みなさんに楽しんで貰えるように頑張ります!
「もういーかいー?」
「もういいよー!!」
今は見ての通り、お庭でかくれんぼ中である。俺の額にあるツノはそのまま。だって、いくら帽子を被せても帽子に穴が開きますし? バンダナとかつけてもやはり穴が開きますし? どうすればいんやゴラァ。だから、そのままかくれんぼ。
「みぃつけた」
ありゃ? なんか、開始5秒程で見つかったんですが……。鬼がイルミさんとかまじ勝てねーわ。俺は鬼。だけど、イルミさんは俺を超える鬼。あれ? やっぱり、俺って弱くない?自分が鬼とかまじTUEEEEE!!って勝手に思って開き直った俺になんて現実見せてくれてんだ、オイ。立ち直れねぇぞ、オイ。
「イルミ兄、大人気ない」
「エミ、こういうのは自分の気配を消さなきゃ勝てないんだよ。俺がどうこう言う前に工夫しなさい」
「むぅ……」
「まぁ、そう言うと…キルもまだまだなんだけどね」
遊びでも、訓練を忘れない。忘れたら、生きていけない。やらなきゃ(使命感)。郷に入っては郷に従えってやつだよ。ここでは、毒も食べる。電気も受ける。殺しもする。あら、やだ、死にそう。でも、忘れてはいけない、俺はただの一般ピーポー。そして、奴らは特殊ピーポー。
「じゃあ、キルの所に行ってくるからココで待ってなよ」
「うん」
余裕があるためか、歩いてキルアの所へいくイルミを何故かバイバイしながら見送りその場に座る。
そして、次の瞬間。
俺が理解したのは、意識が暗転している事だけだった。
ーーわ、……こ…に…よ?
ーー…が…たす……?
◆◇◆
エミルと別れてすぐ襲ってきたのは、酷く強い殺気。鳥肌が立つほどのその殺気は屋敷の方から庭全てを覆い尽くす程の大きさで放たれているのが分かった。
この殺気の中では、キルアは動けていないだろうし……エミルもどうなっているかは分からない。失神しているかもしれない。そう思うと俺の足は自然と走っていた。
「キル!!」
「いるみ……にぃ。コレは…な、に?」
「無理するな。殺気がない所までいけるね?」
「う、ん。たぶん…」
そう、キルアは弱々しく返事をするとヨタヨタとフラつきながら殺気の外へと向かう。それを確認してから次に取る行動は、エミルの状態確認。滅多に流さない汗を拭いながら、自分の鼓動を抑える。落ち着け、と。
「!?…エミの気配が…ない?」
落ち着いてきて、感じ取った気配にはエミルと思われるものはなかった。円を使っているから念自体使えないエミルには分からないはずなので、逃れる術はないはず。
考えられるのは、自分の円の範囲外にいる。という事だけ。しかし、エミルには『その場で待ってろ』と言ってある。
行く当てもないエミルがそこを動くとは考えにくい。
「何処に…?」
捜さなくては、という思いから走り出そうとしたその瞬間。俺の思考を一つの疑問が廻った。
ーー『何故、エミを捜す?お前にはキルがいるから別にいいだろ?』
と。
その言葉により、完全に俺の足は止まった。
◆◇◆
目を開けるとそこは自分が隔離されていた部屋よりも広く、そしてシンプルな部屋だった。
ーー知らない天井だ。
なんて、目が覚めた時に思ったのは言うまでもない。
さてさて、俺は庭にいたはずなのだが…ここは何処なのだろうか。確かに、意識は落ちたけれど、何かに目覚めたわけでもなければ特別な何かを見せられたわけでもない。なるほど、これが俺と本当の主人公の差ですね。もう、涙しか出てこない。
「あっ、起きたよー!!」
うん、起きましたよ。
そして、君は誰? 目が覚めたら知らない人がいるとか謎すぐる。あっ、すでにいる場所が違うから謎はすでに始まってますたますた。
「だ…れ?」
「あたし……あるか!!」
「アルカ?」
「うん!!」
アルカと名乗ったその子どもは嬉しそうに笑顔で答える。アルカ…うーん、アルカ=ゾルディック。あっ、なるほど、チート能力を持ったキャラですね、はい。これ、詰んだ? はぁ…俺の人生は、どちらも短かったんだな。あれ?汗が…
「ねぇねぇ、おねーちゃん。抱っこして?」
「ん?」
「抱っこして?」
「おう。いいぞ」
なんてこっちゃ。おねだり始まってんじゃねぇですか。怖い、すでに逃げ出したい。だけど、それをしたら死にはしないけど死んでしまう。捻り殺されるか潰されるか……どっちみち、残酷な死に方しかねーじゃねーか。いーやーよー!
