俺が研を拾ってから、もう十年は過ぎただろうか...研は相変わらず優しい子に育ってくれている、友達もいる様で父としてはとても嬉しい、今度家に来なよと誘ったら断られた...解せぬ、まぁともあれ研が元気にかっこいい大人になってくれれば俺は御役御免だ、その日が来るまで息子とゆっくり楽しく過ごしていたい....もう30を過ぎるおっさんの台詞では無いだろうと心の中で苦笑していた....そうあの日が来るまでは
「明日デート?」
「うん....神代利世さんって言うんだけど....その人も高槻泉の小説が好きで...その...意気投合して明日本屋へデートに...」
「俺はな研が幸せならそれで良いんだ...その為だったら俺は何でも協力するぞ、服、オススメの食事場所とかなまぁ...研なら大丈夫か!頑張れよ」
「ありがとう...父さん」
「....何時も言ってるだろう、何があっても研がどんなに苦しい目にあっても父さんは必ずお前の側にいる、お前の味方でいる最初からずっとだ...だから何時でも頼れ、良いか研....行ってこい」
「うん...行ってくる」
次の日の夜、もう0時を過ぎているのに研が帰ってこない、何かが起こっているのは明白だった正直気が気じゃなかった...そんな時自分の携帯に連絡がきた、病院から?まさか...まさか!急いで家を飛び出す、もう正体など知ったことでは無い!研さえ研さえ生きてくれれば..!
「研!!おい!研は、研は大丈夫なんだろうな!?」
「落ち着いて下さい!お父さん....研くんは無事です」
「....そうか良かった、取り乱してすまなかった、研の病室は...どこかね?」
「あ....こちらです」
向かった先には最愛の息子が寝息をたてていた、取り敢えずは安心する、そして...側にいた主治医と思われる人に話しかける
「先生...研はどうなっていたんですか?」
「息子さんは...腹部の損害により臓器の交換が必要でした、なので隣の彼女の臓器を彼に移植しました..時間がなかった為親族の方には無許可にしてしまいましたが...」
「その彼女...神代利世は?」
「彼女は鉄骨の下敷きになっており即死でした、臓器の交換を決めるきっかけもそれが一つです」
「すまないな...わざわざ研の為に、この恩は忘れない本当にありがとう...先生、お名前を聞かせて欲しい、苗字だけでも構わない後日お礼の品を渡そう」
「名前は嘉納です、礼は要りません...私達医者にとって貴方のような方の感謝だけで充分です」
「そうか...研は何時頃退院出来ますか?」
「免疫抑制剤を飲めば数週間程で退院出来ますよ」
「見舞いは?」
「何時でも」
「では今日の昼また来ます....研をお願いします」
「ええ、分かっています」
その夜は眠れなかった、研の事で寝れる気分では無かったから憂さ晴らしに何体か喰種を喰った、勿論核も一緒に、そして昼...俺は研の病室に来ていた、看護婦に様子を聞くと
「ん〜研くんなんだか病院食食べないんですよね〜まぁあの後じゃ仕方ないのかもしれません、お父さんしっかり支えてあげて下さいね」
と言っていた、当然だ、俺が守らなくて誰が研を守る、そう思いつつ俺は研の病室へと入っていった
「研....調子はどうだ?」
「父さん....御免、ちょっと事故っちゃって」
研が顎を擦る、長年生活した俺にとってはそれが嘘をついているサインだとはっきり判る、だから....
「良いんだ、父さんに隠し事はするな、此処には俺とお前しかいない、さぁゆっくり話してみろ」
「っ....本当に敵わないね父さんには」
「お前の父だからな」
「実はね...利世さん喰種だったんだ....」
「....そうか」
「それで尻尾みたいので身体を貫かれてからは記憶がないや....臓器とか...遺族...とかは言っていたけど....」
「他には無いか?」
「それがね...病院食が喉を通らないんだ、何時も食べられてたものが腐った生魚みたいな味がするんだ...どうしてだろう?」
「.....それはきっと未だあの事がしっかりと記憶に残ってしまっているかもな、なぁに記憶が薄れてくれば、問題ねぇさ」
「そうだね,...ありがとう」
「又明日来る、早く治せよ退院祝いに何でも作ってやるからな」
「うん...またね」
「おう!早く治せよ!」
....何かがおかしい、研が飯が食えない筈がない、そういう風に教えてきたはずだし、生魚?それは喰種特有の味覚だ....研の身体に異変が起きているのは間違いない...待てよ?神代は喰種だった...その臓器を研は持っている..もしも他の喰種の臓器を人間に移植したらその人間は....?まさか....嫌今は未だ決まった訳じゃない、退院したら、ゆっくりと傷を癒せる様に俺が努力するだけだ
血は繋がっていなくても俺は....研の義父なのだから
原作開始
お父さん凄いね
次回は金木の苦悩かな?
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