魔法少女リリカルなのは~祝福の風の精霊と時の旅人の物語~   作:nakazero

11 / 11
第11話 闇の書の中へ

 

「ん・・・・・朝か・・・・」

どうも、リインフォースだ。

 

 

私達がコウと雷斗と出会って一夜が明けた。

起きて時刻を確認すると、朝の7時を回っていた。

「はやて、はやて起きてください。朝ですよ。」

『うん・・・・・、ふぁぁー。あ、リインフォース・・・・おはようや。』

私がはやてを起こすと、はやては未だに頭が働いていないのか、時々首がカクンカクンしている。

そんなはやてを目を覚まさせて、私ははやてを抱きかかえて下に降りる。

毎日訓練はしているが、はやての足は動かす事は難しい。

故に、上り下りする時は、私がはやてを抱きかかえて上り下りする。

 

 

そのままリビングに入る。

「やはり・・・・カイトはいないか・・・」

リビングに誰もいないのを確認しながら私はそう呟いた。

いつもは、この時間にはカイトが朝食を作ってくれているのだが、カイトは昨日の夜、家に帰ってから、コウと一緒に自分の部屋に籠もっており、今日はいない。

『何しているんやろうな?カイトさんとコウさん。』

「それはちょっと、私にもわからないですよ。」

『リインフォースでも、わからないんやね。』

「えぇ。」

はやての言葉に、私は肯定の返事を返す。

いくら力をつけても、私に出来る事などほんの僅かに過ぎないのだ。

精霊とて万能ではない。

いや、おそらく万能なものなど存在しないのかもしれない。

そう思っていた時だった。

 

 

『カイトとコウなら、まだ作業が終わってないから、出てこないぞ。』

『あっ、雷斗さんおはよう!』

後ろから声が聞こえ、振り返ると洗面所から、雷斗がタオルで顔を拭きながら出てきた。

 

「おはよう雷斗。ところで、カイト達の作業はどれぐらいで、終わりそうなんだ?」

私は雷斗に、カイト達の作業の進み具合を尋ねた。

『それは、俺にもわからん。途中まで手伝っていたんだが、カイトから明日に備えて休んでくれと言われたから、途中で抜け出したからな。まぁおそらく、昼までには終わるだろうと思うが。』

雷斗はそう言いながらサングラスを掛ける。

「そうか・・・」

私は、はやてをソファーに降ろし、カイト達がいる部屋を見る。

部屋の中はどうなっているのかは、私にもわからない。

機械等の類は、私はチンプンカンプンなので、カイトに任せるしかない。

魔法とかは詳しいのだが・・・・

『ちょっと、覗いてみいひん?』

『やめておけ。あいつらにとって邪魔になるからな。』

はやてが好奇心から、覗いてみたいと言いだしたが、雷斗に即却下された。

『うぅー・・・・・・』

はやては口を尖らしながら唸るが、しばらくすると諦めたのか、視線を私に向ける。

『昼までに終わるみたいやし、大人しく待ってようや。な、リインフォース。』

はやての言葉に私は頷くが、視線はずっとカイトの部屋を見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

カイトの部屋

「コウ。そっちはどうだ?」

『あぁ、もうちょいで終わりそうだ。』

「わかった。」

カイトはそう言いながら、目の前にあるキーボードを打ち続ける。

カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ!

その打つ速度は、それを見ている人間には、叩いているのがわからない程の速さだ。

ブンッ!ブンッ!

キーボードを打つ彼の目の前で、空間に画面が表示されては消え、また表示されては消えるのが、繰り返される。

『よし!後はこれを・・・・・』

一方のコウは作業場らしき場所に座り、何かを作り上げている。

ガチャガチャという音と機械音が響き、、それは形を成していく。

『よーし!メインフレームはこれでよし。後は細かい調整をっと。』

コウによって造られている物は二つ

 

 

 

 

 

 

 

 

一つは黒色の鞘に収まった長剣

 

もう一つは銀色と赤色を基調とした棒

 

 

 

 

 

 

 

この二つが、後に重要な役割を担う事となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・これで終わりだな。」

