白猫プロジェクト~賢者と黒竜を従えし者~   作:九戸政景

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政実「どうも! 片倉政実です!」
リオス「どうも、リオスです。
……何でそんなにテンションが高いんだ?」
政実「それはね、無事に今回のイベントのエクセリアを引けたからだよ」
リオス「そういえば今、エクセリアが出てるイベント、アイドルωキャッツ!が開催されてるんだったな。それにこのDivine Dragon's Sagaも復刻されてるし」
政実「うん。エクセリアがヒロインで書いてるのに、エクセリアが引けなかったらちょっと心が折れそうだったから、本当に引けて良かったよ」
リオス「たしかにな。
さてと、前書きはここまでにして、そろそろ始めていくか」
政実「うん」
政実・リオス「それでは、最終話をどうぞ」


最終話 闇を照らす人と竜の真の絆

 

「はぁぁぁぁーーっ!」

「そこだぁぁーーっ!」

「くらえぇぇーーっ!」

 

先を行く竜狩りに追いつくべく、俺達はその後を急いで追っていた。しかし、その途中にある谷で俺達は多数のレッサードラゴン達に遭遇し、何故か襲い掛かってくるレッサードラゴン達を相手に戦闘を繰り広げていた。

 

「はぁ……はぁ……これだけの数のレッサードラゴン、いったいどこから……」

「それに何だか、凄く怒っているというか……激しい敵意を感じます」

「激しい敵意って……!別に俺達は何もしてないだろ……!?」

 

レッサードラゴン達の様子について話をしながら俺達は戦い続けたが、レッサードラゴン達のあまりの数に皆の顔に徐々に疲れの色が見え始めた。

(くそっ……このままじゃ埒があかない!

何か……何か良い方法はないのか……!?)

向かってくるレッサードラゴン達の相手をしながら打開策を考えていたその時、キャトラが突然大きな声を上げた。

 

「このままじゃジリ貧だわ! コイツらの相手はそこそこにして、とっとと谷を抜けましょう!」

 

俺達はキャトラの言葉に頷いた後、レッサードラゴン達の相手を軽めにしながら、谷を抜けることに専念し始めた。しかしその中で、ゲオルグさんとカグツチだけは向かってくるレッサードラゴン達の様子をジッと見ていた。

 

「どうしたの、ゲオルグ? 難しい顔をして」

 

エクセリアが不思議そうに訊くと、ゲオルグさんは静かな声で答えた。

 

「いえ、何でもありません。

キャトラ君の言う通り、今はこの場を切り抜けることに徹しましょう」

「ええ、分かったわ」

 

エクセリアは頷きながら返事をした後、ラピュセルと共に谷の出口に向けて走り出した。俺はネロに乗った状態でレッサードラゴン達の様子に注意を向けながら、バッグの中のワイズに声を掛けた。

 

「ワイズ、今の状況について何か分かることはあるか?」

『そうですね……恐らくですが、レッサードラゴン達は何かに『引き寄せられている』のかもしれません』

「(『引き寄せられている』だと?)」

 

『はい……それも彼らよりも強い力を持った何者かによって……

そしてその何者かというのは、恐らく……』

「<闇>か……」

「(しかいねぇだろうな……)」

 

(けど、本当に<闇>の仕業だとしたら、アイツらはこの島で一体何をしようとしているんだ……?)

そんな事を考えていたその時、キャトラが前方を見ながら大声を上げた。

 

「……あ! みんな見て、建物よ! あれって街じゃない?」

 

キャトラの視線の先に目を向けてみると、キャトラの言う通り、そこには建物らしきものが見え始めていた。

 

「山間の城塞都市のようだな。

ちょうど良い、あそこを目印に行軍するとしよう」

「「「「はい!」」」」

「分かったわ!」

「(おう!)」

「うむ」

 

俺達は大きく返事をしながら、城塞都市に向けて走り続けた。

 

 

 

 

「な、何これ……」

「そんないったい何が……」

 

城塞都市に着いた時、キャトラとエクセリアが驚きの声を上げた。俺達の目の前にあったのは、活気溢れる城塞都市ではなく、崩れ落ちた建物や瓦礫などといった、破壊の痕が残る廃墟だった。

(これは酷いな……一体誰がこんなことを……)

廃墟の様子に言葉を失っていると、建物の影から静かな声が聞こえてきた。

 

「遅かったですね、ドラグナー御一行様方」

 

声の方に向いてみると、竜狩りは殺気を出しながら俺達に向かってゆっくりと歩いてきていた。

 

「出たわね、竜狩り! もう逃がさな……」

「待って! あれは……!」

 

キャトラの言葉を遮りつつ、アイリスがある一点を指差しながら声を上げた。俺達がそこに目を向けると、そこにいたのは……

 

「グガァァァーーー!!!」

 

宮殿の頂上にまたがり、空へ向かって咆哮を上げる巨大な竜の姿だった。

 

「な、なによ、あれ……あれもドラゴン……なの?」

「……あれは、破壊の衝動に目覚めた竜の成れの果て――<邪竜>だ」

「まさか……あの邪竜は……!」

 

エクセリアがハッとしながら声を上げると、竜狩りは邪竜を見ながら静かに頷きつつ答えた。

 

「お察しの通り、あの邪竜こそ、あなた方が探していた白竜――その今の姿です」

「え……え?

あれがラピュセルのお母さんって……嘘でしょ? 嘘よね!?」

 

竜狩りの言葉を聞き、キャトラが今にも泣きだしそうな表情を浮かべながら俺達に訊いてきた。そんな中、邪竜の様子をジッと見ていたアイリスが突然ハッとした表情を浮かべると、俺達の方へ視線を向けてきた。俺はそれに無言で頷いた後、邪竜に視線を戻した。

(アイツら……なんて事を……!)

 

「竜も所詮は獣に過ぎません。些細なきっかけで、こうも簡単に人間に牙をむくのです。

おわかり頂けましたか?」

「……っ! そんな事はありません! そもそも貴方達が白竜を……!」

 

竜狩りの言葉にエクセリアが声を上げたが、竜狩りはそれに反応をする事なく、静かな声で話を続けた。

 

「それよりも、皆さん。

よろしければ、あれの討伐に協力させてくれませんか?」

「は……? 何言ってんのよ! アタシ達はあのドラゴンを助けに来たのよ!」

「そうだ! それに誰がお前なんかと!」

 

俺達が竜狩りに対して強く言い放ったが、竜狩りは平然とした様子で答えた。

 

「おや、そうですか。ですが……」

 

竜狩りはチラッとエクセリア達の方に視線を向けた後、静かに言葉を続けた。

 

「どうやら、ドラグナーの皆さんはやる気のようですよ?」

「「え……?」」

 

ゲオルグさん達の方を見ると、ゲオルグさんとカグツチは覚悟を決めたような表情で邪竜を見つめ、そしてエクセリアはとても辛そうな表情を浮かべながら俯いていた。

(エクセリア……)

 

「ど、どうしたのよ、二人とも! 何で黙ってるのよ!」

 

ゲオルグさん達のその様子に、キャトラが驚きと怒りが入り混じったような表情を浮かべながら、大きな声を上げた。

すると、

 

「――! 静かにっ!」

 

竜狩りが突然鋭い声を上げ、邪竜の様子に注意を向け始めた。

邪竜はゆっくりと動き始めると、俺達に目を向けることなく、ポッカリと開いていた瓦礫の割れ目から宮殿の内部へと静かに入っていった。

 

「ちっ、逃がすか……!」

「……っ! 待ちなさい! 竜狩り!」

 

竜狩りはエクセリアの制止を聞くことなく、邪竜を追って宮殿の内部へと入っていった。それを見ると、エクセリアは悔しそうな表情を浮かべた。

 

「くっ……追いましょう、ゲオルグ!」

「……姫様、その前に彼らに伝えねばならないことがあります」

 

ゲオルグさんはエクセリアの事を止めた後、静かに俺達の方へ顔を向けた。

 

「皆、聞いてくれ!