「ねぇ、おねーちゃん。頭、なでなでして?」
「はいよ」
抱っこし終えるとそのまま頭を撫でる。それに顔を綻ばせる
「ねぇ、おねーちゃん。この積み木握り潰して?」
「はいは……はぁ?」
なんでやねん。難易度急に上がることなんてあるんですか? いや、ない!! 無理だろ。うん、無理だ。積み木壊してだったらわかるけど、握り潰してとか言われたら無理に決まってる。俺にはそんな握力ない。これだから、使えない転生者は……
「ごめん、無理だ」
「ねぇ、おねーちゃん。このレンガ叩き割って?」
「それも、無理だから」
「ねぇ、おねーちゃん。その鉄の棒、道具なしで曲げて?」
「すみません。無理です」
「むぅ…なら、おねーちゃん。そのベッド持ち上げて?」
待てい。これやばいやばいヤバいヤバイヤヴァイ。
4回断ったらダメなんだっけ? これは死ぬ。死んでしまう。ちくせう、神に見捨てられた転生者にはそんな常識外れなことは出来ない。これ、常識。だが、死ぬのは勘弁願いたい。俺は、安らかに尚且つ、綺麗に死にたいからな。
「わ、かった」
近くにあるベッドは、とても大きく大人二人ぐらいで5センチぐらいなら持ち上げれそうなものだ。まぁ、ここの人間はみんな揃って規格外なので、普通に持ち上げるだろうが……俺には無理。だって、まだ4歳だぜ?ハハ、今絶望を垣間見た気がする。
(一応、やって見よう。いや、マジで…死ぬ気でやろ)
出来ない事は知っている。それでも、やらずに諦めたくはない。なんて、お綺麗な事言っちゃってと思ったやつ、出てこいや。少しくらいなら相手してやるぜ?
「ふっ…!!」
ベッドの縁を手で掴み、思いっきり持ち上げる。あれ?意外と軽い? こんな凡人でもベッドを持ち上げられた件について。ん?どゆこと? 俺も普通じゃないと? 額にツノがある時点で普通じゃないですね。
あっ、なるほど……
「これが、鬼の力ですか」
ふと、呟いたその言葉に
「アイ」
と、不気味な声が答える。さっきのアルカとは雰囲気が違う何かに身震いしながら振り返る。そこにいたのは悪魔だったーー否、悪魔のようなナニカ。
「ナニカ…?」
「アイ」
「……」
これからどうすればいんだっけ? 本物みると此処まで不気味なのね。もう、不気味すぎて泣けてきちゃう。もう、ほんとなんなの? ゾルディック家って本当に怖い。
「えっと……俺を…俺の」
お願い事ってなに?と思う始末。そろそろ、終わってるかもしれない。誰か、助けてぇぇええ!! 情けなっ。あっ思いついた。
「この…鬼の力って制御できんの?」
「アイ」
「そっ、ならさ、制御の仕方教えてくんね?」
「アイ」
「ありがと」
これでいい。この世界で生きるためには力が必要。力がないものは無残な死を遂げる。なにその世界、こわい。
とりあえず、ここはゾルディック家だしね。力がないと見捨てられてしまう。家族まで敵とか心が折れる。
「イメージ…大切。それだけ」
「え?そんな簡単なことなの?」
「アイ」
「そっか……本当にありがとね」
もう一度、アルカの…ナニカの頭を撫でると、ナニカが笑ったように見えた。そして、瞬きをして開けた時、すでにそこにいたのは普段のアルカだった。
「アルカ…今、ようやく分かった気がする。お前の中にいるナニカは優しい奴なんだな」
ナニカがいなくなって寂しさを胸に俺は部屋を出ようと歩き始めた。
いや、まぁ、また出てくるんだろうけどさ。雰囲気は大切だよね、うん。
主人公 「アルカ……男?いや、女!!」
アルカの性別は主人公は分かっていませんが妹のほうが嬉しいので妹と呼ぶそうです。