あの後、店内にある全てのフィギュアが喋り出した。
例えば、この店の商品の半分を占めているワンピースのフィギュアであったり、定番と言えるエヴァンゲリオンのフィギュアだったり。流石に、初号機がうなりだした時は心臓が止まるかと思ったが。
しっかし、ありとあらゆるキャラが一斉に喋り出した時は、少しばかり聖徳太子が羨ましく思えた。実在したかあやしいらしいが。
でも、なんつーか、楽しいと言える。仕事をしてて、楽しいと思えるなんてのは初めてかもしれない。
しかし、箱に入れられたままのフィギュアも喋れていたのは驚いた。
プライズフィギュアもスケールフィギュアも箱の中からくぐもった声が聞こえてきた。スケールはすでにだいたい組み上がっているからわかるが、プライズ系は箱に入れるために組み立て式になっている事が多い。そんな状態でも喋ることができるとは素直に驚いた。まぁ、どちらにしろ喋れるから別にいいんだけど。
本日は開店から閉店になるまで客は来ず、一日中楽しく話していた。こう言うと、俺が俺じゃないように思えるな。
こうして一日中こいつらと話していてわかった事だが、こいつらは自分自身がフィギュアである事をまったく理解しておらず、キャラそのものだと思っているやつがほとんどだった。
不思議な事にフィギュア同士だったり自分と同じキャラのフィギュア同士でも相手が偽物じゃなく、本当に実在するように話していた。
例えるなら、この店は全ての物語が集まった世界で、同じキャラでも出典が違えば別人と言う事なのだろうか。
まぁ、でも、楽しいからいい。
全ての物語のクロスオーバーなんて夢みたいだからな。
閉店となり店を閉める準備を行っていると、全員が俺を引き止めてきた。
正直、ここで暮らしても良いと思っていたがさすがにそれは無理だ。腹も減るし布団も風呂も無い、接客業だから身だしなみを整えるように言われている。なにより、一介の店員にすぎない俺はそこまで自由じゃない。
くそ、自営業だったらと思う事この上ない。
最後に戸締りを確認し終えて店内の電気を消すと寂しそうな声が聞こえてきて、また明日来るよ、と声をかけ戸締りを確認して帰宅する。
俺は帰宅すると、とりあえず晩飯の支度をするためにキッチンに立つ。
大学も最初の就職時もまだ実家に住んでいたのだが、会社を止めたのと同時に実家から追い出された。本当なら小町と離れ離れになりたくなかったのだが、あの頃の俺は何をとち狂っていたのか知らないがあっさりと荷物をまとめて、さっさとマンションを決めていた。一人暮らしを始めた数日はひどく後悔していたが、今考えたらこの為に必要な対価だったんだろうな、と納得する俺がいる。
そうこう考えているうちに晩飯を作り終え、空になった胃袋を満たすことに集中するとしよう。
晩飯を食い終わり食器を片づけるとベッドに座り、帰ってすぐ充電機に差したスマホを手に取り数少ない連絡先から一つ選んで電話をかける。すると、待っていたかのようにワンコールでつながった。
『もしもし、久しぶりだね八幡』
「相変わらず出るのが速ぇな、一二三」
『そりゃ、君からの電らだからね。
さて、八幡が僕に電話をかけてきたって事は、何か面白いことがあったのかな?』
「ああ、面白くて楽しい状況の渦中にいる」
総武高校を卒業し、雪ノ下と由比ヶ浜の二人とは別の大学に進学した。
あいつら二人は由比ヶ浜の頑張り、と言うか雪ノ下のスパルタで同じ大学に合格することができた。俺はと言うと、始めはあいつらと同じ大学に進学することになっていたが、まぁ、色々あった。具体的にはインフルエンザ、とか。
んで、二人とは別の大学に進学した俺は、大学に進学したからと言って変わることなく、ぼっちでぼっちな素敵なキャンパスライフを過ごしていた。