『だな。あぁー疲れた。』

時刻が昼前に差し掛かって、ようやく作業が完了し、二人は机に突っ伏していた。

『それにしてもカイト、人間って凄いよな。ほぼ休みなしで普通なら3日掛かるのを、一晩で終えたんだからよ・・・・』

コウの顔は、鏡を見れば、彼自身も驚いているかもしれない。

顔は疲労困憊の表情で、目の下の隈は黒い。

「これくらいで根をあげるなよ。まだこれは下準備に過ぎないんだぞ。」

『俺以上に動いておいて、その顔に全く疲労が見えないのは何でだ?』

コウの疑問を聞きながら、カイトは首をコキコキと鳴らす。

「そんなの簡単だ。こんなの苦にも感じないからだ。これより酷いのを何度も経験してるからな。」

『時々、お前が化けもんみたいに見えるぞ。』

「・・・・・・・化けもんか・・・」

コウの言葉にカイトは少しだけ声を低くして、小さく呟いた。

カイトの顔はコウから見れば、部屋が暗かった為、見えにくかったが、その表情は辛そうだった。

だがコウはそれに気づけなかった。

『まぁ、とりあえず飯にしようぜ。』

「あぁ」

が、次の瞬間には、カイトはいつもの表情になっていた。

カイトが先に部屋を出る。

 

 

 

 

 

 

 

 

すると

 

 

 

 

 

 

『カイトさーん!!』

「ごふっ!!」

突如、カイトの腹部に何かが飛び込んできて、それが見事にカイトの鳩尾に直撃した。

『もぉカイトさん!ずっと待ってたんですよ。はやてちゃんから話を聞いて、心配して来てみたら・・・・どうしたんですか?顔色が悪いですよ。』

「なのはちゃん。そういうのは、飛び込んでくる前に言ってほしかったよ。」

そう言われ、なのははようやくカイトから離れる。

同時にカイトが膝をつく。

心配そうな顔で、リインフォースが近づいてきた。

『カイト。大丈夫か?』

「・・・・何とか大丈夫だ。」

カイトは腹のさすりながら立ち上がる。

鳩尾は人体急所の一つである事は皆さんご存知だろう。

軽く当てられただけでも、呼吸するのが辛くなる。

軽くでこれなのだから、本気で当てられたら、まず呼吸が出来なくなり、最悪気絶する。

カイトも普通なら避けられたのだが、一晩中作業をしていたので疲れており、その為少し反応が遅れてしまったのだ。

「ふぅ。」

カイトはゆっくりと椅子に座る。

流石に短時間で回復するのは、出来なかったからだ。

因みに、カイトのダメージを与えた当のなのはというと

 

 

 

 

 

 

 

『なのはちゃん!うちがあれ程、出てくるまで待っとこって言ってたん、わかってへんかったんか?』

『いふぁい!いひぁいよふぁやてふぁん!(痛い!痛いよはやてちゃん!)』

はやてに頬を引っ張っれたまま説教されていた。

 

『流石に、今回はフォロー出来ないな。』

『まったくな。』

リインフォースや雷斗も、流石に今回はなのはに非があると思っているので静観している。

『この口か!この口がそんな事言うんか!』

『ご、ごみゃんなさぁーい!』

この説教は、カイトが止めにはいるまで、20分ぐらい続き、その結果なのはの頬は真っ赤になっていたと言及しておこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして時間が過ぎ、太陽も沈み始めた頃

 

 

 

 

 

 

「さてみんな、準備いいか?」

リビングに全員が集まってるのを確認してから、カイトが見渡しながら全員に尋ねる。

『いつでもO.K.だ。』

『うちもO.K.や!』

『私もバッチリなの!』

『俺もいつでもいいぜ!』

『こちらもだ。』

リインフォース、はやて、なのは、コウ、雷斗が順に肯定の返事をする。

「まぁ、ここで準備出来ていなかったら本末転倒だしな。」

そう言ってカイトは笑う。

 

