白猫プロジェクト~賢者と黒竜を従えし者~   作:片倉政実

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政実「どうも、片倉政実です」
リオス「どうも、リオスです」
政実「今回の番外第2章は、クリスマスイベントの1つである
『Holy Night Story~あるある王子とまんぞく姫』
のストーリーを元にして書いていきます」
リオス「クリスマスはとっくに過ぎてるけど、何で今更クリスマスイベントの奴なんだ?」
政実「えっとね……本当なら今年のクリスマスに他のクリスマスイベントのストーリーと同時進行で書こうとしてたんだけど、それだと3つ同時になる事に気付いてね……」
リオス「なるほど。つまり、3つ同時はさすがにきついから、今までの奴をクリスマスまでに書いてしまおうとしてるわけか」
政実「そんなところだね。因みに去年の正月と今年の正月のイベントもそうやって書いていくつもりだよ」
リオス「ん、了解。
さて……それじゃあそろそろ始めていくか」
政実「うん」
政実・リオス「それでは、第1話をどうぞ」


番外第2章 Holy Night Story~あるある王子とまんぞく姫~
第1話 パーティーへの誘いと魔法の本


クリスマスが近付いてきたある日のこと、エクセリア達と一緒に飛行島でのんびりしていると、

 

「みんな-! お手紙が来てるわよ-!」

 

アジトの方からヘレナさんの声が聞こえてきた。

 

「手紙……どなたからでしょうか?」

「さぁ……」

 

俺とエクセリアが不思議そうに顔を見合わせながら話していると、キャトラが顔を輝かせながら俺達にこう言った。

 

「クリスマスも近いし、誰かからのパーティーのお誘いとかだったりして!」

「もう、キャトラったら……」

 

キャトラの言葉を聞き、アイリスが呆れ気味にそう言うと、ナギアが小さく笑いながらこう言った。

 

「あはは。まあ、とりあえず行ってみようぜ?

もしかしたらキャトラの言う通り、誰かからのパーティーへの招待かもしれないしさ」

「たしかに無くはないか。

……よし、それじゃあ、行くか」

「おう!」

「うん!」

「ええ!」

「はい!」

「(おうよ!)」

 

俺達は手紙の内容を確認するべく、アジトの方へと歩いて行った。

 

 

 

 

「……はい、これがそのお手紙よ」

「ありがとうございます、ヘレナさん」

 

アジトへ着くとすぐに、俺達はヘレナさんから件の手紙を受け取り、差出人の名前を確認した。

 

「差出人は……ディオニスさんか」

「ディオニスって事は、いよいよパーティーへのお誘いの線が強くなってきたわね!」

「さぁ、どうだろうな。リオス、早く読んでみようぜ」

「ああ」

 

ナギアに返事をした後、俺は服のポケットからペーパーナイフを取り出し、ゆっくりと封を切った。そして中から便箋を取り出した後、ゆっくりとその内容を読み始めた。

 

「えーと……

『飛行島の皆へ

 

この度、私の屋敷でクリスマスパーティーを行うことにした。そしてそのパーティーに、是非君達を招待したい。もちろん、友人などと一緒に来てくれても構わない。

もし、参加出来るようならその返事を当日前までに頂きたい。皆の参加を心よりお待ちしている。

それでは……

ディオニス・ヴァランガ』

 

……だってさ」

 

俺が手紙から顔を上げると、キャトラがとても嬉しそうな顔でこう言った。

 

「ふっふっふ……アタシの読み通り、やっぱりパーティーのお誘いだったわね。おまけにアタシ達は、クリスマスの日には何の予定もない!これは参加するっきゃないわ!

