とある箱庭学園の生徒物語   作:じょーく

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なんと今日は1話+2つのおまけ! の豪華3本立てだよ~。


犬と猫

~~善吉が犬と戦い、僕は猫と戦った~~

 

 

 我輩は猫である。名前はまだある。

 

「というわけで今日もつかまった空君の登場だー、パチパチー」

「……なんで猫のコスプレ?」

「色々、あったんだ……」

 

 本当に色々、僕はした。何週間も懸けてさまざまな策を行ったが全て惨敗。

 そして今日の策がこれ、猫のコスプレで油断を誘おう大作戦。

 まあ、僕に抱きついているこの黒神ちゃんを見れば失敗ってことが誰でも分かるだろう。そう思いながら小さな溜め息を吐き、僕に抱きついてきている黒神ちゃんを見る。

 

「可愛いぞ空! ずっとそのままでいろ!!」

「なんという無茶振り!」

 

 僕の人間としての尊厳を無くす気か!? 確かに今は人間じゃなくて猫の格好をしているけども!

 

「まあ本日もそんな感じで投書は3件――――」

「あれ? もしかして僕が捕まってるの日常化してる?」

 

 確かに何回も捕まってるけど猫の格好で捕まったのは初めてだぞ! ……捕まるんならしなきゃ良かったよコスプレなんて。

 

「バスケ部部室の普請要請。学食の新メニュー開発。そして、子犬探し、だ」

「子犬探し?」

 

 僕が猫のコスプレをしてからずっと僕に抱きついたままの黒神ちゃんがピクンッと反応する。

 そして僕からゆっくりと離れ、扇子を開きながら生徒会長の椅子へと向かう。

 

「ああ」

 

 返事をして善吉はその犬が何時、どこでいなくなったかを説明した。

 

「……………………では、バスケ部と学食の件は私が担当しよう。子犬探しの件は貴様等に任せる」

 

 急に冷めたような口ぶりになり席に座る。

 

「ん? まあ構わないけど、俺等に一任しちゃっていいのかよ」

「言わせるでない。貴様等は……私のことを知っているであろう」

 

 そして黒神ちゃんには珍しく軽く溜め息を吐いてから自虐的な笑みを浮かべながら言った。

 

「動物が、苦手なんだよ」

 

 

    □ □

     ■ ■

 

 

「ふーん意外だね! あの無敵お嬢様にそんな弱点があったなんてさ!」

「まあな。完璧超人みたいに言われてっけど、めだかちゃんにも色々あんだよ」

「そうそう。超人だからこその悩みってものがね」

 

 強者だからこその悩み。最強だからこその悩み。

 僕には一生無縁だな。

 

「へえ~、だけどさ。そんなこと言ってちゃ業務に支障をきたさない?」

 

 その言葉に善吉は嬉しそうな表情で笑う。

 

「だーかーら! そういう時のために俺がいるんだろが!」

 

 テンション高いなー。

 

「さあ不知火! 分かったら早く俺を案内するんだ! その心当たりの場所とやらにな!!」

「ああ……、うん……。いいんだけどね別に」

 

 そのテンションキモいな~……。と不知火ちゃんが呟き、不知火ちゃんの案内の下歩いて数分。目的の場所に着く。

 

「あーー、いたいた! ね、あの犬そのイラストと模様とか一緒じゃない?」

 

 そう言って不知火ちゃんが指を指す場所には犬と思われるものが一匹。

 特徴的な模様だから絵だけでよく分かるよ。額にダイヤみたいな茶色の模様があって、耳の周りも茶色で他は白い。

 本当だ模様とか一緒だなー。

 

「わー本当だー、模様だけ(・・・・)はそっくりだねー」

 

 模様はだいたい絵のままだ。

 だが体は絵とは違って僕等の身長よりも倍以上はあって、片目は切り傷で塞がっていて体中にも傷がありどこか歴戦の猛者のような風格さえ漂わせている。

 これを怪獣と言うのか怪物と言うのか、まあ犬ではないことは確かだ。あれを犬と言ったら狼やライオンも犬と言わなければいけなくなる。

 つまり何を言いたいかというと

 

「いや、犬じゃないでしょ」

「やだなぁ、空。あれはボルゾイって種類のれっきとした犬だって! 別名ロシアンウルフハウンド!」

「ドッグじゃなくてウルフじゃん!」

 

 と、いうわけで。

 

「頼んだ善吉」

「え、マジで? 捕まえんの? 俺が? もちろんお前等も手伝ってくれるんだよな?」

 

 やれやれ仕方がないな善吉君は。僕等がいなきゃあなんにもできないんだから、そんなんじゃ人間として成長なんかできやしないよ。

 

「え!? あたしが!? なんで!? やだよ!!」

「ぐっ! じゃあ空は……って早!? もうほとんど見えねェところまで逃げてやがる!!」

 

 逃げるだと失敬な!! 君のためにやっているんだ!!

