ハンター世界の転生者   作:慧春

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1話――神様転生?

 

 

 

 

 

 

 

「単刀直入に言おう――君たちは死んだ」

 

「では、何故死んだか――身内の恥をさらすようで悪いが、君たちを殺したのは、我が弟神――いや、かつて弟神であった存在だ」

 

「弟は、神であった時、下界の人間の事を自身が楽しむための玩具程度にしか思っておらず、多くの人間達の人生をその手で弄んだのだ」

 

「しかし、奴はやり過ぎた――」

 

「弟は、人間達だけではなく、力の無い神すらもその力を持って弄び、我の見知らぬ間に多くの神を傷付けたのだ――」

 

「やがて、その悪事は我の知るところとなり我は、弟の力を剥奪し、無限に存在する世界の一つに人間として転生させた」

 

「多くの神は我に、力を剥奪したあやつをそのまま消滅させるか、封印するべきであると我に申し立てたが、我は追放に拘った」

 

「あやつは我の血を分けた兄弟神――見捨てることは我らを生んだ父と母に申し訳が立たないのと、我自身も、あやつに愛を知ってほしかったが故に――」

 

「しかし、ここでも我は過ちを犯してしまった」

 

「我が見ぬ間に、あやつを殺すべきと主張していた数柱の神が、人として生きていた弟に対して干渉したのだ」

 

「その結果、弟は、人としての伴侶と愛娘を失った」

 

「大切な者達を失った弟は、狂ったようにその世界にある固有の異能を研き、時間を懸けて力を少しずつ蓄えた。全ては我らへの復讐の為に――」

 

「そして、弟の復讐の力が込められた力は、下界と我ら神々が住まう世界との間にある次元の壁に穴を開け――弟の運命に干渉して家族を奪った神達は全員が消滅した。それだけではなく天上の世界に大きな傷痕を創った。弟からすれば、この結果は成功なのだろう」

 

「多くの神々が巻き添えでダメージを受けるほど強力な【怨念】――それの余波は下界にまでおよび、君達はそれに巻き込まれる形で命を失ったのだ」

 

「今にしても、我としては悔やんでも悔やみきれん」

 

「もし、我が弟の現状を詳しく把握しておけば、あやつの暴走を止めることも可能だったろう。いや、それ以前にやつの運命に干渉する神達を止めることが出来ていれば、愛を知ったあやつを死後、再び神に引き上げることもできたろうに……全ては我の怠慢故に起こった事よ――」

 

「それ故に、我は君達に謝罪と――そして贖罪をしたい」

 

「君達の中には、人生がこれからだった者も多いだろう……そんな者達の命を奪ってしまったのは紛れもない最高神である我の責任よ」

 

「君達には、これより、無限に存在する下界の世界の一つに転生してもらう――この際に、唯そのまま転生させるではなく、それぞれ我の神威によって、一つずつ『何か』を贈ろう」

 

「それは、能力かもしれないし、或いは才能や道具と言った物かもしれない」

 

「これほど多くの人間達全てを転生させた上で、望みの物を授けるのは、我の力を持ってしてもできないので、贈られるものは選ばせることはできない」

 

「尚、これは強制ではない。君達の中には、新たなる生を望まない者も居るだろうからな。そういった者達は心の中で我にその旨を伝えよ――」

 

「安心せよ、そういった者達にも出来うる限りの便宜は計らわせてもらう。その者達には、天界において最大級のもてなしの後に、望んだタイミングで輪廻の環に送ろう。そこにいけば来世は明るいものであることを約束しよう」

 

「それでは、転生を希望しない者は心の中でそう念じよ――」

 

「解った――君達、三十一名の天界行きを承認しよう」

 

「他にはもう居ないか?」

 

「それでは、転生を望む者達よ――君達に贈られる力は君達の望む物とは限らない……しかし、君達の次の人生が明るいものであることを我は祈っている」

 

「それでは、転生を開始する――君達、二千三百五十四名の人生に幸があらんことを――」

 

 

 

 ――ブツッ!

 

 

 

「ふぅ、これで、なんとか、あやつが世界の壁に開けた穴を防げるだけのエネルギーを補填できるわい」

 

「全く、あやつもやってくれるわい。まさか、下位世界の力である【念能力】で世界の壁に穴を開けた挙げ句に下級とはいえ数柱の神を葬るとは――」

 

「弟よ、それほどまでにお主の怨みは大きかったということかのぉ……」

 

「すまぬ――お主はワシの期待通り、愛を知り、その為に生きようとしていたと言うのに……」

 

「ワシはお主ともう一度……すまぬな」 

 

「最高神であるワシの兄弟であるお主の魂の容量は、当然途方もないほど巨大であった。そして、それを捧げて発動した念能力も規格外の効果を発揮したわい……」

 

「もはや、能力の生け贄となったお主の魂を救う手段は有りはしない……転生させることも不可能じゃろう……」

 

「お主は決してワシを許さんじゃろう。しかし――ワシはお主を既に許しておる……どうか、安らかに――」

 

 

 

 

 

 

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