「じゃあコウ、作戦説明頼むわ。」

『あいよ。』

そう言われてコウが前に出てくる。

『じゃあ、これから今回の作戦、名付けて「夜天の書復活大作戦」について説明するぜ。』

「・・・・・・・・・・・コウ、もうちょっとましな作戦名、思いつかなかったのか?」

カイトが溜め息をつきながらそう言った。

というか、おそらくこの場にいる全員が溜め息をついている。

対してコウは、

『うーん、これしか思いつかなかったからな。まぁ別にいいだろ。』

『『『良くないぞ(なの)(わ)!!』』』

女子3人からツッコまれ、コウは苦笑いした。

『自業自得だな。』

「あぁ、まったくな。」

雷斗の言葉にカイトも同意した。

とはいえ、これでは話が進まないので

「作戦名はとりあえず置いといてだ。コウ続けてくれ。」

『助けなしかよ!ていうか、元はと言えば、お前の一言が原因だろうが!』

「まぁ、それは置いといて。」

『聞けよ!』

『コウ、進まないから話を続けてくれないか。』

『雷斗まで?!くっそー、孤立無援とはまさにこの事か・・・・』

コウは少し落ち込んでしまったが、これでは先に進まないので、カイトが後で何か奢ると伝えて、とりあえず話を進ませる。

『じゃあ、作戦を説明するぜ。わかっているとは思うが、今回の作戦の目的は、はやてちゃんの闇の書を夜天の書に戻す事だ。そうしねぇとはやてちゃんの体が闇の書の呪いで命を落としちまうからな。だから『コウさんちょっと待って。』はやてちゃん?』

コウが作戦を言う中、突如はやてが口を開いた。

全員がはやてを見る。

『うちは、みんなに謝らなあかんねん。』

『謝る?どうしてはやてちゃんが謝らないといけないの?』

なのはがはやてに尋ねるが、はやてはそれには何も言わず、話続ける。

 

『ほんまはうちがどうにかせなあかん問題やのに、みんなに手伝ってもうて。うちのせいでみんなに迷惑をかけてもうた。だから謝るんや。ごめんな。』

「はやてちゃん・・・・」

はやては俯いたままで、その表情は見る事が出来ない。

だが、全員にはわかっていた。

恐らくはやては悲しんでいると

自分だけでは解決出来なくて、誰かに頼らなければいけないというの、自分への無力感に

 

 

 

(はやてちゃん・・・・・)

なのはは思った。

はやての心の中に、誰かに頼らなければ、自分は何も出来ないと思っているのかもしれないと

 

 

でも、そうじゃないんだと言ってあげたい。

 

誰かに頼るのは、決して間違いではないと

助けを求めるのは、してもいいのだと

 

 

 

だから!

 

そうなのはが言おうした時だった。

『やから、これはやっぱりうちが一人で『それは違うぞ』・・・えっ?!』

はやてが言い終わる前に雷斗がそれを遮った。

『そんな事気にする必要はない。此方はカイトに依頼された以上、従うだけだからな。それにこれは、俺自身が望んで参加してるんだ。勿論、他のみんなもそうだろう?』

雷斗はそう言って全員を見渡す。

「そんなの当たり前だ。」

『あぁ。』

『うん、勿論なの!』

『まったくだぜ。』

雷斗の言葉にはやて以外の全員がしっかりと頷いた。

『みんな・・・・・』

『はやてちゃん。』

なのはがはやてに近づき、手を握る。

『私もね、昔はやてちゃんと同じ思いだった時があったの。誰かを頼るなんて出来なくて、自分を押し殺してきた。でもね、そうじゃないの。助けを求めるのは、誰にだってあるべき事だから。』

『なのはちゃん・・・・・』

 

 

幼くして、孤独の辛さを味わってきたなのはにとって、同じ思いをもつはやては、絶対に助けたいかけがえのない友達なのだ。

 

大切な友達だから助ける。

理由はそれだけで充分だ

他には何もいらない筈だ。

はやてはなのはの顔を見る。

その顔は、断固とした決意の顔をしていた。

 