これから我々は、あの白竜を……

いや……あの邪竜の『討伐』に向かう!」

「と、討伐って……」

 

信じられないといった表情でゲオルグさんを見るキャトラに、エクセリアが静かな声で言った。

 

「ドラグナーは、竜狩りから竜を守ることが務め。ですが、その逆もまたしかりなのです」

「……つまり、あのドラゴンを倒すって事ね……」

「はい……」

「でも、相手はラピュセルのお母さんなのに……」

 

キャトラが辛そうな表情を浮かべていると、ゲオルグさんが静かに話を始めた。

 

「……かつて、

<竜の国>領内の僻地で大規模な『白竜狩り』があった。あの白竜はそこから落ち延びた数少ない生き残り。以来、その行方はようとして知れず……

自分が辛うじて救えたのは、たった1匹の幼体だけだった……」

「その幼体って、もしかして……」

 

アイリスが言うと、俺達の視線が一斉にラピュセルへと注がれた。ゲオルグさんはそれに無言で頷いた。

 

「あの時ほど自分の無力を痛感した事は無かった。だが今度こそは……今度こそは救えるはずだと思っていた。

なのに、くっ……!!」

「ゲオルグ……」

 

ゲオルグさんがとても悔しそうに声を上げ、エクセリアがそれを見て悲痛な表情を浮かべている中、キャトラは邪竜が消えていった瓦礫の割れ目を見ながらポツリと呟いた。

 

「……どうして邪竜なんかに」

「眷属を狩られ、仔すらも失った白竜の憎しみは、我らの想像を絶するだろう。憎悪にかられ、外道に身を堕とすのは人も竜も同じ事よ。

……認めたくはないが、な」

 

真剣な表情でカグツチが静かにそう言った。

 

「……しかし、今回は些か妙でもある」

「妙って、何が?」

「自分は過去に、何度か邪竜と対峙した事がある。今回のような状況も初めてではない。

だが、竜が憎しみだけであれほど巨大な邪竜になった前例はない。何か他にも要因が……」

「それは……恐らく<闇>の仕業だと思います。

……そうよね、リオス、ワイズ」

「……ああ」

『はい』

 

アイリスの言葉に俺達が静かに答えると、エクセリアが不思議そうな顔でアイリスに訊いた。

 

「<闇>……ですか?」

「はい。私はあの時、確かに<闇>の気配を感じました。白竜さんの強い憎しみが<闇>を呼び寄せて、恐らく、それが邪竜に……」

「アイリスさん、その<闇>から白竜を救う方法は……!」

 

エクセリアが真剣な表情でアイリスに訊いたが、アイリスは哀しそうな顔で静かに首を振った。

 

「ごめんなさい……その方法は、私にも……」

「……そうですか」

 

とても小さな声で呟くように言うエクセリアに、ゲオルグさんが静かに話し掛けた。

 

「……姫様、我らは我らの務めを果たさなければなりません。邪竜は天災に匹敵する脅威。ここで討たなければ、更なる犠牲が出るでしょう。そうなる前に……」

「竜を守るとさんざん豪語しておいて、結局ラピュセルの母竜を討つか……」

「……道を外した者に、竜も人も関係ない。もし自分が道を外したら、遠慮無く自分を討つといい」

「ほう……その言葉、決して忘れるなよ?」

 

カグツチが面白そうに言う中、エクセリアは覚悟を決めたような表情でゲオルグさんに返事をした。

 

「……大丈夫よ、ゲオルグ。ドラグナーの使命に殉ずる事に、異論はないわ」

 

そしてエクセリアはラピュセルの方へと顔を向けた。ラピュセルは怯えた様子で邪竜達が入っていった瓦礫の分け目を見ていた。

すると、エクセリアはゆっくりとラピュセルの事を撫で始め、そして優しく話し掛けた。

 

「大丈夫よ、ラピュセル。貴女のことは私が守ってあげるからね」

 

エクセリアの言葉を聞いたことで、少しだけでも落ち着きを取り戻したらしく、ラピュセルは目を細めながら嬉しそうに鳴き声を上げた。そしてその様子をあの時と同じようにゲオルグさん達がジッと見つめていた。

そして数分後、ラピュセルが完全に落ち着いた事を確認すると、エクセリアは真剣な表情で俺達に言った。

 

「行きましょう、皆さん。あの邪竜を……ラピュセルの母竜を討伐するために」

 

俺達はそれに無言で頷いて答えた後、邪竜達と同様に瓦礫の分け目を通って宮殿の内部へと入っていった。

 

 

 

 

宮殿の内部に入った直後、キャトラが前方を見ながら声を上げた。

 

「見て、竜狩りが……!」

 

キャトラの視線の先を見ると、そこには邪竜との死闘を繰り広げている竜狩りの姿があった。

 

「破ァァァーー!!」

 

大きく声を上げながら、竜狩りが邪竜へと攻撃を加えると、

 

「グガァッ!?」

 

邪竜はその衝撃で地面へと叩きつけられた。そして邪竜がゆっくりと立ち上がろうとしている内に、

 

「獲ったッ!」

 

竜狩りは邪竜にとどめの一撃を加えるべく、武器を構えながら邪竜の元へと走りだした。

しかし、その時だった。

 

「ぐあっ!?」

 

暗がりから現れた謎の人物が突然竜狩りへ攻撃を加えた。そしてその攻撃の衝撃により、竜狩りは宮殿の壁へと強く叩きつけられた。

 

「な……に……だれ……だ……き、さま」

 

謎の人物へ向かって途切れ途切れに言うと、竜狩りはガクッと崩れ落ちた。

 

「ごめんなさい……ごめんなさい……」

 

謎の人物は竜狩りに向かって謝った後、今度は俺達の方へ体を向けこちらへゆっくりと歩いてきた。

 

「な、何なのよアイツ!? いきなり襲ってきたわ!」

 

キャトラが驚きの声を上げていると、

 

「うう、この気配……!間違いない、<闇>よ!」

 

アイリスが謎の人物を見ながら警戒した様子で言った。

 

「何! あの人物が<闇>だと!? ではまさか……奴が……」

「『<愉快な道化の影芝居>――<シャッテン・シュピール>のウィユ・ブロサール』……です」

 

桃色の髪の人物―ウィユは自己紹介を終えると、邪竜の事を見ながら俺達に小さな声で訊いてきた。

 

「この竜を……助けたいんですよね……?」

「っ! 当然です! 私達はその為にここへ来たんですから!」

「そうですよね……助けたいですよね……」

 

ウィユは呟くように言いながら、ゆっくりと邪竜へと近づいていった。

(……? アイツ、一体何を……?)

