鉄板屋『龍驤』プロトタイプ   作:餅煎餅

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一時間クオリティ


07

 

 工廠。

 ウチは屋台のメンテナンスにやってきていた。いや、この前海で営業したやん。海風の影響を考えて、や。

 決して改造に来たわけやない。だから視界に映っている工具を大量に抱えた明石なんて気のせいや。

 

「出前……出前かぁ」

「どうしたんですか龍驤さん」

「いや、ちょっち遠方のお客さんに頼まれてな。ぜひともウチでやってくれ、やそうや」

「そうですか、あ、ちょっと龍驤さん」

「どないしたん?」

「飛行機構完成しました」

「は?」

「せっかくなんで取り付けてみました」

「は?」

「ついでなのでボタンのカラーリングも変えておきました。陸上は緑、空中は水色、海上は藍色です」

「ちょいまて」

「これで出前いけますね?」

「ウチは解決しろって言うとらんわこのアホ」

「アホで結構。私がアホだからこそこれが生まれたんですよ」

「……まぁええわ。説明頼むわ」

「今回の機構は完全に移動用です。空中で営業することは現状では考えていません」

「おい、今現状言うたな? 言うたよな?」

「通常の屋台に変形機構を施して空を飛べるようにしました」

「その技術他に回したらええんとちゃう?」

「というのは全部ウソで……」

「ウソかい! どこからウソなんや!」

「全部ですよ。特に変な改造は施していません」

「そか、それならええわ

 ウソにしてはずいぶんと事細かな説明やったけど……」

「私言いましたよね? 改造は施してないって」

「まさか……」

「新しく作りました」

「真性のアホかお前はッ!!」

「完全に出張用の屋台ですね」

「出張用の屋台とか聞いたことないわっ!」

「もちろん海上では営業できません。変形できるだけの屋台なので」

「それは『だけ』とは言わんわっ!」

 

「ついでに『せやかて』の分も作っておきました」

「なぜや」

「予算が余ったので」

「別に回せや! そもそもよく予算下りたな!」

「提督が喜んで出しました」

「なに考えとるんやアイツは!」

「なんでって、そりゃ龍驤さんですし、ねぇ……」

「ええわ、それ以上言うな」

「そこで雰囲気を塗り替えるために別の屋台もご用意しました」

「ここでその話をぶち込むんかアンタは!」

「海中で営業するための屋台なんですが、今この場にはありません」

「なんでや!」

「ただの潜水艦ですからね」

「それはもう屋台とは呼ばんわ!!」

 

 鉄板屋龍驤。

 車一台で始まった小さな店は。

 いまや屋台2台と潜水艦1隻で営業するほどに成長していた。

 これは成長っていうんやろうか。

 明石の全開の趣味を押し付けられたっていうんやないんやろか?

 

 

 

 

 翌日。

 早朝に出前依頼先から連絡が来た。

 多忙になっちゃったぜメンゴメンゴという内容だ。どうしてくれんねんこの屋台。

 もうええわ、初心に帰る。今日は車で営業や。久々や。ということで魚市場へとやってきたんや。

 

「オーリュッチー」

 

 魚市場にいけば必ず遭遇するわけで。

 

「おーレ級」

「レ級ッテ言イヅライカラ、レッチーデイイゼー」

「……嫌や」

「他ニハ、レッチャン、レー、レレレ、レー嬢……」

「割と多いな!」

 

 声に出して指を使って数えるレ級。レレレとかレ級より言い辛いやんか……

 指の動きが10を越えたところで考えるのをやめた。いくらなんでも多すぎや。

 

「ナンタッテ、ココノ非公認アイドルダシ?」

「非公認とかの前にアイドルやったんか」

「自称ヨ自称」

「非公認な上 自称なんか……」

「デモー? 条件ハ揃ッテルヨー?」

 

 あたりを見回すと屈強な海男たち。女性は少ない。客引き効果は薄いが、ここに来る連中は人以上に質を見る人が多い。問題ないんやろな。

 

「リュッチモイケルンデネ? 非公認常連アイドル」

「もうようわからんわ……」

「ア、リュッチ、今日行クワ」

「なんでや」

「ナンデモ明石ガアタイノ新シイ屋台作ッタンダッテ」

「連絡先交換してたんかい!!」

「マァバアチャンノ屋台手放スワケニハイカナイカラ、受ケ取リハシナイダロウケド」

「そか」

 

 

 

 

 鎮守府。

 昼のピークと空母ラッシュを乗り越え、一息つける時間。明石とレ級が話し込んでいるみたいだ。

 

「ソシテナニヨリ、屋台ノ年季ガ足リナイ。バアチャンガ言ッテタ。年季ニ勝ル物ハナイ、ト」

「年季ですか」

「長ク使ッタモノニハ神ガ宿ルッテ言ウジャン」

「そうですね」

「ソノ理論ダト、コノ屋台ニハ神ガ宿ッテルンダ」

「そうなんですか!?」

「150年ハ経ッテルラシイ。ソレナノニ老イヲ感ジサセナイコノボディ……」

「……なるほど、神を宿らせればいいんですね」

「おいレッチャン、明石になに吹き込んだんや」

「サ、サァ……」

「といっても神なんてよくわかりませんし。いっそ妖精さんを宿らせちゃいましょう」

「おいレッチャン! なにしてくれたんや!」

「エェ!?」

「キッカケを与えると明石が変な方向に走るで!」

「この際レッチャンの屋台は諦めましょう」

「そしてそのとばっちりがウチに飛んでくるんや!」

「ではお二方! 私は工廠の方に戻ります!!」

 

 

「……もうここの工廠潰すしかあらへんわ」

「アタイ深海ダケドサ、ソレハヤメトケッテ忠告スル」

「深海棲艦ってなんやろな」

「人類ノ敵ダロ?」

「それをアンタが言うんか……」

 

 

 

 





あー、頼むから二番煎じ生まれんかなー
居酒屋「鳳翔」と同じで鉄板屋「龍驤」っていう響きはごっつ好きなんやけどなー
誰か書いて、もしくは描いてくれへんかなー
ウチがどんな形でもええから鉄板屋やってるとこ見たいわー
鎮守府内部とか隣接とか夢がひろがりんぐやー
この作品レベルで出張しなくてええからー

二番煎じ、生まれんかなぁ……
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