そして後は……」

 

キャトラはエクセリアの方へ顔を向けるとこう訊いた。

 

「エクセリア、アンタはクリスマスの日に何か予定とかはある?」

「えっと……たしか何も無かったはずです」

「それならアンタ達も一緒にクリスマスパーティーに参加しない? 手紙には友達と一緒に来ても良いって書いてるし」

 

キャトラの提案を聞くと、エクセリアはとても嬉しそうな顔で答えた。

 

「クリスマスパーティー……! はい、私も皆さんと一緒に行ってみたいです!」

「そうこなくっちゃ♪」

 

キャトラとエクセリアが楽しそうに話している中、アイリスが少し心配そうな顔でこう言った。

 

「あ、でも……一応ゲオルグさんにも確認してみた方が良いんじゃないかな……」

「あ……それもそうね。

えっと……確かゲオルグは、バロンの工房にいるはずよね?」

「ああ、そのはずだ」

「それじゃ、工房へ向けて出発しましょ!」

 

俺達はキャトラの言葉に頷いた後、バロンさんの工房へ向けて歩き始めた。

 

 

 

「おーい、ゲオルグ-! いるー?」

 

工房のドアを開けると同時に、キャトラが大きな声で奥の方へ呼びかけた。

すると、

 

「む、皆……? それにエクセリア様まで……」

 

工房の奥から、ゲオルグさんが不思議そうな顔で歩いてきた。

 

「あっ、いたいた。ねぇ、ゲオルグ。ちょっと訊きたいことがあるんだけど?」

「訊きたいこと?」

「うん。エクセリアってクリスマスの日に公務とかはあったりするの?」

「いや、特には無いが……それがどうかしたのか?」

「えっとね、実はアタシ達がクリスマスパーティーに招待されてるんだけど、それにエクセリア達も連れて行きたいなと思っててね」

「クリスマスパーティーか……招待主の名は?」

「鎧の国のディオニスよ」

「ほう、ディオニス様の招待か……」

 

ゲオルグさんが小さな声で興味深そうに呟いていると、エクセリアが不安げな顔をしながら前へ進み出てこう言った。

 

「ゲオルグ……私、皆と一緒にクリスマスパーティーに行きたい。せっかく皆とお友達になれたからこそ、皆と一緒に色々な事をやってみたいの。だから、お願い……! 皆と一緒にクリスマスパーティーに行かせて……!」

 

エクセリアが頭を下げながらそう言うと、ゲオルグさんは優しく微笑みながら返事をした。

 

「……エクセリア様、顔をお上げください。私はエクセリア様がリオス殿達と共に、そのクリスマスパーティーに参加される事を悪い事だとは思ってはおりませんよ」

「それじゃあ……!」

「ええ。これもエクセリア様にとっては良い機会ですから。是非リオス殿達と共に、クリスマスパーティーに行ってきてください」

「ゲオルグ、ありがとう……!」

「いえ、礼には及びません。その代わり、当日はしっかりと楽しんできてください、姫様」

「ええ、もちろん!」

 

ゲオルグさんはエクセリアの言葉に小さく頷いた後、俺達の方へと顔を向けた。

 

「皆、当日はエクセリア様の事をよろしく頼む」

「「「はい!」」」

「もちろん!」

 

ゲオルグさんに返事をした後、キャトラが俺達の事を見回してから元気良くこう言った。

 

「よーし、当日は目いっぱい楽しむわよ-!」

「ああ」 「おう!」 「ええ」 「はい!」

 

俺達はキャトラの言葉に声を揃えて返事をした。

 

 

 

 

そしてクリスマスパーティー当日、雪が静かに降り続く中、俺達はディオニスさんとの待ち合わせ場所で、話をしたりしながらディオニスさんのことを待っていた。

(さてさて……今夜のパーティーには他にどんな人が招待されてるのかな?)

そんな事をぼうっと考えていると、俺達に向かって冷たい風が吹いてきた。

(うーん……今日は思ったより冷えるみたいだな……)

そう思った後、俺は皆の様子を横目で確認してみた。

(俺とナギアはいつも通りの服装だからまだ良いけど……アイリスにキャトラ、そしてエクセリアはパーティードレス姿だから寒いかもしれないな……よし、一応皆に訊いてみるか)

そう考えた後、俺は皆に声を掛けた。

 

「今夜は思ったより冷えるみたいだけど、皆は大丈夫か?」

 

すると、皆は微笑みながら返事をした。

 

「ああ、俺は大丈夫だぜ!」

「私も大丈夫だよ、リオス」

「もちろん、アタシも大丈夫よ♪」

「(俺もこのくらいなら余裕だぜ!)」

「私達も大丈夫です。ねっ、ラピュセル♪」

「♪」

「分かった。ただ、もし寒くなってきたら言ってくれよ? 一応皆分の羽織れそうな物とかを持ってきてたからさ」

「「(おう!)」」

「「うん!」」

「はい!」

「♪」

 