そこで偶然的、いや、必然的に出逢ったのが電話先のこいつだ。
『へぇ、それは気になるね。あの八幡が、僕に連絡を取りたくなるような状況と言う物に並々ならない興味が湧いたよ』
「んで、だ。明日の予定は空いてるか?」
俺の言葉に少し黙ると、メモ帳を開く音が微かに聞こえてくる。
『うん、明日は仕事が入ってないし用事もないから暇だよ』
「だったら、これからメールで送る住所に来てくれ」
『分かったよ。じゃあ、また明日。
うん、このやり取りは懐かしいものがあるね』
「そうだな。んじゃ、明日な」
俺は通話を切り、一息つく。一息ついてメールを送り、
「風呂入るか」
ベッドから立ち上がり、着替えを持って風呂に向かった。
「さて、いただきます」
一人暮らしで何がめんどくさいかと言えば、朝食の準備だと俺は思う。
朝の五分ってのは、通常の一時間に相当する。故に速く起きて飯の準備をするとなると、めんどくさくて仕方がねぇ。
と言っても、今の職場は11時開店だから、早起きする必要はないが。てか、俺が今食おうとしているのが朝食かどうか悩むところではあるな。
おそらく朝食を食べる最中、テレビから流れてくるニュースをBGMにしていた。
どうやら、ここ最近婦女暴行事件が多いらしい。最近熱くなってきたからそれが原因なのだろうか、服装が薄着になるし。
食器を片付け、服を着替え、
「行ってきます」
さて、今日も騒がしくなるな。
相変わらず客が少なく、と言うより昨日と同じでまったく来店がなく一~二時間ほどが過ぎていった。
店中のフィギュアとお喋りをしていたらあっと言う間に過ぎて行く時間であり、テンションの持続力が落ち冷静になれる時間であった。
「雇って三日目で完全に丸投げと言うのはいかがなものだろうか」
アニソンが流れる店内で椅子に座りカウンターに顎だけをのせだらりと腕を投げ出し、ガラスドアから見える店の前を通り過ぎる車をぼんやりと眺めていた。
店内の掃除が終わり、するべき雑用もこなし来店客も無く暇な時間が過ぎていた。店員が二人なら色々と話せるのだが、あいにくとここにいる人間は俺一人だ。一人で過ごすのは慣れているとはいえ暇に慣れている訳じゃない。まぁ、二人いたらいたで俺は何も話せないだろうが。
「その方がボク達としては話し相手ができて良いんだけどね」
俺一人しかいない店内で、俺以外の声が響いた。
「いやいや、そっちはよくてもこっちは結構な死活問題だからな。
昨日も言ったと思うが接客業なんてこれが初めての事で、内心不安でいっぱいいっぱいなんだよ。てか、昨日も昨日で来たら来たで開店する前にすぐに本社の方に戻るって、オーナーとマネージャーが丸々一日いたのは初日だけだったし。
二日目に来たのはマネージャーだけだったし。あ~不安だ」
就職して知った事は、この店がオーナーの副業だったって事だ。
オーナーとマネージャーは本社で本業、自分は副業であるこの店で店員と言う事だった。店長なんていないし他の店員もいない。完全に一人でやっていかなければいけなかった。まぁ、それでも数日間は教育があると思っていたのだが蓋を開けてみればこの通りでだ。
「でもキミはこの状況の方が望ましいと思っている、とボクは思うんだよ」
「……まぁ、その通りではある」
ぼっち中のぼっち、キングオブぼっちを自負する俺である。集団で何かをするより一人の方が気楽だ。こうしてグダグダ言っていたが、正直なところこの状況は嫌いじゃない。
「お前らの事もあるし、むしろそっちの方が色々と都合がよさそうなんだよな~」
その事で今日は待ち人もある。
「そうだね、ボクもこの方がいい」
「ずるいよ、二人でばっかり話して」
声がもう一つ増えた。
「キノ、僕ももっと喋りたい」
