姫ちゃんに先を越されるが、図星のようだ。これまた、なんというベタな展開。
「ドライグ」
巳姫ちゃんが俺に向かって呼びかける。
公園で出会ってから、この子は俺のことを「ドライグ」と言っているが、なんのことだからさっぱりだ。
理由を聞いても「ドライグはドライグ」と答えになっていないから、仕方なく俺は応じている。
「なにかな巳姫ちゃん」
「一緒に、教える」
? なにを…………ああ、そういう事か。
彼女が自分のハンバーガーを見せてきて理解する。
「姫君、これはこうやって食べるのですよ。アムッ!」
「ん、こうする。アムッ」
俺たちは手本として一気にかぶりつく。
巳姫ちゃんも俺の後に続くように自分のを食べる。
「そ、そんな食べ方があるなんて!」
「ポテトも手づかみです」
「なんと!」
「ナゲットも、手づかみ。アップルパイは、最後に食べる」
「おおー」
………なんというか、新鮮な反応だな。
巳姫ちゃんも、小さな口でモグモグと食べている。
本当、二人ともかわいいよ。
「アーシアも、食べる」
「あ、はい」
巳姫ちゃんに促されてハンバーガーに小さくかぶりつくアーシア。
もぐもぐとしっかり味わってる。
「お、おいしいです!」
目を輝かせてくるよ、この子。うん、笑顔が眩しいです!
「味わって食べる、良いこと。食に感謝する、大事なこと。塩一粒にも、我、感謝する」
フライドポテトを食べながら巳姫ちゃんがそう呟く。
キミ本当に小学生!? 塩一粒にも感謝するってどんだけだよ!
「そ、そうですね! ああ、主よこんなにもおいしい物をいただき感謝しま―――」
「ぐぉっ!!」
「きゃああ! イッセーさん大丈夫ですか!?」
アーシアが祈った瞬間、俺に頭痛が襲い、その様子に彼女が悲鳴を上げる。
あ、ああ………アーシア、キミに悪気はないんだろうけど……ね………。
悪魔にとって光の性質のものや、神聖なるものは天敵。他にも神に祈りをささげたり、聖書を読まれたりすると、俺ら悪魔は相当苦しむって部長に聞いた。
今実際に受けてその辛さってのがよーく、わかりましたよ。
頭を抱える俺に、ふと小さな何かが触れてくる。
「ん。我、ドライグを慰める」
巳姫ちゃんの手だった。彼女はそのまま俺の頭をナデナデする。
………なんでだろう、ものすごく癒される。ちっちゃい子の手ってこんなにも温もりがあったのか。ロリコン発言みたいだけど、今この時だけなら別にいいかも………。
って違う! やっぱり俺は美人でおっぱいの大きなお姉さまがタイプなんだ!!
ガバッと起き上がり、自分の頬を殴って意識を取り戻した。
あ、危うく新たな領域へ踏み出すところだった。この子はなんて恐ろしい
「ドライグ、へーき?」
コテンと首を傾げてくる巳姫ちゃん。
こんな子に恨みのこもった視線なんて向けられねぇよちくしょう!
「あ、ああ。大丈夫だよ」
彼女は「そっか」と軽く返すと、残ったポテトを口に入れた。
アーシアもいまだ心配している様子だったから、できるだけの笑顔で返して安心させる。
向こうはそれがわかったのか、ハンバーガーを食べるのを再開した。
しかし、アーシアが無事だったようで安堵した。あのあと突然消えたから気になっていたんだよな。
気がついたら巳姫ちゃんの家で世話になって、さっきまで町案内されていたっていってたけど………あの後一体何があったんだ?
う~ん………うし、とりあえず。
「アーシア、巳姫ちゃん」
「は、はい」
「ん?」
「今日は遊ぶぞ」
◇ ◇ ◇
「えい、えい、えい」
巳姫ちゃんが腕を振るたびに声を出す。
俺たちは近くのゲーセンにあるエアホッケーで遊んでいた。
始めは俺とアーシアがレーシングゲームで暴走し、巳姫ちゃんは足が届かなかったから傍で見ていた。
それが終わったところで、巳姫ちゃんがものすご~く、うずうずしてたから次のゲームは彼女に決めてあげ、エアホッケーをやっている。
始めはかる~く相手してあげようかなと思ってたんだけど………。
バシバシバシバシバシバシバシバシッ!
「ちょ、手加減してよ巳姫ちゃぁぁああああん!!」
高速で動き回るホッケーのパックを俺は必死で腕を動かし弾く。小学生相手に防戦一方だった。
強すぎる! 一発一発が早いうえに重い! そして的確に俺のゴールを狙ってくるぅぅ!
「す、すごいです! 二人とも頑張ってください!」
横で俺たちを応援してくれるアーシア。
ああ、でもさすがに限界………あ。
痺れてきた腕は見事に空振りして、ホッケーのパックがゴールした。
「また、我の得点」
誇らしげにアーシアに向かってピースする巳姫ちゃん。
ちくしょう! 大人気ないとか言ってられねぇ。ぜったいに逆転してやる!
………と思ったが、俺は彼女から一点も取れず、二十点先取されて負けてしまった。
小学生ぐらいの子にホッケーで負けるとか、悔しすぎて軽くショックだよ!
