ハイスクールD×D その身に背負う物 一時停止 作:ケツアゴ
ただ、木場がフェニックスの涙を牛乳に混ぜて出陣前に渡してましたが・・・・・・・5巻で他の物とまぜると効果を失うって・・・・・・・まぁ一度反転を無効にする為だけの捨て設定だろうけど
貴重な回復薬を無駄使い・・・・・・・
「9995、9996、9997…」
腕の筋肉がギシギシと悲鳴を上げ、玉の様な汗が滴り落ちる。体に取り付けた重りは気のせいではなく、実際に一回毎に其の重量を増していく。そんな中、俺は必死に腕立て伏せを続けていた。
腕立て伏せ、腹筋、背筋、スクワット。これらを各一万回ずつ行うのが師匠から言い渡された課題だ。正直言って無茶振りです!
「文句を言わずにやれ。それとも私が殺るか?」
思わず無理だと言ってしまった時の師匠は怖かった。エミヤさんの話じゃ昔からこんな感じで多くの戦士を育ててきたらしい。顔も名前も知らない先輩達。何時か愚痴を交わしましょう!
「ほらほら、ペースが落ちてるでありんすよ。これは回数を増やすべきでありんしょうかねぇ?」
他に用事があるとかで師匠はこの場に居ないけど、代わりに見張りとしてやって来たのが目の前の美少女。白磁器の様な肌に血の様に真っ赤な瞳。漆黒のゴシックドレスに包まれた小柄な体には似つかわしくない大きい……おっぱい!
この人はエミヤさんの
でも、あの胸、少し違和感があるんだよなぁ……。
ちなみに修行はこれだけじゃなくって、走り込みの後で師匠との手合わせ(っていう名前の一方的な蹂躙)が有るんだ。ハッキリ言って毎回毎回に死に掛けています。優しいレラジュ様なら止めてくれそうだけど、
「う〜ん。確かに厳しいけれど、一誠って宿してる物が物だから絶対に戦いに巻き込まれるよ?」
こんな事を言われたら何も言えない。それに、走り込みの前の休憩時間。その時間が最高なんだ!
「あっ! 来た来た! 用意が出来てるよ!」
俺が急いで屋敷の中庭に向かうと既にお茶の準備が出来ていた。エミヤさんの手作りのお茶菓子(本当は女の人の手作りが良いんだけど)は美味いし、何よりも楽しみなのは……。
「兵藤様。お茶のお代わりは如何ですか?」
「あっ、はい。頂きます」
これだよ、これ! 屋敷で働くメイドさん達が甲斐甲斐しく世話をしてくれるんだ。これがあるからこそ師匠のシゴキに耐えられるってもんだぜ!
「あっ、そうだ。スカサハが来週から魔境での修行を始めるって。……頑張って」
最後に言葉を濁すレラジュ様だけど、それには理由がある。俺の修行は筋肉の成長の為に筋トレは一日置きなんだけど、筋トレに当てていた時間は魔力制御をしながらの座学になっている。ああ、この時の教師は師匠によるルーン魔術講座だったり、別の人による悪魔社会についてだったりするんだけど、この前俺は魔境について教わった。
大体日本の半分程の面積を持つレラィエ領地だけど、その中に大体新潟くらいの面積を持つ魔境って呼ばれる場所がある。周囲とは全く別の生態系を築いている複数のエリアからなる其の場所は何度調査に入っても新発見がある程に謎が多いらしく、偶に出てくる魔獣を討伐する為の部隊や、それを育成する為の学校みたいな場所まであるらしいんだ。
「その時はそれがしもお供するでありますよ」
「そういやハムスケも魔境に住んでたんだっけ?」
「そうでござる! それがし、これでも仲間からは森の賢王とまで呼ばれていたのでござるよ」
得意そうに鼻を鳴らすハムスケだけど、どう見ても巨大なジャンガリアンハムスターだから格好が付かない。だけど、今まで会った純潔悪魔は全員ハムスケを精悍だとか強力な力を感じるとか言うんだよな……。
「おい、一誠。そろそろ時間だ。今日は三百kmで勘弁してやる」
「いや、三百kmだけって十分長いし、獣道とか山道とかを走るんっすよね」
「……文句があるのか?」
「いえ、ありません!」
槍を向けたれたら文句なんか言えません! ……それにまぁ、師匠の後ろを走るから、あのピチピチタイツの後ろ姿を堪能できるんだよなぁ。それは気合い入るってもんですよ!
『……情けないな、小僧』
「うるせぇよ、ドライグ」
籠手から聞こえてきた声にこの場の誰も驚かない。それもその筈。この声の主こそが俺の
「私は限界ギリギリを見定めている。出来ないのは貴様の覚悟が足りないからだ。覚悟がない者は戦場で死ぬ宿命。……なんなら今直ぐ死ぬか?」
こんな感じですもん! そりゃドライグも目覚めますって! 出来なきゃ死ぬもん!
