リオス「どうも、リオスです。今回もいつもよりは短めな感じだな」
政実「うん。たぶん次回もこれくらいか、これよりちょっと長いくらいになるかも」
リオス「ん、了解。
さて……他の話は後書きでやるとして、そろそろ始めてくか」
政実「うん」
政実・リオス「それでは、第2話をどうぞ」
エクセリア達と出会ってから数日後、ギルドの仕事の最中に白竜らしき竜の行方に関する情報を得た俺達は、その竜の目撃情報があった島を訪れていた。
「ここに私達の探している白竜がいるかもしれないんですね……」
「はい、恐らくは……」
ゲオルグさん達がそう話している間、俺達はワイズから島についての情報を訊くためにバッグからワイズを取り出した。
「ワイズ、この島で何か気を付けなきゃ無いことはあるか?」
『いえ、特にはございません。ですが……』
「ん、どうかしたのか?」
『少し離れた所より、何やら不穏な気配を感じるような気がします』
「不穏な気配……それって……」
「ああ……一応用心はしておこう。ワイズ、ありがとうな」
『いえいえ。また何かありましたらお呼びください』
「ああ、そうさせてもらうよ」
そう言ってワイズをバッグへと入れた後、俺はワイズから聞いたことをゲオルグさん達に伝えた。
「不穏な気配か……それが何かは分からないが、確かに用心をしておいた方が良いかもしれぬな……」
「ああ。その気配とやらが奴らである可能性もあるからな」
「その通りだ」
そう言うとゲオルグさんは俺達の事を見回しながらこう言った。
「皆、何かがあるか分からぬ分、気を引き締めて進むぞ」
「「「「はい!」」」」 「分かったわ!」 「(おうよ!)」 「うむ」
そして俺達は件の竜を探すべく、島の中へと入っていった。
「はぁっ……!」
「これでっ……!」
そう言って繰り出した俺達の攻撃によって、魔物達が跡形も無く消え去った。
「……よし、これで良いな。皆、先に進もう」
「「「「はい!」」」」 「うんっ!」 「(おう!)」 「ああ」
そう返事をして再び島の中を進み始めた時、キャトラが俺とネロの事を見ながらこう言った。
「それにしても……ドラゴンに乗って戦う人なんてリオス達以外で初めて見たわ」
「そういえば……そうだな」
キャトラの言葉にナギアがそう答えると、
「ドラグナーの起源は、我らの祖先が竜の一族と盟約を結んだ事から始まったとされている」
「ですから、他の国や土地でドラグナーを見たことが無いのは当然かもしれませんね」
ゲオルグさん達がそうドラグナーについての説明をしてくれた。
「なるほどねぇ。あ、そういえば……」
そう言うとキャトラは身を乗り出しながらエクセリアに対してこう訊いた。
「エクセリアは王女さまなんだよね。こんなところにいて大丈夫なの?」
「え、えっと~、それは……」
エクセリアが困った顔でそう言うと、ゲオルグさんがため息を付きながらキャトラの質問に答えた。
「もちろん大丈夫などではない。何度もお止めしたのだが、どうしても、と頑なに聞き入れてもらえず……」
「強引に我らに付いてきたのだ。この子娘、大人しく見えてその実、とんでもないじゃじゃ馬よ」
「うう……でも、今回ばかりは私も引くわけにはいきません!」
ゲオルグさん達に対してそう強い調子で返すエクセリアを見て、キャトラが不思議そうにこう訊いた。
「えらく強気ねぇ。何か理由でもあるの?」
「……実は、私達が探している白竜というのは、この子――ラピュセルの母竜なんです」
エクセリアはラピュセルの事を撫でながら静かにそう言った。
「えっ、そうなの?」
「それじゃあ、エクセリアさんはラピュセルさんをお母さんに会わせるために……?」
アイリスの言葉に力強く頷くと、とても真剣な顔で俺達にこう言った。
「私、ラピュセルの為にも、白竜を無事に<竜の国>へ連れて帰りたいんです!」
そのエクセリアの姿を見て、ゲオルグさんは1度ため息をついてからこう言った。
「……はぁ、分かりました、姫様。その代わり、くれぐれもご無理はなさらぬようお願いします」
「正気か、ゲオルグ……どうなっても我は知らんぞ」
カグツチはゲオルグさんに呆れ気味にそう言った。そしてアイリスはエクセリアを手を取ると、力強くこう言った。
「一緒にラピュセルさんのお母さんを探しましょう!」
「みんな……ありがとう!」
「お礼なんて良いよ。俺達がやりたくてやることだからさ」
「リオスの言う通りよ。エクセリアの……仲間の為だし、気にしないでよ」
「そうそう。だから俺達の事をどんどん頼ってくれ」
俺達が微笑みながら言うと、エクセリアは顔をぱあっと輝かせた。
