とある箱庭学園の生徒物語   作:じょーく

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昔々話

 昔の話をしてみよう。

 この前に阿久根先輩の昔話を聞いたばかりだからって、嫌がらないでくれると嬉しい、まあ別に聞かなくても良いけどさ。

 

 今回する話は他人の話ではなく、僕自身の話だ。

 だからと言って僕の阿久根先輩や善吉、黒神ちゃんなどと通っていた中学時代という訳ではなく、前世の話だ。

 

 前の世界の話。

 僕が死んだ世界での話。

 死んだ実感なんてものはゴミ箱に捨てる程も無いのでそれほど話はできないと思うが、どうか嫌じゃない人は聞いて欲しい。

 

 どうやら僕は虐められていたらしい。

 らしい。

 虐められていた記憶なんてものは僕がすでにゴミ箱に捨てたのかは分からないが全くと言って良いほど無い。あるのは虐められていたという結果の記憶だけ。

 本当にそれだけ。

 それだけ。

 

 小学生の時に虐められていたのか、中学生の時に虐められていたのか。はたまた高校生の時か、大人の時か、老人の時か、それすら分からない。だけど虐められていたという事だけは確実に分かっている。

 そして――――死んだ。

 

 もしかしたら死因は溺水なのかもしれない。

 

 事故なのかもしれない。

 転落なのかもしれない。

 窒息なのかもしれない。

 病気なのかもしれない。

 薬物なのかもしれない。

 爆発なのかもしれない。

 他殺なのかもしれない。

 自殺なのかもしれない。

 

 死んで僕は転生した。

 死んだから転生したらしい。

 僕は死んだ、らしい。

 

 なんで僕が神様と会って転生などする事になったのかは今でも分からない。

 今時の流行だったのか? 特典付きの神様転生。

 それともオシャレ? いや無いな、絶対とは言えないけどさ。

 

 時々怖くなる。

 神様は単なる玩具として僕を転生させたんじゃないかと。

 今にも神様は気まぐれで僕を殺すんじゃないか、何も無かったことにするんじゃないかと。

 だからこんな都合の良い展開で転生して生まれ変わったんじゃないかと。

 

――――まあ、そんな事を考えても無駄だよね!

 

 なんて甘い事を何度思った事だろう。

 それでも、黒神ちゃんや善吉などと会うたびに思ってしまう。

 

 僕は、いなかった人なのだと。

 

 みんなと過ごした恥ずかしかった思い出も、悲しかった思い出も、嬉しかった思い出も。

 その思い出に、僕は――――いらなかった。

 

 いないはずの人で、いらない人。それが僕だ――――――……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――という事を考えていたのが幼少期の僕ね!

 

 

 いやー、今思うと大分、中二病っぽいなー。やだ、恥ずかしいこっち見ないで!

 今の話は僕が今考えていたと思った人! 全く、昔の話だって言ったじゃん。誰も昔の僕の考えの話なんて事は確かに言ってないけどさ。

 

 いやね、確かにね、今も時々ちょっとだけ考えるよ。転生人だもの!

 けどさあ、あんな事を考えて、何ヶ月か経ったぐらいにさ、その内その考えること自体が無駄だって事に気がついちゃったんだよね。それからなんか馬鹿らしくなったっていうかアホらしくなったっていうか。

 まあ何を良いたいかと言うと。

 

 今を生きているのが僕である!

 今という僕は今しかいない! 

 そして今を変えられるのも今だ!

 

 過去の事なんて振り返っても意味ないし、過去は変えられないんだから。変えられるのは今だけです。クーリングオフは受け付けません!

 そんな訳で、今日も僕はこの劇的で幸せな生活を送ります。

 

 

 

 

 

――――この時の僕はまだ気づかない、気づけない。

 

 自分のスキルの存在も。

 自分の勘違いな考えも。

 

 

 

 まだ――気づかない。

 

 

 

 

 

 

「……なんで阿久根先輩も生徒会室にいるんですか?」

「あ、今日から俺も生徒会に入ることになりましたので、どうもこれからよろしくお願いしますね。せ、ん、ぱ、い」

「なにそのバカにしたような言い方! やっぱり僕の事が嫌いだな!」

「はい!」

「素直な後輩を持って幸せ者だー!」

 




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