デート・リ・メイク ~再度奏でしは、精霊との恋歌~   作:角に足当て

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第三話 三重奏〔トリオ〕

 俺が六年前に戻ってきて半月がたった。

 

 最初は夢かなんかであることを願っていたが、残念ながら世界はそう優しく無いらしい。

 

 今は夏休みらしいが、約半分程記憶が無い俺からしてみれば夏休みを満喫したという感じは起きない。

 

 そして琴理から言い渡される衝撃の真実が……!

 

「お兄ちゃんってまったく勉強してるとこ見てないけど大丈夫なの、夏休み今日まででしょ?」

 

 小学生じゃ実力テストとかないからへーきへーき、と言おうとしたが俺はすぐに思い出す。

 

 小学生の夏休みという飴と同時に与えられる鞭を。

 

 そう、夏休みの宿題である。

 

 急いでそれをランドセルの中から取り出すと、ペラペラと捲る。

 

 そこには白紙、白紙、白紙の束があったのであった。

 

「やってやるぜコノヤローーーー‼‼‼」

 

 ガリガリガリと鉛筆を走らせる俺を、まるで悪鬼羅刹の様だったと琴理は言っていた。

 

 そんな言葉、どこで習ったんだよ!

 

 

 

「おーい、五河、久しぶりだな」

 

「ああ、殿町、久しぶりだな」

 

 話しかけてきたのは殿町宏人、タイムリープしてくる前から付き合っている親しい友人だ。

 

 殿町は俺の顔を覗き込むように見ている。

 

「どうしたんだお前、元気なさそうじゃねーか」

 

「どうしたもこうしたも、宿題やってないことに二日前に気付き二徹状態だからな」

 

 普段は規則正しい生活を送っていると自負している俺に二徹はかなりくるものがある。

 

 しかし〈ラタトスク〉には三十年寝ていないという女性もいたのだから、それに比べると二日なんて大したことではないように思えてくる。

 

「お、おお、お疲れさま、……ところでお前知ってるか?」

 

「知ってるって、なにを?」

 

「今日、うちの学校に転校生が来るらしいぜ?」

 

 転校生が来る。それは学生にとってとてもビッグイベントとして扱われる。

 

 予想や、質問タイムなど、俺もよくやったな、と思い出す。

 

「それにしても、小学校6年の二学期に転校してくるなんて、珍しくないか?」

 

「だろ、だからみんな質問とか考えてるぞ、ほら」

 

 といって指さされた方を見てみると、登校している生徒の大半がブツブツ何かつぶやいている光景が目に入る。

 

「な、なんだあれ、怪しいカルト集団って言われてもおかしくないぞ……」

 

「転校生はうちのクラスに来るらしいからお前も質問考えてろよ。

 ……かわいい子が来るといいなぁ……」

 

 タイムリープ前はこの時期に転校生なんて来たか?などと考えながら俺は自分のクラスに入っていくのだった。

 

 

 

 教室に入るとやはりというべきかクラスメイトたちの話題は転校生と、夏休みに何をしたか?などの話ばかりだった。

 

「はーい皆さん席についてくださーい」

 

 教師が入ってきたらしい、つまりHRの時間というわけだ。

 

 入ってきた先生の顔は見覚えのある顔だった。

 

 名前までは思い出すことは出来ないが、お世話になった記憶はある。

 

「せんせー、転校生はまだですかー?」

 

「あれ?なんで皆さん知ってるんですか?絶対喜ぶだろうと思って黙ってたのに……

 

 まあばれちゃったら仕方ないですね、鳶一さん、入ってきてくださーい」

 

 な、今鳶一って言わなかったか。

 

 まさか、と思っていると一人の少女が入ってくる。

 

「鳶一折紙です。皆さんよろしくお願いします」

 

 男は「美少女だヒャッホー」と叫び、女子は「かわいいー」とか「お人形さんみたい」と言っている。

 

 すると折紙はこちらの方をむいてこう言った。

 

「士道……」

 

「なんでお前がこのクラスにいるんだよ!」

 

 しまった、と思った時にはすでに遅し。

 

 クラス全員の視線が俺と折紙を行きかっているではないか。

 

「……」

 

 無言の空間が教室中を支配したと思った数秒後……

 

「「「えぇぇぇぇぇぇ」」」

 

 はぁ、どうしてこうなった。

 

 

 

 まったく、大変な目にあった。

 

 あの後俺まで質問攻めにされるはめになった。

 

 どこで出会ったとか、関係はどこまで進んでいるのかとか。

 

 それより……後ろから誰かにつけられている気がする……

 

 チラッと振り向いてみると、ササッと物陰に隠れる影が見えた。

 

 前を向き歩き出そうとする動作をすると、ひょこっとまた影が現れる。

 

 なにこれ面白い。

 

「折紙、そこにいるんだろ?」

 

 ビクッと影が震えたかと思えばそそくさと折紙が顔を出した。

 

「……ごめんなさい」

 

「いや、別に怒ってるわけでは無いんだが……」

 

 そういえばいつでも来ていいって言ったんだったな、俺。

 

 俺の家はもうすでに目の前だ、クラスメートに足止めされたから多分琴理はいるだろうけど……大丈夫だよな?

 

「もしよかったら、あがってくか?」

 

 瞬間折紙は水を与えた花のような顔をした。

 

 でも、笑顔は向けてくれなかった。やっぱり、悲しい。

 

 ドアを開けると琴理が迎えに出てきてくれた。

 

「お帰りおにいちゃ……誰、その人?」

 

 あ、琴理には折紙のこと説明してなかった。

 

 折紙との関係を説明しようとしたら……

 

「どうも、五河士道君の恋人の鳶一折紙です。

 不束者ですがよろしくお願いします」

 

「えぇぇぇぇ、お兄ちゃんって彼女いたの?」

 

「んなわけないだろ、だいたいそしたら報告くらいするにきまっ……」

 

「酷い、今日もあんなことや口にするのは恥ずかしいくらいのことしてきたのに……」

 

「うわー、流石にそれはひいちゃうよ?私でもひくからね?」

 

「だから違うって言ってんだろ、折紙も事態をややこしくするな!」

 

 結局俺が琴理の誤解を解くのに小一時間かかったのだった。

 

 

 

「だから違うって言ってるだろー!」

 

 はぁ、俺の苦労はまだまだ続く……

 

 




原作との相違点~

まず原作とまったく関係のない話である。

感想、アドバイスよろしくお願いします。

次回予告~
「お兄ちゃんには私がいるからいいの!」
「近親相姦は大問題、意義を申し立てる……」

第四話 四重奏【カルテット】
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