Pとアイドルの奇妙な冒険(仮):更新停止   作:妖怪1足りない

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今回のお話は大まかにできていた第4話の部分を大幅に変更し、
第3話と一つにまとめて、再構成したものです。
大まかに書いていたお話のストックはこれで尽きました。
次話はある程度お話が固まっていますが、
ある程度のストックを貯めつつ書きたいのと、仕事等の為、
更新間隔は空きます。ご了承下さい。



第3話 異変の予兆と特攻隊長

この世界に来て25年が経った。

俺は今、祖父が社長をしている346プロで働いている。

 

「美城さん、社長が社長室に来るようにとのことです」

「わかりました千川さん。ありがとうございます」

 

同僚の千川さんにお礼を言い、俺は社長室に向かった。

 

「お? 定守じゃねえか。お前も社長に呼ばれたのか?」

 

社長室の前で同じく346プロで働いている利益と出会った。

 

「ああ。利益は何の用か聞いているか?」

「いや。ただ、社長が呼んでることしか聞いてねえ」

「そうか。とりあえず社長室に入ろう」

 

社長室のドアをノックすると、中から返事がして入室の許可が出たので、

俺達は社長室に入った。

 

「二人共よく来たね。とりあえず、そこのソファーに座りなさい」

 

社長室に入ると、真っ黒に日焼けした肌、大柄で筋肉質な身体を誇り、

75歳を迎えてなお意気軒昂な、社長であり祖父にあたる美城貞仁(みしろさだひと)と、

細身で白い肌に優しい顔立ちと、社長とはまるで正反対だが、眼には強い意志と深い知性を湛える頭脳明晰なその息子、つまり俺から見て叔父に当たる、

常務の美城譲司(みしろじょうじ)が、応接用のソファーに座っていた。

ちなみにお袋は美城譲司の姉である。

俺達は勧められるまま、テーブルを挟んだソファーに座って、向かい合う形になった。

 

「さて、二人を呼んだのはほかでもない。

二人にはアイドル部門のプロデューサーになってもらう」

 

じいさんは単刀直入に話を切り出した。

 

「私達二人を選んだ理由は何なのです? 

少なくとも私は、プロデューサーを志望した覚えはありませんが?」

 

社内なので俺は敬語を使ってじいさんに質問した。

 

「そのことに関しては私から説明しましょう」

 

俺の質問に代わりに答えたのは、じいさんではなく、叔父の方だった。

 

「アイドル部門を拡大することになりました。

それに伴って、プロデューサーの数を増やすことになりました」

 

 

現在の美城のアイドル部門は、高垣楓、川島瑞樹、城ケ崎美嘉といった

アイドル達が活躍しているが、

アイドル部門自体は出来て日が浅く、他の部門よりも規模が小さい。

アイドル部門が軌道に乗ってきたから拡大というのはわかるが、

俺達二人をわざわざ社長室に呼び出してまで命じるのは、どういうことだろうか?

俺達の直属の上司から伝えるなりすればいいはずだ。

 

「もう一つ理由があります。むしろ二人をお呼びしたのはその為なのです」

 

ここからが重要だと言わんばかりの表情で、叔父はこちらを見てきた。

 

「現在、アイドル業界で奇妙なことが起こっています。いくつか報告が上がっていますが、

にわかには信じがたい事も、起こっているようです」

「具体的には?」

「最近、アイドル養成所の子を中心とした失踪が相次いでいます。

それも何の痕跡も残さずです。他にも不可思議な現象があるようです。

そう、お二人の力のように」

 

俺と利益はお互いの顔を見合わせた。じいさんと叔父にはとある事件で、

俺達の能力について説明している。

この世界に元々ある何らかの事象なのか、

それとも転生者が関わっているのかは不明だが、

何らかの異変が起こっているのは確かなようだ。

 

「お二人にはプロデューサーをしてもらいつつ、

アイドル部門のアイドルを守ってもらいたいのです」

「守る? それよりもその奇妙な現象を調べた方が、早いんじゃないんすか?」

 

利益が叔父に不満そうに質問した。対応が消極的だ。原因を潰すべく、

積極的に動くべきだと言わんばかりだ。

 

「可能ならば調べてください。しかし、無茶はしないでください。

原因が不明なのですから。自分の身とアイドルを第一でお願いします」

「しかし・・・」

 

利益がなおも言い募ろうとしたところで、俺が止めに入った。

 

「利益、常務は俺達のことを心配してくれているんだ。その辺をわかってやれ。

俺達の能力は強力とはいえ、無敵では決してないんだ。

ここはアイドルを守りつつ慎重に行動すべきだ」

 