皆の返事に頷いた後、俺は静かに降ってくる雪に視線を向けた。

(クリスマスの日に雪か……そういえばこういう日の事をホワイトクリスマスって呼ぶんだっけ……)

雪を眺めながらそう思っていると、エクセリアが静かな声で俺達に話し掛けてきた。

 

「雪……綺麗ですね」

「……ああ、そうだな」

「(……へへっ、だな)」

「♪」

 

俺達が静かに雪を眺めていると、キャトラがウキウキした様子でこう言った。

 

「う~ん♪ それにしてもパーティーでどんな料理が出て来るか今から楽しみだわ~♪」

「もう……キャトラったら、流石に気が早いよ?」

「あははっ、でもキャトラらしいと言えば、キャトラらしいよな?」

「……ふふ、そうかもね」

 

ナギアの言葉にアイリスが小さく笑いながら返事をしているのを聞いた後、俺も小さく笑いながらエクセリア達に話し掛けた。

 

「どうやらキャトラの場合は花より団子ならぬ、雪よりも料理みたいだな」

「ふふっ、そうですね」

「(へへっ、みてぇだな)」

「♪」

 

俺達が小さく笑い合っていると、前方に雪の中を俺達に向かって雪道を歩いてくる影が見えた。影は俺達の存在に気が付くと、歩く速さを上げた。そしてそれから程なくして、その影の主が俺達の目の前に現れた。

 

「皆、待たせて済まなかったな」

 

影の主―ディオニスさんが少し申し訳なさそうな顔で俺達に話し掛けてくると、キャトラがいつも通りの調子で返事をした。

 

「やっほー、ディオニス。アタシ達はそんなに待ってないから、謝らなくても大丈夫よ」

「ふっ……そうか、ありがとう。

さて……話は歩きながらすることにして、そろそろパーティーの会場である私の屋敷へ行くとしようか」

「「「「はい!」」」」

「オッケー! 」

「(おう!)」

 

こうして俺達はディオニスさんと共に、パーティーの会場であるディオニスさんの屋敷へ向けて歩き始めた。

 

 

 

 

歩き始めてから数十分後、屋敷へ向けて歩いている途中で出会った他の参加者達と共に俺達はディオニスさんの屋敷に到着した。

 

「わぁ~! スッゴくおっきなお屋敷だね~!」

「えしえしの言う通りなのだ、スッゴくおっきいのだ!」

 

扉のルーンの力で世界を旅している少女、エシリアと新世代の悪魔と呼ばれる少女、ルーシーが屋敷を見上げながら楽しそうに声を上げた。

 

「はっはっは、喜んでもらえたようで良かったよ。それでは、中に入るとしよう」

 

ディオニスさんの言葉に頷くと、俺達はディオニスさんの後に続いて屋敷の中へと入っていった。

 

 

 

 

屋敷の中へ入った俺達は、廊下に飾られている調度品などに目を向けながら、ディオニスさんの後に続いて歩いて行った。そして大部屋らしき場所の前に着くと、ディオニスさんはゆっくりとドアを開け、そして俺達の方へと振り返りこう言った。

 

「みんな、ここがパーティーを行う大ホールだ。さぁ、入ってくれ」

 

ディオニスさんの言葉に小さく頷き、俺達は大ホールへと入っていった。

すると、

 

「わぁー! スッゴく広いし、料理もたっくさんあるわ!」

 

大ホールの様子を見て、キャトラが大きな声でそう言った。大ホールの壁には絵画などの美術品が飾られおり、そしてホールに置かれた幾つかの丸テーブルに近付いてみると様々な料理が並べられていた。

(これは本当に凄いな……何か壁際にお手伝いさんみたいな人達も並んで立ってるし……)

そう思っていると、ディオニスさんが笑いながらこう言った。

 

「はっはっは、今夜のパーティーのために、様々な種類の料理を用意させたからな。参加者の誰もが満足してくれる物になっていると、私は確信しているよ」

 

すると、ディオニスさんの言葉を聞いたキャトラがニヤリと笑った。

 

