鉄板屋『龍驤』プロトタイプ   作:モチセ

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 投稿不定期だし見直しなんてしないし適当に書いてるし文章にムラっ気が見えることもあるから嫌いな人は注意な。


鉄板屋「龍驤」プロトタイプ
01


~~~~あっさでっすあっさでっすあっさでっすヨォオォ

 

「ん~、やかましいなぁ~」

 

~~~~あっさでっすあっさでっすおっきまっショォオォ

 

「やかましいわボケ」

 

 耳元で鳴り響くやかましい目覚ましを叩いて黙らせ、布団から這い上がる。とりあえず洗面所まで行って、顔を洗い歯を磨く。ボッサボサの髪の毛を整え、いつもの髪型にする。それから寝室に戻り、枕元においてあるいつもの服に着替える。

 

「……まぁ間に合うやろ」

 

 家から出てガレージへと向かう。ガレージにおいてあるのはごく普通の軽トラと、赤く派手に塗装されている改造車の2台。ごく普通の軽トラへと乗り込み、エンジンをかける。

 

「行くで」

 

 

 

 

 

 魚市場。クーラーボックス片手に練り歩く。

 深海棲艦が現れてからは、安全が確保された海域でしか漁が出来なくなった。逆に言えば、安全な海域では漁が出来るのである。以前は開かれること自体が珍しかった魚市場も、ある程度海を取り返した今ではそれほど珍しくない。

 つまり、値段はそれ相応までに下がっている。

 

「おっちゃん、タコ」

「まいど。イカは買ってイカないの?」

「そうしたいところなんやけど、今日は気分やないわ」

「スルーか、残念だなー。というか気分で決めてるのか?」

「そんなもんや。ウチにとっては趣味やしな」

 

 いつものところでいつものものを買い、いつものように軽く会話する。この光景が『いつもの』になるまでは結構時間が掛かったものだ。常連になるまで時間が掛かったんやなぁとしみじみ考えていると、なにやら騒々しい声が聞こえてきた。

 

「くおらあああ! またんかあああああ!!」

「待ツ奴ガドコニイルンダアア?!」

 

 肌の色が限りなく白に近い少女が逃げ、それを年寄りのじいさんが追いかける。

 少女は黒い水着の上に黒いパーカーを着ただけの、海水浴に来たような少女だ。しかし、他の人と決定的に異なる部分がある。尾てい骨付近から太いしっぽみたいなものが生えており、その先端には禍々しい雰囲気をかもし出す黒いナニカ。

 ――――簡単に言えば、人類の敵、深海棲艦レ級がそこにいた。

 

「……またやってるんかあいつは」

「相変わらずやかましいな」

「何をしでかしたんやろか」

「知らねぇよ」

 

 しっぽにある禍々しいナニカの口にタコがくわえられている。おそらく盗っていったのだろう。人とは思えない速度で魚市場を駆け抜けていく少女。それを同じ速度で追いかける老人。漁師って元気なんやなぁと考えるのをやめていたりする。

 

「相変わらず信じられへん光景やわ」

「そうか?」

「初めて見たときは恐怖しか覚えんかったわ。なんでこんなところにおるんやろうなってな」

「そうか?」

「……深海棲艦って分かるか?」

「人類の敵だろ?」

「じゃああそこにいるのは?」

「レッちゃん」

「……そうやな」

 

 初めてこの魚市場でレ級を見たときは無意識に戦闘態勢に入っていた。艦娘を引退しても体は覚えているものだ。しかし、ここで近くにいたおっちゃんがどうして彼女に敵意を向けるのかと聞いてきた。そら深海棲艦や、ウチ等の敵やと答えた。そうしたらおっちゃんに「レッちゃんが深海棲艦なのは分かった。なら、敵だという証拠はどこにある?」と言われ、言いくるめられたのだ。

 

『敵ならば誰かを襲っているはずだろ? しかし、そうしていない以上は敵ではない。まぁそうカッカすんな、タコでも買ってけ』

 

 今思えばこの出来事が常連になるきっかけになっていたりする。とても微妙な気持ちに襲われた。

 

「でも割と迷惑かけとると思うんやけど」

「問題ねーよ、だってレッちゃんは工藤のじいさん(先ほど追っていった老人)の弟子だからな」

「初耳なんやけど」

「教えてないからな」

 

 クックックと笑うおっちゃんを尻目に、これを鎮守府の皆に教えたらどういう反応するんやろうなと考えていた。 電あたりに教えると面白いやろなと想像を膨らませていると、あたりでドタドタといっていた足音が大きくなる。大方こちらにあいさつをしに来たのだろう。振り返ると予想通り、レ級だった。

 

「オー、リュッチー、オヒッサー!」

「1日ぶりやけどな。じっちゃんは?」

「息切レ起コシテタゼ、ヤッパ年寄リハ無理シチャイカンヨ」

「無理させとんのは何処のどいつや」

「アタシヤナー」

「無理させんといてや」

「考エトクー」

 

 レ級はそういうと、騒動の始点である工藤のじいさんのスペースへと戻ろうときびすを返す。その直後、何かを思い出したかのように振り返り、タコを入れていたバケツにしっぽでくわえていたタコをボトッと落とす。

 

「コレサービス」

「いやあかんやろ」

「サービス料金5000円イタダキマース! アリガトウゴザマース!」

「随分とぼったくるな!」

「買ッテクレナイノ?」

「上目遣いやめーや!」

 

 なんだかんだいいつつも、買ってしまう。幸いお金には困ってないし問題もない。

 

 

~~~~

 

 師匠のお言葉その1

  シメる時はワンパンで

『バカヤロー! 2mm左にずれてるぞ!』

『そこまで細かくやらんとあかんの?!』

『もう一回やり直しだ! 現在進行形でタコ漁しているウチの時雨に迷惑かけんじゃねぇ!』

『何で艦娘にタコ取ってきてもろてるんや!!』

『うるせぇ! 遠征任務だよ遠征任務!』

『んな遠征聞いたことないわ!!』

『サンマはあるだろ!』

『ないわ!!』

 

~~~~

 

 

「あーしんど」

 

 家へと帰り、タコを捌いて加熱処理。今日はたこ焼きの気分である。

 

「ほな行くで」

 

 加熱処理を済ませたタコとあらかじめ作り置きしていたタネを持ち、ガレージへと向かう。次に乗る車は赤い改造車。

 

「あかん、忘れとった」

 

 材料を積んだあと、トレードマークともいえる暖簾を積んでいないことに気がつき、ガレージの端においてある暖簾を車に積む。

 そのあと全ての材料と器具を確認してから、今日の営業場所を適当に決める。

 

「ほな行くで」

 

 とりあえず鎮守府に行けばええやろと考えつつ、車のエンジンを掛けた。

 

 

 

 鉄板屋『龍驤』。店長である龍驤のきまぐれでメニューが変わる鉄板屋。

 あえて移動販売にしたその鉄板屋は、今日も元気に鎮守府へと向かう。

 




修正
バケツ→クーラーボックス

アホか、普通に考えてクーラーボックスやろ

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