彼の存在がもし世間に知られてしまったら、彼は一体どうなってしまうのかをつぶさに描いている。(誇張)
彼の存在がもし世間に知られてしまったら、彼は一体どうなってしまうのかをつぶさに描いている。(誇張)
風呂場の領域守護者騒ぎから数週間。
アインズ様は今日も守護者を集めて大浴場へ向かいます。
「あーみんな、ちゃんとお風呂にはいるまえに身体を洗うんだぞー」
「「「はーい」」」
「さてと。では三吉くん・・・おっと連れてきて居ないんだったかわっはっは」
「あいんずさま。三吉くんとは誰でしょうか?」
「ああ、私の三助をしてくれているスライムのことだよ」
ビクッ
「三助。三助とは湯殿で風呂の手伝いをするもののことですね」
「うむ。守護者のあつまりであるここに連れてくることはないが、いい働きをしてくれる。やはりスライムという種族は骨だらけの身体にもなじみやすいなはっはっは」
「ソレハ ヨサソウデスナ」
「ですね」
「「「はーっはっは」」」
その時の会話を、女子領域守護者風呂の会も聞いてしまいました。
主にアインズ様が大浴場にくるときにピーピング、もとい出歯亀、いや一緒に行きたいだけの集まりで、機会があるたび女性陣皆が大浴場に行くので、領域守護者でないものも皆一緒に入っています。
「聞きました。三助とはアインズ様のお風呂のお世話をする係のようです」
「やはりそのような重要な係は領域守護者、中でもわっちのような洗練された大人の女性がしてさし上げるのが一番粗相がなくていいと思いんす」
「何を言ってらっしゃるのかしらこの○○くりん。守護者統括である私の行き届いた管理手腕でもってアインズ様の骨の一本一本の隅々まで舐めるように、舐めるように綺麗にしてさし上げるのがもっともよい方針だと思います」
「ねーソリュシャンは三吉くんってしってる?」
「確か蒼玉の粘体(サファイアスライム)だったような覚えがあります。そうですね。三吉くんに今度アインズ様の三助仕事を変わって貰うのもいいかも知れないですね」
「でもアインズ様ご指名の三吉くんと勝手に変わるのはどうなんすかねー?」
「そこは『ぎっくり腰になった』や『寝違えてスジを傷めた』などの不慮の事故であれば、アインズ様もご納得頂けるのではないでしょうか」
「そんな適当なんでいいんすかねー。まあ自慢の毛並みでアインズ様をゴシゴシして差し上げるのにやぶさかではないっすけどねー。エヘヘヘ」
「シズアインズ様洗う。丸洗いと乾燥機能付き。とても経済的」
そんなこんなで女子風呂場会議の夜は更けてゆく。
(エントマさんは界面活性剤が虫種族に特攻作用があることに気づいた第一回以来、参加されておりません。一命は取り留めました)
そしてある日
「おーい三吉くん。でばんですよー」
ヌルリヌルヌルネチョネチョ
「おお、今日はいつもよりあぐれっしぶさを感じるうごきだね三吉くん。でももう少しこまかいかんじでたのむよわっはっは」
「はい。こんな感じでしょうか?」
ヌッルヌッルネッチョリ
「うわあびっくりした。三吉くんじゃないよこれ。その声はソリュシャンか。三吉くんはどうしたんだい?」
「突き指をして細かい作業が出来ないとのことでしたので。アインズ様に大事があってはいけませんので私が変わりました」
「あ、ああそう、突き指ね・・・(すらいむも突き指するんだなぁ。どのあたりが指なんだろうか。こんど聞いてみよう)」
またある日
「おーい三吉くん。でばんですよー」
ヌルリヌルヌルネチョネチョ
「おお今日はいつもよりぷろぐれっしぶ感あふれるあばんぎゃるどなビートを刻んでるね三吉くん。うん、でもどうしてそんな真っ赤なんだい? というかたまに手や足が生えてきてるけどこれはもしかして・・・」
「な、なんでもありんせんですよ? このスライム的な何かが、しっかとアインズ様の裸体を隅々まで洗いんす」
