我が名はスカサハ、影の国の女王哉   作:Marydoll

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契り、未だ果たされず

オイフェにとって、スカサハという女は余りにも不可解に過ぎる存在であった。彼女は、自分のことは棚に上げても、齢幼い頃から大人しく、謙虚で、深慮遠慮を図り取れる聡明さを有していた。大人顔負け、というのとも少し違う。彼女の有り様はもはや老年のそれに近しいものがあった。

大人気な子供、というならばまだわかる。理由の如何は測り難くとも、理解と納得は出来る。

しかし、スカサハのそれは違う。それも、全くといっていいほど。子供の姿をした大人、とそう言い表す方が遥かに彼女に見合っている。

この二つは似ていて、けれど背反している。

スカサハのオイフェを見る目には常に愛情と、何より庇護の感情が見え隠れしていた。それは、オイフェを守るべき弱者であると見定めた瞳。つまり、少なくともスカサハにとって、オイフェは下にいるものであったということ。

悪い意味では、ないだろう。

見下しているわけでも、自分を過分に評価しているわけでも、またないはずだ。血の繋がりの真偽を気にすることなく、ただオイフェがスカサハにとって妹であるからという理由であったのだろうと、オイフェは述懐する。

「お前、私を舐めているわけではないだろうな」

 

光が見える。

温かくて、眩しくて、どうしようもないくらいに輝いている黄昏の光明が窓から差し込んでいた。

スカサハの部屋は、余りにもものが少ない。ベットと鏡台、タンスに小さな丸テーブルと椅子が二つあるだけ。しかもそのテーブルと椅子も、オイフェがこの部屋に入り浸るようになった辺りに突然増えたものであるのだ。それを考慮すれば、やはり彼女の私物は少なすぎると思われても仕方のないものであった。実際、オイフェもそう思っているし、何度もスカサハに苦言を呈したこともある。質素を通り越して無機質な部屋は、いっそ気味の悪さすら滲み出ているような気さえする。飯事の道具を取り揃えて並べただけ、とでも言うような雰囲気を醸し出しているのだ。

舐めている、と言われた当のスカサハは、小さく首を傾げて疑問を投げかける。

 

「…………どうして?」

 

本当に質問の意味を理解できていないようだった。オイフェは嘆息してしまう。まあ、そんなところだろうとは思っていた。ただ、そう問わずにはいられなかったというだけのことだ。

どうしてそんな問い掛けをしてしまったのか、オイフェ自身にもよくわからなかった。自分の気持ちを、自分自身で汲み取れない状況に苛立ちを感じる。果樹酒を一口煽って、喉元を灼く熱諸共呑み下す。けれど、長年感じていた焦燥にも似た、煮えたぎるような思いに、堰の役割を果たすには能わない。

 

「お前は、私を弱者として見ているのではないだろうな……とそう言ったんだ」

「そんなこと……」

 

オイフェの責めるような言葉に、スカサハは眼を伏せてしまう。麗しいその面には陰が差し、一見素面のようでも楽しげであった表情も陽の光を閉ざして、翳ってしまう。

思わず失敗した、と臍を噛む。

凛とした見た目の割に、痛く精神の脆さを抱えたスカサハは、特に、咤や叱責には過敏な反応を示す。スカサハは、そしてオイフェは彼女の努力の程を理解している。それを努力不足だなどと言ってしまえば、スカサハは死神にでも出会ったのかというほどに傷ついてしまう。刃物の前に押し出された生娘は、ただそれに怯えてうずくまってしまうことしかできないのだから。

けれど、今のオイフェはそんなスカサハの様子さえ苛立たしい。

どうしていつもそうなのだ。

お前は強いはずなのに、どうしてそんなに己を卑下してしまう?