 

『お前等絶対今日中に絶対天罰が下るぞクソッタレー!!』

 

 遠くから善吉の叫び声が聞こえるがこれは仕方がないことなのだ。そう、善吉よ泣け、わめけ、そして憎め! その憎しみを糧にして成長するんだ!!

 僕の足と心が悲鳴を上げながらもそうして僕はその場から離れていった。

 

「じゃあね善吉。君のことは忘れないよ」

『ギャーーーーーーー!!!!!!』

 

 善吉の返事の変わりに悲鳴の轟きが僕に届いた。

 

 

 

「ふう」

 

 犬がここからもう見えないところまで来たので一息入れる。

 まったく犬って怖いね。やっぱりペットとして飼うなら猫かな? どっちも飼ってないし飼う予定もないけど。

 

「あれ? 君って生徒会執行部の子?」

「はい?」

 

 そんな僕の前にどこかで修行しにでも行って今帰ってきたのか? と聞きたいぐらいのボロボロの服装をしていて猫耳のような髪型をした女性が一人。

 そんな服と髪型をしている女性は僕が知っている限り一人しかいない。

 

「あ、上無津呂 杖(かみむつろ つえ)先輩ですか?」

 

 上無津呂 杖。飼育委員会で空手部にも入っている先輩だ。確か二年生、のはず。

 

「そだよ。で、君は生徒会執行部だよね。ちょうどいいや手伝って欲しい事があるんだ」

「え、あの、ちょっと」

 

 僕が否定する暇もなく僕を猫のように首根っこを掴みながら連れて行った。

 

「いやまだ猫の格好をしていますけどそれはあんまりじゃないですか!?」

 

 こちらキャット。捕まれながら暴れるが効果なし。このまま連れて行かれる模様。

 

 

 

 どうでもいいけど僕、背、低いな。

 

 

    □ □

     ■ ■

 

「なんですか、ここ?」

「見て分からない? 飼育部屋」

「いや、それは分かりますけど」

 

 僕の前の窓から見える部屋の中には埋め尽くされる程の猫。

 

 猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫鴉猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫。

 

 

 

「……多すぎです」

「そうかな?」

 

 あまりに猫が多すぎて吐き気が込み上げてくる。

 目を窓からそらして自分の口に手を当てた。

 別段猫にアレルギーを持っているわけではないがさすがに多すぎる。本当に多い。

 

「で、どうしろと」

「なんだか知らないけど檻から脱走してみんなこの下の階に来ちゃったんだよね」

 

 ニャーシャーギャーヒャーアホーなどと様々な声が窓を通してビリビリと伝わってくる。

 

「ちょっと一人じゃ大変そうだから誰か暇そうな人いないか探してたんだけど、一緒に戻すの手伝ってくれない? 見ての通りこの近くには猫の子一匹いないんだ」

「いや、猫ならたくさんいますよ!」

 

 猫の手も借りたいなら猫を使え!

 

「それにしてもちょっと危険ですよ。なんか興奮してるし」

「うん。なんでだろうね」

 

 多分、善吉と戦ったあの化物のような犬のせいで興奮しているのだろう。見てみると猫のほぼ全てが近くの猫と喧嘩をしているようで、猫が猫同士寝転んだり戦ったりしている。

 こんなところに入ったら間違いなくタダじゃあ済まないな。

 済むとすれば黒神ちゃんみたいな異常な人間だけだ。僕はれっきとした普通だからな、タダで済むわけがない。

 

「中に入らずに済む方法とかはないんですか?」

「猫の腹話術で猫と話せるよ!」

「おお!」

「今は興奮してるから全然聞いてくれないけど!」

「駄目じゃないですか!?」

「ニャーン♪」

「無駄に可愛い!」

「駄目な特技かニャ?」

「僕にとっては効果が抜群です!!」

 

 猫耳の髪型をしてるので効果は倍増だ!

