鬼が見る夢   作:鬼城

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少し、遅くなってしまいました。

今回は…少し真面目回です。
半分くらいですかね?多分。

一応、そういう回なのだと知っておいて下さいね。




4 イルミの大切な宝物

エミルの気配を辿って、着いた場所はミルキの部屋。

 

(大丈夫。すぐに殺せる)

 

そして、ドアを開けようとした時、ふと声が聞こえてきた。それは、エミルとミルキの二人の声。

 

『ここを…こうして』

『ミルキ兄さん、これはキツイよ』

『大丈夫。そう……それでいい』

『ぅ……ん』

『すぐ終わるから、我慢しろ』

 

中で何をしているのかは知らないが……なにか、気に入らない。いや、分かっている。ミルキとエミルが仲良くしているのが気に入らない。今、まさにエミルを殺そうとしていたのにどういうことなのか。やっぱり俺には分からない。

 

「はぁ……」

 

取り敢えず、ため息をつく。

そして、ドアの取っ手に手を掛けた。

 

◇◆◇

 

うえーーー!!!!

 

ひやぁーーー!!!

 

どらぁーーー!!!

 

 

なんなんだコレ。

目の前には凄い勢いで写真を撮っていくミルキの姿。本当にミルキですか?と問いたいくらいにヤバイ。みんなには見せられません。

 

「ミルキ兄さん。これ…いつ終わりますか?」

「ミルキお兄様と呼ぶんだ」

 

あっ、これもう手遅れだ。

妹にそんなことを言ってはいけない。言ったら最後、将来になってその妹に対しての洗脳は大きいものとなってしまう。

アッ、ミルキお兄様とイワナクチャ。

 

「…ミルキお」

「言わなくていいよ。エミ」

「ん?…あっ!!イル兄じゃん!どうしてここにいるんだ?」

「……その言葉使いはなに?」

「すみません」

 

ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ!!!

イルミの前では言葉使い…気をつけなくちゃ。男言葉で話してたら殺されそう。いや、ね?オレっ娘っていると思うけど…多分、目が覚めたばかりの子供が『俺』って言ってたらおかしいしね!

 

「それで…ミルキはエミと何してたの?」

「…いや、それは」

「ん?聞こえないよ」

「しゃ…写真を撮ってただけだよイルミ兄。ほ、ほら!!エミルに着せたくて買ってた服。似合ってるだろ?」

「………」

 

え?何この沈黙。怖い。

 

「俺の前で嘘とはいい度胸だねミルキ」

「いやゃ、う、嘘じゃ…」

「ううん、嘘だね。その服はエミの為に買ったものじゃないだろ?」

「それは……」

 

なんだこれは。

やはり、どこの家族でも兄は偉大。まったく、俺は一体何処にいるんだ。イルミにたどり着くまでどれぐらいかかるというのだ。まぁ、辿り着こうなんて思ってもいませんが…

人には向き不向きがあるのだよ。そして、俺は何も出来ないクズ。おいおい、もう終わったと同然ですね。

 

「エミ、もう行こう」

「えっ?あー、うん」

「うん、いい子だ」

 

イルミが手を出してきたので、その手を取り返事をする。そうすると、笑顔でイルミは答えてくれた。その笑顔が怖い、ガクブル。

 

「そうそう、ミルキ。もう、エミに近寄るな。分かったね?エミは俺のものだ。それだけは忘れるな」

 

か……か!カッコイイ!!!

マジ俺、イルミさんに一生ついて行きます!! きっと、俺のものと言ったのはミルキから俺を守るためですよね? 愛されすぎてツライぜ。…やめとこ、虚しくなる。

 

「イル兄、ありがと!」

「うん?(……あぁ。そういうことか…)どういたしまして」

 

◆◇◆

 

「ミルキお兄様と呼ぶんだ」

 

はぁ?何言ってんだコイツ。

自分の言葉を忘れてしまうぐらい、俺の中で怒りが沸き起こった。そして、ドアを開けようとしていた自分の手が止まる。

 

ーーお願いだ。

 

ーーお願いだから…やめてくれ。

 

そう心の中で、エミが『お兄様』と言ってしまうのを恐る。自分以外を兄として認めるという事実。それがなによりも怖く感じた。

 

「…ミ」

 

ーー!!止めろ。

 

「ミルキお」

「言わなくていいよ。エミ」

 

気付いたら、身体は動いていた。

こんなこと、初めてだな。と感じながらベッドに座っているエミを初めて見る。

 

ーー誰だ…アイツは?

 

心の底からこう思いました。

 

(え? 誰? あれ…エミなの?)