「仲間……はい! そう言ってもらえて、私、とても嬉しいです!」
そう嬉しそうに言うエクセリアに対して、カグツチはそっぽを向きながら静かにこう言った。
「仲間……何とも安い言葉よ。我が嫌う人間の言葉の1つだ」
「カグツチ、余計な事を……
む、これはもしやちょうど良い機会なのでは……?」
ゲオルグさんの様子を見て、キャトラが不思議そうな顔をしながらこう訊いた。
「どうしたのよ? まだ何かあるわけ~?」
「いや、何も問題は無い。皆、良ければこれからも姫様と良い関係を築いて欲しい!」
「言われるまでもなくそうするけど……急にどうしたのよ?」
キャトラからそう訊かれると、ゲオルグさんは静かな声でこう言った。
「……こう言ってはなんだが、姫様は御友人と呼べる方が殆どいないのだ」
「あ~、なるほどね。王女様だから、身分の違いで~ってやつでしょ?」
しかし、ゲオルグさんはキャトラの言葉に首を横に振った。
「いや、そうではないのだ。姫様は、その……かなりの竜好きでな……友と呼べる者は竜ばかりなのだ」
「ドラゴンが友達ねぇ……それならリオスと話が合うんじゃない? 同じくドラゴンが相棒であり友達なんだし」
キャトラがそう言うと、ゲオルグさんの眼が俺の方へと向いた。
「む……確かにそうだな。リオス殿は姫様と年もそう変わらないしな……」
「それにアタシ達は、もうエクセリアの事を友達だと思ってるわよ?」
「はい、キャトラの言う通りです」
「リオスやエクセリア程、ドラゴンの話は出来ないかもしれませんけどね」
キャトラ達がそう言うと、静かな声でこう言った。
「皆……本当にありがとう。そしてこれからもよろしく頼む」
「「「はい!」」」 「うんっ!」 「(おうよ!)」
そして俺達は再び白竜を探し出すべく、島の中を進んでいった。
「ふぅ~、結構遠くまで来たわね。流石に疲れちゃったわ」
島の探索を始めてから数時間後、キャトラが後ろを振り返りながらそう言った。
(確かにそろそろ疲れてきたかもしれないな……)
ナギア達の様子を窺うと、そこまで表には出していないものの、少しだけ顔に疲れの色が見えていた。
「そうですね……ラピュセル、大丈夫?」
エクセリアがラピュセルの背中を撫でながらそう訊くと、ラピュセルは少しだけ気持ち良さそうな顔をしながら鳴き声を上げた。それを見ながら俺もネロに声を掛けた。
「ネロ、お前もそろそろ疲れてきてないか?」
「(ん? ああ、確かに疲れてきてはいるが、これくらいならまだまだ大丈夫だぜ?)」
「そっか。でも、あまり無理はするなよ?」
「(おう!)」
俺達がそう話していると、ゲオルグさんが俺達の方を振り返りこう言った。
「皆、疲れているところすまないが、事は一刻を争う。今はとにかく先を急がねば」
「……あの、もしかして白竜さんの身に何か……?」
アイリスが心配そうに訊くと、静かにこう言った。
「……白竜は、<竜狩り>に狙われているのだ」
「竜狩り?」
「文字通り、我ら竜族を狩ることを生業とする下賎な人間共の事だ」
「高等な竜族の角や甲殻などは、貴重な素材として高く取引される。特に白竜は希少で個体数も少ない竜族。その価値は国一つに匹敵する。以前はそれで大規模な『白竜狩り』が起こり、その眷属の殆どが死に絶え……」
ゲオルグさんがそう言った時、エクセリアがとても哀しい顔でラピュセルのことを見ていた。そしてそれに気付くと、ゲオルグさんはすぐエクセリアに謝まり始めた。
「っ! も、申し訳ありません姫様! 姫様の気持ちも考えず、自分は……!」
「良いのよ、ゲオルグ」
エクセリアはゲオルグさんに優しくそう言うと、真剣な顔で俺達にこう言った。
「竜狩りは、竜を倒すことにその人生を捧げた残忍な狩人です。そんな竜狩りの魔の手から竜達を守ることもドラグナーの大事な使命なんです」
「奴らはまさに、人間の卑しい欲望を体現した連中よ。全く反吐が出る」
カグツチがそう吐き捨てるように言うと、キャトラが呆れた様子でこう言った。
「アンタってほんと口が悪いわね……」
「事実を言ったまでだ。竜は誇り高き種族ゆえ、人間のように嘘偽りを述べたりしない」
「あーはいはい。ソーデスネー」
そんなキャトラ達の会話を聞いて、エクセリアが小さく笑いながらこう言った。
「ふふっ、カグツチったら、すっかりキャトラちゃんと仲良しね」
(うーん、仲良しとはちょっと違うような……)
エクセリアの言葉に対してそう思っていると、キャトラがとても驚いた様子でエクセリアにこう言った。
「はい!? コレとアタシのどこが仲良しだっていうの!?」
「コレ……だと?
