白猫プロジェクト~賢者と黒竜を従えし者~   作:片倉政実

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政実「どうも、片倉政実です」
リオス「どうも、リオスです」
政実「今回は白猫プロジェクトのメインキャラ達が続々登場します」
リオス「白猫プロジェクトの元々の主人公とかアイリスとかだな」
政実「うん。そして謎の老人との会話に出てきた武器達も出てきます」
リオス「その言い方だと……黒竜はまだ出てこない感じか?」
政実「それに関しては後書きで言おうかなと」
リオス「了解した。さて、そろそろ始めていくか」
政実「だね」
政実・リオス「それでは第2話をどうぞ」


第2話 様々なもの達との出会い

 

村に向けて歩いている最中に、俺は遠くから歩いてくる人影を見つけた。

あれは……

 

「ナギアと……もう1人は誰だ?」

 

近付いて来たのは、幼馴染みであり親友のナギアと知らない男性だった。その男性は大きめの槍を背負っており、ナギアと仲良く話しながら歩いている。

 

「見覚えが無いから、島の外の人かな? 」

 

俺がそう考えていると、ナギアが俺に気づいたらしく、手を振りながら俺の事を呼び始めた。

 

「おーい、リオスー! こっち来いよー!」

 

全く……そんな大声じゃなくても良いだろうに……

俺はそう思いながら、ナギア達の方へと歩いていった。

 

「そんな大声出さなくても聞こえてるよ、ナギア」

「ごめんごめん。ちょっと良いことがあったからさ」

「良いこと……? それはこの人に関係してることか?」

 

俺はナギアの隣にいる男性を見ながら、ナギアにそう訊いた。

 

「ああ。この人は冒険家らしくてさ、この島には調べたいことがあって来たんだってさ」

 

ナギアはとても明るい顔でそう言った。

冒険家か……道理でナギアのテンションも少し高いわけだ。昔から冒険家になりたがってたし。

 

「ところで調べたいことって何なんだ?」

「それは……」

「それについては俺自身が訊くよ」

 

俺とナギアの会話に男性が割って入ってきた。

 

「俺の名前はカイル・ハイトランド、冒険家だ」

「カイルさんですね。俺はリオス、ナギアの幼馴染みです」

「そうか。よろしくな、リオス」

「こちらこそよろしくお願いします、カイルさん」

 

俺とカイルさんは自己紹介をしながら、握手をした。

 

「それで調べたいことっていうのは?」

「それなんだけどな……リオスは飛行島について何か知っているか?」

「飛行島……ですか?」

「ああ。どうやらこのアストラ島に手がかりがあるらしいんだが、ナギアは聞いたこと無いらしくてな」

「それで1度村に行ってみて、他のみんなに訊いてみようとしてたんだ」

「なるほどな……」

 

飛行島……ねぇ。生まれてこの方聞いたこと無いけどなぁ。

 

「俺も聞いたことが無いですね……」

「そうか……となるとやっぱりそのウェルバ村で訊いてみるしか無いみたいだな」

 

カイルさんは少し残念そうな声でそう言った。

……待てよ、もしかしたら。

 

「カイルさん、少しだけ待ってもらっても良いですか?」

 

俺はそう言いながら、ワイズを懐から取り出した。すると、俺が取り出したワイズを見て、ナギアが質問をしてきた。

 

「リオス、それは何だ?」

「ちょっとな……ワイズ、訊きたいことがあるんだけど良いか?」

『話は聞こえていましたよ、飛行島についてですよね?』

「そう。お前は何か知ってるか?」

『お答えしたいのはやまやまなのですが……』

 

ワイズが少し申し訳無そうな声になる。

 

「答えられないことの1つなのか?」

『そうなります。といっても先程説明した2つとは異なることではありますが……』

「さっきの2つとは違うって……それじゃあ何でなんだ?」

『そうですね……簡単に言うならば、私の中でその情報が封印されているからです』

「封印……?」

『はい、私の中には確かに飛行島についての情報は存在しています、ですがその情報を私は参照することが出来ないのです』

「どうやってもか?」

『はい、色々試してはいるのですが……』

「そっか……分かった、ありがとな」

『お力になれず申し訳ありません……』

「良いよ、そういうことなら仕方無いからさ」

『ありがとうございます、リオス様』

「どういたしまして」

 

俺がそう言ってワイズをしまおうとした時だった。

 

「なあ……今それ喋ったよな?」

 

その声の方を見ると、カイルさんとナギアが驚いた顔で俺とワイズの事を見ていた。

 