「そうだね、エルメス。それにここにいる皆が彼ともっと話したがっているんだ、ボクたちだけが独占しちゃ悪いよ」
そう言った途端、店内からまた無数の声が聞こえてきた。
「やっぱり、会社ってのは中に入ってみないとわからないことが多いな」
あいつ、早く来ねぇかなぁ。
と、俺は入口に目を戻すと、そこには全身真っ黒な人影が見えた。
噂をすればなんとやら、相変わらずタイミングのいいやつだ。来客を伝えるチャイムが鳴ると、そこには、
「やぁ、久しぶり」
「よう、久しぶり」
大学時代毎日のように顔を合わせていた待ち人が入口に立っていた。
七曲一二三、大学時代からまったく変わっていなかった。
相変わらず冬でも夏でも年がら年中喪服の様な真っ黒なスーツに烏の様な真っ黒のネクタイ、頭には同じく黒く周りにつばのついた全体的に丸い帽子をかぶっている。
店に入ると帽子を脱ぎ、その下は服装でよりいっそう目立つ白髪も健在だった。
「まったく、その髪は染めないのか?」
「僕が白髪じゃなくなったら、それはもう僕とは言えないからね。それに、何度も髪を染めると髪がすぐに傷ん髪が無くなっちゃいそうで怖いんだよ」
「お前くらいの年じゃまだ心配するには早すぎねぇか。大学時代にも言ったがな」
「早すぎて悪い事はないよ。ほら、肌の手入れや受験とかも早い方がいいからね。
あ、焼き肉の時はちゃんと焼かなきゃいけないよ。夏が間近な最近は特に。これも、大学時代から言っているけどね」
「相変わらずだな、一二三」
「八幡こそ、相変わらずだよ」
柔和な笑みを浮かべ入口からカウンターの方に近づいてきた。俺は裏から丸椅子を一脚出してカウンター越しに渡そうとした。
「ほれ、座れよ」
「いいのかな?」
「見ての通り、客はいない。それにバレなきゃいいさ。ま、さすがにカウンターの内側には入れられないがな」
「そう言う事なら」
一二三は椅子を受け取り、目の前に座った。
「ああ、もし客が来たら邪魔にならないところに移動してくれ」
「うん、わかっているよ」
ちゃんと座ったのを見て俺も椅子に座りなおした。
「こうやって合うのはいつぶりだっけな」
「大学を卒業してからだから、二~三年ぶりくらいだと思うけど」
「あ~もうそんなに経ってんのか。一年も経ってないような気がしていたんだが」
つまり、卒業してから一度も会っていないことになるな。
「多分、成人式があったからじゃないかな。ほら、八幡と僕じゃ地域が違って会ってないけど会った気がしているんだと思うよ」
「あ~そうか、成人式があったか」
まぁ、本当は行きたくなかったが、小町に言われて一応出ることにしたっけな。
「成人式、どうだった?」
「いつも通り、ぼっちですぐ帰ったぜ。んで、そう言う一二三は行ったのか?」
「ん~急に仕事が入っちゃったから行けていないかな。それに僕も同じで、行ったとしてもそんなに楽しいものじゃないからね」
「なるほどな」
七曲一二三は大学で俺と出逢うまで友人の一人もいなかったらしい。
それどころか知人の一人もおらず、せいぜい他人どまり。だと言う事を聞いたのは出会ってから一年経ってからだった。つまり、周りにいたのは他人で家族さえいなかったらしい。そしてその時、
『つまり、俺も他人か』
と言ってやると、
『ん~知人だね』
と帰って来たのは懐かしい思い出である。
それから知人から友人になるまでに気になっていた『死神』という呼び名。
こいつが俺以外から、こいつの言葉を借りるなら他人から言われていた呼び名だった。
呼んでいたやつから由来を問い詰めると、一二三の白髪と不気味で不吉で不幸な雰囲気から死神みたいだと言っていた。もう数人に聞くと、一二三の家族が一二三意外謎の死をとげているだとか、小学生のころ一二三に触れた女の子が一家心中したとかそんな話ばかりだった。
