魔法少女リリカルなのは~祝福の風の精霊と時の旅人の物語~ 作:nakazero
第四話です
タイトルでわかる方がいるかもしれませんが原作キャラ登場の回です
ではどうぞ
私の風の検索の結果、過去の世界に来てしまった私達は今、街の中を歩いている。
とりあえず、街を見て回ろうというカイトの申し出で、私はそうしている。
しかし、本当に久しぶりの海鳴の風は心地良かった。
精霊になると、知覚が広がり、様々な事が分かるようになった。
先ほど私が使った風にも風自身に感情があり、優しさや怒りや悲しみ等の気持ちがある。
ここ海鳴の風は、とても安らぎがあり、心地よいものだった。
『こういう風景も悪くないね。』
「あぁ、そうだな。久しぶりだが、やっぱり海鳴の空気は良いな。」
リインは辺りを見ながら言った。
そんなリインをカイトは微笑みながら、歩き続いた。
2人はそうして、しばし、街の風景を見ながら、楽しんでいた。
2人は、商店街などを抜けて住宅街に入っていた。
その風景を見ながら、2人は歩き続けていた。
そんな時だった。
『ん?』
「どうしたカイト・・・」
私の隣を歩いていたカイトが急に立ち止まった。
私が彼の方を向くと、カイトは辺りを見ながら首を傾げている。
「どうかしたのか?」
『いや・・・誰かが泣いている声が聞こえたんだけど・・・・』
「声?」
カイトの言葉に私は周りに耳を澄ませるが、そういう声は聞こえなかった。
いくら風の精霊となって、知覚が大幅に拡大した私でもだ。
『あっちからか・・・・』
だが、カイトには何かが聞こえる様で、声が聞こえる方向に向かって歩き出した。
「あっ!ま、待てカイト!!」
そう言うと私は慌てて彼の後を追った。
声が聞こえる方向に歩き続けて5分ぐらいが経った。
カイトは辺りに耳を澄ましながら、道を歩いていく。
リインは黙ってカイトの後を追う。
しばらく歩いていると、やがて目の前に公園が見えてきた。
『ここからか・・・・・』
とカイトが公園の入り口前で立ち止まる。
リインも追いつき、彼の隣に立つ。
「ここに、何があるんだ?」
『わからない。ただ、凄く小さい声だけど、【助けて】って声が聞こえたんだ。その声を追ってここまで来たんだけど。』
カイトはそう言って、公園内を見渡す。リインも見渡しながら思う。
カイトはこう言った私すら聞こえないような声を敏感に感じ取る。
ただ、カイトに聞こえる声は、音ではなく、心から発せられたものだ。
つまり、さっきからカイトに聞こえるのは、誰かの心の叫びの声なのだ。
『・・・・見つけた』
と、カイトは何かを見つけた。
リインも彼が見ている方向を見る。
カイトの視線の先にはブランコがあった。
そのブランコの一つに1人の女の子が、俯きながら力無くブランコを揺らしていた。
茶色い髪に、髪を左右にまとめたツインテールはどこか力がないように見える。そしてその子の目は、今にも何かに押し潰されるかの様に悲しみで一杯の目だった。
「あの子は・・・・」
『リイン。知ってるのか?あの女の子の事』
リインの言葉に、カイトは彼女は聞いてみた。
リインはカイトの質問に首を縦に振った。
リイン自身も確証があるわけではなかったが、あの姿には見覚えがあったのだ。
茶色い髪にツインテール
その目から感じる強い意志
おそらくあの女の子は・・・・・
かつて、暴走した私を止める為に戦った女の子
私の最後を看取ってくれた女の子
その女の子の名は
高町なのは
後にエースオブエースと呼ばれる少女だ。
カイトはリインから彼女の名前を聞いた時、僅かだが胸騒ぎを感じた。
それはかつて無の世界でリインを見つけた時に感じたものと同じものだった。
誰かに助けを求めてはいけないという思い。
カイトはその子に近づこうとしたが、リインが手で遮る。
カイトはリインに何か言おうとしたが、リインの目を見て、口を閉じる。
声に出さなくても、リインの目が語っていた。
・・・ここは私に任せてくれ・・・ と
『・・・任せる』
カイトはずっとリインの目を見つめていたが、そう言うと後ろにさがった。
そして、リインは彼女に近づいていった。
私は高町なのは
海鳴市に住む五歳の女の子です。
お父さんが大怪我をして、入院してから一週間が経った。
お母さんとお姉ちゃんは、店の事で手一杯で私に構ってくれなくなった。
お兄ちゃんは道場で練習しっぱなしで、私は言葉がでなかった。
だから私は、今公園で1人で過ごしている。
私の家族はみんな忙しいから、私が駄々をこねるわけにはいかない。
お願いだから、私を見捨てないで・・・・
いい子にするから・・・・・
「うっ・・・・・ひっぐ・・・」
ブランコに座りながら、私は只時間が過ぎるのを待つ。
その間にも、私の目から涙が絶える事なく流れ落ちる。
そんな悲しみに心が押し潰されそうになりながら・・・・・・・
『どうして、泣いているんだ?』
「ふぇ?!」
急に前から声が聞こえてきて、私は顔をあげる。
『こんな所で、何で1人でいるんだ?』
顔を上げた私の目の前には、とても綺麗な女の人がいました。
「えっと・・・・・・」
女の人の質問に私は戸惑ってしまう。
つい、本当の事を言ってしまいそうになる。
私は、その思いを必死に心に押さえ込む。
「な・・・・何でもありません。」
どうにか、思いを抑え込みながら、私は笑顔をつくる。
そう言えば、この人は去ってくれると信じて・・・・・
『嘘の笑顔では、騙されないぞ、私は。』
「・・・・・・・・え?」
ピキッ!
