何処かの部屋で真っ赤な海に漂う二つの影
その間で咽び泣く一つの影
咽び泣く影に近付く影
その影は手に持った何かを降り下ろす
そこで起きる一体何だろうと思っても直ぐに忘れてしまい思い出せなくなる。
どうしてこうなった
目の前には十を超える敵艦。対してこちらは自分だけ。正確に言えば自分と姿が同じ奴が居るが敵でも味方でもない。
いったい何がどうやったらいきなり戦場に立たせられるんだ。
ただ私は造られて初の一日を乗りきっただけなのにどうしてこうなっただろうと思い、今に至るまでを思い出す。
それにしてもどうしようか?まさか二次小説のように憑依するとは思わなんだな。それにこの体の本来の持ち主は武蔵なのに自分のような意味の解らない存在がこの体を使ってしまっても良いのだろうか?
そんな風に考えていると目の前の老人から話しかけられる。
「おーい?武蔵や考えている所すまんが色々と案内したいんじゃが?」
「あ、あぁすまないご老体少し考え事をしていた。」
「なんじゃと!わしゃぁまだ68の現役じゃッ!まだまだ舞鶴のジジィには負けんよ!あとわし此処の提督じゃから。」
「うぇっ!?て、提督だったのか?す、すまない!若い人がやっているのだと思っていたのだから。」
「すまんの~若い美男子じゃなくてすまんの~(怒)まぁいいわい。まずは執務室に行くぞ。そこでお主の着艦や報告やらの仕事を終わらせてから案内等をしようと思っとる。」
「了解した。」
「フムよろしいでは行こうかの。」
そう締めくくり工厰から出ていった。
「さて自己紹介をしようかの。」
執務室に着き備え付けの椅子に座り一拍開けてから言い始める。
「わしの名前は忠盛源三。先程も言った通り此処、横須賀鎮守府に勤めておる。階級は元帥。まぁ海軍の中で一番エライっちゅうわけだがどうでもいい。沢山居るしの。」
笑いながら階級なんて言った通り心底どうでも良さそうに言う。
「とりあえず武蔵やお主は此処、横須賀鎮守府で戦って貰う。」
場の空気が変わり武蔵は気を引き締める。
「お主には此処日の本の国日本を護って貰う。本来ならばわしら海の兵や陸の兵で護るべきなのだが、深海棲艦にはそう言っても意味がない。何処からともなく現れた妖精さんの力を借り、造り出されるお主等の力を借りなければ戦えん始末。誠に申し訳ない。わしらが戦わずその責務をお主等に任せなければいけないその事に憤りを感じる。わしから言いたいことは一つだけじゃ。国を護るそれもだがそれ以前にお主自身の命を大切にしてくれ。死地に行かせる奴が何を言ってるんだ?と思うのも仕方ない。だがそれでもわしはもう誰かが死ぬのは見とうない。だから頼む必ず生きて帰ってこい。それだけじゃ。」
沈黙が場を支配する。
その状況で最初に口を開いたのは武蔵だった。
「了解した提督。私はそう簡単には死なん。私を誰だと思ってる?大和型二番艦武蔵だぞ?あのときのようには沈まんさ。」
鳩が豆鉄砲を食らった顔をし直ぐに小さな微笑みに切り替わる。
「そうか、そうじゃったな。ワッハッハッハッハ!」
背中側にある窓の方を向きながら笑う。再びこちらを向いたときその眼光は武蔵を見つめていた。
「頼むぞ武蔵よ。必ず生きて帰ってこい。」
源三の眼光に対して獰猛に笑い返しながら言う。
「任せろ提督。私は必ず生きて帰ってくるぞ。何があっても必ず帰ってくる。約束しよう。」
武蔵そう言いきった。
その言葉を聞き安心したのか少しの間目を瞑る源三。
少しして目を開け言う。
「ではこの話は終わりにして、各施設の案内をするとしようかの。」
「ん?そういうのは秘書艦とか他の艦娘に任さないのか提督?」
ふと疑問に思った事を言う武蔵。それに対して源三は
「今はな他の艦娘達を動かすことはできん。なぜなら他の娘達はお主の歓迎会をしているからじゃー!!」
いきなりテンション上げる源三。それに対してちょっと驚いてしまう。
「ふーむその態度は全く予想していなかったようじゃな。大丈夫じゃぞ?此処の夕食は美味じゃからのぅ。それに比叡には作らせておらん。あやつの料理は食べたら死ぬからのぅだから安心して楽しみにしていくがよい!」
武蔵はそういう訳じゃないんだけどなーと思うが内心は嬉しく思っているのも事実。その事に気づき思う。
(この体になる前の私はこのような出来事は少なかったのだろうか?)
そう思いながら己の提督に案内されながら歩く。そして最後は楽しく愉しい歓迎会へ誘う。
あの夢は何だったのだろう?