ハイスクールD×D その身に背負う物  一時停止   作:ケツアゴ

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取り敢えず第一話だけ 残りは他の眷属が決定してから


修業開始のルーキー
プロローグ


 日本は比較的治安が良い国って聞くけど、ニュースでは頻繁に新しい殺人を報道している。其れでも知り合いどころか近所で殺人なんか起きたことなんて無く、どこか別の国の出来事の様に思っていたんだ。

 

(ああ、俺死ぬのか)

 

 腹の傷は真っ赤に焼けた鉄の棒を押し込まれたように熱いのに、他の場所は氷のように冷たい。腹に開いた穴から血が流れ出し、俺は自分の命が消えていくのを感じながら、どうして俺がこんな目にあったかを思い出していた。

 

「兵藤一誠君ですね? 好きです、付き合って下さい!」

 

 俺の名は一誠。何処にでも居るような普通の高校生だ。通っている駒王学園は最近まで女子校だった為か男子が少なく、彼女が簡単に作れるどころかハーレムでさえ簡単だと思ってた。まぁ現実は厳しくって、結局一部のモテる奴の所に女子が集まって、俺は仲間と共にエロ本や覗きで憂さ晴らしをしていた。

 

 ・・・・・・・あっ、うん。其のせいで女子には蛇蝎のように嫌われて、他校にまで知られる程の変態扱いされるし、普通の男子高校生ではないのかな? まぁ両親は普通のサラリーマンと専業主婦だし、別に次の神様を決める為の異能力者の大会に参加してるわけでも、召喚された異世界を救って戻ってきた勇者でもなければ、行く先々で事件が起こる死神の様な少年探偵でもない一般人だ。

 

 そんな俺だけど、初めて出来た彼女に殺されそうです。

 

 初めてのデート。傷付けないようにおっかなびっくり大切に扱いながら、失敗しないように選んだ定番のデートコースを楽しんだ。途中、プレゼントまで贈って、最後に向かった夕暮れの公園で彼女、天野夕麻ちゃんにお願いがあるって言われたときにはトキメいたね。だって、こんな場面だったらキスしてって言われると思うじゃんか。

 

 

「死んでくれないかな?」

 

「え?」

 

 だから、夕麻ちゃんの言葉の意味が理解できず、次の瞬間には腹に今まで感じたことにない激痛が走っていた。腹に刺さっていたのはファンタジーに出てくるような光の槍。そして夕麻ちゃんの背中には黒い羽が生えていた。

 

「恨むならアナタに神器(セイクリッド・ギア)を宿した神を恨みなさい」

 

 言葉の意味が理解できない。今の状況が理解できない。夢だと思うも強烈な死の感覚が即座に其れを否定する。ただ一つ分かるのは俺がもう直ぐ死ぬって事。

 

(ああ、親父やお袋は泣くんだろうな。松田や本浜は悲しんでくれるのかな? ああ、どうせ死ぬならおっぱいを揉みながら死にたかった)

 

 本やドラマでは知っていたけど、走馬燈ってのが本当に有ったなんて思わなかった。ガキの時に楽しみにしていた紙芝居や両親と遊びに行った時のこと。友達と馬鹿やって先生に叱られたり、覗きがバレて女子に追いかけ回されたり、色々浮かんでくる。

 

(ああ、死にたくない。死にたくないなぁ・・・・・・・)

 

 徐々に意識が薄れる中、俺はそう願った。もしかしたらデートの待ち合わせ場所で貰って、夕麻ちゃんが怪しいから捨ててって怖い顔で言ってたチラシ、確か貴方の願いを叶えますって文章が魔法陣と一緒に印刷されてたアレを持ってたら助かったのかな、そんな馬鹿なことを考えていた時、俺の前に知らない二人が立っていた。

 

 

「堕天使の気配がしたから来てみれば……恐らく危険な物を宿す故に暴走を恐れて消されたか」

 

「そうみたいだね。……でも、まだ生きてるよ」

 

 片方は冷徹そうな若白髪の男。褐色の肌のイケメンだ。こんな時でさえ爆発しろと言いたくなった。もう一人は小学生中学年位の男の子。緑色の髪の無邪気そうな子だ。顔の作りがいいからきっと将来はイケメンになってモテるんだろうなと思う。流石にこんな子供には爆発しろとは思わない。