俺の話に、利益はまだ不満そうだが、ある程度は納得したようだ。

 

「話はまとまったみたいだね。それではよろしく頼むよ。

それと担当するアイドルは、最低でも一人は自分でスカウトしてもらいたい」

 

俺達の話を今まで黙って聞いていたじいさんが、話に加わった。

 

「は? オーディションやアイドル養成所のとこからじゃあダメなんすか?」

「ああ、利益君。世の中には自分の才能に気づいていない者が多いのだよ。

それを見つけて育てるのもまた、プロデューサーの仕事の醍醐味だよ。

それにこれはプロデューサーになるための、通過儀礼のようなものなのだよ。

話はこれで以上だ」

 

その言葉を合図に会話は終了し、俺たちは社長室から退出した。

 

「で、どうするよ定守?。スカウトしてこい、つっても難しいぜ」

「どうするもこうするもやるしかないだろう。

とりあえず、前に雑誌で見た765プロの社長は、

『ティン!』と来たのがいたら、声を掛けていたそうだから、

自分の直感で判断して声を掛けよう。

そういえば利益、原作を知ってるのなら、そこからスカウトすればいいんじゃないか?」

「いや、それがな。俺が知ってる原作とこの世界、どうも違うみてえなんだ。

この世界の765プロのプロデューサーの名前が、

ゲーム・アニメ・マンガのどれとも違うんだよ。

それに俺が知ってるのは、765プロのアイドル達が活躍するアニメの途中までで、

今は時系列的にそれ以降みてえだから、原作知識は全く役に立たねえぜ」

「そうなるとなおさら、『ティン!』ときたのがいたら、声を掛けるしかないな。

街に出て探してみよう」

 

俺達は街に出て分かれて探してみることにした。

 

 

 

「結局、『ティン!』とくるのがいなかったな」

 

声を掛けようとしたら、警官に職質されるの繰り返しだったからだけどな。

声を掛けることすら出来ないのでは、スカウト以前の問題で心が折れそうだ。

 

「定守! てめえ、俺が警察官に職質されてるのを見たのに、逃げやがったな!」

「仕方ないだろう。俺も今日は職質の連続で、関わりたくなかったんだ。

警察官に事情を話してもらうよう、千川さんに連絡して誤解は解けたからいいだろう。

そもそも、デカいガタイにサングラスに髭、

どう見てもその筋の人間にしか見えないお前が悪い。

その上ハゲてるし」

「だからハゲてねえつってるだろ! 実家が寺だから坊主にしてるだけだ!」

「お前は三男だから継がないだろ。そもそも、お前のところの宗派は、

坊主にしなくてもいいところだろ」

 

この会話でわかるだろうが、利益の生え際は学生時代より・・・うん、強く生きろ。

俺達は何の成果もなかった今日一日を振り返りながら、退社後の帰り道を歩いていた。

 

「こうなったら奥の手を使うぞ定守ィ!」

「奥の手?」

「スタンドで何とかしてくれ、サダえもん!」

「俺は未来の世界から来た、青狸型ロボットじゃない!

そもそもそれは見つけ出すという『過程』を飛ばして、

スカウトしたという『結果』だけを求める行為だろう。俺としてはどうかと思うぞ?」

「いや、そこはわかってるんだけどよ。ホントに何とかしてくれよ定守ィ。

今回一回限りでいいからよ。これじゃあ明日も警察に行くことになっちまう」

 

利益は、両手を合わせて拝み込んできた。仕方ない、アレ使うか。

 

「やれやれ、『ペイズリーパーク』」

 

ため息をつきつつ、俺は全身に地図をあしらった様なデザインの、

女性型のスタンドを出した。

こいつは、進むべき方向へ導いてくれる能力を持つスタンドだ。

これでアイドルの原石へとナビゲートしてもらおう。

 

「行くぞ、利益。さっさとお前が担当するアイドルを見つけるぞ」

「すまねえ定守! 恩に着るぜ!」

 

俺達は『ペイズリーパーク』のナビに従って、歩き出した。

 

 

 

 

「『目的地二到着シマシタ』」

 

『ペイズリーパーク』のナビに従ってたどり着いたのは、人気のない大きな公園だった。

 

「ここで合ってるのかよ、定守? 夜遅くにこんなとこにいるのかよ?」

「いるな。人数は三人。・・・音から察するにケンカをしてるようだな」

「なんでそんなことがわか・・・究極生命体(アルティミット・シイング)の耳なら聞こえるか。

たまに定守が究極生命体だってこと、忘れちまうな」

「別に望んで究極生命体になったわけではないんだがな。とりあえず中に入ろう」

 