そして邪竜の足元へ着くと、ウィユは邪竜に静かに触れた。

 

「……分かりました、それじゃあ……」

 

その瞬間、邪竜に触れているウィユの手が妖しい紫色の光を帯びた。

 

「グォ……ガガガァ!」

 

すると、邪竜は苦しそうな様子で大きく声を上げ、徐々に邪竜からプレッシャーのような物を感じ始めた。

 

「もっと<闇>の力を……あたしにはこれしか出来ないから……」

 

そしてウィユの手が放つ光は更に強さを増し、それに比例して邪竜から感じるプレッシャーも徐々に強くなっていった。

 

「これは……! <闇>が限界まで高まって……

いけない、このままじゃ……!」

 

邪竜の様子を見たアイリスが大きな声で言ったその瞬間、

 

「グルアァァァー!」

 

邪竜は俺達へ向けて大きく咆哮を上げた。

 

「「きゃあああ!!」」

「ぐぅ……!!」

「うわあぁっ!!」

「(ぐはっ……!!)」

「きゃあっ!!」

「姫様ぁーー!」

 

邪竜が咆哮と共に放った禍々しい力の波動によって、ゲオルグさん達を覗いて俺達は大きく吹き飛ばされた。

 

「ラピュセル……! みんな……!」

 

エクセリアはゆっくりと起き上がろうとしたが、

 

「うっ、痛っ! あ、足が……!」

 

吹き飛ばされた事で負ったダメージの影響で、足を抑えながら苦しそうな声を上げた。

すると、

 

「ごめんなさい、ごめんなさい……こんなこと、本当はしたくないんです……

でも貴方達がこの竜を助けたいだなんて言うから……仕方なかったんです……」

 

俺達の様子を見て、ウィユが謝りながら淡々とした様子で言う。

(竜を助けたいなんて言うから、仕方なかった、だと……?)

 

「ふざ……けん、なよっ……!!」

 

俺が痛みに耐えつつ、立ち上がりながら大きな声で言うと、エクセリアも同じく痛みに耐えつつ立ち上がり始めた。

 

「……狂ってるわ! 許せない……」

「お前だけは、絶対に……許さねぇっ!」

 

ウィユの言葉に俺達が怒りをあらわにしていると、

 

「……」

 

ラピュセルが哀しそうな目をしながら、ゆっくり邪竜へと近付いていく。

 

「ラピュセル! 近付いちゃダメ! その竜はもう貴女の母親じゃ……!」

 

エクセリアが不安と焦りの入り混じった様子で強く言ったものの、ラピュセルはその言葉を聞かずに、そのまま邪竜へと近付いていく。そして、ラピュセルと邪竜の距離が近くなったその時だった。

 

「グルアァ!」

 

邪竜は雄叫びを上げながら前足を振り上げると、そのままラピュセルへ向けて前足を振り下ろし、その鋭利な爪でラピュセルの体を切りつけた。

 

「自分の子供をあんなに痛め付けて、酷いよね……このままじゃ死んじゃうよね……」

 

同じくエクセリア達の様子を見ていたウィユが、まるで他人事のように呟いた。

(コイツ……!)

 

「ふざけるな! お前のせいでこんな事になってるんだろうが!」

「(てめぇ、いい加減にしろよ……!! )」

 

俺とネロが怒りのこもった声で言うが、

 

「……私はただ、役目を果たしただけだから」

 

ウィユはエクセリア達から目を離さずに、ただ淡々と俺達に答えるだけだった。そして、エクセリア達の方を指差しながら静かに言葉を続けた。

 

「私よりもあの子達の方を優先した方が良いよ。そうじゃないと、本当に死んじゃいそうだから」

 

「くっ……!!」

 

俺はウィユに対しての強い怒りを一度抑えた後、【グラントスピア】のオーブに籠められている雷の魔力を解放した。

 

「【ボルティックソウル】!!」

 

【グラントスピア】が雷の魔力が纏ったことを確認した後、俺達は邪竜に向けて走りだした。

 

「はぁぁぁっーー!!!」

「(食らいやがれぇぇぇっーー!!!)」

 

そして邪竜に近付きながら【グラントスピア】を大きく振りかぶった。

(あの邪竜に恨みは無い、けどラピュセルのためにも、俺達が……!)

覚悟を決めた後、俺は邪竜に【グラントスピア】を振り下ろした。

 

「「(【ライトニングブレイク】)」!!」

 

雷の魔力を纏った【グラントスピア】の一撃を邪竜の足に命中させると、邪竜は体勢が大きく崩しながら声を上げた。そしてその隙に、エクセリアがラピュセルへと駆け寄ってきた。

 

「ラピュセル! ああ、こんなに傷ついて……

ごめんなさい……本当にごめんなさい……」

「エクセリア……」

 

傷ついたラピュセルと涙を浮かべているエクセリアを見ながらポツリと呟いていると、ウィユがラピュセル達を見ながら淡々とした口調で言った。

 

「良かった、生きてて……

邪竜も、そこの三匹も……お願い、どうか死なないで……」

 

(コイツ……!!)

 

「死なないで、だと……!? そんな事、お前が言えた立場か!?」

「(てめぇだけは……絶対に許さねぇ……!)」

「……この外道がッ!

まずは貴様から……」

「討つ!」

「「(ぶっ倒す!)」」

 

俺達が強く怒りながら武器をウィユに向けたが、ウィユはそれに対して焦る様子も淡々と答えた。

 

「ごめんなさい……あなた達とは戦えない……

せっかく用意した舞台が台無しになっちゃう……

だから……ごめんなさい……」

 

そしてウィユの周りに闇が現れ、徐々にウィユの体を包み込み始めた。

(アイツ、逃げる気かっ……!!)

 

「おのれ<闇>め! 逃げるつもりか!」

「させるか!! やるぞ、ネロ!!」

「(おうよ!!)」

「「(【ブレイヴソウル】)」!!」

 

【グラントスピア】のオーブが虹色に輝き、俺達の中で先程とは比べものにならない程に力が高まったことを確認した後、俺達はウィユに向けて走りだした。

(逃がすわけにはいかない……! アイツだけは、あのウィユだけはっ……!!)

そして俺の中で怒りとは違う何か暗い物が渦巻くのを感じながらも、渾身の力で【グラントスピア】を闇の中のウィユへと振るった。しかし攻撃が当たる瞬間に闇はその場から消え去り、【グラントスピア】の攻撃は虚しく空を切った。

(くそっ……!! アイツだけは……逃がすわけにはいかなかったのにっ……!!)

俺が悔しさと怒りから【グラントスピア】の柄を折れそうな程の力で握り締めていると、体勢を立て直した邪竜が周囲の壁が震えるほどに大きく咆哮を上げた。するとキャトラが慌てた様子で話し掛けた。

 

「リオス! 悔しいのは分かるけど、まずは邪竜を何とかしないと……!」

「……ああ、分かってる。

よし……やるぞ、ネロ」

「(……ああ、あの邪竜を俺達やエクセリア達の手で<闇>から解放してやろうぜ……!)」

「ああ……!」

 

そして俺達と邪竜の激しくも哀しい戦いが幕を開けた。

 

 

 

 

(よし……まずは)

俺は【グラントスピア】のオーブが虹色に染まった事を確認した後、籠められている魔力を解放した。

 

「【ブレイヴソウル】!」

 

その瞬間、再び体の底から力が高まってくるのを感じた。

 

「何だ……これは、体の底から力が沸き上がってくる……!」

「ふむ……それだけではなく、今ならばいつもよりも速く動ける気がするな」

 

ゲオルグさん達にも【ブレイヴソウル】の効果が表れた事を確認した後、俺はゲオルグさん達に大きな声で呼び掛けた。

 

「今、全員の力と耐久性、そして足の速さを高めました! この効果が表れている間なら、いつもよりも戦いやすいはずです!」

「なるほどな。感謝するぞ、リオス殿」

「ふん、人間の小僧にしては、気の利いたことをするものだ。

さて……行くぞ、ゲオルグ!」

「ああ!