あまりに苦戦したから肩を回したりして調子を確かめる。
そしてふと気づいた。アーシアたちがクレーンゲームの前で商品をじっと見ている。視線の先にはちょっと前から人気のあるマスコットキャラ、『ラッチューくん』の人形があった。
「欲しいのか?」
「え! い、いえ、その………」
頬を染めるアーシア。でも最後には小さくコクリと頷いた。
「我も、欲しい」
巳姫ちゃんもクレーンゲームに張り付きながら答えた。
「うし! 俺が取ってやる」
「え! で、でも……」
「いいからいいから」
即コインを入れて始める。二個取らないといけないからな。それなりに自信はあるけど、集中してやらねぇと。
だがなかなかうまくいかず、一回目は論外、二回、三回目は引っかかりはしたが落ちてしまう。そして四回目のチャレンジで……。
「お!」
ラッキーなことに、持ち上がった奴の脚にもう一個、引っかかりながら出て来たではないか!
そのまま二つは―――
「うっしゃ、ダブルゲット!」
「や、やりましたね!」
「やった」
俺たちは歓喜のあまりハイタッチする。いや~、一個でも取れるかどうかって感じだったが何とかなってよかった。
人形を取り出して二人に渡すと、二人ともそれをぎゅっと抱きしめた。
「ありがとうございますイッセーさん。大事にしますね」
「ん。我も大事にする」
「おいおい、そんな人形ぐらいまた取ってやるって」
そうは言ったものの、巳姫ちゃんが「そんなことない」と首を横に振る。
「思い出が形で残れば、思い出は記憶にも残り続ける。繋がりを忘れずにいられる」
「ええ、このラッチューくんはお二人との出会いが生んだ宝物です。この出会いは今日だけのものですから、この人形を大事にしたいです」
………なんとも小学生離れした考え方。アーシアもアーシアで恥ずかしいセリフだ。
でもアーシアが言うと様になるな。
もう巳姫ちゃんは同い年ぐらいの子だと思った方が良いんじゃないかと考えてしまう。でも……。
「次、アレで遊ぶ。アーシアも、やる」
手を繋いで次のゲームへちょこちょこと歩いていく。こういうところを見れば、やっぱり無邪気な子供って思えてくるな。
………まあいいか!
「はい! イッセーさん、行きましょう」
「ああ、今日は遊びつくそうぜ!」
テンションが上がってきた俺は、二人とゲーセンの奥へ進んだ。
◇ ◇ ◇
「ははは、遊び疲れちまったな」
「は、はい」
「ん」
俺たちはゲーセンでさんざん遊び、公園のベンチで休んでいた。
いや~、にしても前に松田たち―――俺の友人とゲーセンに行ったのが春休みぐらいだったからな。しかも今回は美少女二人と! 大満足ですよもう!
ふと隣に座る巳姫ちゃんがジーッと俺を―――正確には俺の足下を見ているのに気づく。数秒経つと、今度は俺の前でしゃがみこんできた。
なんだ?
「えい」
「つっ………!」
左のすねを叩かれ、思わず声を漏らしてしまう。
そう。叩かれたのは昨日の夜神父にやられたところだった。
「ドライグ、ケガしてる」
「え! も、もしかして……ちょっと見せてください」
「あ、ああ」
俺は言われた通り、ズボンの裾を上げ―――昨日やられたときの銃創を見せた。アーシアは俺の前に屈み、傷に手の平を当ててくる。
「じっとしててください」
するとアーシアの手から緑色の光が発せられてくる。
………温かい光だ。
「これでどうでしょうか?」
光が止まり、俺に足を動かすよう促してくる。
おっ? おお!
「すげぇ! 違和感も痛みも全然ねぇ! すげぇよアーシア!」
軽く小走りしてみたが問題ない。むしろ脚の調子は絶好調だった。
はしゃぐ俺を見ながら、アーシアは微笑み、巳姫ちゃんは呟く。
「アーシアの癒しの力、
………え?
その言葉を聞いた瞬間、俺はピタリと止まり、巳姫ちゃんに振り向いた。
「巳姫ちゃん
俺の問いに彼女はコクリとうなずく。
「我、いろいろ知ってる。ドライグも、アルビオンも………ゼラクスも、神器に眠ってる」
最後の方は声が沈んでいたが巳姫ちゃんはいいきる。
いろいろ? いったいどういうことだ?
それに『ドライグ』って、俺のことを呼んでいたし……。
うーん、謎すぎる。この子はいったい何者なんだ?
「……………!」
巳姫ちゃんが突然何かに感づいたかのように立ち上がる。
「くんかくんか………メロンパンの匂い」
………はい?
あまりに唐突で呆けてしまった。巳姫ちゃんは何か嗅いでいるかのような仕草をしているが、俺やアーシアはそんな匂いは全然わからない。
「………我、メロンパン買ってくる。アーシアとドライグ、ここで待ってる」
え!?
巳姫ちゃんはそれだけ言うと、すごい勢いで駆け出して行った。
………は、速い。俺、最近悪魔になって運動能力とか上がったけど、それよりも速い。
本当に………彼女は何者なんだ?
俺とアーシアは、巳姫ちゃんが戻ってくるまでその場で待った。
アーシアから自分の過去を聞きながら。
彼女と友達になると言いながら。
そして――――――――――最悪の再開を迎えることになった。
最近は就活と資格試験と教習所と………結構忙しいxixです。
それでも書いてみてやっと投稿です。読者の皆様にはご迷惑おかけしています。
今回は最後の方がちょっとグダグダな終わり方でしたが………一応、この後の展開はちゃんとできてはいます。
ただ文章にするのに時間がかかっているだけです。日本語って難しい………だからって英語が得意でもないんですがね(笑)
さて今後についてですが………原作に登場していないキャラクター、またはオーフィスなどちょっと性格が変わったりしたキャラの紹介をしたいか読者の皆様に聞きたいのです。
見たいという意見が多ければ書いてみますし、多くなければ書かないと思います。
その意見については感想などに送ってください。
では、また次回
追記―――注意書きを第一話の前書きに入れました。