公園に入って中を進んで行くと、特攻服を着た女の子同士がケンカをしていた。

一対一で闘っており、一人は腕を組んで横から見ているだけなのから判断すると、

女の子同士の決闘で、見ている女の子は立会い人ということだろう。

 

「おい、あの女の子じゃねえか? 美人だし、胸がでけえし。

よし、決めた! スカウトするぜ!」

「少し落ち着け利益。あの三人の中だと恐らく間違いないと思うが、

ケンカが終わるまで待とう」

 

俺達が少し離れた場所から見守りつつ話していると、

胸の大きい女の子の右ストレートが相手の女の子の顔に命中。

パンチをもらった女の子は、膝から崩れ落ちた。どうやら決着がついたようだ。

立会い人の女の子が、倒れた女の子の側に寄っていく。

どうやら負けた方の女の子の意識はあるようだ。

立ち上がらせて肩を貸し、その場から立ち去って行った。

俺達は一人残った女の子に向かっていき、声を掛けた

 

「こんばんは」

「あっ? なんだテメエ等?」

 

ケンカが終わった直後のせいか、非常に気が立っているようだ。

俺は相手を刺激しないように、可能な限り丁寧かつ穏やかな口調で話すことにした。

 

「失礼。私はアイドルのプロデューサーをしている美城定守というものです。

隣にいる男は同じくアイドルのプロデューサーをしているハg・・・柘植利益です」

「おい! 今、ハゲと言いそうになったろ定守! 答えろ!」

「いやいや、私はそんなこと言いませんよ利益さん。

心の中で柘植利益(はげとります)と名前を読んでいても、私は言いませんよ」

「よし、宣戦布告とみなすぜ。掛かってこいや!」

「嫌ですよ、面倒くさい。私は事実を言っただけじゃないですか」

「オイ! テメエ等アタシのことは無視か!」

 

いかんいかん。利益をおちょくってたら女の子を怒らせてしまった。

 

「すいません。それで、私共は名前を名乗りましたので、

あなたのお名前をお教えいただけませんでしょうか?」

「アタシは向井拓海だ。それと無理して敬語で話さなくていいぜ。

素の口調でいいからよ。で、アタシに何の用だ?」

 

俺は素の口調に戻して話始める。

 

「単刀直入に言おう。アイドルにならないか?」

 

「アイドルだァ!? アタシは特攻隊長向井拓海だぞ!

それにアタシにアイドルとかチャラチャラしたのは似合わねえよ!」

「できると思うがな。というより利益、お前の担当アイドルをスカウトするのに、

なんで俺が話してるんだ。さっさと代われ」

「お前が俺をおちょくってたからだろが! そんで拓海つったか。

お前なら絶対アイドルになれる! 美人だし、そして何よりも胸が大きい!

そこが超重要だ!」

「テメエ、どこ見てやがる!」

 

拓海から放たれた渾身の右ストレートが、見事に利益の顔面に直撃した。

・・・・・・前々から思ってたが、やっぱりこいつアホだ。

まあ、俺と会話しつつも、視線はずっと拓海のたわわに実ったメロン二つを、

ガン見してたしな。

「利益がアホなことを言ってすまない。んー、どうしたものか。

俺達は拓海がアイドルになれると思うが、拓海は嫌だと。

力づくで言うこと聞かすのもな。弱いものいじめになるし」

「オイ! 誰が弱いつった?」

 

ふむ、やっぱりこの手の挑発には乗りやすいか。ならば利用させてもらおう。

 

「拓海のことだが? 俺からすればそこらにいる女の子と変わらないしな。

闘えばまず勝てるし」

「そこまで言うんだったらアタシとタイマン張れ!」

「だが断る。俺にメリット無いだろ。弱いものいじめだし、疲れるだけだ」

「テメエ・・・」

 

よしよし、カッカ来てるな。顔が怒りで真っ赤になっている。

 

「そうだな。俺が勝ったら拓海はアイドルになる。

俺が負けたら俺達は拓海をアイドルにするのをあきらめる。

この条件なら勝負してやってもいい。ああ、別に勝負を受けなくてもいいぞ。

拓海が俺と比べると弱いのは事実だしな」

 

さて、ここまで煽れば乗ってくるだろう。怒りで判断力も低下するしな

 

「上等だッ! その勝負受けて立ってやるぜッ! 