どうして、お前はいつも私をそんなーー

 

「ーーその眼だ」

「…………えっ?」

 

気づけばそうぽつりと漏らしていた。口がオイフェの意思に反して空転する。果樹酒で塗れた歯車は、決して止められない。一度回り出したら、もう螺子ごと叩き壊さなければ、止まれない。

夜色の夕陽が身に染みて、痛ましい。節々からぎしりぎしりと何かが毀れていく音が幻聴となる。奥底から響く不快音は、けれどオイフェの胸から湧き出るものであった。

 

「その眼が、私には許せない。気に食わない、なんだその眼は」

 

一度覗き込めば、あとはそこへと落ちるまで。語るに落ちるとはまさにこのことか。そしてもう、決して後戻りは出来まい、どうしようもないのだこの感情は。

 

「お前は私を何だと思っているんだ。私の為すこと総てを児戯に等しく見ているのか? 巫山戯るのもいい加減にしろよスカサハ」

 

それは、逢魔が時、ここ一時の夢か。泡沫のように消えゆく言葉の数々は、しっかりと彼女に届いているのだろうか?

「お前が私をそんな風に見るから……お前は、そんなに愚かではない。弱くもない。なのにお前は、いつも私を、何のつもりなんだ……」

「ーーねえ、オイフェ」

 

はっとする。

オイフェは、その名を呼ばれて顔を上げる。

目の前には、しとと此方を見つめるスカサハの赫い瞳。優しげに口元を緩ませ、嫋やかな仕草でオイフェの頬に両の手を当てる。冷たいその手はオイフェの激烈な熱を鎮めて、消し去ってしまった。そうやって、しゅんと落ち着いたオイフェの様子にくすりと微笑んで、スカサハはその手を離してしまう。自失するオイフェを他所に、スカサハは机を回って、まるで下女のようにオイフェの前に膝をつけた。

 

「あのね、オイフェ」

「……………………なんだ」

「私はね、とても強いの」

 

気の弱いスカサハが、そう言うのに息を呑む。不意を打たれてオイフェは思わずとたじろいでしまう。

オイフェを下から覗き込むように見つめて、スカサハは言う。

 

「私はこれから、もっともっと強くなる。それはきっと、ほんとのこと」

 

当然のことだ。オイフェはそう言ってしまいそうになる。

卑屈にすら見えるスカサハであるが、それはスカサハの精神性がそうさせるのであって、周りがそうさせるわけではない。むしろ誰もが彼女を褒め称える。美しく強い一人の少女に、総てが魅了されてきたのだ。それは天性の才能とも言える。武も知も、何もかもが秀でている彼女が、弱きになるはずがあり得ない。

しかし、そう言うのは何故だか憚られた。大木のような固い意志が、そこにあるからなのだろうか?

それともーー

 

「だから、ね? 貴女は何も、心配しないで」

「…………お前は」

「お願い」

「………………」

 

縋るように潤む瞳も、微かに震える肩も、総てがまるでか弱く見える。

違うだろう? 違うはずだ。

お前は強い。そうであるはずなのに。これから先を生きる彼女は、いったいどれ程の苦痛をこの小さな身体に負うのだろうか。どれ程の重責を、その細腕で抱え込むというのだろうか。

私が居ながらも、それでも孤独の中を生きようと、そう言うのか。

 

「……………………」

「ーーーーーーー」

 

ーー違う。

それは決意にも似た否定。無情な現実を強く否む。

彼女はーー

スカサハは、決して独りなどではない。

オイフェは、スカサハの枯れ果てた樹木のような弱々しい身体に、ゆっくりと腕を回す。折れないように、けれど熱だけはしっかりと伝わるように、徐々に、徐々に、力を込めて行く。

耳元にスカサハの吐息が触れる。華のような薫りが混ざり合い、倒錯的な劣情を表層に浮かばせる。椅子からゆっくりと床に座り込み、スカサハの身体に纏わり付くように身体を重ねていく。

気づけばオイフェは、上下に重なり合うようにしてスカサハにしなだれ掛かっていた。スカサハの仇顏を間近で見つめる。少し擽ったげに首を振るうスカサハに、ゆっくりと顔を近づける。