皆も後に続いて攻撃をしてくれ!」

「「「はい!」」」

「(おうよ!)」

 

ナギア達と一緒に返事をした後、俺は【ソードオブマギア】を下ろしながらゆっくりとエクセリア達に近付いた。そして倒れ込んでいるラピュセルの目の前に来た時、俺はネロの背中から降り、エクセリアに声を掛けた。

 

「エクセリア、ラピュセルの傷の様子は……?」

「……大事には至らないと思います。ですが……」

 

エクセリアは痛みに耐えているラピュセルの事を撫でながら言葉を続けた。

 

「体の傷よりも母竜に攻撃をされたことによる、心の傷の方が心配なんです……」

「心の傷、か……」

 

(それは俺にはどうにも出来ない。でも……)

俺は【ソードオブマギア】のオーブに籠められている水の魔力を解放した。

 

「【オーシャンヒーリング】」

 

そして【ソードオブマギア】の切っ先から強く蒼い光が放たれ、ラピュセルの体を包み込んだ。すると、ラピュセルの体にあった傷がみるみるうちに治っていき、程なくしてラピュセルの体の傷は全て無くなった。

(よし、これでとりあえず体の傷はどうにかなったな)

ラピュセルの体の様子を見ていると、ラピュセルは少し嬉しそうに鳴き声を上げ、エクセリアの掌に自分の頭を擦りつけ始めた。

 

「ラピュセル……! もう、大丈夫なのね……!」

「♪」

「良かった……!」

 

エクセリアの安心した様子を見ていた時、エクセリアが俺達の方へと顔を向けた。

 

「リオスさん、本当にありがとうございます」

「どういたしまして。

とりあえずこれで体の傷はどうにかなったと思う。だけど……」

 

俺はナギア達と戦っている邪竜の方へ視線を向けてから言葉を続けた。

 

「ラピュセルの心の傷はまだまだあるはずだ」

「心の傷……」

「ああ、そうだ。

俺は皆の体の傷を癒やすことは出来る。でも、ラピュセルの心の傷を癒やせるのは……エクセリア、ラピュセルのパートナーであるお前だけだ」

「ラピュセルの心の傷を癒やせるのは……私だけ……」

「(リオスの言う通りだぜ、エクセリア。俺らがどんなにラピュセルの事を大事にしてやったりしたところで、心の傷までは治すことは出来ねぇと思ってる)」

「リオスさん……ネロさん……」

 

エクセリアの呟くような声を聞いた後、俺は邪竜から視線を逸らさずにエクセリアに話し掛けた。

 

「とりあえず、俺達も邪竜の相手をしてくるよ。このまま放っておくわけにはいかないし」

「(そうだな。

うっし……そんじゃあいっちょやってやろうぜ、リオス!)」

「ああ!」

 

そして俺達はゲオルグさん達の所へと走りだした。

 

 

 

 

俺はネロに乗って邪竜に近付きながら、【グラントスピア】のオーブに籠められている炎の魔力を解放した。そして邪竜が目の前に迫った時、俺は渾身の力で【グラントスピア】を振るった。

 

「【バーニングストライク】!!」

 

そして炎を纏った【グラントスピア】の一撃が邪竜に命中すると、邪竜は大きな声を上げながら、少しだけ体をよろめかせた。

(少しはダメージが入ったみたいだけど、さすがに倒すまではいかなかったか……)

邪竜の様子からそう感じ取った後、俺はナギア達に声を掛けた。

 

「皆、お待たせ。ケガとかはしてないか?」

「一応、邪竜の攻撃を避けながら戦ってるから大丈夫だけど……」

「皆、そろそろキツくなってきたかもしれないわ……」

「そっか……分かった」

 

ナギア達の言葉に頷いた後、俺は【バアル・ベルゼ】を背中から下ろしながらネロに声を掛けた。

 

「ネロ、俺が【バアル・ベルゼ】で攻撃するから、お前は……」

「(ああ、分かってる。俺が前に立って攻撃すりゃ良いんだろ?)」

「その通りだ。それじゃあ頼んだぞ、ネロ」

「(おうよ!)」

 

そしてネロの背中から降りた瞬間、ネロは邪竜に向かって走りだした。

(さて……ネロやゲオルグさん達に当たらないように俺は援護をしないとな)

俺が【バアル・ベルゼ】に矢をつがえたその時、邪竜は前足を振り上げると、そのままネロ達に向かって足を振り下ろした。

(生憎だが、そうはさせない……!)

俺は狙いを定めながら【バアル・ベルゼ】のオーブに籠められている感電の力を解放し、邪竜に向けて矢を放った。

 

「【エレクトリックスナイプ】!」

 

【バアル・ベルゼ】から放たれた雷を纏った矢はまっすぐ邪竜へ向けて飛び、振り上げていた邪竜の足へと命中した。すると邪竜は苦しそうな声を上げながら、大きな音を立ててその場に倒れ込んだ。

(これでとりあえず感電には出来たけど、いつまでもこれが続くわけじゃないし、早めにどうにかしないとな)

そして俺はゲオルグさん達に大きな声で呼び掛けた。

 

「今の攻撃で邪竜は感電しているはずです! 今の内に邪竜に攻撃を仕掛けて下さい!」

「ああ、了解した! 皆、行くぞ!」

「「はい!」」

「(おうよ!)」

「うむ!」

 

そしてゲオルグさん達は倒れ込んでいる邪竜に対して、渾身の力で攻撃を始めた。

 

「行くぞ、【竜王炎舞刹】!!」

「これで……! 【ダブルスラッシュ】!!」

「【バーンナップ】!!」

「(燃やし尽くすぜ! 【ドラゴニックブレイズ】!!)」

 

ゲオルグさんとナギアの武器での攻撃、そしてアイリスとネロの炎の攻撃が倒れ込んでいる邪竜に対して炸裂し、目の前に白い煙が立ち込めた。

(よし……ここまで攻撃すればさすがに……!)

しかし白い煙が消えた時、俺達の目の前にあったのは、体に多くの傷があるものの、未だに立ち上がる邪竜の姿だった。

 

「そんな……」

「ここまでダメージを与えてもダメなのか……!」

「(くそっ、コイツタフすぎるだろ……!)」

 

その姿を見て、アイリス達の顔に焦りの色が見えた時、邪竜は周囲の壁や天井が震えるほどに大きく咆哮を上げた。そしてその咆哮の衝撃にゲオルグさん達が地面を踏みしめて耐えていたその時、邪竜は先程よりも速い動きで尻尾をゲオルグさん達へと叩きつけた。

 

「がはっ!!」

「ぐあっ!!」

「きゃあっ!!」

「(ぐうっ!!)」

「皆!」

 

そして尻尾の攻撃を受けた衝撃で皆は後方へと吹き飛ばされた。

(尻尾を一振りしただけでこの威力か……とりあえず皆の回復を……!)

俺が皆の回復をするために【ソードオブマギア】を構えたその時、バッグの中からワイズが大きな声を上げた。

 

『リオス様! 後方に注意して下さい!』

「後方……!?」

 

俺がすぐに後ろを振り向くと、そこにはいつの間にか移動していた邪竜の姿があった。そして邪竜は表情を変えること無く、静かに前足を振り上げた。

 

「しまっ!?」

 

その事に驚き、俺は回避すら出来ずにその場に立ち尽くした。

しかしその時、

 

「(……んな事、させっかよぉっ-!!)」

 

ネロが大きな声を上げながら、俺の目の前に立ち塞がった。そして邪竜の前足はそのままネロに向けて振り下ろされた。

 

「(ぐはっ……!!)」

「ネロ!!」

 

ネロは邪竜の攻撃を受けると、勢い良く吹き飛ばされ、近くにあった壁に激突した。

(くっ……まずはネロの回復をしてやらないと……!)