「喋りましたけど、それがどうかしましたか?」

「それがどうかしたのかって……何でルーンが喋ってるのに、不思議そうじゃないんだ?」

「それがこのルーンの力ですから」

 

俺がそう言うと、カイルさん達は興味深そうな顔でワイズを見始めた。

……ちょうど良いからワイズについて説明しとくか。

そう思った俺はカイルさん達にワイズの紹介を始めた。

 

 

 

 

「……以上がこのルーン、【賢者のルーン】の力です」

「幾つか制約はあるものの、この世界について様々な事を教えてくれるルーンか……」

 

俺の説明を聞いて、カイルさんは興味深そうにそう呟いた。

まあこんな力を持ったルーンなんてそうそう無いしな。

 

「それでそのルーンはどこで手に入れたんだ?」

 

ナギアがワイズの事を見ながら、そう訊いてくる。

 

「何というか……昼寝から眼を覚ましたら、そこにあったというか……」

「要するに……リオス自身もよくわからないと」

「まあそういうことだな」

 

正直に話しても良いんだけど、自分でもまだ確証を得ていないことを言っても、逆に混乱するだろうから今は言わないでおこう。

 

「それでそのルーンでも飛行島については分からないんだよな?」

 

カイルさんがワイズを指差しながらそう訊いてくる。

 

「結果的にはそうなりますね」

『申し訳ありません、カイル様……』

「いや、別に良いさ。リオスも言っていたが、そういうことならしょうがないからな」

 

カイルさんはワイズにそう言うと、今度は俺達の方を向きこう言った。

 

「さて、それじゃあそろそろ村に行くか」

「そうですね。ナギアの言う通り、もしかしたら村の誰かが知っているかもしれないですし」

「それに村にそういうことが書いてる本とかもあるかもしれないですしね」

「そうだな。よし、ナギアにリオス。ウェルバ村への案内は頼んだぞ?」

「「はい」!」

 

こうして俺はナギア達と共に村に戻ることになった。

 

 

 

 

村の入り口に着くと、そこにはヘレナさんがいた。俺達が近付いていくと、ヘレナさんが俺達に気付き、明るい口調で話し掛けてきた。

 

「ナギアにリオス、早かったのね。もう少しでハチミツのパイが……

あら、そちらの方は?」

「俺はカイル・ハイトランド、冒険家だ」

「私はヘレナ。すぐそこの酒場で働いています」

「酒場……それなら話が早い!」

 

カイルさんとヘレナさんが話しているのを聞いていると、ナギアが話し掛けてきた。

 

「なあ、リオス」

「ん? どうした?」

「そのルーン……ワイズはこの世界の事を教えてくれるルーンなんだよな?」

「まあそうだな。さっきも言った通り幾つか制約はあるけど、それにさえ引っ掛からなければ大体のことは教えてくれるはずだ」

「それならさ、このアストラ島の事を訊いてみたらどうだ?」

「アストラ島の事を?」

「そう。飛行島については分からなくても、島自体の事を訊けば何か手がかりが見つかるんじゃないか?」

「なるほどな……ワイズ、このアストラ島について教えてくれるか?」

 

ナギアの提案通り、ワイズにこのアストラ島について訊いてみた。すると、

 

『申し訳ありません……それについても封印されているようです……』

 

ワイズは本当に申し訳無さそうにそう言った。

 

「アストラ島についてもなのか?」

『はい……正しく言うならば、こういった島であるという概要はお教え出来るのですが、この島の深い部分には封印がされているという形ですね』

「そっか……」

 

この島にはいったい何があるんだ……?

俺がそう考えていると、

 

「考え事してるところ悪いが、そろそろ出発するぞ」

 

カイルさんが俺の顔を覗きこみながらそう言った。

 

「出発するって、どこへですか?」

「村の北の工房にいるというバロンさんのところだ」

 

バロンさんか……確かにあの人なら色々知ってそうかも。

 

「分かりました」

「よし。それじゃあ行こうか、二人とも」

 

こうして俺達はバロンさんのいる工房へと向かった。

 

 

 

 

「ここがその工房みたいだな……」

 

村から歩くこと数刻、俺達はバロンさんのいる工房へとたどり着いた。わりと歩いた気がするが、その道中に古代種の植物を見つけたり、カイルさんからルーンやソウルについて教えてもらっていたので、思いの外早く着いたような気がする。

 

「さて、それじゃあ中に……」

 

カイルさんがそう言った時だった。

 