絶対助ける

その思いが伝わるかのような表情だった

『それにね、私ははやてちゃん助けたいから、今まで頑張ってきたんだもん!だからはやてちゃん、そんなに1人で背負わないでよ。私も一緒に背負うよ。』

『二人とも・・・・・・』

はやての目が潤む。

『そうですよはやて。私達は、はやて一人に全てを背負わせはしません。私も一緒に背負いますから。』

今度はリインフォースが語りだす。

『そうだよはやてちゃん。俺だってはやてちゃんの事、助けたいから手伝うんだよ。だからさ、少しぐらい甘えてもいいんじゃないかな。』

『リインフォース・・・・コウさん・・・・・』

はやては顔を上げて全員をみた。

その目には涙が溢れでようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「はやてちゃん・・・・」

最後はカイトの番だ。

『カイトさん・・・・・うちは。』

はやてが何か言おうしたが、カイトの人差し指がそれを止める。

「何も言わなくていいよ。」

カイトは優しくはやてを抱きしめる。

『カイト・・・・さん』

「俺達はどんな事があっても、はやてちゃんを一人にはさせないし、全てを背負わせはしない。それに・・・・・・・・この作戦発案者は俺だからな。全責任は俺が背負うさ。」

『でも、この問題はうちの・・・・』

「それははやてちゃんだけの問題のじゃないよ。俺やリインにも、参加する理由がちゃんとある。」

人間誰しも、一人で生きてゆく事は出来ない。

なら、助け合うのは当たり前ではないか

「さぁ、この話はここまでしよう。ただはやてちゃん、これだけは言っておく。此処にいる全員ははやてちゃんを助けたいからいるという事は忘れないで。」

 

 

 

 

 

 

 

 

カイトの言葉に、はやてはしばし沈黙した後、ゆっくりと頷いた

『・・・・・うん。わかった。みんな、よろしくな!』

ようやくはやてに笑顔が戻り、全員が安堵した。

だがこれは、あくまで下準備段階だ。

ようやく全員の覚悟が決まったに過ぎないのだ。

さぁここからが、スタートライン

始めよう

 

 

 

 

 

 

みんなが笑顔になるための戦いを

 

 

 

 

 

 

 

 

『じゃあ、三度目の正直の作戦説明をするぜ。』

ようやく下準備が整い、三度目の、いや正真正銘本当の作戦説明が始まった。

 

 

『まずはやてちゃん、闇の書をだしてくれ。』

『うん。』

はやては頷くと、コウに闇の書を渡す。

コウは闇の書をテーブルに置く

『じゃあカイト、アレを起動してくれ。』

「わかった。」

カイトはポケットから、昨日コウから受け取った歯車が上下に合わさったような物をテーブルに置き、上にあるスイッチを押した。

すると

 

ボンッ!

 

スイッチを押したそれは、音をたてて巨大な機械になった。

 

『『ほぇ~~』』

なのはとはやてが呆けたような声をだす。

それの外見は、上部がビーカー、下部はコンピューターとキーボードを合わせた様な形だった。

コウはそのビーカーの中に闇の書を入れて、蓋をした。

『さぁ!鬼が出るか蛇が出るか、みんないくぜ!』

コウはキーボードのスイッチを押した。

 

その瞬間、蓋から闇の書に向けて、光が発せられた。

光が闇の書に当たると、画面が点灯し、次々と何かが表示されていく。

 

『やっぱり、結構無理な改造がされてるな。あちらこちらがバグだらけだ。』

画面を見ながら、コウが難しそうな顔をした。

『汚染率はどれぐらいだ?』

『約・・・・・・・七割程だ。』

雷斗の質問にコウが答える。

 

「結構深刻なのか?」

『あぁ、しかもご丁寧に、防衛プログラムまで強化されてる。』

『これは骨が折れそうだな。』

 

画面に表示されている解析結果を見ながら、カイト、コウ、雷斗が話し合う。

 

 

 

 

だが

 

『『『???』』』

 

だが、ここに彼らのしている事に理解出来ていない者達がいた。

『・・・・・・さっぱりわからん。』

『うちもや・・・・・・』

『私もなの・・・・・・』

言わずとも分かるであろう、リインフォース、はやて、なのはの3人である。

まぁ、なのはとはやてはまだ幼いから分かるが、何故リインフォースがわからないのには疑問がある。

 

何でも本人曰わく

『こういう繊細な物を扱うのは、得意ではないのだ。』

らしい

何千年生きていても、わからないのかと思う方もいるかもしれないが、わからない物はわからないのだ。

人間誰しも、得手不得手がある。

 

以前旅をしていた時、リインフォースに超高性能コンピューターを操作させた事があった。

操作は画面に表示される通りやれば問題ない筈だ。

 

 

 

 

 

 

 