俺は脇目も振らずにネロの元へと駆け寄り、ネロに向けて【ソードオブマギア】に籠められている水の魔力を解放した。

 

「【オーシャンヒーリング】……!!」

 

【ソードオブマギア】から放たれた強く青い光によって、ネロの体の傷は徐々に癒やされ、程なくしてネロの傷は全て無くなった。

(よし……とりあえずこれで良い……!)

 

「ネロ! 大丈夫か!?」

 

俺は大きな声でネロに呼び掛けた。すると、ネロはゆっくりと起き上がり、落ち着いた様子で鳴き声を上げた。

(ふぅ……どうやら何とかなっ……!?)

その瞬間、俺はネロの返事に違和感を覚え、ネロの首元に視線を向けた。するといつも首から掛けているはずのルーンリンガルが影も形も無くなっていた。

 

「ルーンリンガルが……!」

 

その事に俺が小さく声を上げると、ネロの視線も首元に注がれた。そしてルーンリンガルが無くなっている事に気付くと、ネロはとても驚いた様子で鳴き声を上げた。

(マズイ……ゲオルグさん達と違って、俺はルーンリンガルが無いと、ネロの言葉を聴くことが出来ない……!

くっ……一体どうしたら……!)

俺がどうしたら良いのか分からなくなっていたその時、邪竜がゆっくりと動き始める音が聞こえた。

(……こうなったら、ルーンリンガル無しでもネロと一緒にどうにかしてみせる。アレだけが俺達の絆の証というわけでもないからな……!)

俺は強く決心した後、ネロの眼を正面から見つめた。するとネロもそれに答えるように俺の事をまっすぐ見つめながら、静かにコクンと頷いた。そして俺達が再び邪竜の方へ視線を向けたその時、エクセリアがラピュセルの事を守るようにして立ちながら、武器を構えているのが目に入ってきた。

(エクセリア……まさか……!?)

俺はネロの背中に跳び乗り、【グラントスピア】のオーブに籠められている魔力を解放した。

 

「【ブレイヴソウル】!!」

 

そして三度、体の底から力が沸き上がってくるのを感じた後、俺達はエクセリア達のところへ向けて走りだした。しかし、

 

「うおおおお! カグツチィーー!」

 

それよりも先に赤いオーラのようなものを纏ったゲオルグさん達が邪竜目掛けて走り出し、そのまま邪竜の事を弾き飛ばした。

(凄い……これがドラグナーの本当の力か……!)

目の前の光景に俺は少しぼうっとしかけたが、すぐに頭を振って気持ちを切り替えた後、ネロと一緒にゲオルグさん達の所へ辿り着いた。

 

「ゲオルグ……」

 

エクセリアが呟くようにゲオルグさんの名前を呼ぶと、ゲオルグさんはゆっくりと振り返り静かに口を開いた。

 

「……姫様、これが自分とカグツチ、人と竜が真なる絆を交わしたドラグナーの力です」

「ゲオルグ……私は……」

 

エクセリアが再び呟くような声で言った次の瞬間、ゲオルグさんは怒りのこもった強い口調でエクセリアに対して声を上げた。

 

「この馬鹿者がッ!」

「―――っ!」

「己の竜を信じずしてなにがドラグナーか!

お前達の絆はその程度の物だったのか!」

「で、でも! 私は……

ラピュセルを傷付けたくなくて……

あの子を傷付けたくなくて……」

「大切に想うだけが絆ではない!

時には命を預け合うのも絆なのだ!

何故それが分からないのだ!!」

「それでも! ラピュセルに母親を討たせるなんて……

だから私が……!」

 

ドラグナーというもの、そして人と竜の真の絆について説くゲオルグさんに対して、エクセリアがラピュセルを想う自分の気持ちを正面からぶつけていると、カグツチが静かな声でエクセリアに問い掛けた。

 

「自己犠牲が美徳とでも思ったか?

それで絆が芽生えると? そんな物はお前の傲慢に過ぎん」

「カグツチ……」

 

カグツチの言葉を聞き、エクセリアが哀しそうな表情を浮かべていると、カグツチは静かに息を吐いた後、エクセリアの顔を真正面から見ながら声を掛けた。

 

「……だが、竜を心から思いやるお前の意思は……正直我は嫌いではない」

「……え?」

 

カグツチの言葉にエクセリアが不思議そうな表情を浮かべていると、ゲオルグさん達は俺達の方へと顔を向けた。

 

「さて……次はお前達だ。先ほどまでのお前達の動きは見ていたが……改めて聞かせてもらおう」

 

そして俺の顔を真正面から見据えながらカグツチは言葉を続けた。

 

「異国のドラゴンライダー、リオス。お前はその黒竜、ネロに己の命を預けられるか?」

「ネロに、自分の命を……」

 

俺はカグツチの言葉を繰り返しながら、ネロとのこれまでの事を思い出していた。

 

(ゲオルグさんやエクセリアと違って、俺達の場合はそんなに長い付き合いなんかじゃない。けど、今まで一緒に冒険したり、過ごしてきたりした事で、ネロ自身の強さ―肉体的な強さと心の強さ、そしてネロ自身の性格や考え方といった様々な事を俺は知っている。

長い付き合いなんかじゃなくても、俺達の中にはナギア達との絆とはまた違った絆があると俺は確信してる。

だから……!)

 

「俺は……コイツ―ネロに命を、そして背中を預けることが出来る」

「……ほう」

「俺とネロはそんなに長い付き合いなんかじゃないし、意思疎通の多くはルーンリンガルを通して行ってきた。

けど、今まで一緒に冒険したり、飛行島とかで過ごしてきたりした事で、俺はネロについての様々な事を知り、俺達なりに絆を―ナギア達との絆とはまた違った絆を深めてきた。

だからこそ俺はネロに命を……そして背中を預けて戦うことが出来る!

今までも! そして……これからもだ!」

 

(そうだ。俺達は最初こそ、自称変わり者の老人によって引き合わされただけの関係だった。

けど、今ではそれが『ネロ』だった事にとても感謝してる。『ネロ』が相棒だったからこそ、俺はここまでの戦いを乗り越えられたし、一緒にここまでやってこられたんだ)

すると、カグツチは静かに息を吐いた後、静かな声で話し掛けてきた。

 

「なるほど、それがお前の答えか、リオスよ」

「ああ」

「ふむ……異国のドラゴンライダー……いやドラグナーにしては良い回答だ。

ゲオルグ、お前はどうだ?」

「ああ。自分もリオス殿の答えは良いと思う。それにリオス殿とネロ、どちらも大した強さを持っているからな。正直、我々の騎士団に欲しい人材と言えるだろう」

「ふん、そうか。

さて……それはさておき、そろそろ本題といこうか」

 

カグツチは俺とネロ、そしてエクセリアとラピュセルの顔を見た後、静かな声で話し始めた。

 

「竜と盟約を結びし王家の末裔、そして飛行せし島の主たる異国のドラグナーよ。

人と竜の真なる絆を今こそ見せてみろ!」

「っ! 真の絆……

……私は……!」

 

エクセリアは弾かれたようにラピュセルの方へ顔を向けた。

 

「……ラピュセル!