次は、互いの吐息が触れ合い、混ざって、天に上っていくよう。顔を突き合わせ、今にも唇がついてしまいそうになるまで、絡みつき、纏わり付いて、抱きしめる。

けれど、熱っぽい身体の中、オイフェの中の冷静な何処かが、寸前でその行為を食い止めた。

きっとーー

きっと、スカサハは立ち止まりはしないだろう。オイフェを置き去りにして、何処か遠いところに消えてしまうのだろう。このままでは、本当に彼女は冷たい闇の中を、たった独りで手探りに歩まなければならないのだろう。

だとするならば。

オイフェに出来ることは、いったい何があるだろうか。

支えは、いるまい。彼女は独りでも歩いていける。

ならば、私が見るべきはーー

 

「ーースカサハ」

「…………なあに?」

 

心地よさそに眼を閉ざしていたスカサハが、ゆっくりとその瞳を覗かせる。少し動かすだけで唇がくっついてしまいそうな距離感を気にすることなく、オイフェの言葉を受け入れる。

 

「私はいつかーー」

「………………」

 

生唾を飲み込む。

これしか、きっと、方法はないのだ。彼女に報いるために、オイフェに出来る最大の報いは。

 

「お前を殺そう」

 

見つめる。

眼を逸らしたりはしない。

 

「いつかお前が苦しみに耐えかねて、もう一歩も歩けなくなってしまった時には、私がお前を、その苦しみから救い出そう」

 

予感していた。彼女にとっての最大の救いは、きっと『死』であると。

ならば、その思いにこそ従うべけれ。オイフェは眼を閉ざした。

 

「だから、必ず、何処にいたとしても、お前の今際のその時には、かならず私の処へ帰ってこい」

 

ーー絶対に。

 

スカサハは眼を見開いた。

そして緩慢な動きでオイフェの肩に手を回して、強くつよく抱きしめる。

返事はもはや、決まっていることであった。

 

 

 

 

『とんでもない男ね』

「……まったくだな」

 

呆れたようなマブの声に、スカサハもまた同様の声色であった。しかし、その声には幾ばくか以上の喜色も込められているように思えた。

クー・フーリンがこの影の国の門を叩いて(正確には通り抜けただけであるが)から、既に五ヶ月の時が経っていた。それはつまり彼の師として過ごす日々が五ヶ月間続いたことと同義。それなりに長い時間が経ったことで、クー・フーリンはそれなりの成果を発揮していたーーのであれば、スカサハも良しと笑って言えたであろう。それはもちろんクー・フーリンの修練の速度が余りにも遅かったからーーなどではなく、況や全く出来ていないというわけでももちろんない。むしろ逆、つまりスカサハの業の習得のスピードがあまりにも早過ぎるのだ。

他の弟子ならば、未だ槍の振るい方を懇切丁寧に説明している頃であろう。良く出来た者でも、スカサハの槍術そのものを教える段階まで至るものなどいなかったーーいや。そも他者が何千年と高め続けた武技の業を、ほんの一端とは言えど高々数ヶ月で垣間見ようというのが虫の良すぎる話なのだ。だが、クー・フーリンは違った。

五ヶ月という歳月は、人と人とが互いの人となりを知るには十分な時間であっても、その者の担う役割をも極められるのに十分な時間などでは決してない。短い。余りにも短いのだ。

 

『……………………』

「成る程な。太陽神ルーの血。高すぎる膂力も、その才も。そう言われれば納得できるだろうーーだが」

 

それだけでは到達できない何かを、クー・フーリンは有している。

たった今、スカサハの弟子、影の国の戦士、合わせて百三十人(・・・・)を次々と無力化していくクー・フーリンを高い場所から眺めながら、スカサハは恐ろしさと同時に耐え難き歓びも感じていた。

それはクー・フーリンの最上の才を実感し、その成長が確かとなってきた頃から、ずっと付き纏う酔いのような感覚。

オイフェをして謙虚と、そう評されるスカサハは、そのような誉れ高き男の師となれたことをーー何より、そのような『英雄』に師として認められたこと(・・・・・・・・・・・)を、誕生日を祝われた生娘のように喜んでいたのだ。

 

『…………ねえ、スカサハ?』

「…………?」

 

聞こえたマブの声は、少しだけ不機嫌そう。それとも、拗ねたよう?

