俺の名前は村田サトシ。友枝中学校3年のただの野球部員だった。1ヶ月前まではな。
ふっふっふ。しかーし、なんと俺は、ある日起きるとゲーム世界に日本に転移してしまっていたのだ。
ジャンプ人気作でスパロボをしてしまおうというとんでもゲームだった。名前はスーパー世界大戦。俺がそれを買った翌日の朝に、気がついたらゲーム世界に転移していた。残念ながら一度も遊んでないし、ゲーム自体も今手元にない。が、記憶が確かなら、参加作品にはDr.スランプ、ドラゴンボール、ナルト、ワンピース、ハンターハンター、ワンパンマン、トリコ、こち亀、デスノート、銀魂、斉木楠雄、ソーマ、ToLoveるがあったはずだ。
もうツッコミだらけだよな。「スーパー系しか活躍できないじゃん!」「ドラゴンボールが勝つじゃん!」「デスノート無敵じゃん!」「地球爆破で何回も死んじゃうじゃん!」とかいろいろな。だがそこは補正がかかっているらしい。
例えば、アラレのパンチで地球が割れても、さしたる地震も火山噴火も起こらないとかな。実際日本では何度か『震源地ペンギン村付近』の地震が観測されているがマグニチュードも震度もしょぼい。
飛行機は現実地図の東の果てである日本から西の果てであるハワイの間しか飛べないようになっている。その外へ出たら謎の風と圧力と磁場で墜落する。ペンギン村はギリギリ日本。ペンギン村の北にナルトの大陸があって忍者がいっぱいいる。この世界の日本は忍者をボディーガードにけっこう雇っている。おもしろい。
この星はとても巨大で、世界地図はまだない。だが大まかな地図は地理の教科書に載っている。ワンピース世界が元になっているようで、東西南北の海とそれを区切るレッドラインとグランドラインがある。日本とナルト大陸は南の海にある。ネットで調べたところ、北の海は何でもグルメグルメ書いてるからおそらくトリコ世界の大陸がある。ハンター協会もあるからハンターハンターの大陸もありそうだ。
東の海はヒーロー協会があって海賊は最弱らしい。ワンパンマン世界だろうか。
そして西の海。カプセルコーポレーションがある。
なお、ゴールド・ロジャーは10年前に死んだようで、大海賊時代が始まっている。が、この辺にはあまり影響がない。星が大きすぎるためだろう。
俺は死にたくないし俺つええがしてみたい。両方の意味でドラゴンボール世界は重要だ。一度も死なずにこの世界をクリアするには宇宙船で星の外へ逃げることが重要だろう。さすがに魔人ブウに勝てるほど強くなれるとは思わないから。しかし南の海の飛行機や宇宙船では南の海の謎の気圧、磁場、風で墜落してしまう。まともな宇宙船を作るためには大天才ブルマ様の頭脳が必要だ。そして俺つええ。これも大天才ブルマ様のトレーニングルームが重要になってくる。亀仙人の修行も重要だがな。一番いいのはシェンロンに頼んでサイヤ人にしてもらうことだ。
よって俺は高校は西の海へ行き、ブルマの高校へ通う。シェンロンにサイヤ人にしてもらう。めっちゃ鍛える。俺つええしてモテモテ。完璧だな。
転移してすぐにナルト大陸で動きがあった。九尾の妖狐が木の葉を襲い、四代目火影が死ぬなど酷い被害があったようだ。里のパワーバランスが崩れたことで再び忍界大戦が始まってしまうかもしれない。難民の受け入れ、武器支援、いやいや裸で戦地に行って説得を、などとニュースで言っていた。
ナルト世界のモブ娘はかわいいし真面目なので受け入れてもいいと思う。男はいじめっ子率50%以上なのでいらない。卑の意思はいらない。
夏の中学野球の大会が始まった。初戦の相手は東和台中学校。去年までは雑魚だったようだが今年は強豪の和泉中学校と練習試合でいい勝負をしたようだ。注意だな。
「まあ、勝っても負けてもどっちでもいいが」
俺の意識は既に西の都にある。そしてその後の俺つええに。
試合結果はコールド負けだった。敵に怪物が2人いた。まずはピッチャーのわたると呼ばれていたクソチビ。身長150cmくらいのチビのクセにとんでもないピッチャーだった。そして身長2m越えの宮城。あいつのホームラン場外を余裕で越えていたんだが、本当に人間か? ドラゴンボール世界入っちゃってるんじゃないか?