ごめんなさい、せっかく母親に会えたのに。

みんなで<竜の国>に帰ろうって私、言ったのにね……」

「……」

「でも、それでも私……貴女のことが大好きなの。貴女のことを守りたい。だから……」

 

そしてエクセリアはラピュセルの事を真正面から見つめながら言葉を続けた。

 

「貴女の力を、私に貸して!

私と一緒に戦って欲しいの!」

 

すると、

 

「……ワ……」

 

ラピュセルの口から優しく静かな声が聞こえた。

 

「……え?」

「ワ……ワタシ、モ……

アナタ、ガ……好キ……」

「――っ! 貴女、言葉を……!」

「ワタシ……モ、戦ウ……

アナタノ……タメ、ニ……

戦イ……タイ……!」

 

ラピュセル自身の気持ちを聞き、エクセリアは少し涙ぐみそうになったが、すぐに涙を拭くと、先ほどまでとは違う嬉しさの混じった顔でラピュセルに言葉を返した。

 

「ああ、ラピュセル……ありがとう!

一緒に行きましょう!」

 

(……良かったな、エクセリア)

エクセリアの様子を見て、静かに考えた後、俺もネロの顔を真正面から見つめた。

 

「ネロ、さっきの俺の気持ちは嘘偽りなんて一つもない、本当の気持ちだ」

「……」

「何度も言うようだけど、俺達はドラゴンライダーになってまだまだ日は浅い。けど、今まで一緒に冒険したり、一緒に魔物と戦ったり、飛行島で一緒に過ごしたりして……お前との絆を深めて来れたと確信してる」

「……」

「だからこそ、改めて頼むよ。

ネロ、俺と一緒に戦ってくれ」

 

俺が右手を差し出しながら言うと、ネロはいつものように小さく笑うような顔をしながら、右前足を俺の手へと近づけると、ネロの口からいつもルーンリンガル越しで聞いてる声が聞こえた。

 

「……へ……ト……ゼン……ダ」

「ネロ……」

「リオ、ス……アリ、ガトウ……ナ。マア、チット……バカシ、コッパズ……カシイ、キハスル……ケドナ」

「ふっ……そうだな。けど……」

「アア。オレダッ、テオナジ……キモチダ。オマエ……トノキズナ、バッチリ……カンジテ、ルカラナ」

「ネロ、ありがとうな」

「ヘッ……レイナンザ、アトデイイ。ソレヨリモ……イマハ……」

「ああ。

共に邪竜を討ち果たそう、ネロ!」

「オウヨ!」

 

ネロとアイコンタクトを交わした後、俺達はゲオルグさん達、そしてエクセリア達と一緒に邪竜の事を見据えながら並び立った。

(さて……ここからが本番だ。

俺達とゲオルグさん達、そしてエクセリア達の力で皆を救ってみせる!)

 

 

 

 

「グルアァァァーーー!!!」

 

邪竜が大きな鳴き声を上げながら、エクセリア達に対して前足を振り上げた。

 

「エクセリアさん、危ない!」

 

それを見てアイリスが大きな声を上げたが、エクセリアは一切動じることなく、ラピュセルに声を掛けた。

 

「今なら……行けるわ!

翔んで、ラピュセル!」

 

そして金色のオーラのようなものを纏ったエクセリア達は、邪竜に向けてまっすぐに翔ぶと、さっきのゲオルグさん達のように邪竜の攻撃をはね返した。

(エクセリア達も頑張っているんだ……俺達だって!)

 

「さぁ、やるぞ。ネロ!」

「オウヨ!」

 

ネロは返事をした後、邪竜に向けて走りだした。

そして俺がネロの背に乗りながら、【グラントスピア】を構えていると、突然体の底から今まで感じたことのない力が沸き上がってくるのを感じた。ふと自分の体、そしてネロの体を見てみると、俺達の右半身は白いオーラのようなもの、そして左半身は黒いオーラのようなものを纏っており、更に【グラントスピア】に填まっているオーブも白と黒の二色に染まっていた。

(白と黒の魔力……? 初めて見るけど、これが新しい力だというなら、使わない手は無い!)

そしてネロが邪竜に向けて翔び上がり、邪竜との距離が縮まった瞬間、俺は【グラントスピア】を二度力一杯振るった。

 

「行くぞ!!

【ツインエレメンタルストライク】!! 」

 

白いオーラを纏った一撃、そして黒いオーラを纏った一撃を邪竜に見舞うと、邪竜はダメージを受けた事で大きな鳴き声を上げた。

そしてエクセリア達の所に着地すると、エクセリアはゲオルグさん達を見ながら声を指示を出した。

 

「私とラピュセルが出ます!

ゲオルグ、貴方も続いて波状攻撃を!」

「姫様……はっ!

行くぞ、カグツチ! 今こそ我らの力の真の力を見せるのだ!」

「ふん、分かっている!」

 

そして次にエクセリアは俺達に声を掛けてきた。

 

「リオスさん達も、ゲオルグ達の攻撃の後に続いて攻撃をお願いします!」

「ああ、了解した!

行くぞ、ネロ! 俺達の新しい力をもう一度見せてやるんだ!」

「ヘッ……モチロンダゼ!」

 

俺達の言葉を聞いた後、エクセリアは邪竜の事をもう一度まっすぐに見据えた。

 

「行きましょう、ラピュセル!」

「……ウン」

 

そしてエクセリアはラピュセルと共に邪竜に向けて勢い良く翔ぶと、

 

「行きましょう、ラピュセル! はぁぁぁぁーー!!!」

 

邪竜に対して渾身の一撃を振るった。そして、

 

「やるぞ、カグツチ! はぁぁぁぁーー!!」

「ふん、言われずとも!」

 

それに続いてゲオルグさんが邪竜に気合いを籠めた一撃を振るった。

(よし……俺達も!)

そしてネロが邪竜に向けて翔び、再び邪竜との距離が縮まった瞬間、俺は【グラントスピア】を構えながらネロに声を掛けた。

 

「これで決めるぞ! ネロ!」

「おう!」

「「【ツインエレメンタルストライク】」!!」

 

再び邪竜に向けて白と黒の渾身の一撃を振るうと、邪竜は大きな鳴き声を上げた後、ゆっくりとその場に倒れ込んだ。そして俺達が邪竜の足元に着地すると、エクセリア達、そしてナギア達はゆっくりと邪竜へと近づいた。

 

「グ……ガ……ガァ……」

「……ごめんなさい。もっと早く貴女のことを見つけていればこんな事には……」

 

エクセリアが哀しそうな表情を浮かべていると、ゲオルグさんは静かにエクセリアに声を掛けた。

 

「姫様、我らの務めはまだ終わってはいません」

「……そうでしたね。

ゲオルグ、お願いできますか?」

「……御意」

 

ゲオルグさんは静かに返事をすると、懐から不思議な紋章が描かれた石を取りだした。

 

「それは……ルーンですか?」

「これは<竜葬のルーン>。我ら<竜の国>に伝わる、特別なルーンだ」

 

そしてゲオルグさんは<竜葬のルーン>を掲げると、静かに呪文を唱え始めた。

 

「古の盟約の名の下に、終わり行く器より魂を解き放つ。

命は天に……骸は地に――」

 

すると、ルーンが淡い輝きを放つと同時に邪竜の亡骸も燐光を放ちだした。

(これが<竜の国>のドラグナーの務め、か……)

そしてルーンと邪竜の亡骸の光が消えると、ゲオルグさんは静かに説明をしてくれた。

 

「邪竜の亡骸は、その地に呪いをもたらす。竜狩りに暴かれる危険もある。

ゆえに我らドラグナーは、このルーンを使って、死した竜を地へと還すのだ」

「白竜……貴女の子には私がずっとついています。

どうか安心して眠りについて下さい……」

「……」

 

