石の意思   作:与那国蚕

7 / 7
読み応えの無さに定評がある今作品。
それでは7話です。


道のり

おみずはゼンベルと別れた後しばらく歩いていた。

 

「方角はあってるよなぁ…」

 

狩猟班の蜥蜴人に教えられた方角へ真っ直ぐ歩いているのだがなんせ初めての場所なので不安が残る。

それにしても歩くのは面倒臭いのなんの。

しばらく歩けば森を抜けれるらしいがどの蜥蜴人も森は抜けた事がなく、

その先に何があるのかはわからないとの事だった。

 

「湿地帯は懲り懲りだ。」

 

そして痺れを切らしたおみずは飛行(フライ)を唱える。

今まで使わなかったのは目立つから、と言う理由だったのだが

 

「もう目立つなら目立ってしまえ」

 

と将軍顔負けの諦めようで空中に浮遊していく。

 

そうしてスピードを上げて飛んでいるのだが

これがかなり新鮮で楽しかった。

ユグドラシル時代にアイテムを使ってドラゴンになった時とは比べ物にならない。

まぁ五感が制限されていた分当たり前とも言えるのだが。

 

 

少しの時間楽しんでいると辺りが開け平原が出てくる。

見渡せば申し訳程度に整備された道があった。

ただ足元の草を刈っただけのような道だ。

それに村もある。

これで人はいるとわかった。

本当に人かどうかはわからないが。

少し高度を落としてその村を観察してみるがなんとも面白いことに人間とゴブリンが一緒にいるではないか。

これならこの姿のまま王国に行っても大丈夫そうだ。

そのまま先へ進んでいく。

 

「あれが王国?」

 

周囲を壁で覆っているがなんか小さい。

国ってこんなもんなのだろうか。

 

その壁の下側に目をやると行列が出来ている。

入口はここなんだろう。

検閲?だったかな。

そのために並んでいるのだろう。

 

まぁ面倒臭いので壁を通り越して何処か降りれそうな場所を探す。

 

おみずは極度の面倒臭がりである。

 

何やら足元で人集りが出来ているせいでなかなか降りれない。

うざったいので裏道の方へ降りていく。

 

「え…きったねぇ…」

 

おみずの王国?へ対する感想はそれだけだった。

いくら裏道と言えど衛生環境が悪すぎる。

そこかしこにゴミやらガラクタやらが捨てられているし生きているのか死んでいるのかわからない人が何人も横たわっている。

 

「あの〜、ちょっといいですか?」

 

声をかけてみるがなかなか起きない。

それもそうだ。

こんな所で横たわる人間などまともでは無い。

衰弱しきって何も出来なくなった人間が殆どだ。

そんなこんな考えていると

 

「化物だ!」

 

服と言うよりはボロ布を纏った子供が自分より少し大きいゴーレム目掛けて叫ぶではないか。

 

「化け物とは失礼な…」

 

と言うより早く子供は走って逃げていく。

 

「出だしは最悪っと」

 

そうこうしている内に大通りに出るが何故か兵士と見られる集団に取り囲まれる。

 

「何者だ!」

 

「ええい!化け物を取り押さえろ!」

 

なんなんだこいつらと言いたいおみずであったが他の人間からするとお前がなんだ状態である。

兵士が4人、掴みかかって取り押さえようとするが、大したレベルでもない兵士に弱体化したとは言えレベル50のゴーレムを取り押さえられる訳もなく跳ね返される。

 

「早く冒険者組合に行って知らせてこい!化け物が出たと!」

 

またこいつ俺を化け物呼ばわりか…

異形種にしては可愛い方だと思うんだがなぁ。

それにしても冒険者ってなんだ?

気になるししばらく待ってやるか。

 

 

「あなた?がこの騒ぎを起こした犯人ですね」

 

と純白の鎧に身を包む美少女。

冒険者ってかわいいなぁ。

 

「あ、はい。起こすつもりは無かったのですが」

 

まずは敬語で様子を伺う。

 

「コイツは驚いた。ゴーレムが喋ってやがる」

 

コイツは驚いた。

人間のパーティーに山小人が混じってやがる。

 

「へんなの」

 

忍者か?ユグドラシル時代ではレベル60以上じゃないとなれなかったはずだが。

へんなの。

 

「よせ、こいつはかなりの強者だ。」

 

なんだこのチビ。

変な仮面被りやがって。

まぁ今は俺もチビなんだけど…

 

「取り敢えず戦う気が無いなら私達に付いてきてください。」

 

「あると言ったら?」

 

「それは困ります」

 

「いや、言ってみたかっただけです。それよりあなた達が冒険者ですか?」

 

「そうですが、それは歩きながら話しましょう。」

 

「あ、はい。」

 

若いのにしっかりしてるなぁ。

終始振り回されるおみずであった…




ここまで読んで頂きありがとうございました。

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