デート・リ・メイク ~再度奏でしは、精霊との恋歌~ 作:角に足当て
「ここは……」
俺は確か……駄目だ、思い出そうとしても、記憶に靄がかかっているかの様な感じで思い出せない。
すると、俺の鼓膜がミンミンと、今ではあり得ない音をとらえた。
「蝉?いやでも今の季節的に蝉はいないはず……」
たまたま近くにあったデジタル時計が目に入る。そこには驚くべきことが記されていた。
「…、六年前?……」
以前狂三の【
しかし、あの時は道路の真ん中に寝ていたはずだ。だが今回は壊れる前の家に寝ていた。
一体、どういうことだ、まさか夢?と思い壁を殴ってみても、返ってくるのは鈍い痛みのみ。
そして俺は、一つの違和感に気付いた。
天井が高い、床が近い、まさか……
「まさか俺の身長、縮んでいる?」
〈
〈贋造魔女〉を使えば見た目を変えることが出来る。以前狂三に飛ばされたときはいろいろお世話になった。
「まさか、タイムスリップってやつか?」
数年前までなら、あり得ない、と笑って返せたかもしれないが、いろいろなあり得ない事象を見てきた、非現実的で、夢の中にいるかのような……
もしかして、今までの記憶がすべて夢で、これが現実なのでは?という考えにも耽ってしまう。
突如、門の方から声がかかってきた。
「五河さーん、隣の鈴本ですけどもー」
その声は狂三の【十二の弾】で飛ばされた時にも聞いた声。やっぱりあれは現実?かと思ったが。
「うーん、いないのかしら?せっかく田舎から送ってきたんだけど、いないんじゃしょうがないわね」
「……え?」
あの時は鈴本さんは門を開けて入ってきたのに、今回は入ってこなかった。
ツー、と目から水が出てきた。泣いているのか、俺は?
きっと願っていたのだろう、あの日々が確かであったことを。
不意に、空が赤く輝いた。
離れた場所だろう、だがはっきり見えた、巨大な火柱が、それは空中で弾け、辺り一帯を炎熱の波で覆いつくした。
街全体が瞬く間に燃えていく、木も、家も。辺りからは無数の悲鳴、絶叫が聞こえた。そして俺は何かに弾かれるように家から飛び出た。
俺の記憶と寸分違わぬ街を走り抜ける、目指すは例の公園、俺の妹の琴理が精霊〈イフリート〉にさせられた場所へ。
俺が公園に着いたとき、そこには二人の先客がいた。
泣きじゃくている幼い琴理と、ノイズのような『何か』。
「ファントム……」
俺が名を呼ぶと同時に、こちらを向いてくるが、空から一筋の閃光が降ってきたと思うと、ファントムの姿が掻き消える。
「まさか、折紙もこっちの世界に……」
あり得ない話ではない、恐る恐る顔を上げ、真っ赤に染まった空を仰ぎ見る。
「折……、紙」
上空には、白のドレスに身を包み、いくつもの【羽】のようなものを見つけた。
それと同時にファントムの姿も確認できた。ファントムはこの場から逃げるように空を飛んで行った。
折紙もそれを追いかけるように空を飛んでいく。
今すぐに追いかけなければ、と思うが、目の前の少女が目に入った。否、入ってしまった。
「おにーちゃん、寂しかったよぉ」
霊装を展開させた琴理は、いまだに泣きじゃくっている。
「悪かったな、琴理、お誕生日なのに一人にさせちゃって」
俺は琴理に抱き着いた。今はこのままずっと抱きしめていたいが、時間がない。
「だから、俺からの誕生日プレゼントだ」
本当だったら黒のリボンをあげたいところだが、今の俺はそんなものは持っていない。
なんとも恥ずかしい、とりあえず琴理の霊力を封印しなければ。
琴理の唇に、自分の唇を押し当てた。するとやはりというべきか、琴理の纏っていた白い和装が一瞬淡く輝き、溶けるように空気に消えていった。
「悪い、琴理」
上半身裸になってしまった琴理に自分の着ていたパーカーを着せる。
「兄ちゃん、また行かなくちゃいけないとこがあるんだ」
「そんな、待って、一人にしないで‼」
泣きながら言ってくる琴理の頭に右手を乗せ、そうしたら琴理は弱弱しいが、確かに笑みを見せてくれた。
それを見ると、俺もついつい笑みを浮かべてしまった。
「やっぱり俺は、笑っている琴理が一番好きだぞ」
「……本当?」
「ああ、本当だ、だから約束してくれるか?琴理は強い子になるって。別に今すぐじゃなくていい、ゆっくりでいいから、強くなってくれるか?」
「うん、わかった。お兄ちゃんが言ってくれるなら私、強い子になる」
ごしごしとまだ涙のたまった目を擦った。花が真っ赤なので不格好だが、先ほどより強く、笑顔を作ってくれた。
よし、と俺は立ち上がる、折紙のいる場所へ行き、折紙に、折紙の両親を阻止する。
最後に俺は座ったままの琴理に言った。
「安心して、兄ちゃんすぐに戻ってくる、だからここで待っててくれるか?」
琴理は首を強く縦に振った。俺はそれを見たあと、折紙の両親が殺された場所に急いだ。
しかし、そのせいで俺はは気付かなかった、後ろで琴理が自分の唇に指をあて、顔をまた真っ赤にしているのを。
初めまして、角に足当てと申します。
痛いですよね、あれ、特に小指
感想、アドバイスよろしくお願いします。
原作との相違点~
①鈴本さん門の中に入らず。
②琴理ちゃんリボンもらえず。
③キスをしたのは士道君から
の三点です、さあ、これが一体物語にどのような影響を与えるのか、作者にもわからないで
す。
ちなみにサブタイに深い意味はございません。