筈だった。

その時、カイトがほんの、そうほんの僅か目を離した瞬間だった。

 

次にカイトが見た時には、コンピューターの画面が真っ白になっていた。

カイトが何をしたんだと聞いたら

『このキーを押しただけなのだが。』

とカイトが見たら、enterキーを押すはずが、何故かdeleteキーを押していた。

そりゃあその後は大変だった。

データが消えるわ、バックアップは作動しないわで一苦労だったんだから。

その後、何度かめげずに試したが、結果は変わらず、幾度かの何千万もする機械が壊れた等があり、結局カイトも諦めて、彼自身が操作する事となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

話を戻そう

 

「とりあえず3人共、説明するからこっちに来い。」

『『『はーい!』』』

そう返事をした3人

ていうかリインフォース、その年齢でそれを言うのはどうかと思うが・・・・・

 

とはいえ、3人も来たので話を進める。

 

「いいか。この画面に表示されているのは、簡単に言えばこの闇の書に関する解析結果なんだ。」

カイトは闇の書を指差しながら言った。

 

となのはが挙手をした。

『あのーカイトさん。解析結果って何ですか?』

「うん?解析結果って言うのは、簡単に言えばこいつ調べた答えってやつだよ。わかったかいなのはちゃん?」

 

『うん!わかったの!』

なのはは元気よく頷く。

「で、検査した結果がこれだ。」

カイトがキーを押すと画面に新たになにかが表示される。

 

『なんやこれ?何かの地図みたいやな。』

見たはやてが言うように、次に画面に表示されたのは何かの地図のようだった。

縦10マス、横10マスのマス場に表示されている

 

 

「その通りだよはやてちゃん。これは闇の書の内部をマップ化したものなんだ。」

カイトの言葉を聞きながら、画面を凝視する3人。

『あれ?何か至る所が赤いんですけど。』

『なのはちゃんも気づいたんか。うちも気になってんねんけど。』

『私もですよ。』

なのはが画面を見て気になった事を言い、他の2人も頷いた。

よく見ると、マップ化されたマスのあちこちが赤く表示されていた。

他の部分は白く表示されている中、赤く表示されているのは全体の七割程であった。

『カイトさん。これって・・・・』

「それは、夜天の書を闇の書になってしまった際に起きたバグだよ。そいつが原因ではやてちゃんの足を動かなくしてるんだ。」

『これが、うちを・・・・』

赤く表示されたバグを見ながらはやては自身の足を撫でる。

「人の愚かな欲望の結果が、こんな事態を引き起こす。全く人間って奴は、どこまでも自分勝手だ。」

カイトの言葉に全員が黙る。

カイト自身もこうした事は、何度も見てきたが、やはり愚かとしか言いようがない。

人は、過ちを繰り返す生き物だ

昔誰かが言っていた事をカイトは思い出していた。

例え、一時的に諦めたとしても、やがて人は再び欲望に呑まれる。

「ふっ・・・・・馬鹿馬鹿しいか。」

こんな考え、今出てこなくてもいい。

今は、やるべき事がある。

「さぁ、みんな落ち込んでても先には進まないぞ。話を続けるぞ。」

『いやいや、元はと言えば、カイトさんが原因やと思うんやけど・・・・』

「うん?そうだったか?」

はやての言葉に、カイトは知らぬがような質問をした。

『『『『『はぁー・・・・』』』』』

全員が深い溜め息をだした事は言うまでもないだろう。

 

 

 

 

 

 

「まぁ、簡単な話だ。要はこのバグさえ取り除けば、闇の書も夜天の書に戻るし、はやてちゃんの足も治る。いわゆる一石二鳥ってやつだ。」

『そこまでくるのが、長かったわ。』

『全くだ・・・』

結局、結論から言えば、バグを取り除けばいいだけの事だったのが、そこまでの話が長かった。

「んでだコウ、バグを取り除くにはどうすればいいんだ?」

『あぁ、簡潔に言えば、バグの大元を叩けばいいだけだ。』

『大元?』

なのはが首を傾げる。

『マップを見てみな、何個かのマスが大きいだろ。それがバグの大元だ。それを叩けば、周りのバグは自然に消滅する筈だ。』

確かにマップの中に5つ程のマスが、他のマスより大きいのが見える。

『それなら、簡単やな。』

『うん。』

『そうだな。』

それぞれが納得の返事をする。

「まぁ、簡単ってわけでもないんだがな。」

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ今から、闇の書に入ってバグを取り除く組とここで突入組のサポートする組とに分けるぞ。」