……小さき猫よ、竜狩りよりも先にお前が消し炭になりたいと見える」
カグツチが静かに怒りながらそう言うと、その様子を見たゲオルグさんが難しい顔をしながら呟くように言った。
「……皆がキャトラ君のように竜に理解を示してくれればな……」
「ゲオルグさん……」
俺達の中の空気が少しだけ沈んでいると、キャトラが明るい声でこう言い始めた。
「はいはい、何でも悪い方向に考えるのはやめましょ。冒険は前向きが一番よ!」
「キャトラ……
そう……だよな。悪い方向に考えるよりも、前向きに考えた方が絶対に楽しいしな!」
「ああ、そうだな」
俺達はお互いに笑いながらそう言った。キャトラの言葉のおかげで、少しだけ俺達の中に明るい空気が戻ってきたような気がした。
(これは後でキャトラにお礼を言わないといけないな)
そう思っていた時、エクセリアが俺達にこう言った。
「そういえば、皆さんは冒険家なんですよね。良いですね、何だか憧れます」
「アンタならいつでも歓迎よ。ラピュセルも連れてさ、一緒に冒険しましょうよ!」
「はい、是非お願いします!」
キャトラの言葉にエクセリアがそう元気良く返事を返したが、ゲオルグさんは難色を示しめながらこう言った。
「むう……御言葉ですが、姫様には<竜の国>で王女としての公務が……」
「もう! エクセリアだって子供じゃないんだからさ! 少しは本人の意思を尊重しても良いんじゃないの?」
キャトラからそう言われると、ゲオルグさんはハッとした表情になり、そして顎に手を当てるとこう言った。
「そ、そうか……言われてみれば確かにそうだな……」
そんなゲオルグさんの様子を見て、カグツチが静かにこう言った。
「かような小さき猫に説き伏せられるとは……ドラグナーも落ちたものだな」
「はっ! いかん、つい頷いてしまった……
むう、自分もまだまだ修行が足りないという事か……」
ゲオルグさんが呟くように言う中、キャトラが元気良く皆へと声を掛けた。
「ほらほら、先を急ぐんでしょ! 早く白竜を見つけなきゃ!」
「そうですね、行きましょう」
そして俺達は更に島の奥へと進んでいった。
「焼き払うぞ、カグツチ!」
「ふん、言われるまでもない!」
「翔んで、ラピュセル!たぁぁぁぁーーっ!」
「ーー!」
島の探索途中に遭遇した魔物達の姿が、ゲオルグさん達の攻撃によって一瞬にして消え去った。
(これが、<竜の国>のドラグナー達の力か……)
「すごい……! あっと言う間にいなくなったわ……!」
その様子を見たアイリスが驚いていると、ゲオルグさんが大声で俺達に指示を出した。
「自分が道を切り開く! 皆はここで周囲の警戒を!」
「分かったわ。先鋒はお願いね、ゲオルグ」
エクセリアはそう答えると、傍らにいるラピュセルへと声を掛けた。
「ふぅ……ラピュセル、ケガは無い?」
ラピュセルは眼を細めながらエクセリアの事を見ながら鳴き声を上げた。すると、キャトラがゲオルグさん達の事を見ながらエクセリアに話し掛け始めた。
「ゲオルグって強いわねぇ~! まさに一騎当千ってやつ?」
「ゲオルグは<竜の国>が誇る竜騎士団の団長ですからね。ドラグナーの中でも最強と名高い英雄なんですよ」
「ひぇ~……そんなスゴい人だったのね。でも、エクセリアも結構やると思うわよ?」
キャトラの言葉にエクセリアが静かに首を振りながら静かに答えた。
「ううん、私なんてまだまだです……」
「そうなの?」
「ドラグナーは竜と人が真の絆で結ばれた時、その真価を発揮します。
竜と人が互いに理解し合う――これはドラグナーの試練でもあるんです」
「竜と人が……」
「(互いに理解し合う、か……)」
俺とネロが顔を見合わせながら呟くようにそう言う中、キャトラはエクセリアとの話を続けた。
「ゲオルグはその試練を乗り越えた?」
「その通りです。カグツチは竜でありながら人の言葉を話しますよね?」