正直、聞けるところまで聞いて回ったがほとんど結末が死亡だったり見た目からだと言う話しで落ち着いていた。今思えば、この時の俺はアクティブだった。
昔からこんな感じだったらしい。本人から聞いたことはないが、一二三と小中同じ学校に通っていた奴から聞いた話が正しいなら。
だから俺が友人になった……なんて事はない。
同情で友人になるほど俺は聖人君子じゃない。それに、同情するって事はそいつを自分以下だと言っているようなものだ。
俺は単純に、普通に、一二三が気にいったのだ。
こう、なんと言うか話しが合いそうでこいつと話していると楽しいだろうなと直観的に思った。まぁ、声をかけたのは一二三の方からだったが。
つまり、同情がつけいる隙はなかったのだ。この事を知った時にはもう友人だったから……いや、知人だったのだから。
「ま、思い出話はこれくらいでいいか。本題に入るぜ」
俺は居住まいを正し、一二三も同じように座り直した。
「そうだね、僕もそれが気になっていたから早く聞きたいよ」
「最初に聞くが、今も幽霊とか妖怪とかを信じているか」
「あの八幡がいう台詞じゃないね。真面目に答えるなら『信じている』だよ」
「なら、この店中のフィギュアと言うフィギュアが喋り出したと言ったら信じるよな」
俺は声のトーンを落としてその言葉を口に出した。
「八幡、その正体を知りたいから僕を呼んだんだね」
「さすがに分かるか」
「そりゃ、そこまで聞いたら分かるよ。大学の時も、その手の話題で分からない事があれば僕に聞いていたじゃないか」
そう、大学時代いろいろな話題の事を話していたが一番盛り上がった話題は怪談話だった。俺も昔からその手の話は好きでいくらか調べた事があり知識はある方だと思っていたが、一二三の知識量には最後まで勝てなかった。霊感があれば校内限定で心霊探偵なんかをやっていたかもしれないけど、俺達には霊感がないらしくあえなく断念となった。材木座? 知らない名前だな。
「それに、ちょっと店の中が変な感じだったからね」
「へぇ……まさか、一二三。お前霊感があったのか!」
俺は勢いよく立ちあがり、顔を近づけた。
「え~っと、卒業してからそう言う事があってなんか霊感がついちゃったみたいなんだ」
「く、なぜそんな面白そうな事を言ってくれなかった」
「ば、バタバタしてたからだよ」
俺も連絡とっていなかったからあまり一二三の事は言えないが、それでも少しは連絡くらいは欲しかった。
「ま、それだったらしょうがねぇか」
と、俺はため息をつき話しが切れると、ちょっとした違和感に気がついた。
「そういや、こいつらお喋りで勝手に話しかけてくるのに、いつの間にか静かになってやがる」
俺は手じかなフィギュア数体に話しかけるも、どいつも沈黙を守り一切口を開く様子がない。
「多分、僕が居るせいかも」
「お前が?」
「うん。僕の雰囲気でみんな警戒しているのかもしれないね。
大丈夫、僕は八幡の友人で君たちに危害を加えるつもりも、どうこうするつもりもないよ」
そう、一二三はいつもの柔和な笑みをフィギュア達に向けた。
そうするとぽつぽつと話し声が聞こえてきた。それからさっきまでの静寂が嘘のように騒ぎはじめ、俺達は顔を見合わせた。一二三は可笑しそうに笑い、俺は少しあきれた顔をしていただろう。
「うんうん、八幡の言った通りだね」
「俺の言った通りって?」
「本当に楽しくて面白い事になっているって意味だよ」
「あ~そうだろ」
「本題に戻るけど、原因が分かったよ」
「さすが。んで、原因は?」
「やっぱり、憑模神って妖怪だよ」
「付喪神って、長い年月が経った物に魂が宿るってやつだろ。いや、さすがにフィギュアも物と言ってもそこまで長い年月が経つほど前からあるわけないだろ。
