もう一つの箱庭物語 『更新停止 リメイク予定』 作:煌酒ロード
前書きに書くことがなくなりつつありますねw
では本編どうぞ
「なんて所まで来ているんですか!」
「世界の果てまで来ているんですよっと、しかしいい足だな。遊んでいたとはいえ俺に簡単に追いつくとは」
流石は箱庭創始者の眷属サマって事か。眷属と兎と聞いて思いつくのは帝釈天位だが実際どうなのかはわからん。
「まあ無事でよかったのです。水神に喧嘩を売ったと聞いていたのですがなにかの「売ったぞ?」え?」
「だから水神にケンカ」
そう言って俺は後ろを指さす。馬鹿でっかい大蛇が横たわるその場所を。黒ウサギは少しポカンとした後、絶叫した。
「つまりアレは神様の一種で、俺に試練を吹っ掛けてきた、と」
「まあそういう事なのですよ」
どうやらそういう事らしく、黒ウサギはでかい水樹の苗を抱えていた。なんとゲームクリアの報酬だとかなんだとか。
「所で黒ウサギ。お前、俺らに言うことがあるんじゃねぇの?」
「ハッ、そうなのですよ!私はお二人にお説教を・・・」
「違ぇよアホ。俺はテメエがしてる隠し事を全部話せっつってんだよ」
明らかに黒ウサギが硬直した。わかりやすい反応でいいな。
「観念してさっさと話せや、今なら聞いてやるぜ」
そう言って俺は近くの岩に腰掛け話を聞く体制をとる。黒ウサギは観念したかのように話し始めた。
曰く、魔王という物にコミュニティを潰された
曰く、最早コミュニティに戦力は残っておらず子供しかいないこと
曰く、名と旗印を取り戻すために魔王を倒すという目標
曰く、その為に俺達を呼び出した
それだけを聞いてから俺はそれを一蹴した。
「くっだらねぇ・・・」
「・・・なんですって」
黒ウサギの髪の色がまた緋色に染まる。明らかに怒っている。だが俺はそれでも言う
「くだらねぇと言ったんだ。仲間達の居場所を守りたい?笑わせんなよ、テメエはその自分勝手なエゴで仲間を失った上に新たな同士すら拒んでおいて今更になって同士が欲しいですってか?笑い話の種にもならねえぞ」
「・・・撤回してください。」
「いいやしないね。さらに言わせてもらえばこの状況を作り出してしまったのは誰でもない。テメエのエゴだよ」
そういった途端黒ウサギが俺の胸ぐらを掴みあげ、今にも殺さんとばかりの殺気を放ってくる。
「貴方にわかるんですか・・・居場所を無くした人達の・・・親を亡くした子供たちの気持ちが!」
「わかるかよ、人の心を理解出来るヤツなんていねぇからな。だが少なくとも仲間の居場所を奪ったのはお前だぜ黒ウサギ」
「何を・・・!」
「お前本気でわかってねぇのか?その場でコミュニティを解散し作り直しておけば少なくとも戦力の離散は避けられたし〝
黒ウサギが黙り込む。
「お前は今の堕ちた姿を仲間に見せびらかし、ここが我々の居場所だとかつての仲間に胸はって言えんのかよ?」
見るからにウサミミがしおれ、俺から手を離してへたりこむ黒ウサギ
「言い過ぎじゃないですか?十六夜さん」
「ハッ、冗談キツイぜ春日部。この程度もわからないようなヤツには言い過ぎてなお言い過ぎるくらいが丁度いいんだよ」
「それでも・・・、それでも黒ウサギは取り戻したいのです!かつて名を!旗印を!そしてその上で昔の同士たちに戻ってきて欲しいのです!だからどうか・・・どうか・・・」
そこまで言って黒ウサギは一度言葉を切る。そして涙に濡れた顔を上げ俺を真正面から見据えて
「お願いなのです十六夜さん!我々に協力してください!」
そう言って頭を下げた。
「誰も協力しねえとは言ってねえだろうが・・・、まあそこまでの覚悟だって言うなら協力してやるが・・・」
俺はそこで一度言葉を切り、俺も黒ウサギの顔を、目を正面から見据えて言う。
「後悔するなよ?テメエが選んだ道がどれほど絶望的でもな」
俺がそう言った時の黒ウサギの顔は、一瞬揺らいだものの、すぐにまた覚悟と決意を秘めた表情に変わった。
「当然です。たとえどんな茨の道でも黒ウサギは進むのですよ!」
「ハッ、上等だ」
俺は黒ウサギに背を向ける。
「俺はお前のコミュニティに行ってもいい。だが、一度固めた決意。ひっくり返すんじゃねぇぞ」
「当然なのですよ!」
俺は思う。ああ、この世界なら。俺の退屈が満たせるかもしれない。
said 飛鳥
