艦隊これくしょん -本当に何も知らない提督- 作:7seven
次回から自分の鎮守府持つと思うじゃん?
残念だったな!
あ、叢雲とケッコンしました。
「内海伊織の後期修習修了を認め、呉鎮守府傘下佐伯湾泊地責任者に任命する」
呉鎮の食堂で、呉鎮に所属する全艦娘と、あと対外管理部の数名が参列し、俺の後期修習修了式を執り行っている。
海軍本部から俺の修習修了証書と、新しい階級章の授与が今回の目的だ。
今俺は少佐の階級章と提督候補-後期修習生の階級章の2個を付けている。この提督候補のほうの階級章は返上して、新しく提督の階級章をもらうのだ。
あ、ちなみにその授与をする佐伯さんはめっちゃたくさん階級章つけてる。
提督と、中将の階級章、あとはよくわからんのがいくつか。
証書をもらって、佐伯さんが階級章をつけかえてくれる。
これで俺も晴れて提督かー。長かったようで短かった。
艦これをゲームとしてやろうと思ってから、もう2か月経ったんだから。
修了式のあと、対外管理部の人達は自分の持ち場に戻り、艦娘のみなさんは俺と叢雲のお別れ会を開いてくれるそうだ。
いつも厨房に立っている鳳翔さんや間宮さんだけでなく、(本人は嫌がってるようだけど)料理の美味しさなどを理由にホテルなんて呼び方をされる大和さん、そして潜水艦乗員への休息・食事提供をしていた過去のある龍鳳さんなども厨房で色々な食事を作っている。
できた料理を運んでいるのは駆逐艦や潜水艦のみんな。さながらお母さんの手伝いをする少女といった様子で、見ていて微笑ましい。
「内海提督ーほらあんたも飲みなよー!」
「隼鷹、内海提督は未成年って言ってたわよ。やめなさい」
「いーじゃんかぁ~。今夜はブレイコウだ!」
俺の手にすかさずグラスを握らせて酒を注ぐ隼鷹さんの手の速さにはかなわない。
……けど、俺にはどうにも酒の匂いは感じられないんだが。
不思議に思っていると、祥鳳さんがこっそりと、お酒とラムネをすり替えてあるんです、って囁いてくれた。なるほど通りで爽やかな匂いがするはずだ。
「じゃあ、一杯だけいただこうかな」
「よっ! いいぞぉ~!!」
果たして祥鳳さんは隼鷹さんの分はすり替えなかったのだろうか。
まだ宴が始まる前だというのに、すっかり出来上がっているようだった。
宴もたけなわ。
ほろよい……じゃなくてガチ酔い勢は机に突っ伏して寝てるし、その姉にあたる艦娘は妹の肩にブランケットをかけている。
夜も遅いため駆逐艦などの幼い艦娘は既に部屋に戻っていて、叢雲も最後の夜だからと吹雪ちゃんたちの部屋に行った。
今食堂にいて寝ていないのは、空になった皿を下げて洗っている鳳翔さんたちや、食堂で眠ってしまった艦娘を運ぶ、戦艦や重巡などの比較的鎮守府内でも大柄な艦娘たちだ。ちなみに武蔵さんが3人まとめて俵担ぎにしてたのと、翔鶴さんが片手に2人ずつ計4人を抱えて出ていったのには目を疑った。たとえ担いだのが重巡に比べ比較的小柄な軽巡の艦娘だとしても。
「翔鶴は軍艦だった時代、機関出力が16万馬力もあったそうだ。武蔵はちなみに15万馬力。さっきの差はそれさ」
「馬力って確か馬1頭あたりが出せる力のことですよね……」
翔鶴さん=馬16万頭分。
……16万頭の馬とか全く想像できないんだが。
「巨大な軍艦をある程度速く動かすためにはそれだけの力がいるってことさ」
「もう、提督ったら……。今の私には、そこまでの力はありません」
「そうだな……。どれだけ翔鶴に腕力があろうと、イイ女であることには変わりない」
すっかり酔っているのか、佐伯さんは常にグラスを傾けて、寝落ちた艦娘を部屋に届けた帰りに羽織を持ってきた翔鶴さんの臀部をするりと撫でた。
やってることはオッサンだし言ってることは女たらしだし、佐伯さんは飲酒すると女ではなくなるんだろうか。飲酒するところを初めて見たが、なるほどこれだと飲酒を止められそうだ。
「もう、やめてください提督。大和さんが悲しみますよ」
「それもそうだ」
あっはっは、と笑いながら手を引っ込める佐伯さんと、少し暗めにまで落とされた照明の中でも少し頬の赤い翔鶴さん。瞳は少し潤んでいるし、表情もそこまで嫌がっているようには見えない。それどころか、嬉しさ半分恥ずかしさ半分といった様子で……。
……あれ、もしかすると、もしかするのか?
どこぞの重雷装艦は己の姉であり同じく重雷装艦に……ということを軽巡の子たちが言っていたが、そういえば佐伯さんに熱い視線送ってる子もいたかも……。
……もしかするみたいだな。
しかし、なんで引き合いに出されるのが大和さんなんだ?
彼女は確かに佐伯さんの秘書もしてるが……。
「提督、飲みすぎですよ。いくらめでたい席とはいえ、お体に障ります」
「ああ、大和。眠った子たちはどうだい?」
「みんな運び終わって、宴の片付けもほとんど終わりました。さあ、明日は見送りで朝が早いんですから」
酒瓶何本を開けたのかわからない佐伯さんを立ち上がらせ、酔いと恐るべきピンヒールでふらつく佐伯さんを支える大和さん。
その時、大和さんの左手で、何かがきらりと光る。
「ひっく。……ああ、内海。旅立つ前に、艦娘……特に幼い子には聞かせたくない話がある。明朝マルゴーフタマルに、叢雲を置いて留置場に来てくれ」
「わかりました」
「さぁ~て大和ぉ~! 一発やるかぁ~!!」
「今日はしません!!」
飲み屋街で深夜に見かけるサラリーマンみたいな発言をしながら、ふらふらとした佐伯さんは大和さんと共に自室へと戻っていく。
これが酒の入った佐伯さんのいつものことのようで、鳳翔さんはくすくすと笑いながら濡れた手を拭いていた。
書いている本人は大和より武蔵派です。(武蔵のほうが来るの早かったんだもの)