俺達が邪竜……いや、白竜を悼んでいると、

 

「やれやれ……

既に邪竜は処理済みでしたか。これは無駄足でしたね」

 

竜狩りが静かに話しながら俺達へと近付いてきた。

 

「ア、アンタ! 生きてたの!?」

「ええ。あなた達が力尽きた後で、獲物を頂くつもりでしたが……」

 

竜狩りはエクセリアと俺に視線を向けてから言葉を続けた。

 

「どうやら私の見込み違いでした。

まさか竜の姫君、そして若きドラグナーにあそこまでの力があったとは」

「いえ、私だけの力だけではありません」

「ああ。ネロ達、竜の助力があったからこその力だ」

 

俺達の言葉を聞くと、竜狩りは理解出来ないといった様子で笑い始めた。

 

「ふふ……あなた達ドラグナーはいつだってそうですね。

口を開けば、仲間だの絆だの……獣相手にそんな虫酸が走ることを平気で言う」

「あなた達竜狩りに、私達ドラグナーの信念は、決して理解出来ないでしょう」

「……これを見ても、まだそんな事が言えますか?」

 

竜狩りは兜の面を開け、兜の奥にある素顔を一瞬だけ晒した。すると竜狩りの顔には竜の炎によるものと思われる酷い火傷の後が残っていた。

 

「……っ!」

「……竜の炎にやられたか」

「私がまだ幼い頃に、ね。

友人や家族は一瞬で消し炭に。

私は『運悪く』生き残り、このザマですよ。

あなた方の隣にいる竜が竜の全てではないのです。

良く覚えておくことですね」

 

竜狩りが静かに、そして冷たく言い放ったが、エクセリアは決意を秘めた表情で言葉を返した。

 

「……それでも私は信じ続けます。

ラピュセルの事……

人と竜の絆のもたらす未来を」

 

エクセリアの言葉を聞くと、竜狩りは呆れた様子を見せた。

 

「頑固な姫君だ。もはや愚かですらありますね」

 

すると、カグツチが真剣な表情を浮かべながら竜狩りへ静かに言い放った。

 

「くだらん。そんな傷で語った気になるな」

「……でしたら、貴方の主にもつけて差し上げましょうか?」

 

竜狩りが冷たく鋭い殺気を放ち出すと、ゲオルグさんは静かな声で答えた。

 

「傷ならある」

「なら、私の気持ちも少しは分かって頂けるのではないですか?」

 

しかし、ゲオルグさんは静かに頭を振りながら答えた。

 

「見当もつかんな。自分は貴様とは違う道を歩んできた」

「……そうですか」

 

竜狩りは殺気を収めながら静かに答え、宮殿の割れ目の方へ体を向けた後、俺達に視線を向けることなく言葉を続けた。

 

「では、これで。

二度と会わないことを祈ってますよ」

「自分は構わない。

何度でも貴様の元へと赴き、何度でも貴様を止めてみせるぞ」

「ふん」

 

竜狩りは静かに鼻を鳴らすと、宮殿の割れ目に向けて歩いていった。その様子を見ていると、カグツチが冷たい口調で言い放った。

 

「時間を無駄にしたな。

所詮、人と竜とは相容れぬ生き物よ」

「……カグツチ。

ならば自分達は何だと言うんだ?」

 

ゲオルグさんの問い掛けに、カグツチは静かな声で答えた。

 

「……我らは、人と竜の間に立つ者、<ドラグナー>だ――」

 

(人と竜の間に立つ者、か……

いつか俺も、そういう存在にならないとな……)

俺がゲオルグさん達、そしてエクセリア達の事を見ていると、ネロが前足で俺の事を静かに叩きながら声を掛けてきた。

 

「リオス、ソロソロ……ルーンリンガルヲ、ミツケヨウゼ?」

「それもそうだな。それじゃあ……」

 

俺がバッグの中から【竜の横笛】を取り出すと、エクセリアが不思議そうな様子で話し掛けてきた。

 

「リオスさん、それは……?」

「これは【竜の横笛】っていうもので、必ずじゃないけど竜の気持ちを落ち着けたり出来る物なんだ。

さて、それじゃあ早速……」

 

俺は【竜の横笛】を構えた後、ゆっくりと【竜の横笛】を吹き始めた。

 

「~♪ ~♪」

 

【竜の横笛】は宮殿の壁に反響しながら、いつものように綺麗な旋律を奏でた。

 

「ふふっ……素敵な音色ね、ラピュセル」

「ウ……ン♪」

「ほう……このような物もあるのか……」

「……ふん」

 

エクセリア達の感想を聞きながら、白竜の弔いの意味も込めて【竜の横笛】を吹き続けていると、どこからかもう一つの音色が聞こえてきた。

(なるほど、そっちか)

俺がネロにアイコンタクトをすると、ネロは頷いてから音色の元へと歩いていった。そして段々音色が近づいてきたと思った瞬間、ネロが【ルーンリンガル】をくわえて戻ってきた。

(うん、やっぱりこの方法で良かったみたいだな)

俺はゆっくりと演奏を止め、口から【竜の横笛】を離した。そしてバッグの中にしまった後、ネロから【ルーンリンガル】を受け取り、静かにネロの首へ【ルーンリンガル】を掛けた。

 

「よし……ネロ、これで良いか?」

「あー……あー……

うっし……! これでオッケーだぜ、リオス!」

「ああ、そうみたいだな」

 

俺は返事をしながら、ネロと一緒に笑い合った。

(……これからも頑張っていこう。ナギアとはまた違う、たった一匹の相棒と一緒に)

ネロの笑顔を見ながら、俺は改めて強く決心した。

 

 

 

 

宮殿からの帰り道、皆で山道を歩いていると、キャトラがふと口を開いた。

 

「……今更だけど、アイツ―竜狩りにも色々事情があったのかもしれないわね」

「ええ……彼らのような犠牲者を出さないためにも、私達が人と竜との架け橋にならなければなりません」

「そうだな。俺も今回の件で、人と竜との絆について色々と思うことがあったし、それに俺も協力させてもらうよ、エクセリア」

「ふふっ……ありがとうございます、リオスさん」

「どういたしまして」

 

エクセリアと静かに笑い合った後、エクセリアはラピュセルの方へと顔を向け、ラピュセルに声を掛けた。

 

「共に頑張っていきましょうね、ラピュセル」

「……」

「……ラピュセル?」

 

ラピュセルの様子にエクセリアは不思議そうに首を傾げた。

(もしかして……)

 

「ラピュセル……言葉が話せなくなったのか?」

「え……そんな。

ラピュセル、どうして……!」

 

エクセリアが焦った様子を見せると、カグツチが鼻を鳴らしながら静かに言い放った。

 

「ふん、お前達のような未熟者が一日で我らのようになれるわけがないだろう。

リオス、ネロ。当然、お前達もだ」

「あ、やっぱりか……」

「(やれやれ……またしばらくはコイツ―【ルーンリンガル】の世話になるみてぇだな )」

「そうだな。でも、【ルーンリンガル】があると何だかんだで落ち着くよな」

「(へへっ、まあな)」

 

俺達が笑いながら話をしていると、ゲオルグさんが俺達とエクセリア達の事を見ながら静かな声で言った。

 

「ネロやラピュセルが人語を使いこなせるようになるには、今後の姫様達の成長次第ですな」

「俺達と……」

「私達の……」

「「成長次第……」」

 

俺達が声を揃えて言うと、キャトラ達が微笑みながら次々と声を掛けてきた。

「大丈夫。焦らなくても、アンタ達なら絶対に出来るわよ」

「うん、キャトラの言う通りよ。

もし私達にも何か協力できる事があったら、遠慮なく言ってね」

「リオス達はもちろん、エクセリア達も俺達の友達であり仲間だからさ」

「皆……ありがとうな」

「皆さん、本当にありがとうございます」

 

キャトラ達に対してお礼を言った後、俺はエクセリアに声を掛けた。

 

「エクセリア、同じ竜が相棒の者同士、これから一緒に頑張っていこうぜ」

「はい!

