ポケットモンスター in another life 作:プチシュー
「何でこんなことに…」
俺は手に果物の形をしたポケモンを抱きしめながら、相棒のココと森の中を全速力で駆けていた。
"ヤツ"が追いつけないように、奴の足元をココのふぶきで凍らせ、更に直線ではなく、追いかけてこないように木々の間を縫うように走っているが"ヤツ"には多少の時間稼ぎにしかならないらしい。
後ろからは、森の木々を薙ぎ倒す音が聞こえる。
その音は止まる事がなく、徐々に、そして確実に近づいて来ている。
一瞬たりとも気が抜けず、振り返る余裕も無かった。
何でこの様な事になっているのかと言うと、
時間は今から、少しだけ遡る。
※※※※※※※※※※
「ここが、安らぎの森か…」
俺は博士から貰ったアドバイスでドームの裏にある安らぎの森に新しい仲間を捕まえにやってきていた。
まだ森の入り口付近ではあるが、辺りにはポッポ、コラッタ、ナマケロ、スボミー、ルリリ、タネボーなど様々なポケモンが生息していた。
また安らぎの森という名の通り、ここにいるポケモン達は人間である俺がいるにも関わらず、逃げ出す訳でもなく、穏やかに過ごしており、中には眠っているポケモンもいた。
「ここなら、のんびり新しい仲間を見つけられるかもな、出てこいココ!」
「コーン!」
「よし!新しい仲間を探しに出発だ!」
俺は相棒のココと共に森の奥を目指して歩き始めた。
森の奥を目指すに連れて、ポケモンの気配が増えていった。それと共に、オレンの実やモモンの実、カゴの実など、様々な木の実が木に実っていた。俺はそんな木の実を収穫しつつ、捕まえるポケモンを探していると森の奥から、
「ドーーーーーーーーーーーーーーーン‼︎」
というカミナリが落ちた様な音と木々が倒れる音が森の中に響いた。
一瞬何が起こったが分からなかったが、すぐに落ち着きを取り戻し、
「とりあえす音がする方に行ってみるぞ、ココ!」
俺はココを連れて、音が響いた場所に向かった。
音が響いた場所に行くと、恐らく先程の音の原因がぶつかった衝撃を受けたであろう木が倒れていた。
倒れた木の目の前には、大きなツノが目立つが、それ以上にアフロヘアーが印象的なポケモンが立っていた。
「確かあのポケモンは、」
俺は腕時計型のポケモン図鑑を起動して、アフロヘアーのポケモンにモニターを合わせた。
「バッフロン ずつきうしポケモン」
「やっぱりバッフロンか…」
あのアフロヘアーは忘れもしない。
前世の記憶にもそれは色濃く残っていた。
そして、バッフロンの足元にはリンゴの様な赤い果物の姿をしたポケモンがブルブルと震えていた。
そのポケモンは全く見覚えがなかった。
バッフロンの次にそのポケモンにモニターを合わせようとすると、
「バッフッローーン」
バッフロンが口を大きく開けて、そのポケモンに噛みつこうをした。
そして俺は咄嗟に。
「危ない‼︎ココ、こおりのつぶてをバッフロンの体に打て!」
「コン!」
ココは俺の指示通りのバッフロンの体に向けて、こおりのつぶてを放った。
そしてバッフロンに、こおりのつぶてが当たると、当たった痛みで果物の形をしたポケモンに向かっていたバッフロンの口は、大きく宙へ向いた。
「今だ!」
俺はその隙をついて、果物の形をしたポケモンを抱き抱えた。そして、
「ココ、足元向かってふぶき!地面を凍らせるんだ!」
ココはすぐ様、地面にふぶきを放ち、地面を凍らせた。
そして、それを見届けると、
「ココ、逃げるぞ!」
そして俺と果物の形をした謎のポケモンを抱き抱えながらココと共に、
バッフロンが追いつけない様に森の中を走った。
バッフロンの1番の武器は頭もといアフロ。
あの特徴的なアフロから繰り出されるバッフロンの固有技のアフロブレイクはバッフロンのとくせい次第ではあるが、ドラゴンタイプの大技、げきりんにも匹敵する。
その力を最大限発揮するには、助走をつける必要がある。
だから俺は障害物が多く、走りにくい森の中へ逃げたのだ。
そうすれば、如何にバッフロンと言えど追いかけてこれないと踏んでだ。
「このまま暫く走れば大丈夫だろう、、、うん?」
「バッフーーーーーロン‼︎」
後ろに気配を感じだ直後、大きな鳴き声と共に、
後ろからは木々が倒れる音が聞こえてきた。
「嘘だろ⁉︎こんな森の中まで追いかけて来るなんて、、」
俺は驚きながらも、足を止めずに森の中を全力で駆けた。
※※※※※※※※※※※※※※※※※
そして今に至る。
俺は逃げながら、頭で考え続けた。
何故追いかける、その理由は、その意味は…etc
考え続けても答えは出てこなかった。
そしてもうバッフロンの木々を薙ぎ倒す音は、もう既にすぐ後ろまで迫っていた。
もう、俺は賭けに出るしかなかった。
恐らくあのバッフロンはココよりレベルは上だろう。だが、生きて帰るためにはあの方法しか思いつかなかった。一か八か、やってみるしかない。
森の木の間を縫って走っていたが、目線の先には見通しがいい草原が見えた。
バッフロンが闘いやすい地形に移動してしまうが、技のチャンスは一回きり、何より、"障害物が多い森では使えない技"だ。
「ココ、森を抜けて草原に入ったらあの技を使うぞ」
「、、、、、コン!」
一瞬不安を感じたが、ココの返事には不安を振り切った事が直感で理解できた。2年間パートナーとして、共に技を磨いた俺を信頼しているからだろう。
これは失敗出来ない。
そして森を抜け、草原を抜けた俺たちは森の方へ振り返った。
そこにはもう少しでこちらに追いつきそうなバッフロンのアフロが目に飛び込んできた。
「ココ、俺の指示するタイミングであの技を打つんだ。」
狙うのはバッフロンが森を抜け、障害物が無くなった一瞬のタイミング。
そして、そのタイミングはすぐにやってきた。
「今だ!ぜったいれいど!」
その掛け声と共に、ココから放たれた絶対零度の冷気がバッフロンを包んだ。