「ほうほう……言っちゃったわね、ディオニス。言っとくけど、アタシはちょっとやそっとの事じゃ満足しないわよ?」

「ふっふっふ、そのくらいは分かっているさ。もちろんキャトラにも満足してくれる内容になっているとも」

「へぇ……自信満々じゃない。そういうことならアタシも全力で臨ませてもらうわ!」

 

(全力で臨ませてもらうって、絶対にこれからパーティーをするとは思えない言葉だよな……)

キャトラの言葉に苦笑いを浮かべていると、ディオニスさんが小さく笑いながらこう言った。

 

「ああ、全力で楽しんでいってくれたまえ。

さて……そろそろ始めるとしようか」

 

ディオニスさんが指をパチンと鳴らすと、ホールの壁際に立っていた人達が一斉に動き出し、俺達に飲み物がグラスを配り始めた。俺達全員にグラスが行き渡ったことを確認すると、ディオニスさんは静かな声でこう言った。

 

「……うむ、それではそろそろ乾杯といこうか」

 

そしてグラスを持った手を高く上げると、ディオニスさんは大きな声で言葉を続けた。

 

「みんな! よく来てくれた! 今夜は思う存分、このパーティーを楽しんでいってくれ!

乾杯!」

『乾杯!』

 

こうして俺達のクリスマスパーティーが幕を開けた。

 

 

 

 

クリスマスパーティーが始まってから少し時間が経った頃、俺とエクセリア、そしてナギアとアイリスが話をしていると、

 

「ううううう……!」

 

キャトラが声を上げながら何かをしているのを見つけた。

 

「キャトラ、どうかしたのか?」

 

俺達が近付いてみると、キャトラは力を込めて本のページを捲ろうとしているところだった。

 

「タイトルは……『あるあるおうじとまんぞくひめ』、どうやら絵本みたいだな。キャトラ、その本どうしたんだ?」

 

俺がそう訊くと、キャトラはページを捲ろうとするのを1度止め、俺達の方へ顔を向けると、本を見つけた経緯を話してくれた。

 

「えっとね……さっき、そこに本棚があるのを見つけて、何か面白そうな本が無いか色々と見てたのよ。そしたらこの本がゴトッと出てきてね、タイトルが面白そうだったから、ペラペラと捲りながら読んでたのよ。でも……」

 

キャトラは再び本へ視線を戻すと、さっきから捲ろうとしていたページを前足で指し示しながら言葉を続けた。

 

「何かおかしいの。この最後の方のページが、くっついてるみたいに捲れないのよ」

「え?」

「糊付けされてるわけでも無いみたいだし、何か気になるのよね……」

「確かに気になりますね……」

 

キャトラの言葉にエクセリアが不思議そうに返事をしているのを聞きながら、俺は件の本について考えを巡らせていた。

(糊付けされてるわけでも無いのに捲れないページか……ワイズなら何か分かるかもしれないな)

そう思い俺がバッグからワイズを取り出そうとしたその時、

 

「みんな、どうしたのだ?」

 

ルーシーが不思議そうな顔をしながら俺達にそう訊いてきた。そして絵本の存在に気付くと、顔をパアッと輝かせた。

 

「あ! ごほんなのだ! ルーシーも読みたいのだ!」

「それがねルーシー、これ、最後の方が捲れなくて……」

「貸してみるのだ! ふんっ! ぬぬぬぬ……」

 

ルーシーが力を込めてページを捲ろうとするが、

 

「……ダメなのだ~!」

 

ページは一向に捲れる様子が無かった。

 

「ルーシーちゃんの力でもピクリともしない……何かの魔法なのかしら……?」

「その可能性はあるかもな……」

 

アイリスとナギアが真剣な顔で考え始める中、俺は今度こそワイズを取り出した。

 

「ワイズ、この絵本について何か分かることはあるか?」

『そうですね……私にも全部が分かるわけではありませんが、アイリス様のお考えの通り、どうやらこの絵本には特殊な魔法のような物が掛けられているようです』

「特殊な魔法か……」

『はい。ですが……その魔法の発動条件などを調べるためには少々時間を掛けなればならないようです……』

「分かった。時間は掛かっても良いから調べてみてもらえるか?」

『かしこまりました』

 