道具を使っても構わねえ! 来いや!」

「二人共ちょっと待て! ストップ!」

 

ちっ、さっきまで痛みで地面を転がってた利益が復活しやがった。

 

「定守、何考えてんだ! 拓海がお前に勝てるわけねえだろ!」

 

ナイスアシストだ利益。これで拓海は余計に引けなくなった。

 

「利益、ちょっと耳を貸せ」

 

俺は顔を利益に寄せ、耳元で囁く。

 

「いいか、うまいこと拓海を挑発して勝負に仕向けたんだ。

お前は黙って見ていろ。スカウト出来ないと困るのはお前だろう」

 

この言葉に利益も囁き声で返す。

 

「俺が心配してるのはそこじゃねえ。勝負自体は問題ねえが、

お前、拓海にケガさせないように手加減できんのか?」

「できるに決まってるだろ。なんでそんな心配する?」

「いや、お前が学生の時にレディースの集団潰したろ。

あの時みたいになったらと思ってよ」

 

ああ・・・うん・・・あったな。あの後、ほんのちょっぴりやりすぎたかなと思った。

利益にやったこと聞かせたら、顔が引きつった状態でどん引きされたな。

俺の封印しておきたい黒歴史の一つに触れてくれるなよ。

 

「あれはお袋がアイツ等にケガさせられて、ブチ切れ状態だったからだ。

特攻服を着てるだけであんなことはしないぞ」

「オイ! いつまでこそこそとしゃべってやがる!」

 

拓海がひそひそしゃべっている俺達にイラついて、怒鳴り声を上げた。

 

「ああ、すまない。こっちの話は終わった。

道具を使ってもいいんだったな。それなら俺はこの鉄球を使わせてもらう」

 

俺は腰のベルトのホルスターに収めてある鉄球をポンポンと叩いた。

 

「上等ッ! それじゃ行くぜッ!」

 

その言葉と共に、拓海が正面から突っ込んできた。

俺はホルスター内で鉄球を回転させ、拓海に俺の左手側の鉄球を投げる。

鉄球はこちらに突っ込んでくる拓海の手前の地面に落ちる。

 

「はっ! へたくそ!」

 

拓海は俺が拓海を狙って鉄球を投げて外したと思って、

侮蔑の笑みを浮かべる。だが・・・

 

「そこでいい。そこが最高にいい」

 

拓海の手前に落ちた鉄球が、回転の力で拓海に向かって土や砂のつぶてを飛ばす。

 

「うわっ!?」

 

下から土や砂のつぶてが飛んできたため、

顔を守るために腕を上げて防御し、足も止まった。

すかさず回転させた右手側の鉄球を、拓海に向かって投げる。

鉄球は狙い違わず、拓海の右胸部分に命中した。

 

「うわっ!?」

 

回転を続ける鉄球は特攻服を巻き込み、それに引っ張られる形で拓海は倒れた。

 

「くそっ! 動けねえ! 何なんだこの鉄球は!」

 

拓海は鉄球が原因と直感で判断したようだが、

鉄球の回転に巻き込まれた特攻服が、拘束衣の役割を果たし、

いくらもがいても動けない。

俺は地面に投げた鉄球を手元に回収し、拓海に近寄る。

 

「俺の勝ちだな。動けないだろ」

 

俺の言葉に拓海は悔しそうな目をして睨む。

 

「畜生! アタシの負けだ! それで、この鉄球は何なんだ!」

「鉄球自体はただの鉄球だ。拓海を抑え込めてるのは技術だ」

 

そう言って俺は左手に持っている鉄球を回転させ、手のひらを下にして見せる。

 

「なっ!? 鉄球が回転したまま落ちてこねえ!?」

「もう一度言う。鉄球自体はただの鉄球だ。鉄球を回転させているのは技術だ」

 

そう言った後、拓海を拘束している鉄球を手元に戻す。

 

「拓海には約束通りアイドルになってもらうぞ」

「チッ! わかったよ!」

 

拓海はやけくそ気味に返答した。不満だが約束は守るつもりのようだ。

 

「拓海。担当プロデューサーは利益だ。こいつは少々アホでハゲてるが、

やるときはやる男だ。こいつとうまくやってくれ」

「なっ・・・!? コイツがアタシの担当プロデューサーかよ!?」

「俺が少々アホなのは認める。だが、俺はハゲてねえ! 

剃ってるだけだつってるだろ! いい加減にしろよ定守!」

 

二人がギャーギャー言っているが、無視することにした。

 

これで利益の担当アイドルは決まったわけだが、俺はどうしたものか。

 

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