「む、ナギアにリオスではないか」

 

ちょうどバロンさんが工房の中から出てきた。

 

「「こんにちは、バロンさん」」

「うむ、礼儀正しいのは良いことだ。そちらは……」

「俺はカイル、冒険家だ。貴方がこの島一番の物知りと聞いてきた」

「ほう……そうだったか。だがまずは中へと入るが良い。外よりも中の方が落ち着いて話せるだろう」

 

俺達はバロンさんの言葉に従い、工房の中へと入った。

 

「何か久しぶりに入った気がするな……」

「だな。あまり俺達はここに用事とかも無いからな」

 

工房の中は意外と広く、テーブルの上にはバロンさんの仕事道具などが広がっていた。

俺達が興味深そうに工房の中を見回していると、バロンさんが俺達にこう言った。

 

「気になるのなら色々と見てみると良い。ただし危険な真似はするなよ?」

「「はーい」」

 

俺達は声を合わせて返事をし、工房の中を色々見てみることにした。

 

「……ん? この武器は何だ?」

 

工房の中を見ている最中に、ナギアがテーブルの上に置いてある武器を見つけた。

 

「剣と弓矢と槍か……バロンさんのじゃないのか?」

「かもしれないな。一応後でバロンさんに訊いてみるか」

「だな」

 

俺達がそう話していた時だった。

 

「む、それらの事を忘れていたな」

 

カイルさんとバロンさんが俺達のほうに歩いてきていた。どうやら話は終わったらしい。

 

「この武器はバロンさんのですか?」

「いや、これはどうやらリオス用らしいのだ」

「「リオス用?」」

 

カイルさんとナギアの声がハモる。

 

「うむ、お前達がここに来る前に、ローブを着たご老人が来てな。この武器達をリオスに渡して欲しいと言って、置いていったのだ」

「なるほど……」

 

たぶんその老人は俺のところにワイズを置いていったであろう自称変わり者の老人と同一人物だろうな。本当に何者なんだ、あの人は……?

 

「でもバロンさん、どうしてその老人はリオスにこの武器達を渡して欲しかったんでしょうね?」

 

ナギアがバロンさんにそう訊く。

 

「さあな。だがこの武器達がリオス用であるのなら、私はそれを渡すだけだからな。

リオス、受けとるが良い」

「はい」

 

俺はテーブルに近付き、剣と弓矢と槍を順番に撫でた。

 

「剣と弓矢は使えるけど、槍は使ったことないな……カイルさんが持っている槍とも違いますよね?」

「そうだな。俺が使っているのは両手で持つ槍で、それは片手で振るう槍だからな」

「となると独学でどうにかするしかないか」

 

俺はテーブルの上の武器達を眺めながらそう言った。そしてその中から何となく弓矢を手に取った。

弓矢自体はそれほど重くないが、それでもしっかりとした作りにはなっているようだった。弓の色は黒く、悪魔の羽根を象ったような装飾が付いている。

俺が弓矢を眺めていると、ワイズが興味深そうな声を上げた。

 

『ふむ……なるほど』

「どうした?」

『この弓矢の名前はバアル・ベルゼ、その能力は使用者の意思に応じて、射ぬいた相手へ様々な異常をもたらす事のようです』

「てことは常に相手に異常が発生するわけでもないのか」

『その通りです。あくまでも使用者の意思に応じてですので、その使用者がそれを望まなければ、その効果は現れないようです』

「なるほどな」

 

この弓矢にそんな力があるなんてな……

俺がそう考えていると、

 

「ほう。中々面白そうな物を持っているな、リオス」

 

バロンさんがワイズを指差しながらそう言った。

そういえばワイズの事をバロンさんとヘレナさんに紹介してなかったな。ヘレナさんには……後で紹介しておくか。

そう決めた後に俺はバロンさんにワイズの事と手に入れた経緯などを紹介した。

 

「ふむ……中々興味深いルーンだな」

 

俺の説明を聞き終わると、バロンさんが呟くようにそう言った。そして真剣な顔で俺にこう言った。

 

「リオスよ、このルーンは本当に貴重な物だ。けっして無くすなよ?」

「はい、もちろんです」

 

俺はバロンさんにそう言いつつ、手の中のワイズを眺めた。

バロンさんの言う通り、ワイズみたいなルーンはとても貴重だ。ということは誰かが悪事に使うことも考えられるんだよな……

バロンさんに言われたからじゃないけど、絶対に無くしたりしないようにしないといけないな……

俺がワイズを握りしめながらそう考えていると、

 