「そうね」
「ドラグナーの竜が人の言葉を話せるようになるのは、乗り手と真の絆で結ばれた事の証です」
「そうなんですか……何だか素敵な話ですよね」
アイリスが微笑みながらそう言うと、エクセリアはコクンと頷いてから言葉を続けた。
「ゲオルグとカグツチは互いを深く信頼しています。だから彼らは『<最強>なんですよ』」
エクセリアがそう言うと、キャトラが不思議そうな顔になった。
「でもさ、エクセリアとラピュセルだってすっごく仲が良いんだから、ラピュセルも話せるはずじゃあ……」
すると、エクセリアは顔を曇らせながら小さな声でこう言った。
「えっと、その……私とラピュセルは、まだ……」
「……あ、ごめん。そんなつもりで言ったんじゃなくて……」
キャトラが慌ててそう言うと、エクセリアが少し哀しげに微笑んだ。
「……ううん、良いの。
そう……私とラピュセルの絆はまだ完全では無いんです。ラピュセルが言葉を話せないのはそういうことだから……」
エクセリアが寂しげにそう言うと、ラピュセルが小さく鳴き声を上げながら、自分の顔をエクセリアへと近付けた。
「あ、ごめんね! 不安にさせちゃったかな?」
そう言うとエクセリアはラピュセルの頭を撫で始めた。
「大丈夫よ、安心して、ラピュセル。私、もっと頑張るから……! 貴女のことは、私がちゃんと守ってあげるからね」
(竜と人の真の絆か……俺とネロもいつかはそこまで辿り着かないとな……)
そう思いながらエクセリア達の様子を静かに見ていると、
「姫様……」
ゲオルグさんがエクセリア達の事を見ながら呟くようにそう言った。そして同じくエクセリア達の事を見ていたカグツチが小さな声でゲオルグさんにこう訊いた。
「おい、ゲオルグ。まさかあのまま放っておくつもりか?」
「……自分は姫様を信じる。あの方は<竜の国>の未来を導くドラグナーとなる御方。必ずや御自分の力で乗り越えられるだろう」
「愚か者め。それはただの盲信というのだ。後悔する事になるぞ」
「忠告として受け取っておこう。だがこれは盲信ではない。忠義を尽くす、というのだ」
「ふん、減らず口を……」
そう言うとカグツチは口をつぐみ、道の先の方へと顔を向けた。それを見ると、ゲオルグさんは俺達に声を掛けた。
「よし。皆、そろそろ先へと進むとしよう」
「「「「はい」」」」 「分かったわ」 「おう」 「ああ」
そして俺達は再び白竜を探し出すべく、島の奥へと通じる道を歩いて行った。
魔物達を撃退しながら島の中を歩いていると、突然ゲオルグさんとカグツチが歩みを止めた。
「……ゲオルグ」
「つけられているな。この突き刺すような殺気……
間違いない……奴らだ」
「ゲオルグ?」
ゲオルグさん達の様子にエクセリアが不思議そうな声を上げたが、ゲオルグさんはそれには返事を返さず、周りを見回しながら強い口調でこう言った。
「隠れているのは分かっている! 大人しく姿を現せ、竜狩りよ!」
「いっそここらを焼き払って文字通り炙り出してやろうか」
すると、
「これはこれは。かの有名なドラグナーのお二人にこのような場所で相見えるとは」
静かにそう言いながら、黒い装備を身に纏った人物が姿を現し、俺達へと近付いてきた。
「コイツが竜狩り……!」
「そうです。私も実際に見たのは初めてなんですが……
くっ、なんておぞましい殺気なの」
エクセリアがそう言うと、竜狩りは冷たい視線を俺達へと向けながらこう言った。
「酷い言い様ですな、竜の姫君よ。私から見れば、獣とつるんでいるあなた方の方がおぞましく、野蛮に見えますがね」
「黙れ! 竜の血に塗れた族め。我らと事を構えようというなら容赦はせんぞ!」
ゲオルグさんがそう言った瞬間、俺達がいつでも戦えるような体勢をとった。
すると、竜狩りは静かな声でこう言った。
