石の意思   作:与那国蚕

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茹で卵食べながら書いてました。
4話です。


遭遇

 

 

蜥蜴人は後悔していた。

目の前にそびえ立つ巨大な石の様な物を見て。

そもそも普通ならアゼルリシア山脈に程近いこの場所まで来なかったのだから。

なぜここまで来てしまったのか。

なぜ姿が見えたのに目の前まで来てしまったのか。

全てが遅すぎた。

族長ですら霞んでしまうような存在感。

一言で言えば歪。

巨大な水晶を削って作り出したような存在。

何もかもが大きく力を感じさせる。

力で全てを決めるような部族にいたからこそ余計に感じてしまう。

圧倒的な力を。

いや、決めつけるのはまだ早い、族長は他の戦士達とは違うんだと考えを改めていると目の前の石の様な物から音がした。

 

「この世界には爬虫類しかいないのか?」

 

何を言ってるんだこの石は?

この周辺ですら他の種族はいる。

そんな当たり前のことを横殴りにするような発言。

それになんで石が喋ってるんだ?

こいつは生きているのか?自我があるのか?

聞きたいことは山ほどあるがまずは何者か聞かなければ埒が明かない。

 

「お前は何者なんだ?」

 

 

「その前に聞きたいんだがお前はプレイヤーか?」

 

 

ぷれいやーとはなんだ?

この石の言っていることは意味がわからない。

 

 

「ぷれいやー?なんだそれは?」

 

 

蜥蜴人なのにプレイヤーじゃないのか。

ますます訳がわからなくなってきた。

俺以外にプレイヤーはいないのか。

 

 

「すまない、こっちの事情だ。俺はクリスタルゴーレム。」

 

「クリスタルごーれむ?」

 

「そうだ。」

 

「すまない、ごーれむとはなんだ?種族名か?」

 

 

こいつはゴーレムを知らないのか。

そんなに人気無かったかなぁ。

確かに皆ハーフゴーレムの方ばっかり選んでたような気もするけど…

 

 

「そんなものだ、気にするな。」

 

「ところでお前は何をしに来たんだ?」

 

「後ろの山から来たんだがな、この世界がなんなのか知りたくてな。」

 

「アゼルリシア山脈からか。それより世界がどうのこうのとはなんなのだ?」

 

 

アゼルリシア山脈?あの山の名前なのか?

全く聞き覚えの無い山だ。やっぱり異世界か。

 

 

「あぁ、実はアゼルリシア?から外に出た事が無くてな。ちょっと外に出ようと思ったのだが全く街に着かないんだ。」

 

「街?集落の事か?」

 

「集落?集落と言うよりかはもっと発展してると思うんだが、ここには人間はいないのか?」

 

 

人間?外の世界にいる種族のことだろうか?

族長は旅人だから族長に聞けばわかるだろう。

しかしこんな“もの”を集落まで連れてってもいいのか?

狩猟班に所属する一端の俺如きが判断していいものなのか?

 

 

「うちの集落に来れば詳しい話を聞かせられるかも知らん。ただ…」

 

 

うちの集落?他にも蜥蜴人がいるのか?

蜥蜴人の集団生活?蜥蜴人の共存?

 

 

「ただ…なんだ?」

 

 

「俺達は別の種族を嫌う傾向にあるんだ。だから見返りと言ってはなんだが、こちらにメリットが欲しい。」

 

 

なんだこの蜥蜴人は…

 

 

「それはわかったが何がいいんだ?」

 

 

何がいい?

この石はなんでもポンポン渡せるほどのやつなのか?

それとも指の1本でも折って

「これをやろう、価値としては充分だ。」

とでも言うのか?

第一何も持ってないじゃないか…

 

 

「こちらから言っておいてなんだが何か持ってるのか?」

 

 

あぁ、そういう事か。

手ぶらだから不思議がってるんだな?

 

 

「なんでもあるぞ。剣でも防具でも。マジックアイテムでもいいぞ。」

 

 

肩の辺りをまさぐり何個か出してやった。

 

 

なんだこの化け物は…

どうして何も無い場所から物が出てくるんだ…

祭司の言ってた“魔法詠唱者”かもしれないな…

それよりこいつの出した武器やらなんやらはかなり価値があるんじゃないか?

よくわからないが…

 

 

「と…とりあえず俺に付いてきてくれ…」

 

「わかった。」

 

 

この蜥蜴人はなんで驚いてるんだ?

俺が出したのは被りがいくつもある物だけなんだが…

まぁこれで話が聞けるのはいいんだが。

 

 

しばらく歩くと地面が湿ってきた。

湿地帯とでも言うのだろうか?

ヌメヌメとした感触が足に伝わってくる。

なぜ石の体にヌメヌメとした感触が伝わるのかはわからないがそういう物なんだろう。

そんな事を言ってしまえば俺の声は何処から出ている。

何故口を開けていないのに声が出る。

頭が痛くなってくる。

無論頭もクリスタルなので痛くはならないのだろうが。

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

しかしこの蜥蜴人は全く話さないな…

元からあんまり喋るタイプじゃないのか?

話した感じだと頭は回るようだから何か考えてるのだろうけど。

なんか見えだしたぞ。

周りが柵のようなもので囲まれている。

 

 

「少しここで待っていてくれ。」

 

「わかった。」

 

 

見た感じそこまで広くないな。

ほんとに集落みたいだ。

ん?なんか他の蜥蜴人にめっちゃ見られてるぞ俺。

今にも攻撃してきそうだ。

何もしてないのにな。

お、他の奴らより1回りでかい蜥蜴人が出てきたぞ。

あいつが族長っぽいな。

って腕太いなおい。

なんで片腕だけオーバーに鍛えてるんだ。

バランス考えろよ。あ、近づいてきた。

 

 

「お前が族長か?」

 

「そうだ、俺がこの“竜牙”の族長

────ゼンベル・ググーだ。」




ここまで読んで頂きありがとうございました。
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