せいぜい長くて五、六年くらい前の物しかないと思うぞ」
「そっちの付喪神じゃないんだ。えっと、書くものあるかな」
俺は一二三にカウンターの下から一枚のメモ帳と、ペンたてからボールペンを渡した。
「咲人が言った付喪神はこっちの付喪神」
そう言いながらメモに『付喪神』と書いた。
「それで、僕が言った憑模神はこんな漢字を使う憑模神なんだよ」
今度はその下に『憑模神』と書いた。
「憑いて模す神と書いて、憑模神」
「……聞いたことが、ないな」
その言葉に頷きながらボールペンを置いて一二三は憑模神の説明に入った。
「うん、普通ならあまり聞かない妖怪なんだよ。
こっちの付喪神と混同される事がほとんどで、憑模神は付喪神と同じものとして紹介されている文献ばかりなんだ」
俺が分かりやすいようにメモの文字を指しながら説明する一二三。
「えっと、つまり憑模神は付喪神とは別物なんだな」
「うん、そう言うこと。
具体的に話すと、文献に残っている方の付喪神は色んな物、長く使われてきた道具とか長く生きた生物、それに自然にある木などに霊魂や神が宿るってことなんだ。もっと具体的に言えばから傘お化けだったり化け草履、猫又とかも実は付喪神に含まれるらしいよ。つまり、長い年月を経て魂を宿す物が付喪神なんだ」
「へぇ~、猫又も憑模神の一種だったのか、知らなかった」
「でも、ここにいるような憑模神は根っこから違うものなんだよ。
憑模神は物に取り憑かなくても憑模神と呼ぶ妖怪で、まずそこが付喪神と違うところ」
「……ん?どういう事だ」
「そうだね、えっと付喪神は道具に魂が宿るのは話した通りなんだけど、その魂自体だったり道具を付喪神って言わないよね」
メモを裏返し分かりやすく図を交えながらの説明を受けた。
「ああ、道具は道具だし魂は魂だ」
「うん、その二つが合わさってようやく付喪神になるのがこっちの付喪神」
「なるほど」
俺は顎に手御を当てて頷いた。こうやって、大学時代も聞いたなと昔を思い出した。
「そしてこっちの憑模神は取り憑く前から憑模神で、同じように説明するなら道具は道具なんだけど魂の所が憑模神って妖怪なんだ。つまり、こっちの憑模神って言うのは幽霊が憑依するようなものかな。入れ物が喋るか中身が喋るか」
「付喪神が結果なら、憑模神が要因って事か」
「その考えでいいと思うよ」
「ふむ、同じ牛肉を使っているがそれをメインにするかサイドにするかの問題か。つまり、ステーキか肉じゃがかって事だな。いや、カレーでもいいか」
「ん~あながち間違ってないかな?」
苦笑いを浮かべ、一二三は話を戻した。
「それでまだ違うところがあって、憑模神はどんな物にでも取り憑く訳じゃなく人形やぬいぐるみくらいにしか取り憑けないんだ。
これは憑模神が名前の通り憑いて模す神で、取り憑いた物のキャラを模すのが憑模神と言う妖怪の特性だからなんだよ。だから、模すためのキャラがない物には取り憑く事ができない」
「あ~妙に納得した。フィギュアなんてキャラのオンパレードだからな、そりゃ取り憑くわな」
「それでも、声を聞くのには最低限の霊感が必要なんだけど……」
「つまり、ついに俺にも霊感が備わった、ってことじゃないのか?」
「うん、八幡に霊感は無いはずだよ。それでも聞こえるとしたら、多分、土地のおかげかな」
「土地?」
「うん、土地。八幡とこのお店の場所の相性がいいんだと思うんだけど、僕の口からは多分としか言えないかな」
「……俺に霊感がないのは」
「確定だよ」
「マジか~」
うなだれる俺にいつもの笑みの一二三、霊感欲しかったな~。でも、ここなら話せるということなら、まぁ、良いとしておこう。