 

 その少年が俺の傍でしゃがんで手を伸ばしてくる。俺が少し力を振り絞れば手が届く位置まで伸ばされた時、傷口が急に痛み出す。まるで急速に肉が腐っていくような感覚が俺を襲い、次の瞬間には最初の傷の痛みごと消え去った。

 

「……何のつもりだ? いや、何をしようとしているのかは分かるが、後々の事は考えているのか?」

 

「……うん。だけどこれも何かの縁だと思うんだ。お兄さん、傷は塞いだけど、流れた血は戻せないからこのままじゃ死んじゃうよ。だから、生きたいと思うなら僕の手を取って。ただし、その結果お兄さんは今より辛い目に遭うかも知れない。其れでも良いなら……そう。本当に良いんだね?」

 

 死にたくない、その気持ちから手を取った俺の顔を見た少年は何処からかチェスの駒を取り出す。何か光の様な物を放った其れを俺の前に翳すとそのまま体に吸い込まれていき、少年と男は一瞬驚いた様な顔をした後で同じ形の駒を俺の前に翳す。もう一度俺の体に其れが吸い込まれていった時、全身を襲っていた死の感覚が消え去り、体温が急速に戻っていくのを感じた。

 

「い、今一体何が……?」

 

 最早腕を動かすので精一杯だったにも関わらず俺はすんなり立ち上がれ、まるで先程までの出来事が夢みたいだ。だけど、俺は夢とは思わない。生まれて初めて味わう強烈な死の感覚、皮膚を貫き肉を抉り内蔵を焼き尽くす様な槍の痛み。先程感じた全て、そして血塗れの服と地面が現実である事を物語っていた。

 

 

 

「……さて、話すと長くなるし君の家に案内して貰えるかな? 出来ればご両親にも話すべき内容なのでね」

 

「え、えっと、今日は仕事が休みなので親父も家に居るっすけど……アンタ達は一体?」

 

「私はエミヤ。そしてこっちが……」

 

 戸惑う俺に対しエミヤと名乗った男は少年の肩に触れて名乗るように促す。俺に向けられたその子の笑顔は曇り一つない綺麗な物だった。

 

 

「僕の名はレラジュ・レラィエ。お兄さんの名前は?」

 

「……一誠。兵藤一誠…です」

 

 相手は五歳も六歳も離れてそうな子供だというのに、この時俺はレラジュの放つ空気に飲まれ、今すぐ話を聞き出そうとする事すら忘れていた。

 

 

 

 

 

「あらお帰りなさい、イッセー。其方の人達は? まさか迷惑をおかけしたとか……」

 

「してないって、いや、してない…のかな? 俺もよく分からねぇんだ」

 

 知らない二人を見るなり俺が迷惑を掛けたって口にする当たり俺への信頼がどの程度か分かる。何時も覗きや何やらで迷惑掛けてスイマセン!

 

「あの、こんな時間に御免なさい。でも、重要な話なんです」

 

「お時間はお掛け致しません。ですが貴女方にも関わる話ですので」

 

「あらあら、その歳でちゃんとしてるのね。ウチの息子がなにしたかは知らないけれど、どうぞお上がりなさい」

 

 丁寧にお辞儀をするレラジュの態度を感心した様子のお袋は二人を家に上げる。丁度親父もリビングに居て、お袋と同じような遣り取りが繰り広げられた。

 

 

 

 

 

「それで、一体何があったのかしら?」

 

 リビングにて二人にお茶を出したお袋は(エミヤにはビールが勧められたが職務中だからと断った)血塗れの俺の服に真剣そうな視線を反対側に座る訊ねていた。親父は少し戸惑って落ち着かない様子だし、こんな時お袋は凄いって思う。

 

「うん。今から説明するね。だけど嘘だと思われそうな話だから、もう一人呼んで良いですか?」

 

「え、ええ。でも、その人が来る間に話せる所だけでも……」

 

 その言葉の途中でお袋の言葉は途切れ。俺や親父は固まる。床に急に現れた魔法陣。光り輝く其処から急に誰かが出てきたら誰だって驚く。しかもタネの仕込みようがある舞台なら兎も角、此処は俺の家。そんな仕掛けが入り込む余地がない事は分かっている。

 

