艦隊これくしょん -本当に何も知らない提督-   作:7seven

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そういうわけで本編開始です。今回からまともに艦娘と絡みます。
ちなみにこれを書いている間ずっとシズメシズメを聞いています。沈みません。


01 本当に何も知らない提督候補
01-01 はじめてのかんむす


あの後、俺は胸ポケットに海軍提督候補生手帳という名のそのまま名前通りの手帳があることに気付いた。

それのおかげでなんとか迷いながら自室で休むことができた。

で、寝て起きても佐伯さんの言うとおり、夢は覚めていない。え、マジで夢じゃないんですか? 帰りたいぞ、家族のところに。でも帰る方法なんてどこにあるんだよ。

 

 

さて、ここの建物はこの世界とやらの俺の出身高校である海軍提督候補養成学校に隣接しているらしい。

学校での成績が極めて優秀な生徒は卒業後すぐに自分の鎮守府を持つが、それ以外は今稼働している鎮守府のうち、候補生受け入れの余裕がある鎮守府で1~2か月勉強をしてから自分の鎮守府を持つらしい。

伝聞推定でしか説明できないのがむなしいが、こればかりはしょうがないと思う。

 

そして、何より。

この世界とやらは、どうやら艦隊これくしょんに酷似しているようなのだ。

 

5年前に現れた、正体不明の敵戦力「深海棲艦」。それに歯の立たない現代兵器。

そして、深海棲艦にすら大ダメージを与えられる少女たち、「艦娘」。

友人の佐伯の言っていた艦隊これくしょんの情報と一致する部分が多いのだ。

ゲームだと思ってたんだが……つまり、佐伯さんの言っていることは、俺と佐伯さんは、ゲーム画面の向こうから指示を出しているはずが、ゲームの世界に引きずり込まれたと、そういうことなんだろうか。

そのあたりは未だよくわからんが、とりあえず俺は非日常を楽しもうと思っている。

艦娘とやらは美少女と美女ばかりだ、女っ気のなかった俺の青春時代を思えば、まあ少し遅い青春時代と言えるだろう。

……悪かったなオール3だからモテなかったんだよ。

 

 

さて、そんなこんなで提督候補生という立場に立たされている俺だが、護衛兼艦娘と支え合うことを覚える一貫として、いわゆる初期艦と言われる艦娘を宛がわれるらしい。

初期艦は駆逐艦とのことなので、まあ俺より幼い艦娘ばかりだろう。

ゲームでは選べたけど、こっちでは選ぶ権利がないみたいで、今はその艦娘に会いに行くところだ。

 

「内海君の初期艦は叢雲という艦娘でね。……少々御しにくいが、いい子なんだよ」

 

ふむ、むらくも。御しにくいってどういうことなんだろうな。

案内をしてくれている養成学校の先生が扉を開けて入るのに続くと、そこには青みがかった銀髪に、頭に謎の機械をつけた、セーラーワンピースみたいなものを着た少女がいた。

 

「叢雲、待たせたね」

「ほんっと、遅かったわ」

「すまないね。彼が君の司令官になる内海君だよ」

 

高飛車な子だなあ。

俺、一緒にやってけるんだろうか……?

 

「内海伊織です。よろしく、叢雲……ちゃん?」

「ちゃん付けなんて気色悪いことしないで。叢雲で結構よ」

「よし、それじゃあ内海君と叢雲は11日のヒトフタマルサンの新幹線で広島駅まで行って、そこで呉鎮からのお迎えと合流し、呉鎮で勉強してきてください」

「11日? 私は26日からだって聞いていたのだけれど?」

「呉鎮の提督から、少し早めてほしいって頼まれてね。大規模作戦の直前はてんてこ舞いで指導してる暇がないからって」

「仕方ないわね……」

 

言葉に棘は感じるけど、正当な理由があれば従うみたいだし、確かに根はいい子、なのかもしれないな。そんな初期艦感想。

今日が7日なので、あと4日でこの少女とある程度の交流をはかる必要があるっちゃあるんだが、やっぱりこの年の娘が戦うなんて、ちょっと納得できないよなあ。他に対抗手段がないって言ってもさ。

 

「それじゃあ、叢雲は今日から4日間、内海君の隣の部屋で過ごしてくれ。いいね?」

「わかったわ。鍵をちょうだい」

「はい、どうぞ」

 

先生は鍵を渡すと出ていってしまう。とりあえず、まあ。

 

「叢雲、もうすぐ昼だし、先に食堂に行かないか?」

「悪くないわね。それじゃあ行きましょう」

 

俺の部屋に置いてあった本には、艦娘も体はほとんど人間で、違いは怪我を負っても入渠したら人間よりもとても早く治る程度のことだと書いてあった。

ということは、普通に食事を食べるということだ。なら同じ釜の飯を……って感じで、一緒に食卓を囲めば交流も図れるんじゃなかろうか。

 

食堂は時間が時間だけあって、人で賑わい始めている。

ここの食堂は俺と同じ立場の人や海軍の大本営で働いている人が来るらしいが、そういう事務職でも艦娘を1人、護衛兼秘書でつけるらしく、様々な少女や女性を連れた人が訪れている。

ちなみにここの食堂の味はまあまあ。向こうでの俺の養母はとても料理上手で、特に肉じゃがの味はこれ以上にうまいものなど世界には存在しないと思っていたほどだから、俺の舌が肥えてしまっている可能性もあるが。

 

「ここのメニュー、どれがおすすめなの」

「ええと……俺はよく和定食を食べるけど、叢雲には多いかな?」

「そうね。ならハーフセットを頼んでみるわ」

 

叢雲はハーフセットを、俺は気分的に洋定食を選んで注文する。艦娘は確定で無料、ここの職員と俺達提督補佐は身分証で無料という懐に優しいサービスだ。

受け取った料理を持って席に着き、食べ始める。

隣に座る叢雲は、確かに幼く小学校中~高学年ぐらいといった印象を受けるんだが、それにしては痩せすぎている。ぴったりとしたセーラーワンピースが、浮かび上がったあばら骨までくっきりと見せ付けている。

 

「なあ叢雲、余計なお世話だと思うけど」

「余計だと思うなら口に出さないでちょうだい」

「もっと食べたほうがいいぞ? そんなに細くて、戦ってる最中に怪我したらどうするんだ」

「バッカじゃないの。戦闘で傷はつきものよ」

「無傷が一番だろう」

 

叢雲は無言でハーフセットを食べきると、カウンターでおかわりの唐揚げを少しもらってきて、ぱくぱくと食べていた。

うんうん、それぐらい食べて健康的なほうがいい。戦闘とか関係なくな。

体脂肪率低すぎると免疫力も下がるし、食べるのは大事だな、うんうん。




直感で一番好みの艦娘を選んだら初期艦は叢雲でした。
肋骨浮いてるうううう折れそうだあああと思ってました。
改二でふっくらしたので提督はとても安心しました。
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