俺は師匠の立派なお尻と背中のラインを楽しみにしつつ、足腰が立たなくなるまで走る事になるのでとても不安だった。
「……まっ、やるしかないよな」
悪魔に転生しちまったし、話に聞く白龍皇っていう歴代が戦って来たライバルも気になるし頑張るしかないよな。
俺は頬を叩いて気合を入れると準備運動を始める。グッと伸ばした右腕に巻いたレラジュ様から貰った腕時計が光を反射して光っていた。
「堕天使達は、あのお姉さんの回復系
一誠が土日を利用して金曜の放課後から魔境に入っている間、僕は何時もの様に政務の勉強をしていたんだけど、食事中にエミヤの言葉に思わず手を止めてしまった。
アーシアっていうあのお姉さんが向かった廃教会。其処に居たのは堕天使、それも一誠を殺そうとした奴らなんだって。奴らの目的は一誠だったと思ったんだけど。でも、態々呼び寄せる意味って何だろう? ……あれ?
「独断行動? 回復系能力の持ち主をスカウトしたって実績よりも、自分がその能力を持つ方が評価されるから」
「正解だ。そして例の廃教会は何処の支配下にもない。……だがまぁ、あの街はグレモリー公爵家の縄張り。我々が勝手に手出しする訳にもいかん。お前に何かあったらと調査はしたが、此方に何かする気はない以上放置すべきだ」
其れに態々教えるのも、勝手に調査したって言われたり、余計なお節介って言われるかもしれないよね。いま管理してるリアスさんは言わないだろうけれど、派閥の他の貴族が言って来そうだもん。
「……そっか。あの人の様子からして騙されてるんだろうけれど、僕達は何も出来ないよね」
僕は子供とは言え現当主。家臣や領民の為にも考えて行動しなきゃいけない。非情な様だけど、偶々一度会っただけの敵陣営の人を助ける為に無茶は出来ないんだ。
「ああ、この事は一誠には秘密だ」
「どうして?」
「ふむ。まだ勉強が足りないようだな。お前はもう少しああいう奴の事を知るべきだ」
……難しいなぁ。
「エミヤ君。君は本当に放置する気かね? どうせ堕天使どもは独断行動で、その少女は正式に傘下に入った訳じゃない。その
「……また何かする気か。まぁ貴方の事だからレラジュの為だろうがな」
「それは勿論。私はレラジュ様の為に動くだけですよ。其れは君も同じだろう。それがあの御方との約束なのだから。……失礼。軽々しく口にすべきではなかったか」
「うーん。やっぱり博士は天才だよね」
エジソン博士に作って貰った腕時計を見ながらベッドで寛ぐ。今居るのは人間界だから分からないけれど、この時間帯からして修練場にはまだ誰か居るよね。僕も出来れば夜も頑張りたいけれど、体が未発達の僕には睡眠が必要。
「レラジュ様、そろそろお休みになる時間で御座います」
ドアがノックされてメイドの一人が入ってくる。名前はナーベラル。僕が生まれる前から一族に仕えてくれていて、その仕事はメイドの業務全般と……戦闘行為。ナーベラルの戦闘力はその辺の中級悪魔じゃ束になっても敵わないんだ。エミヤ同様に僕の身の回りの世話や護衛をしてくれている。
「うん。そろそろ寝るよ」
「……その腕時計は」
「あっ、これ? 僕のポケットマネーでエジソン博士に作って貰ったんだ。余った魔力を貯めて、通信や転移用の魔法陣を発動出来るんだ。まだ僕と一誠の分しかないけれど、その内眷属全員にあげるんだ。……ちょっと試してみようか」
一誠は今日の修行が休みだから家に居ると思うし、エミヤは年頃の男子の部屋は見るものでは無いって言ってたけど、どうしてだろう? まぁ良いや。試しに使ってみよう。
『もしもし一誠。起きてる?』
『あっ、ちょうど良かった! 助けてくれ!!』
その言葉を聞いた瞬間、僕は時計の機能の一つを発動させる。僕の時計が一誠の時計に仕込んだカメラの役目を果たす魔法陣に関与して、一誠が見ている風景と音を映像として映し出した。
「……悪魔祓い。いえ、はぐれ悪魔祓いでしょうか。それにしても主であるレラジュ様に
ナーベラルは不快そうに眉を寄せて画面を睨む。忠誠心が高いのは良いけれど……。
「今はそんな事を言ってる場合じゃないよ!」
天使や堕天使が使う光力は悪魔にとって毒になる。そして悪魔祓いや堕天使の部下になったはぐれ悪魔祓いは光力を込めた光の剣や弾丸を使う。
「……流石に今の一誠じゃ三人が限度だよね。あの白髪が居なきゃいけただろうけれど」
はぐれ悪魔祓いの数は五人。走りながらで倍加もちゃんとできず、武器もない今の一誠じゃキツイ。街中だから倍加しても派手に使えないし。それにしても白髪頭の神父は強いしね。
「エミヤ!」
「……了解した」
多分声を聞きつけたんだろうけれど、エミヤは直様に受け取った時計を使って転移する。……おかしいな。何時ものエミヤじゃない。