心の壁に亀裂がはしる。
『いくら私でも、こんな公園に1人で泣いているのを見れば、おかしいと思うさ。』
壁の亀裂が広がっていく
「へ・・・・・平気です・・・」
なんとか、声に出そうとしたが、出したその声には力がなかった。
『なら、どうして泣いていたんだ?』
駄目!
『君がそうしているのは、君の家族に何かあったからだろう?』
言わないで!!
「あ・・・・・あぁ・・」
せっかく繕った笑顔が崩れ始める。
止める事は・・・・・・もう出来なかった。
『泣きたい時は泣けばいい。辛い時には「辛い」と言えばいい。君にはその資格があるのだから。』
その人は私を抱きしめて、耳元でそう言った。
とても優しい声で
その言葉が紡がれると共に
ガシャーーン!!
私の心の壁が、崩壊した。
『あ・・・・・・あぁ・・あぁ・』
押さえ込んでいた思いが、一気に溢れだした
「うわああぁあぁああああああああぁああぁあぁあぁぁぁぁぁん!!」
今まで、溜め込んでいた思いを涙に変え、私は泣いた。
顔をその人の胸に沈め、泣き続けた。
「あぁぁぁぁぁぁぁあぁぁあぁぁぁあぁぁあぁ!!」
その人は黙って、優しく泣き続ける私の頭を撫でる。
私は、その優しさを、撫でてくれる手から感じる暖かさを堪らなく嬉しく感じながら、私は泣き続けた。
私の胸で泣く高町を撫でながら、私はカイトの言葉を思いだしていた。
『手が届くのに手を伸ばさなかったら、後で死ぬ程後悔する事だってあるんだよ。』
高町はかつての私に似ていた。
最後まで、自分の意志を通そうとするところが。
だからこそ、私は手を差し伸べる。
少しでも、誰かを助けられるように、少しでも誰かに笑顔でいてもらいたいから。
たまには、弱音ぐらい出してもいいと。
この泣き続ける少女に伝わるように
カイトは、少女を抱きしめ、頭を撫でるリインを見て、思わず微笑んでいた。
かつて自分がリインにした事と同じように。
「やっぱり・・・似た者同士だな。」
その言葉に若干の皮肉は入っているものの、決して悪気があるわけではない。
さっきのリインの目を見た時カイトは感じたのだ。
自分ではあの子は救えないと。
ああいうタイプは似た者にしか救えないから。
「やっぱ、笑顔が一番だよな。」
見ると、少女は泣き止んでおり、目は赤くなっていたが、その顔からは笑顔が見えた。
決して偽りではない、彼女が持つ本当の笑顔が
リインもその笑顔を見て微笑んでいる。
それを確認しつつ、カイトは二人の所に歩いていった。
こうして、不屈の魔法少女と時の旅人らは出会った。
彼らがどんな物語を紡ぐのか。
それは、この物語をもう少し進めないといけない。
あとがき
ナカゼロ「どうも皆さん、ナカゼロです。」
リインフォース「今回は高町との出会いを書かせて頂いたが、いかがだっただろうか。」
カイト「今回から、その高町なのはちゃんも参加します。」
なのは「高町なのはです。よろしくお願いします!」
ナカゼロ「いやはや、今回は結構難産だった。」
リインフォース「確かに、お前が得意としないシリアスだったからな。」
ナカゼロ「うん、だからなのはちゃんの心境を書くのは、心が痛んだよ。」
カイト「まぁ、これ飲んで元気出せよ」(黒い液体の入ったペットボトル)
ナカゼロ「サンキュー!ん・・・・ゴクッ・・ゴクッ!」
なのは「カイトさん。ナカゼロに何渡したんですか?」
カイト「あぁ、あれ?あれは・・・・」
バタッ!
リインフォース「おい!飲んでいたナカゼロが倒れたんだか・・・・・何を飲ませた。」
カイト「最高・・・・・キッコーマン!!」
リインフォース「お醤油かっ!!」
カイト「ではそろそろ退散っと」タッタッタッタッタッ・・・・・・
リインフォース「待てカイト!ナカゼロを置いていくな!」タッタッタッタッタッタッ・・・・・
なのは「みんな行っちゃったの。えっと次回も楽しみにしていてくださいね。
では、次回で会いましょう!」