「真に残念ですが、我ら竜狩りは人と争うような真似はしない主義でして。ですが……」
竜狩りはネロ達へ視線を向けニヤリと笑うと、ゆっくりと歩きながら言葉を続けた。
「そこの三匹の竜……特に白い鱗の方とは、是非とも一戦交えたいものですなぁ……」
すると、エクセリアはラピュセルの前へと立ち、強い口調で竜狩りにこう言い放った。
「っ! 下がりなさい! ラピュセルには指一本触れさせません!」
エクセリアの言葉を聞くと、竜狩りはその場に立ち止まり、変わらず静かな声でこう言った。
「これは頼もしいナイトですね。ご安心ください、今は小物の相手をしている暇はないのです」
「……やはり狙いは白竜か」
ゲオルグさんが静かにそう訊くと、
「白竜?」
竜狩りは不思議そうにそう言った後、意味深な笑みを浮かべながら言葉を続けた。
「……ああ、なるほど。確かにそうとも言えますし、違うとも言えますね」
「……? ……いったいどういう意味なの?」
アイリスが竜狩りの言葉に疑問を覚えていると、
「竜狩りよ! 白竜は我らの祖国へと連れさる! 今すぐここから立ち去るが良い!」
ゲオルグさんが竜狩りへと強くそう言い放った。
すると、竜狩りはやれやれといった様子で静かにこう言った。
「まったく……これだからドラグナーの連中というのは……
貴方に言われるまでもなく、お先に行かせて頂きます」
そして竜狩りは俺達の横を通り、道の先へと歩を進めた。
「それでは……ご機嫌よう」
そう言うと竜狩りは俺達が見ている中、そのまま目にも止まらぬ速さで走り去って行った。
「なっ! もうあんなところに! なんて足の速さなのよ!」
キャトラが驚きながらそう言うと、ゲオルグさんが静かにこう言った。
「竜狩りは己の身一つで竜と対等に渡り合う、戦闘のエキスパート。身体能力は常人を遥かに凌ぐのだ」
「なるほどね……」
キャトラ達の話を聴き終わると、俺はネロへと声を掛けた。
「ネロ、大丈夫だったか?」
「(ああ、俺は問題ねぇよ。
……だが、あの竜狩りの野郎の言い様がどうにも気になるな……)」
「そうだな……」
(狙いは白竜であるとも言えるし、そうではないとも言える……
アイリスも言ってたけど、本当にどういう事なんだ……?)
竜狩りの言葉の意味を考えていると、エクセリアが真剣な顔で俺達にこう言った。
「……急ぎましょう。白竜を竜狩りから守らないと……」
俺達はその言葉に1度頷くと、竜狩りが進んでいった道を走って行った。
Other Side
リオス達が白竜の元へと急いで歩を進めていた頃、
「ごめんなさい、ごめんなさい……」
そう謝りながら一人の人物が目の前のモノへ向かって攻撃を加えていた。
「痛いですよね……苦しいですよね……」
そう言いながらも尚、その人物は目の前のモノへとひたすらに攻撃を加え続けた。
「ググググ……」
「心と体がぐちゃぐちゃになって、自分が自分で無くなるようで……いっそ死んじゃいたいですよね……」
「ググ……ガ、ガ……」
「だけど死なせません……仕方が無いんです……しょうが無いんです……」
「グアガァァァーーーー!!」
それは苦しそうな、そして辛そうな声を上げるが、
「ごめんなさい、ごめんなさい……」
その声も虚しく、目の前の人物によって攻撃は加え続けられた。
Other Side End
政実「第2話、いかがでしたしょうか」
リオス「この調子だと……後1話くらいで終わる感じなのか?」
政実「そうなるかもね。ただその後は今やってるイベントの話を書いてく形になるかな」
リオス「今やってるイベントっていうと……あぁ、クリスマスイベントか」
政実「そう」
リオス「今から書いてクリスマスまでに間に合うのか?」
政実「間に合うように精いっぱい頑張るつもりだよ」
リオス「分かった。
さて……それじゃあ、そろそろ締めてくか」
政実「うん」
政実・リオス「それでは、また次回」