さて、中学野球は終わった。家に帰ると、顔や性格はそっくりだが厳密には別人の母が尋ねてきた。
「これから受験やね。進路どうする? 野球で選ぶ? 勉強で選ぶ? それとも地元?」
ゲームの選択肢みたいな質問の仕方だな。やはり知っている母のようで別人。
「野球はもうやらない」
「ふーん。でもせっかく鍛えたんだし何か体を使って人に役立つこと目指したら? 警官とか海兵とかさ」
やはりゲームの選択肢みたいな質問だ。警官といえばこち亀コース。海兵と言えばワンピースコースなのだろうか?
だが俺はいずれも選ばない。
「西の海の西の都で勉強する。科学が最も発達しているのはあそこだから」
「は? はあ!?」
うわっ、めちゃくちゃ怒った。なんだこの反応。まあ高校から外国と言ったら現実の母も怒るだろうがな。
「無理に決まってんでしょ。あんたに一人暮らしなんか。いいから地元の高校にしときなさい。だいたいあんな遠いとこに行くお金があるわけないじゃん」
「だめ?」
「だめ。忍者雇ったら家が傾く」
うーん、そうなのか。まあ確かに金はかかりそうだよな。何せ現実世界の世界一周旅行よりよっぽど遠いのだから。危険度も遥かに上だしな。ルフィのような超人ですら最弱の西の海で何度も死に掛けたわけだし。
まあいい。俺もいきなり行くのは不安だった。鍛えてから行こう。南の海のナルト大陸やペンギン村に興味があったしな。ToLoveるにもな。そっちのフラグを目指してみよう。
「じゃあ地元で勉強するよ。大学で西の都を目指す」
「大学の学費だってバカにならないよ。行くなら奨学金で留学にしてね」
「分かった。頑張る」
「って、本当にそんなに勉強するの? どうしたの急に?」
「科学に興味が出てきた。宇宙船とかに憧れる」
「へえ。ふーん」
その日から勉強とトレーニングの日々が始まった。トレーニングは野球をやっていた頃よりやる気が出た。そのためかどうかは分からないが、かなり勢いよく身体能力が伸びていった。例えば50m走なら7.0秒から一ヶ月で6.7秒に。ハンドボール投げは30mから一ヶ月で35mに。勉強は部活による拘束が終わったから急激に伸びるのは当たり前だ。学年順位30位から一気に1位になった。
と、その頃、急に空が暗くなる事件があった。全世界で同時に起こったらしい。もしかしなくともピラフがシェンロンを呼び起こしたのだろう。願いを叶えたのはウーロンだがな。くそーっ、ブルマがモロ見せする場面は終わってしまったか。と言っても、どう頑張ってもあのイベントに間に合わせるのは不可能だっただろうがな。
もう辞めた野球の話だが、なんと俺たちを破った東和台中学校が全国大会で優勝したらしい。特に沖縄出身の2人がすばらしい活躍を見せたようだ。……できすぎている。おそらく何かのマンガだったのだろう。
受験は地元の高校を受けた。ほぼ全問正解で軽く合格した。
それから程なく、最近心臓発作で亡くなる人が急増している。特に犯罪者に多い。というニュースが流れた。デスノートも始まったようだ。怖いなあ。目立たないようにしないと。
いや待てよ。俺は夜神ライトの正体を知っている。金儲けに利用できないか?
