魔法少女リリカルなのは~祝福の風の精霊と時の旅人の物語~ 作:nakazero
「はじめましてカイトさん。うちは八神はやてといいます。」
『あぁ、こちらこそな、はやてちゃん。』
そう言って、俺とはやてちゃんは握手を交わした。
俺が八神家に戻ると、玄関前でリインとはやてちゃんが待っていた。
はやてちゃんはリインから俺の話を聞いた後、俺にお礼を言ってきた。
「うちの家族を助けてくれてありがとうございます。」
そう言うはやてちゃんに、俺は気にしないでと言っておいた。
だが、はやてちゃんの次の言葉に俺は耳を疑った。
「あのー。もし出来ればですけど、此処に住んでいただけませんか?」
はやてちゃんはそう俺に頼んできた。
『・・・どうしてそうなるんだ?』
俺ははやてちゃんに聞こえないように、小さく呟いた。
話を聞くと、なんでも、はやてちゃんが俺に迷惑をかけたと思ったからだそうだ。
まぁ、はやてちゃんはリインから聞いていた通り、家族という存在を大切にしているのはわかった。
そしてリインフォースは、かつてはやてちゃんと共にいたのだから、そう考えてもおかしくはないが。
『はやてちゃんの申し出はありがたいけど、やめとくよ。』
だから俺は最初、その申し出を断った。
昔、一緒にいたリインならまだしも、全くの他人の俺に頼んでくるのはどうかと思う。
「うちは、リインフォースを助けてくれたカイトさんにお礼がしたいんや。」
だが、はやてちゃんもなかなか食い下がらない。
『いや、だからといってもなぁ・・・』
頭を掻きながら、俺はそう言った。
「でも・・・」
『じゃあ、はやてちゃんはどうして俺に住んでほしいのかな?』
俺ははやてちゃんに聞きたかった事を聞いてみた。
どうして、あかの他人の俺に住んでほしいのだろうか。
「それわな・・・」
『・・・・・・』
はやてちゃんが答え始める。
「うちな・・・・ずっと一人やったんや。両親がいなくなってから、家に居ても、どこに居ても一人やった。やから・・・・もう・・一人は嫌なんや。」
(主・・・・)
はやては俯いて、肩を震わしながら呟いた。
それを見て、リインは心配そうにはやてを見つめる。
「リインフォースが一緒にいてくれるから、もう一人じゃないけど、それでもうちは、カイトさんにも一緒にいてほしいんです!お願いや!!」
はやてはカイトに頭を下げて頼み込んだ。
『・・・・・・・・』
カイトは、はやてをじっと見ている。
やがて
『はやてちゃん。顔を上げて。』
カイトは、ふぅと息を吐いて、はやてにそう言った。
「カイトさん・・・・」
はやては、ゆっくりと顔を上げる。
リインもその場を、黙って見つめる。
『はやてちゃん。よく聞いてほしい。』
カイトがゆっくりと口を開いた。
『リインから、聞いてると思うけど、俺は旅人だ。世界を渡り歩く旅人だ。世界に留まる事なんて一度もしなかった。もしそうしてしまったら、もう旅をする事はしないと思ってしまうから。』
「・・・・・・・」
はやては黙って彼の話を聞く。
『だから、この世界に留まるのは、出来ない。』
「・・・・そうですか。」
はやてちゃんはシュンとなる。
『でも・・・・』
「えっ?」
俺の話は、まだ終わっていなかった。
『偶には、羽根休めするのも、悪くないと思うところもある。』
「えっと・・・・どういう意味ですか?」
うんうんと頷きながら話す俺に対し、はやてちゃんは言葉の意味を理解出来ていない様に首を傾げている。
『だから、少しぐらいなら、世界に留まるのも、悪くないかもしれないって思ったよ。』
「それって!」
『あぁ、少しの間だけど、世話になるよ、はやてちゃん!』
俺の言葉に、はやてちゃんは俺に抱きついた。
『おいおい、はやてちゃん。』
「うち・・・うち、すっごく嬉しい!」
抱きついて嬉し涙を流すはやてにカイトは苦笑する。
『やれやれ・・・』
と言いつつも、カイトは自分に抱きついているはやての頭を撫でる。
リインもその光景を微笑みながら、見つめていた。
『じゃあ、今日俺はリビングで寝るから。』
俺が住むことが決まって、はやてちゃんに今日どこで寝るのかと聞かれたので、俺はそう答えた。
だが、はやてちゃんは
「嫌や!そんなんあかん!」
と即答した。
まぁ、俺としてはどこでもいいと思っているのだが。
ちなみにリインはというと、はやてちゃんと一緒と寝ると決まっている。
『じゃあ、俺はどこで寝ればいいんだ?』
と俺がはやてちゃん聞いたら
「うちらと一緒に寝ればいいやん。」
『・・・・・・・はい?』
この子は今、なんと言った。
一緒に寝るだと?
しかし・・・
『まぁ、いいか。』
俺は妥協した。
読者の皆さん、最初に言っておくが、俺は別に、やましい事など考えてはいないぞ。
という訳で
「いやー、幸せやー」
ベッドに俺とリインの間に入りながら、はやてちゃんは嬉しそうに顔がニヤニヤしていた。
ちなみに、今回俺達が寝るベッドは二階にあるので、車椅子のはやてちゃんでは上がるのが一苦労なので、俺が抱き上げて上がったのだが・・・
「////////」
上がる間、はやてちゃんの顔がずっとリンゴみたいに赤かったのは何故だろうか?
『鈍感だな。カイト。』
リインにそんな事を言われた。
『知るか・・・・』
俺はそう言い返した。
それからしばらくして
「すぅ・・・すぅ・・・・」
安らかに寝息をたてながら寝るはやてちゃんを見ながら、俺はリインに話し掛ける。
『リイン。起きてるか?』
「起きてますよ。カイト。」
そう言ってリインは、目を開ける。
『これから、どうするんだ?』
「そうですね。まずは、主の呪いを解かないといけないな。」
『そうか・・・』
そう言うと、俺は、寝息をたてるはやてちゃんをみる。
こんな少女が後の未来に、過酷な運命を背負わされる事になると、一体誰が思うであろうか。
今日出会ったなのはちゃんも、後に魔法と出会う事になることもリインから聞いている。
さらに、俺がはやてちゃんと関わった事で、リインが知る未来とは、変わる事は明白だった。
俺が関わると、大体の世界の未来が変わるのを俺は嫌と言うほどみてきた。
だからこそ
『はやてちゃんには、お前が知る未来とは変えたいな。』
「あぁ」
寝ながらリインは頷いた。
『まぁ、まずは闇の書を夜天の書に戻さないとな。』
一応、それに対するプランも、既に考えてある。
『まぁ、今は急ぐ必要もないが、とりあえず準備は怠らずにしていこうか。』
「はい・・・」
そう言うと俺達は眠りについた。
明日から始まるであろう生活に関して俺は眠りに入りながら考えていた。
闇の書の呪いを解くのは、一筋縄ではいかないが、決して不可能という訳でもない。
さぁ、闇の書の呪いよ覚悟してろ。
お前の相手は、時の旅人の俺カイトだ。
今回はあとがきはありません
誠にすいません。
次回をお楽しみに