「うわっ、よくみたらサファイアスライムの三吉くんと違って真っ赤じゃないか。というかこれはもしかして血なんじゃあ・・・」
「いえ、ちょっとスライムに似せようとミンチになってるだけで、自分の血でありんすから血の狂乱のしんぱいはありんせん。安心して身体を洗われてくだされりゃ」
「もうなに言ってるか分からなくなってるんだがシャルティアか? 三吉くんはどうした?」
「あー彼はぎっくり腰で動けないということでありんしたから、急遽代わりにやってきた次第でありんす。ささ、何の問題もない三助仕事をお任せになって・・・」
「おーいだれか、この血だまりを片付けてー」
「ああん、アインズさまぁ!」
「さ、帰るわよシャルティア。次こそは私の番ですからね」
「(つぎもあるのか・・・)」
その頃
時の寵児たる三吉くんは、まあ流石に監禁などナザリックの仲間に加えるわけにも行かないので、当たり障りのない用事を言いつけられ、ナザリックの外をトボトボと歩いておりました。
「(この用事が終わったらアインズ様の身体を隅々まで綺麗にして差し上げたい。ピカピカに磨き上げて裸が最も似合う漢にして差し上げたい・・・)」
三吉くんの三助という職に対する真摯な思いは心と体に溢れています。
溢れすぎて漏れだして、道沿いの植物は溶け腐り、地面は腐食し煙を吹き上げます。
「ナ、ナンダオマエハ!?」
そこに現れたのは一匹のゴブリン。
彼は道行く人を襲って食べたり追い剥いだりする悪いゴブリンの仲間です。
今は旅の冒険者に追い散らされ仲間とはぐれて一匹で家路につくところでした。お腹も空いて意識がもうろうとしていたので、背後から腐臭を上げて迫り来るサファイアスライムに気づきませんでした。
「(プルプル。僕悪いスライムじゃないよ! そうだ、三助の仕事の練習がてら、君を綺麗にしてあげるよ!)」
プルプルプルリンプルプルプル ビュッ
「ウワッ ナニヲスルヤm」
言うが早いがゴブリンを取り込んだサファイアスライムの三吉くんは洗浄作業を始めます。
いつもアインズ様にしているように、ダイヤモンドさえ溶かすさいきょうの酸をふき出しつつ、スチールゴーレムを平気でしめつぶす圧力でみがきをかけました。
あっ、というまにゴブリンは綺麗サッパリなくなってしまいました。
「(あれぇ?おかしいなあ。いつもの様にやっただけなのに、ゴブリンさんが消滅してしまったぞ・・・? そうか、アインズ様よりずっと柔らかかったのか・・・)」
サファイアスライムの三吉くんは力加減、と言う大事なものを覚えました。
「(今度誰かにあったら、もっと上手く三助仕事をこなしてみせるぞ!)」
そう意気込んで歩いていると、目の前に鎧を着た男が座り込んでいます。
さっきのゴブリンの仲間との戦闘で彼も仲間からはぐれてしまったようです。
これ幸いとサファイアスライムの三吉くんは彼に声をかけました。声と言っても声帯がないので、プルプルと震えてみせるだけなのですけどね。
「(プルプル。僕悪いスライムじゃないよ! そうだ、三助の仕事の練習がてら、君を綺麗にしてあげるよ!)」
プルプルプルリンプルプルプル ビュッ
「うわっ なにをするやめr」
言うが早いが鎧ごと取り込んだサファイアスライムの三吉くんは洗浄作業を始めます。
今度は加減をして、ミスリルさえ溶かすてきどな酸をふき出しつつ、ストーンゴーレムをでしめつぶす圧力でみがきをかけました。
ジュワーッ♪
いい感じにギリギリアウトな音とともに、鎧は溶けて跡形もなくなりました。
「先祖伝来のミスリル製の鎧がー! くそー返せ!俺のミスリルの鎧を返すんだこのスライム野郎・・・!」
岩の陰から、身体の手当でもしていたのか裸の男が叫んでいました。
またやってしまったと感じたサファイアスライムの三吉くんは、謝罪しようとします。
「(ご、ごめんなさい。プルプル。代わりのものを用意するからなんとか許して--!)」
スキル【万能分化細胞】! セレクト【上位金属作成】!