 

目の前にいるのは、黒色のフリフリワンピースに身を包み、髪を二つ括りに上げている少女。さっきまでは、少しの癖っ毛を自由にして髪を下ろしていたので、こんなにもはっきり顔が見えていなかった。その顔は見れば見るほど、キルに似ている。

 

(うっわ、ヤバイ)

 

触れたら壊れてしまいそうな儚さ。そして、子供とは思えないほどの魅力。鬼を示すツノさえなければ、誰にでも好かれるまさに天使の子とも言える。

 

(さすがにこれは……可愛すぎ)

 

そして、気づく。

 

ーーそうか…俺は、エミの全てを操作したいんだ、と。

 

それはきっと、自分がエミルの兄であるという自覚そして、妹に対する愛情によるもの。それが異常であるのは…世話をしていたからか。世話をすることで、親の気分にでもなっていたのだろうか。

 

(俺にも…そんな感情あったんだね)

 

暗殺者である俺が、そんな簡単なことでエミルを大切だと思ってしまうとは…

 

「エミ、もう行こう」

 

そして、俺は二つ目の宝物を手に入れた。

 

◆◇◆

 

「ふわぁ…ねむ」

 

イルミに部屋まで送ってもらって(案内してもらって)今日は疲れたとベッドの中に潜る。

 

「明日、エミは父さんと母さんに会わないといけないからね」

 

え? 今なんと?

俺が寝る直前に思い出したというように言うイルミ。その顔は特になにといったものではない。至って普通である。しかし、俺の顔は普通でない。冷や汗ダラダラ。

 

「ハハ、大丈夫だよ。エミに危害は加えさせない」

「父さん、母さんは…お、私のこと嫌い?」

「んー、嫌いではないだろうけど…危険だとは思ってるんだろうね」

「それは…鬼の力があるから?」

「そうだね」

 

一応、聞いてみただけだったのだが…聞いといてよかったぁ!下手に鬼の力を使ったりしたらすぐに監禁ですよ。まぁ、鬼の力がどういうものなのかなんて俺自身分かってはいませんがね。このクズめ。俺のメンタル削れてくぅ。

 

「俺は、そのツノが鍵だと思うんだけどなぁ。そのツノさえ無ければ…きっと」

「ツノが無ければいいの?」

「まぁ、そうだね」

 

ここで、ナニカの情報が登場ー!!

ツノが無ければいい。イメージが大切。この二つを頭に入れて近くにある鏡を見る。鏡に映っているのは自分自身。そして、額にあるツノを見る。実は、イメージ出来れば良いとあるが…俺はイメージが苦手なのです。イメージ?まぁ、プリンぐらいなら出来るさ。だが、ツノ?俺にそんな想像力を求めて貰ったら困る。ツノは簡単だと思っただろう?断じて違う!!ツノを想像するほど難しいものはない(断言)!

 

「エミ?」

「とーーや!!」

 

黙っている俺を心配に思ったのか名前を呼んでくるイルミを無視無視して、ツノを引っ込めるイメージを強く連想する。もちろん、鏡でツノを見ながら。するとーー。

 

「…!?」

「…はぁ…せい、ぜぇ…こう?ふぅ」

「エミ…それは」

 

ちょっと、はぁ…待って。やっば、思った以上に体力使うんですけど!? 自分の額にツノがなくなったことを確認してその場に崩れ落ちる俺。なんて無様なんだ。思っても、口にしちゃダメだから。口にしたら…俺が自殺する。

 

「(まさか…エミは鬼を制御できるのか?)」

「あ…れぇ?」

「エミ!」

 

自分が思った以上に疲れていたのか、意識がどんどん落ちていく。そして、視界もボヤボヤに。

 

(くっそ、ねみぃ)

 

駆け寄ってくるイルミの姿を捉えながら俺はゆっくりと意識を手放し……その瞬間、心臓が唸る。襲ってくるのは全てを『壊せ』という破壊衝動。何者でもない、もう一人の自分。身体が侵略されているようなそんな不思議な感覚。そんな気持ち悪さにもう一度、目を開ける。そこで見たのは、顔色がとてつもなく悪いイルミの姿。必死に俺に手を伸ばしてくる。

 

「エ…ミ。大丈、夫?」

「……イル兄?」

「うん。(なんだ…この殺気は?エミから出てるのか?)」

「イル兄こそ大丈夫?」

「う、ん。(じゃあ、昼間の殺気も…エミの、もの?)」

 

 

ーー俺は…まだ知らない。自分が何者なのかを。

 

ーー俺は…まだ知らない。自分が何故生まれてきたのかを。

 

ーー俺は…まだ知らない。自分がどれほど無能であるのかを。

 

ーー俺は……

 

 

 

 

 

 

きっと、本物の鬼である、のだと。

 

 

この時は思いもしなかったこと。

でも、それは確かに…必要だったもの。

俺は無能。しかし、鬼は優秀。それは現実で…それは事実で変えようのないもの。だから、俺は叫ぶ。

 

『なんで、また…また俺はこうなのか』と。

 

そして願う。

 

『俺にも…力を…』と。

 

これは、無能な転生者の話なのだと…心の底から毒づいた。




シリアス?んな馬鹿な。

この話は無能な転生者の修行ライフですよ。

最後には無能じゃ無くなっているといいですね。


それでは、次回もよろしくお願いします!
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