黒ウサギが十六夜君と春日部さんを追いかけていってから、私は一緒にいる黒ウサギのコミュニティのリーダー、ジン=ラッセル君にエスコートを任せ、箱庭を堪能することにした。
「ずいぶん大きな天幕なのね・・・それに外から見たときは中が見えなかったのに」
「箱庭の天幕は中に入ると不可視になるんです。元々あの天幕は普通では日の光の下で生きられない生物のために設置されたものですから」
「それはそれは素敵なことね。この箱庭の中には吸血鬼でもいるのかしら」
「え?いますけど?」
「あら、それは是非とも会ってみたいわね」
本当に箱庭の世界は退屈しなさそう。お好きな店を選んでくださいと言われた事だし、とびっきり高い店でも当てて、そこに入ってみようかしら。それも面白いけどあのテラスの綺麗な店が素敵ね、そこにしましょう。
「入る店は決まったのかお嬢様?」
「ええ、あのテラスの綺麗な店にしようと思うわ、
「チッ、その済ました顔が崩れるかと思ったのによ」
「私の顔が驚きに染まるところを見たいのならそれ相応の物を用意するべきね」
「チッ・・・、覚えとくぜお嬢様」
「と言うか、いきなり荷物担ぎにされたかと思ったら光速を上回る速度で振り回された私の身にもなってください十六夜さん。死ぬかと思いましたよ。後降ろしてください」
十六夜君の方に荷物のように担がれながら、顔を青くさせている春日部さん。まあ、光速を上回る速度で振り回されたりしたらたまったものじゃない。私だってごめんだ。
「レディは大切にエスコートしてあげるものよ十六夜君」
「あん?荷物担ぎはまずいのか?」
「まず人を荷物のように扱うものではないわ。特に女性には優しくするものよ」
「わかりましたよお嬢様っと」
そういうと十六夜君は春日部さんを横抱き。所謂お姫様抱っこにした。少し春日部さんのポーカーフェイスが崩れたような気がしたが気のせいだろう。
「あの・・・色々あるでしょうけどまずは店に入りません?」
ジン君・・・ごめんなさい正直あなたの存在を忘れていたわ。それもそうね、いつまでも店の前に陣取ったままでいるのもマナー違反。さっさと店に入ってしまいましょう。
私たちはテラスの適当な席に座ると、思い思いに注文する。ちなみに注文内容は私と春日部さんが紅茶、十六夜君がコーヒー、ジン君が緑茶と言った内容。そして私たちは十六夜君が置いてきた黒ウサギを待たなければならないので談笑して過ごそうと決めた時。
「おんやぁ?誰かと思えば東地区最底辺コミュニティ、〝七誌の権兵衛〟のリーダー。ジン=ラッセル君じゃあないですか。今日はお目付け役の苦労詐欺は一緒じゃないんですか?」
「僕らのコミュニティは〝ノーネーム〟です。〝フォレス・ガロ〟のガルド・ガスパー」
品のないタキシード紳士ね。何をどうしたらあんなピッチピチになるのかしら。それにどうやらジン君の知り合い見たいね。不本意な
「黙れよ〝名無し〟風情が、聞けば新しい人材を異世界から呼び出したらしいじゃねぇか。コミュニティの誇りを奪われておきながらよくも未練がましくコミュニティを存続できたものだ。
そうは思いませんか、お嬢様方」
どうやらこのピチピチタキシードのエセ紳士の名前はガルドという名前のようね。それにしても
「同席をなされるのならば氏名を名乗り、一言許可を求めるのが礼儀では無いのかしら?ガルドさん?」
「これは失礼。私は箱庭上層部のコミュニティ〝六百六十六の獣〟の参加であるコミュニティ「烏合の衆の」リーダーをしている、ってマテや小僧!誰が烏合の衆だと!」
ジン君が横やりを入れた途端に巨大な虎のような姿になるガルドさん。種族としては獣人といったところかしら、どちらにしても面白そうなことには変わりは無いわね。
「ちょっとストップ。どうやら貴男達二人は知り合いのようだけど、私はそちらの方の事を知らないので説明してくれるとありがたいのだけれど。ついでにその
途端に苦い顔をするジン君。あら、そんなに嫌がることかしら、普通。まあよっぽど不味い状況なら別なのでしょうけど。
「そのお言葉はごもっともです。しかし彼はそれを説明したがらないでしょう。僭越ながら私にその説明をお任せ願えないだろうか?」
「結構よ。どうやら十六夜君と春日部さんは知っているみたいだし。そうね・・・・十六夜君にでも頼もうかしら」
「なんで春日部に聞かねぇのか気になるがまあいいぜ。話してやるよ」