サファイアスライムの三吉くんの身体が金色に光り輝く。
万能分化細胞とは、経験値を消費する大技ながら、スライム族のスキルならなんでも一つ使用できるようになるその名の通り万能なスキルであり、今回使用するのはゴールデンハグレウーズ属の上位金属作成スキルである。
ミスリルで出来た鎧をイメージする。
・・・まあ、いくら人間より頭の良いサファイアスライムの三吉くんとはいえ、ろくすっぽ確認もせずに消化した鎧の外観までは再現しきれず、中身の詰まった鎧(コキュートスそっくり)になってしまった。
「(じゃ、じゃあまたーーー!)」
「お、おい待てちょっと。うわ、消化されたように見えたが結局体から出てきたのか。いやーよかった、一時はどうなることかと・・・? なんじゃこりゃあああ?」
ミスリル塊を売ったお金で、家宝の鎧が買い換えられたとか代えられなかったとか。
「(今度誰かにあったら、もっと上手く三助仕事をこなしてみせるぞ!)」
運の良いことにその道の先に女の子が一人血を流して倒れています。
先ほどの冒険者に追い払われたゴブリンが襲撃していた馬車から逃げ出して、重症のせいで倒れてしまった娘さんのようです。
3度目の正直とばかりにサファイアスライムの三吉くんは彼女に声をかけました。声と言っても声帯がないので、プルプルと震えてみせるだけなのですけどね。
「(プルプル。僕悪いスライムじゃないよ! そうだ、三助の仕事の練習がてら、君を綺麗にしてあげるよ!)」
プルプルプルリンプルプルプル ビュッ
言うが早いが少女を取り込んだサファイアスライムの三吉くんは洗浄作業を始めます。
今度は加減をして、豚肉さえ溶かすマイルドな酸をふき出しつつ、ストローゴーレムを真綿で締める圧力でみがきをかけました。
「きゃー! い、いっそ一思いに・・・こ、これいじょう痛いのは嫌なの・・・。たすけて、たすけて・・・」
溶かされる痛みに気づいた少女は、最初激しく、そして助からないと悟ったあとは弱々しく言葉を紡ぎました。
その哀れな少女の儚い懇願を聞いたスライムは思いました。
「(あれ? これでもまだ・・・強すぎる・・・だと? うわーやっちゃったよーーー! ま、ままっまっままだ間に合う!)」
スキル【万能分化細胞】! セレクト【上位蘇生】!
今回使用するのはピュアホワイトウーズ属の上位蘇生スキル。
蘇生と入っても死人をよみがえらせる効果ではなく、あくまで凄い回復能力を付加する名前負けのスキルであるが、まだ間に合うので問題ない!
体内に取り込んだ四割がた消化されていた少女の姿が、逆再生されたかのように再生していく。逆再生なのに再生していく。
「(間に合ってよかったっプルプル)」
再生したついでに今度は完璧な制御の元、最新の注意を払って今までの経験をフルに活かして少女の体の隅々までを舐めるように舐めまわして古い角質層だけを溶かし、新しい生きた細胞を無傷のまま残す完全な三助作業をやりきってみせたのであった。
サファイアスライムの三吉くんは、三助としてのレベルが上ったような気がしていた。
それはとてつもない困難に次々三度もぶち当たって、研究と工夫を重ねて、一つ一つ問題をクリアしていった経験から得られたもののような気がした。
そう思うと実に清々しい気がする。実際は経験値消費スキルの影響でLvが下がり、三助1Lvを代わりに手に入れただけなのかもしれないが、サファイアスライムの三吉くんは、完全無欠に生まれたままの傷一つ無い無垢な少女を満足気にヌルリと道端に横たえると、ナザリックへの帰途へ着くのであった。
「(さあ。帰ってアインズ様をヌルヌルしよう。いつもの様に強酸と圧力任せの荒い三助仕事ではない、三助が三助として本来あるべき正しいヌルヌルをアインズ様とヌルヌルヌルヌル)」
後日
「おーい三吉くん。でばんですよー」
ヌルリヌルヌルネチョネチョ
「おお、今日はいつもより優しさを感じつつもその中にしんの強さを感じるうごきだね三吉くん・・・・・・・・・・うあわーっ! お前も三吉くんじゃないなーーっ!? もう三吉くん以外が三助しにくるなっていっただろうあg¥ーーー!?」
「(!? さ、三吉でございます。プルプル。正真正銘本物の三吉でございますー!)」
プルプルプル
どっとはらいのとっぺんぱらりのぷう
五万字書こうと思ったがどう考えても一桁足りなかったぜ!
でも書いちゃったから仕方なく投稿するぜ!