「さて、そろそろ行かないとな」

 

俺達の話が終わるのを待っていたカイルさんが自分の槍を背負い直しつつそう言った。

 

「行くって……今度はどこへですか?」

「島の北端にある旧王朝時代の遺跡だよ。そこになら何か手がかりがありそうだしな」

「なるほど」

 

それなら早く行かないと日が暮れるかもな。

そう思い俺とナギアが足早にカイルさんに付いていこうとすると、

 

「待て、ナギアにリオス。お前達も一緒に行くつもりか?」

「あ、えーと……途中まで見送ろうかなーと ……」

 

バロンさんの問いかけにナギアが答えているが、どう考えても嘘なのがみえみえだ。バロンさんもそう思ったのか、ため息をついてからこう言った。

 

「全く……嘘が下手な奴だ。ナギア、ついてこい。気は乗らんが、剣を打ち直してやろう」

「良いんですか!?」

「お前にもしもの事があっては、ヘレナが可哀想だからな」

「あはは……やっぱりそういうことですか……」

 

バロンさんの言葉にナギアが苦笑いを浮かべる。

 

「お前達はまだまだ半人前だからな。……さて、ここで長話をしていても仕方がない。早々に終わらせるぞ、ナギアよ」

「はい! よろしくお願いします!」

 

こうしてバロンさんとナギアは工房の奥へと入っていった。

 

 

 

 

「剣打ち直してもらえて良かったな、ナギア」

「ああ。これで魔物達との戦いも楽になるよ」

 

打ち直してもらった剣を陽の光にかざしながら、ナギアは笑顔でそう言った。

バロンさんの工房を出た俺達は、出てくる魔物達を倒しつつ、遺跡に向かう途中にある森の中を進んでいた。

 

「おかしいな……そろそろ抜けても良い頃だが……?」

 

先頭を歩いていたカイルさんが突然不思議そうにそう言った。そしてそれを聞き、ナギアの顔に不安の色が浮かんだ。

 

「そんな心配そうな顔をするな。大丈夫、方角はあって……」

 

カイルさんがそう言った時、俺達の目の前に何かが現れた。

 

「猫……?」

 

それは首に青いリボンを着けた1匹の白猫だった。

 

そしてその白猫は俺達の方を一度見ると、まるで付いてこいとでも言っているかのように歩き始めた。

 

「誘っているのか?」

「恐らくはそうだと……」

 

俺達が話している間にも、白猫は道を歩き続けている。

 

「なんだ……気になるな。追ってみようか」

「そうですね、何だか放っておけないですし……」

 

こうして俺達は謎の白猫の後を追うことにした。

 

それからどれくらいか歩いた時、突然白猫の動きが止まった。

 

「今度は逃げないんだな。ここなのか? 俺達を案内したかったのは……?」

 

カイルさんがそう言って、前の方を見た時だった。

 

「っ! 人が倒れてる!」

 

ナギアの言葉通り、そこには白猫とお揃いの青いリボンを付けた長い髪の少女が倒れていた。

 

「おいおい、何でこんな所で……ってそれどころじゃないか。2人とも急いであの子の所に行くぞ! この状況で魔物でも出たら目も当てられないからな!」

「「はい!」」

 

俺達は急いで少女の元へと駆け寄った。

 

「おい……大丈夫か!?」

 

カイルさんが少女にそう呼び掛けるが、少女は全く目覚める様子が無い。

すると、

 

「……ちょっとアンタ達。早く何とかしてよ!」

 

突然そんな声が聞こえた。その声のした方を見ると、そこには俺達をここまで連れてきた白猫がいた。

 

「お前……しゃべれるのか!?」

 

カイルさんが白猫にそう訊くが、白猫はそれには答えず、先程と同じ語調で俺達にこう言った。

 

「そんなのどうでも良いから、アイリスを、早く!」

 

白猫にそう言われ、俺達は少女の様子を見てみる事にした。

 

「脈は……問題無さそうだな。眠っているだけのようだが……」

「でも俺達が話していても、全く目覚めないですよね?」

「ああ。もしかしたら眠っているだけではないのか……?」

 

少女の事でカイルさんとナギアが話しているようだったが、俺は全く別の事を考えていた。

……何でだろう? 俺はこの子の事をどこかで見たことがあるような気がする…… でも一体どこで?