それから聞いた話はショッキングと言えばショッキングでもあり、面白そうと言えば面白そうでもあり。要するに私が興味を持つには十分だったということよ。
「大体分かったわ。それを踏まえても私が行くのはジン君のコミュニティね」
驚いたのかいきなり立ち上がるガルドさん。そんなに慌てていてはせっかく被っていた紳士の仮面が剥がれてしまうわよ。
「し、失礼ですがレディ。理由をお聞きしても?」
「貴男にも貴男のコミュニティにも魅力を感じないからと言うのもあるのだけれど・・・・」
私はカップの紅茶を飲み、一呼吸置いてから
「私久遠飛鳥は。約束された将来も、地位も、財産も全て捨ててこの箱庭にきたのよ?それを今更たかが少し名の知れた程度のコミュニティの一端に加えてやると言われて魅力を感じるとでも思ったのかしら?あんまりこの私を舐めないでもらえるかしら」
黙り込むガルドさん。今その頭では必死に私をどうやって懐柔するか考えているのかしら?視ようと思えば視れるけれどそれじゃあ面白くないわね。
「で、ではそちらの方々は」
「悪いが俺達はもうソイツのコミュニティに入ることに決まっている。俺達を誘うのは無理だぜ」
そう言って不適に微笑む十六夜君と無言で頷く春日部さん。まあそうでしょうと思ってはいたけども。
「し、しかしお言葉で「
勢いよく口を閉じるガルドさん。何もそこまでしなくとも良いのに。
「私が聞きたいのはそれだけではないのよね、
再び椅子が壊れるのではないかと言うほどの勢いで座り込むガルドさん。そこまで勢いよく座らなくても別に責めはしないのだけれど。まあ座らせたのは私なのだけれど。
「さてガルドさん。貴男の体から血の臭いがする理由。
悲鳴を上げそうな顔になるガルドさん。しかしもう遅い。
「攫ったガキを殺しているから」
青ざめた顔で答えるガルドさんと顔色一つ変えない私たちと驚愕に染まるジン君。
「そんなに驚くことかしら?」
「ま、普通は驚くことだぜお嬢様。俺達の反応の方が普通じゃないんだがな」
「あらそうなの?言うことを聞かない連中を従わせる手っ取り早い方法。人質が一番効果的だと思うのだけれど?」
「それもそうですけど、とりあえず何で殺したか聞きませんか?おおかた予想はつきますけど」
「まあそれもそうね。ではガルドさん。どして子どもを攫っていたのか、そしてどうして殺したのか。
青ざめた顔で更に悲鳴でも上げそうな顔になるガルドさん。面倒くさいし呼び捨てで良いわね。それでも口を開くガルド。
「コミュニティを作る際に他のコミュニティから数人ずつ人質にとって自分たちに逆らわないようにしてある。無理矢理従わせたも同然の奴らだ。そうでもしないと言うことを聞いてくれねえ。人質を殺した理由は単純にイラついたからだ。
初めて連れてきた日にギャーギャー泣きわめいて五月蠅かったので殺した。それ以降は自粛しようと思ったがやはり五月蠅かったので殺した。それ以降はめんどうくせえから連れてきたその日に殺した。死体は足が着かないように腹心の部下が喰っ「
ガルドの口が勢いよく閉じる。本日二度目ね。顎はずれないといいのだけれど。
「予想通りとはいえ、これはまた、絵に描いたような素敵な外道ね。流石は人外魔境の箱庭と行った所かしら」
「か、彼のような外道は箱庭にもそうそういません!」
「あらそう?残念ね」
本当に残念だ。そう思いながら指を鳴らす。私の力が解除されると同時に、ガルドの上半身が虎のような姿になる。
「小娘ェェェェェェェェ!!テメエ誰に喧嘩売ったかわかってんのかゴラァ!!俺のバックには「黙りなさい」」
三度目の口ガッチン。けど動きは封じていないので巨木のような腕を私に向かって振るう。が
「グガァ!?」
「あらあら、
ああ、
「さて、ガルドさん。私たちにとって貴方の後ろに誰がついているとか
私の言葉に全員が頷く。私は地面にぶっ倒れているガルドの顎をつま先で少し上げる。思いの外気分が良くなるわねこれ、違う何かに目覚めそうだわ。
「つまり貴男には破滅以外の道は残されていないの。でもね」
私は考える。せっかく異世界にまで呼び出されたんだ。こんなに素敵なゲス野郎をただ警察に突き出すだけだなんて
「ギフトゲームをしましょう?貴方の破滅と、ノーネームの誇りを天秤にかけて」
それは悪魔の宣告か、天使の誘いか
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