……でも目立ったら怖いし。うーん。
高校に入学した。驚くことに美女率がとんでもなく上がっていた。というより俺の知り合い以外全員美女。それもアニメ顔のような目が大きい感じ。かと言って大きすぎて気持ち悪いということはない。
これは恋愛でも期待できそうだ。
入学してすぐに、1週間ボランティアとして1ヶ月間ナルト大陸に支援に行く人を募集しているという話があった。例の九尾事件で傷ついた火の国への支援だ。成績優秀であること。体力に自信があること。正義感を持って我が校に恥じぬ行動が取れる人。などなどの条件があったが、俺は全て揃っている。
事前にナルト大陸へ行って仲間フラグを立てるのは重要だ。俺はそのボランティアに参加を申し込んだ。
簡単な体力試験、筆記試験の結果合格。事前に研修があった。
「リクドウ大陸と我々日本列島の住人は同じ日本語を話す民族として古来から良い関係を築いてきた。特に日露戦争、日清戦争、大東亜戦争の勝利には忍びの力が大きく貢献した。日本がアジアで唯一、世界政府非加盟国にも関わらず平和を教授できているのもそのためである」
細かいところだがこの世界では第二次大戦で日本が勝っていた。忍びの力で。これが今後どう影響するかは分からない。とりあえずドイツとの冷戦はなくイスラムでのテロもない。
研修が終わり、数日後、出発当日となる。制服で学校に集合する。バスで出発し、東京湾へ。団体毎に船に乗り込んでいく。
と、眉毛の太い警官を発見。あくびをしながら警棒を持って車を誘導していた。
両さんからは貧乏の匂いしかしない。
フラグを立てないように大人しくしておき、リクドウ大陸へ出発する。
20時間程で火の国へ到着。朝出発して就いた時は早朝。疲れた。
「真中くん、大丈夫?」
「ありがとう東城」
「あっ、ずっるーっい」
「な、なんだよさつき」
同じ船から下りてきた高校生の集団を発見。なんか情けない男が美少女に囲まれてラノベっぽい雰囲気だった。イラッとした。
ナルト世界には自動車がない。日本から輸出する気もない。理由は知らないが、自然保護とか貿易赤字とかそういうのを気にしているのだろうか。
俺たちは船から物資を降ろし、手押し車に積んでいく。現地人も入ってきてどんどん積んでいく。
「はあ、はあ、はあ。やばい。すごいわね。こっちの人の体力は」
例のラノベ少女が汗びっしょりで顔を手で仰いでいた。汗で服がぬれてブラジャーが丸見えだ。それを例のラノベひょろ男が発見、おもしろい顔でガン見する。
「お、おいっ! 見えてっ」
「真、真中くん。私達もそろそろ休憩しよっか」
「ちっ」
真中とやらがブラジャーの件を指摘しようとすると黒髪の美少女が遮った。ブラジャーの少女は舌打ちした。見せブラだったらしい。
真中くん、やっぱりラブコメ主人公だろ! 今の中学生は知らない年代の!
船から荷物を降ろすと、次はその荷物を町まで運ぶ。なかなかの重労働だ。
だが、だからこそ修行になる。俺は体に鞭打つつもりで、できるだけ重そうなやつを一人で運ぶ。
「真中、一緒に運ぼっ」
「えっ、おいっ」
しかし真中とやらはなんと女と二人で二台を押し始めた。前が女で後ろが男。女の短いスカートからパンツが見えるという要領だ。
「おうおうおう! 日本の高校生か! 青春してるなあ!」
「えっ」
と、来たあああ! ナルトキャラ! ゲジ眉おかっぱ!
俺の10倍ほどの荷物を走るような速度で一人で運んでいる。そして今俺を抜き去った。
体術だけでナルト世界最強に近づいた男、マイト・ガイ。弟子入りしたい。……いや、やっぱやめておこう。
仕事はふつうにこなした。昼には現地の作業員とこっちのボランティアで一緒にご飯を食べた。木の葉の額当てをしたかわいい女の子を発見。聞きたいことがあったので話しかける。
「ねえ、ちょっと質問があるんだけど」
「なに?」
「俺さ、大学は西の海の西の都で学びたいんだよ。でもこっから行こうとしたら船と護衛が必要で、すごくお金がかかる。俺にはそんな金はない。だけど木の葉の人だって外の海へ行くことはあるだろう? だからついでに乗せてもらったりできないかなあって」
「うーん、大海賊時代が始まってから海賊になった忍者はいるけど、里抜けは重罪だからねえ。もちろん任務で外に出ることはあるけど、たいてい任務は秘密だし」
「じゃあ休暇で外に出るとかは?」
「南の海の中でならありえるけど、レッドラインやカームベルトを超えるのはさすがにダメだよ。休暇中に帰って来れない」
「うーん、この……」
世の中上手くいかないな。
美少女を引き抜いて海賊団みたいなの作ろうかなとも思ったけど、里抜け自体が重罪なんだね。まあ白とザブザもそんなこと言ってたね。
その白なら安く雇えそうだけど、ザブザがいらないね。怖いし賞金首だしで。