俺がそう考えていたその時だった。

 

「……キャ……トラ……」

 

突然少女が目を覚まし、白猫の方を見ながらそう言った。そして俺達の方を1度見ると、白猫-キャトラに話し掛けた。

 

「この……方々は……?」

「アイリスは目を覚まさないし、どうしたら良いか分からなくて。そしたらたまたま森でみかけて、ここまで連れてきたの」

 

少女―アイリスにそう答えたキャトラにカイルさんが少しムッとした口調でこう言う。

 

「オイ、お前は俺達を何だと思ってるんだ?」

「この子、悪い子ではないのだけれど、少しこういうところがあって」

 

アイリスは少し微笑みながらキャトラについてフォローをした後に、俺達の方に向き直り、自己紹介を始めた。

 

「私はアイリス。助けてくれてありがとう」

 

アイリスがそう言った後に、カイルさんが自分と俺達の紹介を始めた。

 

「俺はカイル、こっちはナギアとリオスだ」

 

自己紹介くらい自分達で出来るんだけどな……

俺がそう思っていると、ナギアもそう思ったのか苦笑を浮かべていた。

俺達がそう思っているとは露知らず、カイルさんがアイリスにこう訊いた。

 

「君は……ここで一体何を?」

「私は……ええと……」

 

アイリスがカイルさんの質問に答えようとしたが、少し困った顔になりつつ、言い淀み始めてしまった。

 

「ん?」

 

その様子にカイルさんが不思議そうな顔をする。そしてアイリスは申し訳無さそうな顔で再び話し始めた。

 

「……ごめんなさい、上手く思い出せなくて。……そう……そうでした。この森の先にある遺跡へ向かうところでした。でも、大きな地震があって、途中で、気を失ってしまって」

 

アイリスの言葉に、俺達は顔を見合わせた。

 

「……地震……あったか?」

「俺は覚えが無いですけど……リオスはどうだ?」

「俺も全くだな……」

 

そもそも地震があったら、忘れるわけが無いしな。

そんな俺達の様子を見て、キャトラが少し怒ったような声でこう言った。

 

「何よ、信じられないっていうの?」

「そういう訳じゃないさ。気を悪くしたのなら謝ろう」

 

カイルさんは落ち着いた声でキャトラにそう言うと、アイリスの方に顔を向け、こう言った。

 

「俺達もその遺跡へ向かっている所なんだ。良ければ一緒に行かないか?」

「よろしいのですか?」

「君を放ってはおけないし、目的地が同じなら、好都合さ」

 

カイルさんの言葉にアイリスの顔が明るくなる。

 

「私、こう見えても魔法には自信があるんです。お役に立てるように精一杯頑張りますっ!」

 

アイリスは俺達に向けて元気にそう言った後、キャトラにこう言った。

 

「キャトラ、森の先まで案内してくれる?」

 

アイリスの言葉にキャトラは1度頷き、俺達の方に顔を向けて、

 

「アンタ達、はぐれないようについて来なさいよ」

 

そう言うと、キャトラは森の中を進み始めた。

 

「やれやれ、可愛いげの無い猫だ。少しはゆっくり歩いてくれよな」

 

カイルさんは少し呆れたようにそう言うと、キャトラの進んで行った方向へ歩き始めた。

……さて、俺達も行かないとな。

そう思い進もうとした時、アイリスがジッとナギアの事を見つめていた。

 

「ん? どうかしたか?」

 

それに気づいたナギアがアイリスにそう訊くと、

 

「……いえ……ごめんなさい。私ったら、そんなはず、無いのに」

 

「さぁ、私達も行きましょう」

 

少し疑問は残ったが、遅れるわけにもいかないため、俺達はキャトラとカイルさんの後を追うために森の中を歩き始めた。




政実「第2話、いかがでしたでしょうか」
リオス「遺跡に向かうところで終了ってことは、次回でアストラ島編が終わる感じか?」
政実「Normalシナリオの方はそうだね。他のとの兼ね合いもあるけど、余裕が出来たらHardシナリオも書こうかなとは思ってるよ」
リオス「出来るのか?」
政実「正直今のところは何とも言えないかな……最近リアルの方も忙しいからね」
リオス「了解。後は……今回紹介してない武器とかは次回紹介するのか?」
政実「一応はそうだけど、今回みたいに簡単な説明程度になるかな。それに第3話を書き終わったら、リオスのキャラ紹介を書こうと思ってるから、詳しい紹介はそっちで書く予定だよ」
リオス「了解した。さて、そろそろ締めてくか」
政実「そうだね」
政実・リオス「それではまた次回」

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