俺達がそう話していると、

 

「ふぇ~? ぼんたち、どうしたんじゃ? ほれ、この飴をお食べ~」

「(ん? お前達、どうかしたのか?)」

 

今度はキョンシーのおばあさんであるシャオフーさんとネロ達が俺達に近付きながらそう訊いてきた。

 

「えっと、実は……」

 

俺がシャオフーさんやネロ達に説明をしようとしていると、

 

「皆さん揃って何をやってるでござるか~? 洋ナシをキャドゥーでござる」

 

次に花の都の島出身のフルーツ忍者であるフランが俺達に洋ナシを渡し始めた。

 

「フランさん、いつも洋ナシありがとうございます。あのね……」

 

洋ナシを受け取りながらアイリスがフランに説明をし始めると、

 

「チェシャ~♪ あっちにおっきな七面鳥があったよ~♪」

 

エシリアが離れたところにあるテーブルを指差しながらキャトラのところへ急ぎ足で向かってきた。

 

「それはターキーっていってね……」

 

キャトラがエシリアにターキーについて説明し始めると、

 

「おい、アイリス! 我のパートナーに命じてやる! 一緒に踊れ!」

 

【夜の王】と呼ばれる吸血鬼の末裔であるメルクリオがアイリスをダンスに誘い始めた。

 

「今ちょっとね……」

 

そしてアイリスがメルクリオに返事をしていると、

 

「は~♪ よいこらさっさ、よいさっさ~♪」

 

レンファさんが華麗な舞を披露し始めた。

(今度はレンファさんか……)

俺がレンファさんに今の状況について説明を始めようとしてると、

 

「うひょひょひょ~♪ あらしも混ぜてぇ~♪」

 

鬼退治の一族の女性、シズクさんがおぼつかない足取りで俺達へと近付いてきた。

(はぁ……何でこんな時に、【酩酊素面反転の呪い】が発動するんだよ……)

俺がため息をつきながらそう思っていると、キャトラがぷるぷると体を震わせ始めた。

 

「シズクまで! 何なのよ! ちょっと皆、静かにして!」

 

キャトラが溜めかねた様子で本を前足で叩きながら皆にそう言ったその時、突然キャトラが持っている本が光り輝き始めた。

(本が……もしかして、魔法の発動条件を満たしたって事なのか?)

俺がさっきのワイズの言葉を思い出していると、キャトラが驚いた様子で声を上げた。

 

「えっ!? 何これ!?」

 

キャトラがどうしたら良いのか分からない様子で、本と俺達を交互に見ていると、

 

「なんて事だ!」

 

突然、ディオニスさんが深刻そうな表情を浮かべながら声を上げた。

 

「ディオニスさん!?」

 

アイリスが驚いた様子で声を上げたが、ディオニスさんはそれには答えず、深刻そうな表情を崩すこと無く言葉を続けた。

 

「でろでろのおかしに洋ナシ、七面鳥、ダンスへの誘い、祝福の舞、へべれけの女性、それと悪魔と高貴なる鎧!

全てが揃ってしまったぁっ!!」

 

(おいおい……その状況、どう考えてもピンポイント過ぎるだろ……)

ディオニスさんの様子を見ながら、俺が心の中でツッコミを入れていると、ディオニスさんが低い声でこう言った。

 

「解けるぞっ……! 封印がっ……!」

 

その瞬間、本から放たれている光が強くなり、俺達の視界がその光に包まれた。

 

「な―!? 何なのよぉ―!?」

 

キャトラのそんな声が聞こえたかと思った瞬間、自分の意識が遠のいていくのを感じた。




政実「第1話、いかがでしたでしょうか」
リオス「この調子だと……番外第2章は3話構成で行く感じか?」
政実「一応そのつもりだよ。ただ、途中で話数を変えることもあり得るけどね」
リオス「ん、了解。
さてと……次回の更新予定はいつ頃になりそうなんだ?」
政実「出来る限り、1週間くらいから2週間で更新するつもりだよ」
リオス「分かった。
さて……それじゃあそろそろ締めていくか」
政実「うん」
政実・リオス「それでは、また次回」

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