スカサハはどうかしたかと問いかけた。

 

『いえ、そうね……これは言ってもいいことなのかしら……?』

「図らずも気になるような言い方をするな、なんだ?」

『うーん、まあ、いいかしら……』

 

マブは、何かしら自身の中で納得したらしく、うんうんと頷いて(そんな気配を感じて)、スカサハに言う。

 

『最近、夢は見る?』

「ーーーー…………いや、見ない……」

『そう』

 

スカサハは首を捻る。確かに最近夢は見なくなっている。だが、それは予知するに足らない日々が未だ続くというだけのことだろう。なんらおかしいことではない……はずだ。

しかしマブの唸り声に、スカサハは何だか不安になってくる。ここまで何か一つのことに不安げなマブを、今まで見たことはなかったからだ。

 

「なにか心配事でも?」

『……いいえ、心配事というか。えっと、おかしいとは思わない?』

「……? 何がだ?」

『だってーー』

 

二人の人間が、二人がかりでクー・フーリンを抑え込もうとするのを見て、スカサハは嘆息した。マブも瞬間黙り込む。失望、とは違う。何故ならクー・フーリンの強さは例外中の例外、その始まりからして特異的であるのだから。ならばこれは、何だろうか。

クー・フーリンが、最後まで粘る二人を同時に地に叩き伏せたのを確認して、それからマブはスカサハに言った。

 

『だって、クー・フーリンが貴方を驚かせなかった日って、どれくらいあるの?』

「ーーーーあ」

 

スカサハは思わずと声を漏らした。なんということか。

 

『彼が庭を全壊させちゃった時とか、加減を間違えて森を吹き飛ばした時とか、一大事ーーとは言わなくても、後々面倒なことになる事案ではあったはずでしょう?』

「いや……いや、なるほど」

 

クー・フーリンの存在が起こした問題は、先に挙げた二つ程度では当然収まりえないほどにある。それこそマブの言う通り、彼がスカサハを驚かせたり、呆れさせたりしなかった日が思い当たらないほどに。

 

「どういうことだ?」

『分からないわ。もちろん、クー・フーリンが貴方の敵ではないから、という理由づけもできるけれど』

 

それは、余りにも自身に都合の良いような解釈だ。希望的観測とも言える。

スカサハはまた、自身の中で鳴らされる警鐘を耳にしたような気がしていた。これから何か、大きなことが起こりそうな予感がしていた。

けれどスカサハは、内心その予感を否定する。何かあるならば、夢がそれを教えてくれるだろう、そう思っていたからだ。例え最近、その予知夢が行われなかったとしても、数ヶ月それが無かっただけでは、長年の能力を信頼してしまうのはやはり仕方のないことであったーーここで。

ここでもし、スカサハがこの現象に、多少の関心を向けていれば、どうだっただろうか。予知夢が起こらないことに、より一層に不信感を抱いていれば?

これから先に起こる出来事を、食い止めることは、出来たのだろうか。後悔先に立たずとは、きっとこのことだろうかーー

この予知夢のことを知っているのは、この世でたった三人のみ(・・・・)。ならばまさか、何者かによって予知夢が起こらないよ(・・・・・・・・・・)うな策を巡らされている(・・・・・・・・・・・)はずもない。

スカサハは、倒れ伏した戦士たちを全て介抱して、医務室まで連れて行く手伝いを終えて、庭の真ん中、つまらなさそうに欠伸をし出したクー・フーリンをちらりと流し見てから歩き出した。

まだ、クー・フーリンの修行は終わっていない。スカサハは彼の元へと急いだ。

やはり、胸騒ぎは途絶えることなく、続いていたのだけれど……

 

 

 

 