そう言ってカイトは全員を見渡す。

「まず突入組は俺とはやてちゃんとなのはちゃん。後リインの4人だ。」

呼ばれた3人が前にでる。

「コウはこの装置の制御及び俺達のサポート。雷斗は見張りを頼む。」

『見張り?』

はやてがカイトに質問する。

「もし万が一、誰かに作業を邪魔されないように家周辺を見張ってもらうんだよ。頼むな雷斗。」

『了解した。』

そう言って雷斗はリビングを出て行った。

『さて、なのはちゃんとはやてちゃんに渡すもんがある。』

 

『私達に?』

2人はコウの方をみる。

『そう、こいつをね。』

そう言ってコウは、なのはに赤と銀を基調とした棒を

はやてには黒い鞘に入った長剣を渡した。

なのはの棒は赤と銀を基調とした色合いで、片側は鋭く、反対は三角の形に平べったい。

一方のはやての長剣はと言うと

『なんや、やけに軽いなぁ。』

受け取ったはやては妙な顔をした。

受け取った長剣が思ってた以上に軽かったのだ。

これまでにはやては訓練の時には木刀を使っていたが、これはそれよりも軽かった。

気になったはやては剣を鞘から抜いてみた。

そして

『・・・・・・・』

それを見たはやては、一旦それをまじまじと見つめて一呼吸し・・・

 

 

『なんじゃあーこりゃあぁぁぁぁぁぁぁ?!』

どこぞの警察番組の有名な名台詞を素っ頓狂な声でだした。

 

 

それもその筈だ。

いざ抜いてみた剣が

 

 

 

 

長剣ではなく、刃渡りがたったの20センチしかない短剣だったのだから。

しかも鞘の方は刃渡りの長さが約70センチもあるのに、当の本体がこれでは、騙し騙しもいいところだ。

『カイトさん。流石にこれはないんちゃうかな?』

はやてがごもっともな意見をだした。

というよりも、この場全員が言いたかった事だろう。

が、当のカイトは至って平然としていた。

『まぁはやてちゃん。それも事も含めて説明するから。』

コウがはやてを宥める。

『まず、はやてちゃんの剣についてなんだけど、刃渡りが短いのは単に相手を騙す為にしたわけじゃないんだ。はやてちゃん、ちょっと魔力使ってくれる?』

『魔力を?』

そうコウが言うと、疑問を言いつつもはやては自分の手に魔力を集中させる。

 

 

すると、

 

 

 

剣がゆっくりと、白く輝き始めた

 

 

 

 

 

『なんや・・・・・これ?』

 

 

はやては驚きながら、剣を見つける。

 

やがて輝きは徐々に増していき、暗かった部屋を明るく照らす。

『綺麗・・・・』

輝きを見ながら、なのははポツリと呟いた。

それ程までに、その輝きは綺麗の一言につきるものだった。

 

全員がその輝きに魅力される中、輝きが徐々に収まり始め、やがて短剣の回りを纏うかのような陽炎となった。

『これは・・・剣なのか?』

リインフォースが陽炎を見ながら呟く。

短剣に纏し、その陽炎はまさしく剣の形になっていた。

諸刃の剣の長さはゆうに1メーターを超え、幅は10センチ近くもあった。

しかしはやてには、それよりも、今持っている剣が、全く重みがない事に驚いていた。

普通、刀身1メーター越えの剣は、大剣に分類されてもおかしくはない。

当然、刀身がそれだけ大きいのならば、その剣自体の重量も増える。

その場合、剣の重量は軽くても5キロはゆうに超える。

故に、大の大人でも、扱う事には一苦労する。

 

 

だが、この剣は違う。

重さがあるのが、柄と短剣の部分だけなので、はやてぐらいの子供でも簡単に持つ事が出来るようになっている。

 