「オ呼ビデスカ、若様」

 

 現れたのは四本の腕を持ち、2・5メートルはあるスパイクだらけの体を持つ二足歩行の虫の様な異形。体中からは冷気が放たれており、少し離れたこの場所でも寒く感じる程だ。そして二人が驚いていない事からもう一人」とは此奴の事なんだろうと思う。……それに若って呼んでたし。

 

「紹介するね。僕の部下のコキュートス。見ての通り人間じゃない。そして僕達もね。僕達は……悪魔なんだ」

 

 そう言いながら立ち上がるレラジュとエミヤ。その背中からは蝙蝠のような羽が生えていた。

 

 

 

 

 

 

 

「えっと、悪魔とかが本当に居るって事は理解したけれど、どうして俺が命を狙われたんだ?」

 

 レラジュの話では悪魔や天使や堕天使ってゲームや小説だけの存在じゃなくって本当に居るらしい。それだけならゲームや漫画と現実がごっちゃになった子供と思うんだけど、目の前に明らかに人間じゃない存在が居るから信じるしかなかったよ。

 

「それはね、君の中に神が宿した神器(セイクリッド・ギア)って不思議な力を持つ道具が有るからなんだ。普通は周囲の人より優れる程度なんだけど、中にはそれこそ創作の中に出てくる様な戦闘用の物もあるし、中にはずっと昔に死んだ存在を蘇らせる物まで有るらしいんだ」

 

「そして堕天使は其れを危険視して強力な物を宿した者を見付けると殺している。……君からしてみれば理不尽な話だろう。望んでもいない物を押し付けられて、それを理由に狙われたのだからな」

 

 完全には理解できないけれど、何となくは分かった。昨日ニュースで見たんだけど、親の銃を弄っていた子供が弟を誤射してしまったって事件。例えるなら弾の入った機関銃を持った何も知らない子供が人混みの中に居るって感じなんだと思う。……理解は出来たけど、それでも納得はいかねぇ。

 

「あの、それでどうしてイッセーは無事なの?」

 

 そうだ! お袋が言う通り、俺は確かに死に掛けたはず。なのにどうして傷一つ無いんだ?

 

「うん。其れは魔王様が開発した悪魔の駒(イーヴィル・ピース)を使ったんだ」

 

 そう言いながら机の上に置いたのはチェスの駒。確か僧侶(ビショップ)だっけ?

 

 

 説明された内容を要約すると数を大幅に減らした悪魔は他種族を悪魔に転生させて数を保とうとしたらしい。その為の道具がこれだという事だ。そして、それで悪魔に転生させる事で俺を助けたらしい。

 

 その話を聞いた途端、お袋と親父は立ち上がる。その体は震えており、二人揃ってレラジュの手を取っていた。

 

 

「……有難う」

 

「息子を助けてくれて有難う」

 

 その姿を見た俺は自分が両親から本当に愛されて居たと感じた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……明日から修行か」

 

 その夜、俺はベッドに寝転びながら呟く。詳しくはまだ聞いてないけれどレラジュ…様? の家は結構複雑な事になっているから眷属は少しでも強くなった方が良いらしい。眷属の中で一番強い女王(クィーン)を中心に鍛えてくれる人は充実してるらしいけど……。

 

 

 あの時の両親の姿を思い出し、改めて思う。死ななくて本当に良かったと。そして俺を助けてくれたあの子に恩返しをしなきゃってな。

 

「うっし! 気合入れて行くか!」

 

 

 

 

 これが俺の悪魔としての物語の始まり。この日を境に俺は怒涛の運命に巻き込まれていく事になる。俺と俺の主と仲間達の物語の一ページ目。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「新しい眷属か。良いだろう、私自ら鍛えてやる。……ただし、本当に勇気ある戦士になれる者ならな」

 

 そして其の物語は二ページ目から試練が待ち受けていた。




意見 感想 誤字指摘お待ちしています



ある敵キャラに強化フラグが立ちました

原作では巻き込まれて初めて知った両親ですが、この話では最初から教えました。息子が命かけなければならない立場なのを知らないのもどうかと思いましたし。

主人公がどうして幼くして駒を持っているかは次回以降に

眷属に対して募集を活動報告で 若干のネタバレ有り

そして一誠に強化フラグ。
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