僕は映し出された戦闘風景を見ながら違和感を感じるけれど、それがどうしてか分からない。……こんなんじゃ駄目だよね。姉様ならきっと眷属の事が全部分かってたんだろうけど。
今も思い出す姉様の姿。敵対する者全ての思考を、戦略を、行動を読み、眷属を的確に動かして勝利を手にしていた。その姿は僕の憧れだった。枕元に飾っている赤ん坊の時の僕とドヤ顔の姉様の写真を手に取る
絶対に追い付く。……いや、姉様を絶対に超えてやる。今の僕は姉様に劣るけれど、姉様と同じ年の僕は姉様よりも絶対に上だ。
「ナーベラル、電話」
エミヤと一誠によってはぐれ悪魔祓いが片付けられる中、僕は携帯を受け取り登録されている番号に電話を掛けた。
「堕天使が私の縄張りでそんな好き勝手をっ!? 許せないわ!」
はぐれ悪魔祓い達を捕縛したエミヤ達と合流した僕が向かったのは駒王学園の旧校舎。此処にグレモリー公爵家の次期当主のリアスさんと眷属が所属するオカルト研究部がある。エミヤから話を聞いたリアスさんは自分の縄張りを荒らされた事で怒っていた。
「エミヤが吐かせた情報じゃ、教会は何処の勢力の支配下にもないし、堕天使達は騙した人間から
「……了解しました」
渋々といった感じだけれどリアスさんは譲ってくれる。いや、譲るしかないんだよね。敵勢力の人員が管理地に侵入して他家の眷属を襲った。これは明らかな失態だ。でも、処分を譲るとした形で僕達への負い目を減らせるからね。
……それにしても妙だよね。あいつらは独断行動の筈なのに、どうして五人で行動を? もしかして誰かに操られていた? でも、それならエミヤが気付くだろうし。
「あ、あの、夕麻ちゃんですが……俺が相手しちゃ駄目っすかね?」
「良いよ。姉様が言ってた。男の子には絶対に倒さなきゃならない相手が居るって。一誠の相手の一人が其の堕天使って事でしょ?」
『まぁ今のお前なら堕天使くらい倒せるけれど……白いのの事も忘れるなよ』
廃教会に向かう途中、張り切っていた一誠の頼みを了承する。……僕も何時かそんな相手と会うのかな? 絶対に倒したいって相手とさ。
「さて、私は見張りの堕天使三人を引き受けよう。レラジュ。お主は自分の役割を分かっているか?」
「うん。王である僕は一番後ろで居るよ。戦力は十分だし、態々出るまでもない」
っと言うより、出ちゃ駄目だ。眷属に手を出された以上、王である僕が何もしない訳にはいけないから一種に来たけれど、そうでなきゃ安全な場所で居るべき立場だもん。
「それじゃあ、一誠。今の間に倍加しておこうか。エミヤが門を吹っ飛ばして、ハムスケの魔法ではぐれ悪魔祓いを無効化したら一誠が突撃ね」
「了解した。では、レラジュ。王らしく開始の合図を頼む」
「うん。分かったよ。……蹂躙しろっ!!」
『Boost!!』
僕の合図と共に一誠の力が倍増し、次の瞬間には廃教会の門が吹き飛んで、堕天使三人は心臓を同時に貫かれた。
「終わった〜?」
一誠が自分を狙ってきた堕天使(レイナーレって言うらしい)と向かい合った時には既に上級悪魔レベルまで力が上がってたし、倒すのに一分も掛からなかった。
「……それでどうします?」
腹に一撃食らって気絶しているレイナーレを見下ろして立ち尽くしている一誠。殆ど言葉を交わさずに倒してしまったから色々複雑なんだと思う。元彼女だしね。
「リアスさんに引き渡す。首謀者だし、妥当な所でしょ」
これで更に貸しが出来るし、僕としてはそれで満足だ。……後は。
「あのアーシアってお姉さんだけどどうしたら良いと思う? 正式に堕天使の部下になった訳じゃないし、教会にも戻れない。このまま他の悪魔の手に渡るってのも悔しいよね」
境遇からして、教会にも彼女に同情してどうにかしようとしていた人が居てもおかしくないけれど、僕に確かめる方法はないし……。
回復系の能力は貴重。僕も似たような事が出来るけれど荒療治だし……。
「あの、俺達で保護とか出来ませんか? 俺が何とか説得してみますので……」
あの人の境遇は道すがら教えてある。だから同情したのかな? 道案内した時も楽しそうに話してたし。……あっ! エミヤが言ってたのはそういう事か。あのまま教えてたら助けに突撃してたかもだもんね。
「別に良いよ。悪魔にならないにしても、あの能力は欲しい。解析できれば多くの怪我人を救えるからね」
さて、一誠は説得出来るかな? 僕としては来て欲しいけれど、精神状態が能力に関わる物だから無理やり従えても意味がないからね。眷属になるとしたら余ってる
途中から僕の思考は別の事へと切り替わる。来月に予定しているレーティングゲーム。それがどうなるかがとっても楽しみだった。
ああ、早く戦ってみたい。自分の力を試してみたいなぁ……。
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アンケートはまだ実施中 日時は変更するけれど