『そいつは、はやてちゃんの魔力を使う事で、初めてそいつの真価が発揮されるようになってる。説明は以上だ。』

『結構軽いんやね。』

コウの説明を聞きながらはやては剣を軽く振ってみる。

本当に軽いのだ。

自分の手の力だけで、これは手足の様に動かせた。

そう思いながら、はやては一通りの動作を確認し、剣を鞘に納めた。

『次はなのはちゃんのだな。』

そう言って、コウは今度はなのはに視線を向ける。

『なのはちゃんのは、見た目通り槍に近い物だが、そいつは使用者の思想によって形を変える事が出来るようになってる。なのはちゃん頭の中で盾をイメージしてみな。』

『うん。』

なのはは目を閉じて、盾をイメージする。

すると持っていたそれは、ゆっくりと形を変え、盾になった。

『凄い・・・』

はやての言葉がでたと同時になのはは目を開ける。

なのは自身も言葉に出さなかったが内心驚いていた。

何せ、目を開けたら自分がイメージした通りの形になっていたのだから、驚くのは無理もないが。

『上手くいったな。じゃあ今度はブレスレットをイメージしてみようか。』

『はい。』

そう言うと、なのはは再び目を閉じる。

頭の中でイメージを働かせる。

すると、持っていた盾は再び姿を変え、なのはの左手にひし形の装飾がついたブレスレットとなった。

『出来た!』

目を開けて、ブレスレットを見たなのはは嬉しそうな顔をした。

と、はやてがなのはに近づいていく。

『なのはちゃんの凄いなぁ。』

『はやてちゃんのも、充分凄いと思うけど。』

そう言いながら、互いのを見せ合いっこする2人。

その光景はそんじゃそこらにいる普通の女の子達の姿だった。

 

 

 

「どうやら2つ共、問題なさそうだな。」

はしゃぐ2人を見ながら、カイトは彼女達に渡した物の状態を確認する。

『あぁ、今のところ異常は見られないな。』

コウが、準備を進めながら呟く。

画面を見ても、コウが言った通り、特に異常は見られない。

 

 

「よし!突入組集合!!」

 

大方コウが準備が整ったのを確認したカイトが突入組を集める。

「じゃあ、今から闇の書に入る。そして中にいるバグを除去する。作戦はこれだけだ。」

『『『はい(あぁ)!!』』』

3人が元気よく返事する。

「よし!では突入だ。」

その言うと、カイトは闇の書を指差した。

『でもカイトさん。どうやって闇の書の中に入るんや?』

『こうするのさ。』

 

はやてがカイトに突入方法を聞くと、代わりにコウが答えると同時に、コウが装置にあるボタンを押した。

 

その瞬間、装置からカイト達に向けて光が照射された。

『『ふぇ?!』』

なのはとはやてが驚いてる内に、光は彼らを包み込み、やがて収まるとそこにはカイト達はいなかった。

『頑張れよ・・・・みんな。』

装置を操作しながら、コウは突入組にエールを贈った。

 

 

 

 

 

 

闇の書を夜天の書に戻す戦い

 

 

 

 

 

 

 

開幕

 

 




あとがき

ナカゼロ「どうも、皆さん。お久しぶりです。ナカゼロです。」

リインフォース「今回の話、如何だっただろうか?」

カイト「今回。なのはちゃんとはやてちゃんには新アイテムを渡したしな。今後に期待だな。」

はやて「確かうちが剣で・・・・」

なのは「私が槍だったよね。」

リインフォース「なのはの場合はブレスレットや盾も出たからな。」

コウ「実際のところ、元々はブレスレットにするつもりらしいぜ。」

雷斗「というかナカゼロ。俺の出番がもう無いように感じるのは気のせいか?」

ナカゼロ「大丈夫。しっかりと雷斗の出番もあるから。」

雷斗「ならいいが・・・・」

ナカゼロ「因みに、今回登場した新アイテム。モチーフがあるのですが。皆さん分かりますか?なのはちゃんのは分かると思いますが、はやてちゃんのはちょっと難しいかもしれません。」

カイト「とりあえずだ。もしわかったら感想をくれると嬉しいぜ。」







リインフォース「では、今回はここまでだ。」

はやて「次回は闇の書に突入した4人に関するお話や。」

なのは「新アイテム大活躍の予定なので、お楽しみになの!」

カイト「では次回も!」

全員「お楽しみに!!」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。