こちらに向かって歩いてくる女を見て、クー・フーリンは槍を担ぎながら自身も彼女の方へと歩み出した。

初めは奇妙な女だと思っていた。

けれど、それはクー・フーリンの大きな間違い、勘違いであった。

スカサハは思ったよりも遥かに分かりやすいタイプの人間であった。その長年鍛え抜かれた戦士の立ち振る舞いがなければ、正直、村の真ん中を歩いていてもただの綺麗な女だとしか思うまい。そんなちぐはぐな雰囲気を、スカサハは纏っていた。

クー・フーリンは思う。

恐らく、スカサハには戦闘に関する数多の才能があるーーが。

致命的なまでに、戦士としての(・・・・・・)才能が欠如していると。

これでは力があるだけの小娘だ。師であるスカサハに対して慇懃無礼にも等しい評価であるが、だからこそクー・フーリンは、彼女の凄まじさをしっかりと感じていた。

どれほどの年月、それを為してきたのだろうか。

怖かったはずだ。苦しかったはずだ。なにせ、彼女の根底にあるのは死に対する隠しきれない臆病さ。生きることへの渇望であるのだから。自ら戦火の真っ只中を突き抜けなければいけないその役目を、彼女は自らその背に追うことを良しとしたのだ。その決意には、いったいどれほどの思いの丈があるのかーークー・フーリンには、決して理解出来ないことだろう。何より彼自身が、それを実感していた。

 

「おう、師匠。取り敢えず言われた通り後始末までしておいたぜ」

「そこを誇っても意味がないことだろうが。それより、お前、何故槍を使わなかった?」

 

そう、クー・フーリンは先までの訓練において、ただの一度も武器を持たなかった。

影の国の戦士たちを見下しているわけではないはずだ。クー・フーリンの快活で心地の良い性格は、そのようなことを思わせもしない。

「そりゃあ、まあ……なんつうか」

「おい……」

「あァ、だから。意味ねえだろ? 俺が槍を持ってたら」

「どういうことだ」

 

恥ずかしげに頭を掻いて、クー・フーリンは言う。

 

「俺は、強い」

「ーーーー」

 

どこかで、誰かが言ったような台詞であった。スカサハは息を呑む。

 

「そんな俺が、武器持って何百人相手にして暴れ回ったって、誰も成長しねえだろ?」

「…………」

 

目を丸くするスカサハに、案外かわいいところもあるじゃないかと、クー・フーリンは思う。いや、もしくはそもそも、こうやってころころと切り替わる表情のように愛らしい性格だったのかもしれない。常に周囲に気を張りながら生活するスカサハは、随分と苦労していることだろう。こうやって不意に見れるスカサハの本来の一面を見ることは、クー・フーリンにとってもそれなりに面映いことであった。仮初めの姿に染まってしまっても、やはり芯は簡単には変わるまい。ならば、やはりこれこそがスカサハの本来の姿の一端であるのだろう。

 

「俺は、アンタの弟子だ。それはつまり、影の国の戦士の一人であるということに相違ない。ならば、戦友たちの為に事なすのも、当然のことだろう?」

「…………ふん」

 

ぷいと逸らされたスカサハの顔は、なんだかとても嬉しそうに見えた。錯覚であるはずもない。クー・フーリンはまた、けらけらと笑った。

そんな風に小馬鹿にしたように笑うと、スカサハは不機嫌そうにクー・フーリンの肩を槍の穂先で(つつ)いた。可愛らしい反撃であるーーように見えるが、不治の呪詛が掛かった槍で刺されそうになったクー・フーリンは慌てて後退する。そうなると始まるのはいつも通り師弟による命がけの追いかけっこである。

そんな二人の関係であったが、クー・フーリンは自身に追い縋るスカサハの姿が、けれどもどこか、満足そうにも見えるような気がしていた。

 

 

 

 

オイフェは、自身に付き従う勇猛なる戦士たちに向かった大いに叫んだ。

 

ーー進軍を開始する、と。




取り敢えず過去編が終わったらそのままfgo北米神話大戦まで飛ぶ予定

改稿の理由は活動報告にて、読んでおいて下さい
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