リオスさん、ネロさん、これからもよろしくお願いします!」

「(おう!

それと……俺の事は、ゲオルグ達を呼ぶみてぇに呼び捨てで良いぜ?

さん付けで呼ばれると、何かむず痒くてしょうがねぇからな)」

「ふふ……分かりました。

それじゃあ改めて……これからもよろしくお願いしますね、リオスさん、ネロ」

「ああ、よろしくな。エクセリア、ラピュセル」

「(よろしくな! エクセリア! ラピュセル!)」

 

そして俺達が笑い合っていると、キャトラがふと何かを思い出したような顔をしながらゲオルグさんに話し掛けた。

 

「ねぇ、ゲオルグ」

「む? 何かな、キャトラ君」

「さっき、ゲオルグ達が邪竜と戦ってた時なんだけど、ゲオルグ達とエクセリア達に見えたオーラみたいなのの色は一色だったけど、リオス達のは二色だったのって、何か理由でもあるのかな?」

「うむ……それは自分達にも分からんな……」

「あれ、そうなの?

それじゃあ……リオス、ネロ。アンタ達はあの時、どんな感じだったの?」

「どんな感じ、か……」

 

俺はあの時―俺達の体が白と黒のオーラのようなものを纏い、【グラントスピア】のオーブが白と黒に染まっていた時の事を思いだした。

 

「なんというか……今までとは違う力が沸き上がってきた感じだったな」

「(だな。あの時、今ならどんな奴にだって勝てるんじゃねぇか……って思えたくれぇだしな)」

「後、【グラントスピア】のオーブが白と黒に染まっていたんだよな。今まであんな色見たことなかったのに……」

 

(もし、あれが人と竜との真の絆による物じゃなかったとしたら、一体何なんだろうな……?)

 

「うーん……ますます謎は深まるばかりね。でもあんなに強いんだから、これからの<闇>との戦いでも使えたら本当に助かるわね」

「まあ、そうだな」

 

俺達がその事について結論付けていると、ゲオルグさんが真剣な表情でエクセリアに話し掛けた。

 

「姫様、此度の白竜と<闇>の一件、これで終わりとは思えません。自分はこの地に留まり、あの<闇>の者を追います」

「……いえ、ゲオルグ。私も行きます。ドラグナーとして、竜と人のためにここで成すべき事を果たします」

「姫様……かしこまりました」

「まったく、懲りない小娘だ……

もう良い、勝手にしろ。

だが次は見捨てるぞ、良いな?」

「ええ、大丈夫よ、カグツチ」

 

カグツチの言葉にエクセリアが微笑みながら返事をしていると、キャトラが良いことを思い付いた様子でエクセリア達に声を掛けた。

 

「あっ、それなら、飛行島を拠点にしたらどうかしら?」

「飛行島を……ですか?」

「ええ。飛行島には宿屋もあるし、ネロのために建ててもらった竜舎もあるわよ」

「それは助かるのですが……本当によろしいのですか?」

「うん。その分、公務が無い時とかにギルドの依頼とかアタシ達の目的にも付き合ってもらうことにはなるけどね」

「目的……たしか<大いなるルーン>を探しているんですよね……」

「そうよ。それに……」

 

キャトラは俺とエクセリアの事を交互に見ながら言葉を続けた。

 

「ちょっと面白そうな事にもなりそうだしね……♪」

「(ああー……なるほど、たしかにそうだな……♪)」

「でしょ♪」

 

ネロがその言葉に同調すると、キャトラは更に楽しそうな様子を見せたため、俺は少々疑問を覚えながらキャトラ達にそれについて訊いてみた。

 

「キャトラ、ネロ……いったい何を考えてるんだ……?」

「んーん、別に何でもないわよ♪

それよりも……リオス達はアタシの案に賛成なの?」

「俺は……まあ、賛成だけどさ。同じ竜が相棒の者として、色々と学びたいことがあるからな。

それにせっかく仲良くなれた事だし、もっと色々な事を一緒にしてみたいからさ」

「もちろん、俺も賛成だぜ!」

「私も賛成。エクセリアさん達と一緒だと、凄く賑やかになりそうだしね」

「うんうん、たしかにそうよね」

 

キャトラは俺達の意見を聞いた後、エクセリア達の方へと顔を向けた。

 

「それで、エクセリア達はどうする?」

「私は……」

 

エクセリアは少しだけ考え込んだ後、ニコッと笑いながらキャトラに返事をした。

 

「私も皆さんと一緒にいたいです。皆さんと一緒なら、絶対に楽しいですから。

ね、ラピュセル♪」

「♪」

「うんうん。ゲオルグとカグツチはどう?」

「そうだな……うむ、自分も賛成だ。もちろん姫様のこともあるが、<闇>を追うならば、やはり拠点となる場所が必要になるからな」

「ふん、そういう事だ。しばらく厄介になるぞ、お前達」

「オッケー♪」

 

キャトラが声を弾ませながら言うと、エクセリアは嬉しそうな様子でゲオルグにお礼を言った。

 

「ゲオルグ、ありがとうございます」

「いえ。ですが……」

「分かっているわ、ゲオルグ。お父様にはしっかりとお話をするし、公務もしっかりとやるし、リオスさん達のお手伝いだってするもの」

「かしこまりました」

 

ゲオルグさんが恭しく返事をした後、ゲオルグさん達とエクセリア達は俺達の方へ体を向けた。

 

「皆、しばらくの間、姫様共々よろしく頼む」

「しばらくの間、厄介になる」

「皆さん、これからもよろしくお願いします♪」

「♪」

「こちらこそ、よろしくお願いします」

「こちらこそよろしく」

「これからよろしくお願いします」

「よろしくね、みんな♪」

「(よろしくな!)」

『よろしくお願い致します』

 

そして俺達はガッチリと握手を交わした。

(まだまだ謎なこととかは多いけど、新しい仲間達がいれば大丈夫な気がする)

エクセリア達と握手を交わしながら、俺は心の中でそう確信した。




政実「最終話、いかがでしたでしょうか」
リオス「なんというか……ようやく完成させた感じだな」
政実「あはは……まあ、そうだね。
そしてこれから本編ストーリーの方、具体的にはピレント島編から基本的にはエクセリアも一緒に島を巡ることになります」
リオス「それとピレント以前のHardとか書く予定のあるエクセリアが出てこないイベントの話にも参加するんだっけ?」
政実「そう。そして現在開催中のアイドルωキャッツ!イベントもこの番外章の方で書いていく予定になっています」
リオス「それはいつになることやら……
さて……作中で謎の白と黒の魔力みたいなのが出てきたけど、アレの正体はストーリーの方で明らかになるんだよな?」
政実「うん、そう。ただ、もっと先の話にはなるけどね」
リオス「了解。
そして最後に、この作品への感想や意見もお待ちしております」
政実「それじゃあ、そろそろ締めていこうか」
リオス「だな」
政実・リオス「それでは、また本編で」
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