 胸がキュンキュンするのを抑えながらもう一度窓の向こうの猫達を見るがどうやら今、この特技が効いているのは僕だけのようで猫は凶暴なまま。

 ……これは、死ぬなぁ。

 やばい、今すぐ逃げ出してダッシュで走り去りたい。そしてそのままフィンランドに行って6回転半ジャンプを決めてやりたい!

 

「……手伝ってくれない、かな?」

 

 どうやら僕は無意識に手伝うことに対して嫌そうな顔をしていたようで上無津呂杖先輩が少し、心配したような様子で僕を見てきた。

 

「………………」

 

 おいおい僕。正気か? 何ちょっと手伝おうかなとか思っちゃってるんだよ。何いつもの強気な先輩とは違う表情を見て心を動かされてるんだよ。

 女の心は猫の眼と言うだろう? 逃げてもすぐに立ち直って他の人に手伝わせるよ。ほら、だから言っちゃえよ僕。

 

「……やりますよ!!」

 

 女性の心配そうな目に弱い僕。

 善吉を見捨てた天の罰。

 そんな言葉が僕の頭の中に浮かんだ。そして、僕は部屋の中へと入っていった。

 

 

「猫の首に鈴でもなんでもつけてやる!」

 

 

    □ □

     ■ ■

 

 

「猫、怖い、いやだ、たすけて、天の罰、つらい、いたい」

「いやーありがとね。助かったよ!」

 

 善吉を見捨てて一人の先輩の手伝いをした、僕のある日の日常。

 

 

 

 

 

 

 

 

~~不知火ちゃんと僕のとある放課後~~

 

 

「ねえ不知火ちゃん」

「なーに空くん」

 

 いつも通り生徒会の仕事を少しやって買い食いをしているある日。善吉は用事があるとかでまだ学校にいるが僕は帰らせてもらった。

 というわけで現在不知火ちゃんとデート中のような感じ。背の高さの関係で高校生には見られていないけどね。

 

「あそこに不良さんっぽいのがいるよね」

 

 そう言ってその人に指を指す。もちろん遠くからなので指を指されている本人は気づかない。

 

「うん、いるね。いまどきモヒカンなんて、世紀末っぽいね~♪」

 

 不知火ちゃんがニシシと笑う。

 

「もしもあの人が不知火ちゃんに絡んできたら」

 

 そして二人ともほぼ同時に口を開く。

 

「私は空を囮にして逃げる」「不知火ちゃんを置いて逃げる」

「……………………」

「……………………♪」

「……僕たち、一生友達でいようね」

「うん♪」

 

 

 

 

 

 

 

~~陸上部のとある日常~~

 

 

「諫早先輩~、もうやだよー」

「……また捕まっちゃったの空君」

「うむ。まだ鍛錬が足りぬな」

 

 今日はガムテープでグルグル巻きにされて一丁あがりになった僕。いつになったら黒神ちゃんから逃げ切れる日がくるのだろうか?

 

「でも、今日は惜しかったじゃん。陸上部まで来れたよ!」

「……たくさん考えたのにね」

 

 何度も捕まり、これじゃあ無理だと悟った僕は計画を練って黒神ちゃんを油断させることから始めようと考えた。

そしてその内の一つが『自分から生徒会室に行って油断させようだーいさーくせーん』だったが、黒神ちゃんはそんなことを全然気にせず僕は捕まる。

 次に考えたのは『自分が無理だったら人に頼れ! DAISAKUSEN!!』だったが黒神ちゃんを相手にする人は僕の周りにいなく終了。

 そして次は『だったら僕が戦ってやんよ? 戦いたくないけど戦い大作戦!』言わずもながな終わり。

 次は・・・・・『コスプレして黒神ちゃんもコスプレさせたくしてその隙に逃げよてやる! Big project!!』この際、僕は猫のコスプレをした。抱きしめられた。つまり捕まった。

 そして最後に『つくってにげよ。小細工細工大作戦!!』一週間程かけて作った細工。そんなのお構いなしに向かってきたが少しほど時間を稼げて陸上部の活動している校庭まで来れた。

 

「頑張ったね」

 

 諫早先輩が僕の頭を撫でてくれた。先輩の優しさに少し涙がでそうになったのは僕だけの秘密だ。

 

「はい……、ありがとうございます」

 

 

「よし、では今日も行くぞ! 生徒会を執行しに!!」

 

 




基本二週間更新ですのであまり期待しないでくださいね。・・・期待する人のほうが少ないか。

そういえばみなさんはしりとりの『た』とかを『だ』にするのって有り派ですか?
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